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ゲームの雰囲気をガラッと変えられる!自分好みの画質設定が作りこめるゲーミングモニター「BenQ MOBIUZ EX271Q」

180Hz/WQHDサポートのホワイトモデル、カスタマイズが楽しい1台 text by 坂本はじめ

 BenQ「MOBIUZ EX271Q」は、最大180Hz駆動に対応した27型WQHD液晶を採用するゲーミングモニターで、BenQがゲームへの没入感を重視して開発したMOBIUZシリーズに属する製品だ。

 白いカラーリングが印象的な新デザインの筐体を採用するEX271Qには、HDRiやPixSoulエンジン、Color Shuttleといった独自機能をはじめ、美しい映像でゲーム体験を高めるための機能が多数搭載されている。今回はPCやPS5を接続して、EX271Qの機能がどのような映像体験を実現するのか確かめてみた。

没入感を重視するBenQ MOBIUZシリーズ筐体は新デザインでリニューアル

 BenQ「MOBIUZ EX271Q」は、WQHD/1440p(2,560×1,440ドット)解像度の27型IPS液晶パネルを採用したゲーミングモニター。本体サイズは613.8×276.8×545.4mm(幅×奥行き×高さ)で、重量は約7.2kg。店頭では6万~6.7万円前後で販売されている。

BenQの27型ゲーミングモニター「MOBIUZ EX271Q」

 EX271Qが属するMOBIUZのゲーミングモニターは、高品質な映像と音響によってユーザー体験を高め、よりゲームの世界に没入できるよう設計されている。

 BenQは「ZOWIE」ブランドでe-Sports特化のゲーミングモニターを展開しており、こちらは競技性の高いゲームで勝利するために表示性能を重視した設計となっている。それと比べると、MOBIUZブランドのモデルは、ゲーミングモニターとしての基本的な表示性能を確保しつつも、色鮮やかな映像や音響などリッチな映像品質でゲームを楽しむことを重視しており、没入感を求めるユーザーやカジュアルゲーマーに好適だ。

 EX271Qが採用するWQHD/1440p対応の液晶パネルは、最大180Hzのリフレッシュレートと1ms(GtG)の応答速度を実現するほか、DCI-P3カバー率95%の色再現性、HDR規格のHDR10およびDisplayHDR 400、動的リフレッシュレート技術の「FreeSync Premium」などに対応。今どきのゲーミングモニターらしい高速性と表示品質を兼ね備えている。

 長時間ゲームをプレイするユーザー向けにアイケア機能を導入しており、フリッカーレスのLEDバックライトや、ハードウェアとソフトウェア両方のブルーライトカット機能などが搭載されている。

ゲーミングモニターならではの高速駆動(180Hz/1ms)と、色再現やHDRに対応する優れた表示品質を兼ね備えた27型WQHD/1440p液晶パネルを搭載。液晶パネルの駆動方式はIPS。
長時間のゲームプレイから目を保護するアイケア機能を備えている。

 EX271Qのマットホワイトを基調としたカラーリングの筐体は、宇宙船をモチーフにデザインされたもの。ゲーム関連のPCやデバイスで流行しているホワイトカラーモデルや、白を基調としたカラーリングを採用するPS5との相性も良好だ。

マットホワイトを基調としたカラーリングが美しいEX271Qの筐体
本体上部はスリットが設けられたデザインになっている。
白いゲーミングPCやゲーム機にも良く馴染むカラーリング。
背面側は曲面になっており、横から見た際に厚さを感じにくいデザインになっている。

 付属のディスプレイスタンドは、0~100mmの高さ調整機能、-5~15度の上下角度調整機能(チルト)、左右最大15度の左右角度調整機能(スイベル)、時計回りに90度の画面回転機能(ピボット)に対応。

