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ミドルレンジ構成に絶好のmicroATXマザーが登場!白銀カラーもまぶしいMSI「MPG B760M EDGE TI WIFI」
最新のCore i5-14500の性能を大きく伸ばす電力設定も可能 text by 芹澤 正芳
- 提供:
- MSI
2024年2月9日 10:00
2023年10月に発売されたIntel最新のCoreプロセッサー(14世代)は、従来のIntel 700シリーズのチップセットで動作するが、この新CPUの登場に合わせてより洗練された“リフレッシュ版”と言えるマザーボードが数多く発売された。ここで紹介するMSIの「MPG B760M EDGE TI WIFI」もその一つ。
B760チップセットを採用するmicroATXマザーだが、堅牢な電源回路に充実の装備で、ミドルレンジ構成のPCを自作するのにうってつけの製品となっている。そこで、Core i5-14500とGeForce RTX 4060を組み合わせたときの消費電力や電源回路(VRM)の温度などを交えたレビューをお届けしよう。
安定性重視の設計が注目のmicroATXマザー
MSIのゲーミングマザーボードには、エンスー向けのハイエンド「MEG」、メインストリームの高性能モデル「MPG」、コスパにも優れた普及モデル「MAG」の3シリーズが存在している。今回紹介するMPG B760M EDGE TI WIFIは、高性能モデルである“MPG”を冠する製品。昨今のmicroATX製品ではコスト優先モデルも少なくないが、本機はそれらとは一線を画す“ワンランク上のmicroATXマザー”に仕上がっているのが最大の特徴だ。
電源回路は12+1+1フェーズと75A DrMOSの組み合わせとmicroATXマザーとしては規模は大きめ。それを高さのある大型ヒートシンクと熱伝導率に優れる(7W/mK)サーマルパッドでしっかり冷却できる仕組が備わっており、ミドルレンジはもちろんハイエンドCPUも安心して運用可能となっている。
また、PCI Express x16スロットはGen 5対応で、金属プレートによる補強が加えられた「Steel Armor」仕様。ATXより一回り小さくスペースに制限があるmicroATXだが、Gen 3のx4スロットも1基搭載する。
基板には信号ロスを抑えて安定性を高めるSMT(表面実装)プロセスを採用。すべてのM.2スロットにヒートシンクを装備、チップセットにも大きくて厚めのヒートシンクを備えるなど、電源周りやPCI Express x16スロットなども含め、全体に“堅牢”、“安定”を重視した設計と言える。
ビジュアル的なデザインは、黒い基板に白&銀を基調としたヒートシンク類というツートンカラー構成。ホワイトパーツを中心としたPCを組みたい!といったニーズにも応えられるのもポイントだ。
M.2スロットはmicroATXながら3基と、ストレージの拡張性に優れているのも特徴。すべてGen 4(PCI Express 4.0) x4仕様だ。M.2 SSDをツールレスでスロットに固定でき、一番CPUに近いスロット(CPU直結)は、ヒートシンクもワンタッチで着脱可能なのが便利(チップセット接続の下側の2基については、ヒートシンクの着脱にプラスドライバーが必要)。
CPUに一番近いM.2スロットに取り付けたシーケンシャルリード7,000MB/s超のGen 4 SSDに対して、ヒートシンクを接続した状態で10分間連続で書き込みを行う高負荷なテストを行ったが最大57℃とまったく心配のいらない温度だった。Gen 4 SSD最速クラスでも標準搭載のヒートシンクで十分冷やせていると言ってよいだろう。
バックパネルのUSBは、USB 20Gbps(Type-C)が1ポート、USB 10Gbpsが3ポート、USB 2.0が4ポート。基板上のヘッダー類としては、PCケースのUSBポート用のピンヘッダーとして、USB 10Gbps Type-Cが1ポート分、USB 5Gbpsが2ポート分、USB 2.0が4ポート分を搭載する。
ネットワーク機能は、有線LANがRealtekの2.5G LAN、無線LANはWi-Fi 6E(IEEE802.11ax)対応で、Bluetooth 5.3もサポート。このほか、内蔵GPU用の映像出力としてDisplayPort 1.4とHDMI 2.1、サウンド系はアナログ音声入出力とS/P DIF出力を装備する。
MSI独自の統合ユーティリティ「MSI Center」アプリも便利。LED制御の「Mystic Light」など多彩な機能が用意されているが、注目したいのはAIを活用した項目が増えてきている点だ。
「FROZR AI Cooling」はCPUとGPU温度に合わせて冷却ファンを最適な回転数に自動調整する。「MSI AI Engine」はAIがアプリに合わせてパフォーマンスを自動で変更と、ユーザーがあれこれ悩まなくても最適な環境を作ってくれるのがありがたい。
B760のベストパートナーと組み合わせて実動チェック
それでは、実際にマザーボードを使用して各部を見てみよう。今回は、ミドルレンジチップセットであるB760を搭載したマザーということで、これと組み合わせるのに好適なCPU/GPUとして、1月に登場したばかりの最新のミドルレンジCPUであるIntel Core i5-14500と、NVIDIAのミドルレンジGPU、GeForce RTX 4060搭載カードであるMSI「GeForce RTX 4060 VENTUS 2X BLACK 8G OC」を用意した。検証環境は以下のとおり。
CPU | Intel Core i5-14500(14コア20スレッド) |
メモリ | DDR5-5600 32GB(PC5-44800 DDR5 SDRAM16GB×2) |
システムSSD | M.2 NVMe SSD 2TB(PCI Express 4.0 x4) |
