トピック
想像以上に冷える大型3連ファンクーラーの「MSI GeForce RTX 5070 Ti 16G GAMING TRIO OC PLUS」
前世代GeForce RTX 4070 Tiとの比較から見えるワンランク上の性能 text by 坂本はじめ
- 提供:
- MSI
2025年2月20日 23:00
NVIDIAの新世代準ハイエンドGPU「GeForce RTX 5070 Ti」を搭載するMSIのビデオカード「GeForce RTX 5070 Ti 16G GAMING TRIO OC PLUS」。16GBのVRAMを備え、ゲームはもちろんクリエイティブやAI演算でのパフォーマンスも期待される注目の準ハイエンドGPUだ。
新世代のビデオカードが期待通りの性能を持ったモデルなのか、前世代の準ハイエンドGPU「GeForce RTX 4070 Ti」との比較を通して確認してみよう。
大型3連ファンGPUクーラー「TRI FROZR 4」を搭載したハイスペックモデル
本機に搭載されているGeForce RTX 5070 Tiは、Blackwellアーキテクチャを採用するNVIDIA GeForce RTX 50シリーズの上位GPU。VRAMには転送レート28GbpsのGDDR7メモリを16GB搭載する。
MSIの伝統的な設計を継承するGAMING TRIOシリーズの本機は、3基の冷却ファンを搭載したオリジナルGPUクーラー「TRI FROZR 4」を搭載。2.5スロット厚分のスペースに詰め込まれた冷却機構は、高い静粛性を維持しながらもGPUの性能をしっかり引き出せるようデザインされている。
カードサイズは338×140×50mmで、接続バスインターフェイスはPCIe 5.0 x16。動作に必要な補助電源は16ピンコネクタ×1基で、ブラケット部には映像出力端子としてDisplayPort 2.1b(3基)とHDMI 2.1b(1基)を搭載している。
付属品としてPCIe 8ピン×3基を450W対応の16ピンに変換するアダプタと、カード重量を支えて変形を抑制するサポートスタンドが同梱されている。
電源変換アダプタのコネクタ先端部は黄色いパーツが使われている。これは挿し込み不足による取り付け不良を可視化するためのもので、このコネクタを奥までしっかり差し込むと黄色い部分が見えなくなる。
製品名に「OC」の文字が含まれていることからも分かるように、GeForce RTX 5070 Tiのブーストクロックを標準の2,452MHzから2,572MHzに引き上げたオーバークロック仕様となっている。
カード中央の電源コネクタ近くに、2つのBIOSを切り替えるDual BIOSスイッチが実装されており、性能重視のGaming Modeと静粛性重視のSilent Modeを任意で選択できる。なお、GeForce RTX 5070 Ti 16G GAMING TRIO OC PLUSの両BIOSモードの間で最大動作クロックや電力リミットの設定に違いはない。詳しくは後述のテストで確認するが、冷却ファンの制御設定が主な違いとなっているようだ。
また、動作クロックはユーティリティソフト「MSI Center」のユーザーシナリオ機能で「エクストリーム」を選択することで、ブーストクロックは2,580MHzにまで上昇する。
従来モデル「GeForce RTX 4070 Ti」との性能差は如何ほど?MSI GeForce RTX 5070 Ti 16G GAMING TRIO OC PLUSの性能をチェック
ここからは、MSI GeForce RTX 5070 Ti 16G GAMING TRIO OC PLUSの性能を従来モデルであるGeForce RTX 4070 Tiとの比較を通して確認していく。
テスト環境は以下の通りで、MSI GeForce RTX 5070 Ti 16G GAMING TRIO OC PLUSについてはGaming ModeとSilent Modeの両方でパフォーマンスを計測する。

モンスターハンターワイルズ ベンチマーク
モンスターハンターワイルズ ベンチマークでは、4K/2160p解像度(3,840×2,160ドット)でグラフィックプリセット「ウルトラ」を選択したうえで、超解像を「DLSS」、フレーム生成を「オン」、レイトレーシング「高」に設定してテストを実行した。

MSI GeForce RTX 5070 Ti 16G GAMING TRIO OC PLUSが記録した平均フレームレートは102.23~102.32fpsで、73.41fpsだったGeForce RTX 4070 Tiより約39%も高い数値を記録した。なお、動作クロックや電力リミット(300W)に違いがないこともあり、MSI GeForce RTX 5070 Ti 16G GAMING TRIO OC PLUSのGaming ModeとSilent Modeの差は誤差レベルとなっている。
ちなみに、この結果で獲得したベンチマーク評価は、MSI GeForce RTX 5070 Ti 16G GAMING TRIO OC PLUSが6段階評価の上から2番目である「快適にプレイできます」で、GeForce RTX 4070 Tiは6段階評価の上から3番目の「問題なくプレイできます」だった。
サイバーパンク2077
サイバーパンク2077では、4K/2160p解像度でグラフィックプリセット「レイトレーシング:オーバードライブ」を選択した高負荷設定をベースに、DLSS 4とGeForce RTX 50シリーズでサポートされた新機能であるマルチフレーム生成をテストした。