 また、100×100mmのVESAマウントに対応しており、モニターアームなどに取り付けて使用することも可能だ。

EX271Qのディスプレイスタンド。上下角度、左右角度、画面回転、高さの調整機能を備えている
本体はVESA100に対応しており、モニターアームを取り付けることも可能。本体のみの重量は約5.3kg
高さ調整機能により、ディスプレイの高さを0~100mmの範囲で調整できる。
上下角度調整機能(チルト)により、下向きに5度から上向きに15度までの範囲で上下角度を調整できる。
左右角度調整機能(スイベル)により、左右最大15度までの範囲で左右角度を調整できる。
画面回転機能(ピボット)により、正面から見て時計回りに最大90度まで画面を回転させることができる。

最大4系統の入力に対応、KVMスイッチ機能で2台のPCでUSB機器などを切り替えて使用可能

 背面側に搭載されている映像関連の接続端子は、HDMI 2.0入力×2基、DisplayPort 1.4入力×1基、USB Type-C(DP Alt Mode/5Gbps/PD 65W給電対応)×1基を備える。PC接続用(アップストリーム用)のUSB Type-C(5Gbps)と電源端子も背面側に備えている。

 本体底面には2基のUSB Type-A(5Gbps)のほか、ヘッドフォンジャック、電源スイッチ、OSD操作用の5wayコントローラが配置されている。

背面のインターフェイス。
映像入力用のDisplayPort 1.4、USB Type-C、HDMI 2.0(2基)のほか、PC接続用のUSB Type-Cと電源入力端子が配置されている。
底面のインターフェイス。
5Gbps対応のUSB Type-A(2基)、ヘッドフォンジャックのほか、OSD操作用の5wayコントローラと電源スイッチが配置されている。

 EX271QはKVMスイッチ機能を備えており、USB Type-Aに接続したUSB機器は背面のUSB Type-Cポートに接続したPC間で共有できる。KVMスイッチ機能を備えるゲーミングモニターは複数存在するが、中にはUSB 2.0(480Mbps)までの速度しか利用できない製品もあり、5Gbpsの速度をサポートしていることにメリットを感じるユーザーもいるだろう。

KVMスイッチ機能を備えている、USB機器の速度は5Gbpsまでサポート。
2台のPCで接続機器を共有できるので、あると便利な機能だ。

 付属品としては、HDMIケーブル、USB Type-C to Cケーブル、USB Type-A to Cケーブル、電源ケーブルが各1本ずつ同梱されているほか、OSDの操作が可能なリモコンが同梱されている。後述するが、表示設定の調整に面白さがあるEX271Qにおいて、本体の5wayコントローラと同等の操作が可能なリモコンは非常に便利な存在で、実際に使ってみる中であってよかったと強く感じさせられたアイテムだ。

付属のケーブル類。HDMI、USB Type-C to C、USB Type-A to C、そして電源ケーブルが同梱されている。
OSDの操作が可能なリモコン。これを使うことで、本体の5wayコントローラを操作することなくモニターの設定を調整できる。

DP接続時はWQHD解像度で180Hz/10bitカラー/HDR/FreeSync/G-Syncが利用可能HDMI接続のゲーム機ではWQHD/120Hz/HDR表示が利用可能

 EX271Qが備える映像入力端子のうち、最大リフレッシュレートである180Hzに対応しているのはDisplay Port 1.4とUSB Type-C(DP Alt Mode)で、これらのポートはWQHD/1440p表示時に10bitカラー(10bpc)による10.7億色表示が可能なほか、動的リフレッシュレート技術のFreeSync Premium(G-Sync Compatible機能)も利用できる。

 なお、HDMI接続時は最大リフレッシュレートが144Hzに制限されるほか、FreeSync Premiumや10bitカラーも利用できないので、PCでEX271Qを使用する場合はDisplayPortまたはUSB Type-C(DP Alt Mode)で接続するのがおすすめだ。