ビデオカード | MSI GeForce RTX 4060 VENTUS 2X BLACK 8G OC (NVIDIA GeForce RTX 4060) |
CPUクーラー | 簡易水冷クーラー(36cmクラス) |
電源 | 1,000W(80PLUS Gold) |
OS | Windows 11 Pro(22H2) |
まずは、UEFIメニューや動作させたときの温度、クロック、消費電力などをチェックしていこう。
本機では、UEFIによるCPUのパワーリミット設定は、基本は選んだCPUクーラーのタイプで初期値が決まる。今回の例ではCore i5-14500を取り付けた場合のものとなるが、選択肢は3種類あり、「Water Cooler」では無制限、「Tower Air Cooler」ではPL1/PL2が288W、「Boxed Cooler」ではPL1が65WでPL2が154Wに設定される。手動で細かく設定することも可能だ。
MPG B760M EDGE TI WIFIはDDR5メモリに対応している。オーバークロックメモリのプロファイルはIntelのXMPはもちろん、AMDのEXPOも利用できる。DDR5-7800までの高クロックメモリもサポートしており、メモリの利用で困ることは少ないだろう。
本製品には、自動ドライバーインストール機能の「Driver Utility Installer」も搭載されている。OSインストール後、ネットワークに接続すれば必要なドライバー類を自動で認識し、インストールできるのが便利。なお、ドライバーだけではなくDropboxなど一部アプリもインストール項目として表示されるので、好みで選ぶとよいだろう。
それではCore i5-14500の挙動をチェックしていこう。パワーリミットは無制限(Water Cooler設定)と定格65W(Boxed Cooler設定)の2種類でテストを実施した。メモリはDDR5-5600駆動、簡易水冷のファンは付属ツールの標準的なものとした。
まずは、「Cinebench 2024」のMulti Coreテストを10分間実行したときのCPUおよびVRM(電源回路)の温度、CPUの消費電力の目安となるCPU Package Powerおよびシステム全体の消費電力チェックする。
各項目の計測にはハードウェア情報を表示できるアプリ「HWiNFO Pro」を使用し、CPU温度は「CPU Package」、VRM温度は「MOS」、CPU Package Powerは同じ名称の「CPU Package Power」という項目を記録した結果だ。システム全体の消費電力はラトックシステムの電力計「REX-BTWATTCH1」を使用した。室温は21℃。
Cinebench 2024はCPUの全コアに負荷をかけるベンチマークだ。Core i5-14500ならば、パワーリミット無制限でも最大73℃、平均69℃と36cmクラスの簡易水冷クーラーなら十分冷やせる。定格の65Wなら、最大47℃で平均43.7℃とかなりの低さだ。
VRMの温度推移を見るとパワーリミット無制限でも最大42.5℃と十分低い。65Wなら最大でもわずか37℃だ。12+1+1フェーズとミドルレンジCPUの動作には余裕のある回路規模に加えて、大型ヒートシンクが効いていると言えそうだ。
CPU Package PowerはCPUの消費電力の目安。パワーリミット無制限では150W前後、65Wではそのとおり65W前後での推移となる。定格でも最初だけ130W近く上がっているのは、28秒だけPL2の154Wで動作する設定になっているため。パワーリミット無制限がところどころ大きく落ちているのは、処理と処理の合間だ。
消費電力は、CPUだけに負荷がかかるCinebench 2024ではパワーリミット無制限のほうが高くなるが、CPUとGPUの両方に負荷がかかるサイバーパンク2077プレイ時はほぼ差がなくなる。それでも300W未満なので、ミドルレンジ構成は発熱、消費電力ともおとなしめになるのが分かる結果だ。
パワーリミット無制限と定格65Wの性能をチェックする
ここからは、ベンチマークで性能をチェックしよう。温度や消費電力のテストと同じく、パワーリミットは無制限と定格65Wの2種類でテストしていく。まずはCGレンダリングでCPUパワーを測る「Cinebench 2024」から。
電力制限がないため連続して高クロック動作(Pコアで4.5GHz前後)ができるパワーリミット無制限のほうが、定格65W(Pコアで3.3GHz前後)よりもスコアは必然的に高くなる。前述したとおり、その分CPUやVRM温度は高くなるが、まだ十分余裕はある。
続いて、PCの基本性能を測る「PCMark 10」、3D性能を測る「3DMark」を実行する。
PCMarkは、CPUパワーを使うクリエイティブ系テストのDigital Content Creationでパワーリミット無制限と定格65Wで大きな差が生まれている。CPUパワーを使う処理をよくするならパワーリミット無制限で運用がよいだろう。その一方で、3DMarkでは誤差レベルの差になっている。ゲーム用途では差が出ないようだ。
実ゲームでも差が出ないのか確かめてみよう。「レインボーシックス シージ」、「オーバーウォッチ2」、「サイバーパンク2077」を用意した。レインボーシックス シージとサイバーパンク2077はゲーム内のベンチマーク機能を利用、オーバーウォッチ2はbotマッチを実行した際のフレームレートをCapFrameXで計測している。
3DMarkと同じく、パワーリミット無制限と定格65Wは誤差レベル。クリエイティブ用途ならパワーリミット無制限、ゲーム用途ならCPU温度が上がりにくい定格65W運用がよさそうだ。
安定重視で満足感の高いmicroATXマザー
microATXマザーとして堅牢な電源回路と重厚なヒートシンクと安定重視の設計。すべてのM.2スロットにヒートシンクがあり、コンパクトなゲーミングPCを組みたいけど性能や拡張性にもあまり妥協したくない、というニーズにピッタリ。白銀カラーなので“映え”を重視したい用途にもマッチすると、幅広いユーザーを満足させられる1枚だ。