ベンチマークモードを実行した結果、MSI GeForce RTX 5070 Ti 16G GAMING TRIO OC PLUSはフレーム生成「オフ」で51.26~51.30fps、フレーム生成「2X」で90.27~90.28fpsという平均フレームレートを記録。これらは、GeForce RTX 4070 Tiの結果をそれぞれ約17%と約6%上回るものだった。
DLSS 4のマルチフレーム生成を利用した場合のMSI GeForce RTX 5070 Ti 16G GAMING TRIO OC PLUSは、フレーム生成「3X」で128.00~128.53fps、フレーム生成「4X」で160.51~161.75fpsを記録しており、フレーム生成「オフ」と比べると平均フレームレートは3Xで約2.5倍、4Xでは約3.1倍に達している。
Blender Benchmark
3DCGソフト「Blender」の公式ベンチマークソフト「Blender Benchmark」では、3つのシーンをレンダリングしてその速度(Sample per minutes)を比較する。テストに使用したBlenderのバージョンは4.3.0。

MSI GeForce RTX 5070 Ti 16G GAMING TRIO OC PLUSのレンダリング速度は、GeForce RTX 4070 Tiをmonsterで約13%、junkshopでは約30%、classroomでも約15%上回っており、ゲーム以外の用途でも従来モデルを明確に上回るパフォーマンスを発揮している。
Adobe Camera Raw「AIノイズ除去」
Adobe PhotoshopのプラグインであるAdobe Camera Rawを使用して、2,400万画素のRAW画像×100枚にAIノイズ除去を実行した際の処理時間を計測した。

MSI GeForce RTX 5070 Ti 16G GAMING TRIO OC PLUSは動作モードを問わず5分50秒程度で処理を完了した。画像1枚あたりの処理時間は約3.5秒で、これはGeForce RTX 4070 Tiの約4.8秒より約39%も速く処理を実行できたことになる。
300W級の発熱もハイブリッド冷却システムで完璧に冷却GPU温度を60℃台に抑え込む優秀な性能
ゲームとクリエイティブの両面で従来モデルを大きく上回るパフォーマンスを示して見せたMSI GeForce RTX 5070 Ti 16G GAMING TRIO OC PLUS。
その優秀な性能を長時間持続可能なのか確かめるべく、サイバーパンク2077のフレーム生成「4X」設定で約30分間ゲームを実行し続けた際のモニタリングデータを分析してみよう。
Gaming Modeでの実行結果が上のグラフで、これによるとビデオカード本体は平均288.1W(最大291.4W)の電力を消費。動作クロックは、GPUコアが平均2,791MHz(最大2,805MHz)、VRAMが平均2,334MHz(最大2,334MHz)で、一貫して高いクロックで動作している。
この時のファンスピードは平均1,294rpm(最大1,318rpm)と低めの回転数だが、GPUは平均61.8℃(最大65.3℃)、VRAMは平均62.0℃(最大64.0℃)とかなり低い温度に抑え込んでいる。300W近い発熱(=消費電力)が生じているにも関わらず、緩いファンスピードで低温動作を実現している様子からは、GPUクーラーである「TRI FROZR 4」の優れた性能が伺える。
ベンチマークではGaming Modeと同程度の性能を発揮していたSilent Modeでは、ビデオカード本体が平均286.9W(最大290.8W)の電力を消費していた。動作クロックは、GPUコアが平均2,790MHz(最大2,805MHz)、VRAMが平均2,334MHz(最大2,334MHz)で動作している。Gaming Modeとそん色ないクロックで動作しており、同等の性能を発揮するのも納得のデータだ。
Silent Modeではファンスピードが平均1,203rpm(最大1,221rpm)とGaming Modeより若干低速に抑えられており、温度上昇に伴うファン回転数の上昇がGaming Modeよりやや緩やかになっている様子が見て取れる。
その結果、GPUは平均63.0℃(最大66.3℃)、VRAMは平均63.7℃(最大64.0℃)とGaming Modeより若干高い温度となっている。とはいえ、実際の性能に悪影響がでるほどの温度差ではなく、TRI FROZR 4がSilent Modeでも十二分に高い冷却性能を発揮することが分かる。
高性能GPUクーラーで静粛性と高性能を両立するGeForce RTX 5070 Ti搭載カード
MSI GeForce RTX 5070 Ti 16G GAMING TRIO OC PLUSは、オリジナル設計のトリプルファンGPUクーラー「TRI FROZR 4」の優れた冷却性能によって、GeForce RTX 5070 Tiの優れた性能を引き出しながらも高い静粛性を実現したビデオカードだ。
注意すべき点があるとすればPCケースの収容能力で、長さ338mm/2.5スロット厚のMSI GeForce RTX 5070 Ti 16G GAMING TRIO OC PLUSが搭載可能なスペースがあるのか確認した方がよいだろう。ケースを選ばず使える大きさではないので、購入前にPCケース側のクリアランスは必ず確認するようにしよう。
最上位GPUほどではないとはいえ、GeForce RTX 5070 Tiも十分に高価な製品。せっかくこのクラスのGPUを購入するのであれば、MSI GeForce RTX 5070 Ti 16G GAMING TRIO OC PLUSのように、性能と静粛性を高いレベルで両立した上質なビデオカードを選びたいところである。