本機の性能を最大限引き出すなら、Display Port 1.4かUSB Type-C(DP Alt Mode)で接続するのがおすすめ。
DisplayPortまたはUSB Type-Cで接続することで、最大リフレッシュレートの180Hz駆動を実現可能。また、10bitカラー(10bpc)に対応しているので、10.7億色表示も可能となる。
DisplayPortとUSB Type-CはFreeSync Premiumに対応している。NVIDIAのGPUでもG-Sync Compatible機能により動的リフレッシュレートを利用可能だ。
FPSカウンター機能を搭載。
現在のフレームレートがリアルタイムで確認できる。

 一方、ゲーム機のPS5と接続した場合、HDMI接続によりWQHD/1440pでの120Hz/HDR表示が可能だ。動的リフレッシュレート技術(VRR)は利用できないが、120Hzのなめらかな表示やHDRの美しい映像でゲームを楽しめる。

 また、EX271QのHDMI入力には「4K対応」という機能が用意されている。OSD上でこれを有効にすると、4K/2160pでの映像入力に対応するいわゆるダウンコンバート表示が可能になる。最終的な表示はWQHD/1440pなので、PS5ではあえて使用することもないだろうが、PS4のような1440pでの出力をサポートしてない機器では活用できる機能だ。なお、BenQによるとXboxでHDRコンテンツを表示する場合はこの機能を有効にする必要があるとされている。

ゲーム機のPS5とはHDMIポートで接続することになる。
PS5の1440p出力のテスト結果、EX271Qは1440p時に60Hz SDR/HDRと120Hz SDR/HDRへ対応していることがわかる。
PS5上から確認できるEX271Qの機器情報。
OSDから4K対応を有効化するとHDMI経由で4K/2160p映像の入力が可能となる。
EX271Q側で「4K対応」を有効にすると、PS5側でも4K/2160pでの映像出力が選択可能となる。

BenQ独自技術「HDRi」と「Shadow Phage」でHDRコンテンツを最適化

 EX271Qは、HDRと自動輝度調整機能「ブライトネスインテリジェンスプラス(B.I.+)」を組み合わせた独自技術「HDRi」に加え、独自のPixSoulエンジンによるAI自動調整機能「Shadow Phage」を搭載。これらのシナジーによってHDRコンテンツの表示を最適化することが可能となっている。

入力映像がHDRコンテンツの時、OSDメニューのカラーモードに「HDRi」対応カラーモードが出現。各モードのオプションに「B.I.+」と「Shadow Phage」が用意されている。

 EX271Qの入力映像がHDRコンテンツである場合、OSD上のカラーモードに「ファンタジー HDRi」や「シネマ HDRi」などが出現する。これらはシチュエーションに応じて色域やコントラストをチューニングしたHDRコンテンツ向けのカラーモードで、各モードのオプションで「B.I.+」と「Shadow Phage」の有効/無効を切り替えることができる。

 今回は、世界的な大ヒットとなったフロムソフトウェアのアクションRPG「エルデンリング」のPS5版を使い、画質調整機能のテストを行った。

世界的大ヒット作のアクションRPG「エルデンリング」を使って機能のテストを行った。

 自動輝度調整機能である「B.I.+」は、モニターの正面に配置されている輝度センサーによって周囲の明るさや色温度を検知し、画面設定を最適化する機能だ。これを有効にすると、室内灯のオン/オフや外光の影響で部屋の環境が変化した場合でも理想的な表示品質を維持することができる。

 実際に、B.I.+を有効にした状態で室内の照明環境を大きく変えると、輝度の設定が自動的に変更されていることを確認できる。この機能を有効にすることでHDRiは本来の機能を発揮するわけだが、自動的な変更を望まないユーザー向けにB.I.+のみを無効にすることもできる。

B.I.+を有効にした状態で部屋を明るくした場合。輝度は100%に設定されている。
B.I.+を有効にしたまま部屋の照明を暗くすると、輝度は周辺環境とカラーモードに応じて自動調整される。

