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250Hz/0.5msの超高速仕様&PS5対応で3万円の良コスパ! MSIのフルHD 24型ゲーミングモニター「MAG 255XFV」

これからFPS/TPSでガッツリがんばりたい人にオススメ text by 芹澤 正芳

 高リフレッシュレートの液晶モニターでの驚くほどの滑らかな描画は、家庭用ゲーム機では実現できないPCゲームの強みであり、醍醐味だ。視認性の向上によってFPS/TPSがよりプレイしやすくなるのはもちろん、レースやアクション、RPGでも没入感を高めてくれる。その環境を手頃な価格で手に入れられるのが、MSIのゲーミングモニター「MAG 255XFV」だ。

24.5型フルHDのゲーミングモニター「MAG 255XFV」。実売価格は3万円前後

RAPID VAパネルによる高速仕様に注目

 MAG 255XFVは24.5型でフルHD(1,920×1,080ドット)解像度のゲーミングモニターだ。最大の特徴は、250Hzの高リフレッシュレートで、従来のVAパネルに比べて駆動速度を4倍に高めたという「RAPID VAパネル」を採用することで0.5ms(GTG)の高速応答を実現し、残像感の少ない滑らかな描画を楽しめること。sRGBカバーは90%、DCI-P3カバー率は79%と色域は特別広くないが、VAパネルはIPSやTNパネルの液晶が苦手な黒の表現力に優れているのが強みで、コントラストは3,000:1と高い。

0.5msの高速応答を実現したRAPID VAパネルを採用。sRGBカバーは90%。視野角は上下左右とも178°と広い

 この高速仕様で3万円前後という価格はかなりの良コスパ。200Hz以上のリフレッシュレートで低価格のモニターは存在するが、0.5msの応答速度を実現しているのは少ないためだ。また、明暗の効いた映像が楽しめるHDRもサポート。最大輝度が250cd/m2なので、400cd/m2以上が必要なDisplayHDR認証は取得していないが、HDRコンテンツが楽しめるのはうれしいところ。HDRを有効にするとVAパネルの引き締まった黒がより際立つのがポイントだ。

DisplayPort接続時のリフレッシュレートは最大250Hz。HDMI接続時は最大240Hzになる
250Hz駆動にはOSDメニューで「DPオーバークロック」の有効化が必要だが、デフォルトで有効なのでユーザーは特に意識する必要はない
HDRもサポート。DisplayHDR認証は未取得だが、HDR対応のゲームや映像ではより明暗の効いた表示を楽しめる
60倍の顕微鏡で撮影。画素の並びはVAパネルでよく使われているストライプRGB配列だ

 映像入力はDisplayPort 1.4×1、HDMI 2.0b×2と3系統が用意されており、PCとPS5など複数のデバイスを同時に接続しやすい。スピーカーは非搭載だが、ヘッドホン端子は用意されているので音声の出力は可能だ。なお、付属のケーブルはDisplayPort用だけなので、HDMI接続を利用したい人は別途用意しよう。電源はACアダプタはなく内蔵型。ケーブルの取り回しがしやすいのはうれしいところだ。

DisplayPort 1.4×1、HDMI 2.0b×2と映像入力は3系統備えている
PS5の120Hz駆動もサポート。ただ、可変リフレッシュレート(VRR)には非対応だった

VRR、映像補正、残像感軽減などの機能はしっかり搭載

 ここからは、ゲーミングモニターならではの機能を見ていこう。PC側とディスプレイ側の描画タイミングを合わせて、画面ズレのテアリングやカク付きのスタッタリングを防ぐ可変リフレッシュレート(VRR)はAdaptive-Syncに対応している。基本的にAdaptive-Sync、AMDのFreeSync、NVIDIAのG-SYNC Compatibleは同じ技術だ。筆者がGeForce RTX 4060 Tiで試す限り、G-Syncを問題なく有効にできた。

 液晶特有の残像感(モーションブラー)を軽減する「MPRT」ももちろん搭載。アンチモーションブラーとも呼ばれるもので、フレームとフレームの間に、本機の場合は赤色のフレームを挿入することで残像感を軽減する。目に見えない速度で挿入されるので気になることはないが、輝度は若干さがる。素早い動きでの視認性を向上させる機能だが、VRR(Adaptive-Sync)とは排他仕様だ。どちらを使うかは、プレイするゲームや好みで選ぶのがよいだろう。