 もうひとつの独自技術である「Shadow Phage」は、MOBIUZシリーズの上位機種にも搭載されているPixSoulエンジンが備える機能のひとつである「AI自動コントラスト調整機能」だ。EX271Qの内蔵チップで画面に表示している映像を検知し、リアルタイムでコントラストを最適化する。

 この自動的なコントラスト調整にはBenQが構築したデータベースが利用されており、HDRiのみを利用していた従来モデルよりも更に高精度な表示の最適化が可能となっている。

Shadow Phage無効時。
Shadow Phage有効時。無効時に比べ陰影が強調され、暗所の視認性が高まった印象だ。

 HDRコンテンツの表示を最適化するHDRiとAI自動コントラスト調整機能であるShadow Phageは、PCとゲーム機の両方で利用できる。各カラーモードで機能を利用した画像が以下のものだ。

 各カラーモードの色味や表現にはそれぞれ特色があり、ユーザーが好みのものを選択して利用するとよいだろう。いずれもShadow Phageを有効にすることでコントラストが改善し、細部のディティールがよりはっきり視認できるようになる。なお、Shadow Phageも個別にオンオフが可能な機能なので、FPSのような視認性が重要なゲームでは場合はオン、やわらかい描画の方が雰囲気の出るゲームではオフといった運用ができる。

カラーモード「Sci-Fi HDRi」
Sci-Fi HDRi│Shadow Phage「オフ」
Sci-Fi HDRi│Shadow Phage「オン」
カラーモード「リアル HDRi」
リアル HDRi│Shadow Phage「オフ」
リアル HDRi│Shadow Phage「オン」
カラーモード「ファンタジー HDRi」
ファンタジー HDRi│Shadow Phage「オフ」
ファンタジー HDRi│Shadow Phage「オン」
カラーモード「シネマ HDRi」
シネマ HDRi│Shadow Phage「オフ」
シネマ HDRi│Shadow Phage「オン」

手動でさらに画質を追い込むための「Light Tuner」と「Color Vibrance」

 標準のHDRiカラーモードはBenQがシチュエーションに応じて最適化したものだが、ユーザーの好みやプレイしているタイトルによっては、若干明暗の度合いを変えたい、もう少し鮮やかな色調にしたいといったケースはあるだろう。

 そんな時に便利なのが「Light Tuner」と「Color Vibrance」だ。

 今回試した4つのHDRiカラーモードでは、Light Tunerによって-10~10までの20段階で画面の明暗を調整できるほか、Color Vibranceで色の鮮やかさを0~20までの20段階で調整することができる。

 どちらの機能も単に輝度や彩度を調整するというものではなく、表示する画面の絵作り自体を調整するといった印象の機能で、輝度や彩度、RGBのバランスなどとは別の項目として独立している。そのため、やろうと思えばLight TunerとColor Vibranceを調整したうえで、さらに輝度などの項目をカスタマイズすることも可能だ。

 コンテンツが持つ情報をできるだけ正確に表示するというのもモニターとして正しいあり方だが、MOBIUZシリーズに属するEX271Qは、ゲームの色や視認性をカスタマイズして楽しむための機能が充実している。ゲームごとに自分好みのカラーモードを作り込むといった具合に、画質のチューニングにこそユニークな面白みのあるゲーミングモニターなのである。

Light Tunerの調整比較
シネマHDRiカラーモードのLight Tuner -3設定時。
Light Tunerを-10に設定。
Light Tunerを+5に設定。
Color Vibranceの調整比較
シネマHDRiカラーモードのColor Vibrance 10設定時。
Color Vibranceを17に変更。
Color Vibranceを5に設定。

クリエイター用途や規格通りの発色を利用したい場合のモードも用意

 画質のチューニングが面白いEX271Qだが、表示色の正確性を優先したカラーモードも用意されている。

 SDRコンテンツであればDisplay P3とsRGBの2つ、HDRコンテンツであればDisplay HDRがカラーモードに用意されており、クリエイター用途やコンテンツ本来の画質に近づけたい場合にはこれらを選択すると良いだろう。なお、これらのモードでは色の正確性が優先されるため、Shadow PhageやLight Tuner、Color Vibranceといったような調整機能は利用できない。変更可能な項目も最小となっている。

Display P3モードで設定可能な項目。
sRGBモードで設定可能な項目。
こちらはSci-Fi HDRi設定時の項目で、HDRi系のモードと比べるとDisplay P3やsRGBのモードは選択可能な項目が絞られていることがわかる。
HDRが有効な環境ではDisplay P3やsRGBのモードは選択できなくなる。HDR有効時のクリエイター向けのカラーモードはDisplay HDRが用意されている。

あってよかったリモコン!設定できる範囲が広い製品ではかなり便利

 描画画質のカスタマイズ性が高いEX271Qで自分好みの設定を探そうとすれば、様々なカラーモードや詳細設定のチューニングを試すことになる。この時、非常に便利なのが付属のリモコンだ。

本体正面にはリモコンの受信部と輝度センサーが配置されている。

 このリモコンは本体底部に付属のOSD操作用5wayコントローラと同等の操作を遠隔で可能にするもの。5wayコントローラは画面に近づいて操作する必要があるが、リモコンを使えば離れた位置から画面全体の画質変化を確認しながらのチューニングが可能であり、自分好みの画質を作り込む作業が圧倒的に捗る。

OSDメニューからもわかる通り、EX271Qは設定項目が多いモデル。
OSD操作用5wayコントローラからも設定変更が可能だが、自分好みの画質を作りこむ際などは圧倒的にリモコンでの操作が楽だ。

 PC接続時であれば後述する「Color Shuttle」を利用するという手もあるのだが、それが使えないゲーム機などではこのリモコンがあるからこそEX271Qのカスタマイズ機能を楽しく利用できると言っても過言ではない。それだけの利便性を今回のレビューにおける検証で痛感した次第だ。

プロの作成したカラー設定を利用できる便利なユーティリティ「Color Shuttle」

 EX271Qは、MOBIUZシリーズ向けに開発されたソフトウェア「Color Shuttle」に対応している。

 Color Shuttleでは、対応するゲーミングモニターのカラーモードやその詳細設定の編集が可能なほか、プレイ中のゲームをAIによって分析することで最適なカラー設定を作成することができる。

 また、BenQとその認定ゲームエキスパートがゲームタイトル毎に作成したカラー設定をダウンロードして適用することや、自分が作成したカラー設定をクラウドにアップロードして別のMOBIUZ製品と共有する機能も備えている。

EX271Qで利用できるユーティリティ「Color Shuttle」。
対応するゲーミングモニターのカラーモードの変更や、詳細設定の編集が可能。
実行中のゲームをAIによって分析して最適なカラー設定を作成する機能も備えている。
BenQとその認定ゲームエキスパートが作成したカラー設定をダウンロードして導入できる。

 Color Shuttleの利用にはPCが必要だが、Color Shuttleで適用したカラー設定はEX271Q側に保存されるため、PS5などのゲーム機で利用することも可能だ。画質調整に詳しくないユーザーでもゲームエキスパートがチューニングした設定を簡単に利用できるのはユニークで面白い。

 実際にColor Shuttleで導入したエルデンリング向けカラー設定を適用した様子を紹介する。ゲームエキスパートによるカラー設定は正確性を重視したものではなく、エルデンリングの場合は作中の雰囲気を強調するものとなっている。忠実な色再現で遊びつくしたゲームでも、独自のカラー設定でプレイすれば一味違った体験が得られるだろう。

「Display HDR」選択時の標準的なカラー設定。
Color Shuttleから導入できるエルデンリング向けにカスタムされた「BenQカラーエキスパート(HDR)」を適応した画面。

 また、EX271QにはPCからファームウェアをアップデートできる機能が搭載されており、将来的に機能の改善が行われた際にもユーザー側で対応できる。長い付き合いになることも多いゲーミングモニターだけに、機能改善や不具合解消に役立つ機能が備わっていることは心強い。