GeForce RTX 4060 TiでNVIDIAのVRR技術「G-SYNC」を有効にできることを確認した
画面の残像感を軽減するMPRTだがVRRとは排他仕様だ。両用試して好みのものを使うのがよいだろう

 ゲームプレイを助ける映像補正関連の機能としては、まずは暗部を明るくする「ナイトビジョン」が挙げられる。通常/強い/最も強い/A.I.の4パターンを用意。A.I.はシーンに合わせて明るさを自動調整する。暗い場所の視認性が向上するので、状況判断が重要となるFPSやTPSで特に有効な機能だ。

暗部を見やすくする「ナイトビジョン」。暗い場所を見やすくでき、OSDで設定できる。効果の調整は4パターン

 さらに、この機能を一歩進めた補正機能として、シーンに合わせて明るさ、コントラスト、彩度を自動的に最適化する「AIビジョン」も備える。暗部を見やすくした上で、明暗も強調され、より迫力ある映像を楽しめるのが特徴。アクションやオープンワールドゲームと相性がよさそうだ。なお、ナイトビジョンとは排他仕様になっている。

シーンに合わせ明るさやコントラストなどを自動最適化してくれる「AIビジョン」のモデル画像。アクションRPGなど、美麗映像も楽しみたいタイトル向き

 ゲームジャンルにマッチした表示設定にする「ゲームモード」も用意。「FPS」、「レーシング」、「RTS」、「RPG」と4つのプリセットがあり、例えばFPSを選ぶとナイトビジョンが自動的にA.I.に設定され、暗部やオブジェクトの輪郭が見やすくなる、エッジが効いた表示になる。レーシングならコントラストを効かせた迫力を感じやすい表示になるといった具合だ。もちろん、手動で色合いやコントラストなどを細かく調整もできる。

OSDメニューのゲームモードにはFPSなどジャンル別に4種類のプリセットを用意

 このほか、画面中央に照準を表示させてFPSやTPSのAIM(照準を合わせること)を手助けする「ゲームアシスタンス」、目の疲労を抑えるアンチフリッカー、ブルーライトカットといった機能も備えている。

設置しやすいサイズと軽さでVESAにも対応

 24.5型ということもあり、サイズはスタンド込みで幅558mm、奥行き221mm、高さ419mm、重量は約3.24kgとかなりコンパクトで軽い。手軽に設置できるのも特徴だ。画面のサイズは大きくないが、状況把握が重要になるFPS/TPSにおいては視界に画面全体が入ることがメリットになる。e-sportsの大会で24型クラスの液晶がよく使われているのがそれを裏付けている。

本体背面。LEDは備えておらず、シンプルなデザイン。
OSDの操作は、モニター正面から見て右手裏側下部にあるジョイスティックコントローラーで行う

 なお、スタンドの機能は下に5°、上に20°のチルトのみと最小限だ。高さ調整やスイベル、ピボットといった機能は備わってない。このほか、背面にはディスプレイアームを取り付けるためのVESA100規格(100×100mm)のネジ穴が用意されている。

スタンド機能は下5°、上20°のチルトを搭載
スタンド後側の下部にはケーブルをまとめるホルダーを装着できる
背面にはVESA100規格のネジ穴も備わっている

250Hzの素晴らしき滑らかな描画が身近になる

 リフレッシュレート250Hz、応答速度0.5msの高速仕様がもたらしてくれる滑らかな描画はやはり格別。たとえばFPSであれば、振り向きのような画面が高速に動くシーンの最中でもわずかな動きもを捉えやすく、プレイのしやすさは格段に向上するだろう。フルHD解像度なら、ミドルレンジGPUでも画質を調整すれば、250Hzを活かせる250fps超のフレームレートを出しやすいのもポイントだ。

 VRR、HDR、映像自動補正、PS5の120Hz駆動など、ゲーミングモニターとして重要な機能も一通り備えつつ、3万円前後と価格も手頃。ワンランク上のPCゲーム環境を体験してみたいなら、導入してみる価値のある1台だ。