新しいファームウェアが公開された際はユーティリティからファームウェアの更新が行える。
表示されるダイアログに合わせボタンをクリックするだけなのでわかりやすい。
プログレスバーでファームウェアの更新状況が表示される。
今回ファームウェアをV1からV2に更新したが、特に迷うこともなく簡単に更新できた。

音質にもこだわり、ESS SABRE DAC搭載で好みのヘッドフォン/スピーカーを活かした運用が可能

 ゲームへの没入感を重視するMOBIUZシリーズのEX271Qは、映像品質だけでなく音質にもこだわっており、ESS社のSABRE DACを内蔵している。これにより、ヘッドフォンジャックの出力に対して3つのオーディオモード(サラウンド、シネマ、標準)が設定できるほか、ゲインや音量などの調整も可能だ。

ヘッドフォン出力用にESS社のSABRE DACを内蔵している。
ヘッドフォンジャックは本体底面側に搭載されている。

 このヘッドフォンジャックからは、HDMIやDisplayPort経由での音声出力に対応しているゲーム機やPCの音声を出力可能なので、複数の機器をモニターに接続している状況において、スピーカーやヘッドフォンを機器ごとに差し替えることなく利用できる。そのうえで、高品質なサウンドが得られるのだから複数の機器を利用するユーザーほどメリットは大きい。

 配信者向けのマイクを使用しているユーザーであれば、ヘッドフォンはマイクとは別系統でPCに接続することになる。こうした場合にも、ゲーミングモニターに音質の良いヘッドフォン出力が用意されていることの利便性を感じられるだろう。

OSD上でオーディオモードやゲインなどの設定が行える。
単体のUSB接続マイクなどを利用している環境であれば、手軽に好みのヘッドフォンを組み合わせられるのはメリットになるのではないだろうか。

ヨドバシカメラで実機を展示、購入前に店頭でゲーミングモニターの画質をチェック

 カラーモードやそのカスタイズ性に特徴があるEX271Qは特にそうだが、ゲーミングモニターの映像品質は実物を見てみないとわからない部分も多い。BenQはヨドバシカメラのマルチメディアAkibaとマルチメディア梅田に製品の展示エリア「BenQ ゲーミングコーナー」を設けており、MOBIUZブランドやZOWIEブランドのゲーミングモニターの展示を行っている。

 各ブランドのモデルはもちろん、BenQの照明器具やドッキングステーションなども展示されているので、実機を確認したいユーザーは是非店頭へは足を運んでもらいたい。

ヨドバシカメラ マルチメディアAkibaの「BenQ ゲーミングコーナー」。
2024年8月よりヨドバシカメラ マルチメディアAkiba/マルチメディア梅田で展示デモを行っている。

画質を変えて自分好みの表示にカスタマイズして使うのが楽しいゲーミングモニターMOBIUZシリーズの表示品質へのこだわりが感じられる一台

 180Hz/WQHD対応ゲーミングモニターのEX271Qは、数値的なスペックだけで見ればミドルレンジクラスの製品だが、実際に試してみると想像以上に表示品質を調整できるカスタマイズ性の高さが印象的だった。

 カスタマイズ性の高い製品は設定できる項目が多い反面、知識が無いと使いこなすのが難しくなりがち。しかし、EX271QはユーティリティのColor Shuttleでそうした難点をカバーしており、知識が無くてもエキスパートが作成したカラー設定を簡単に導入することで、ゲームごとに最適化された表示品質を手軽に味わえる。ヘビーユーザーでもライトユーザーでも画質のチューニングが楽しめるのが本機の特徴だ。

 ゲーミングモニターとしての基本的な性能と機能はしっかり押さえつつ、忠実な色再現以外にもゲームの楽しみ方があることを提示するEX271Qは、ゲーム体験をよりよいものにしたいユーザーに好適な一台だ。