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2.5倍寿命のコンデンサに2倍寿命のファン、「ASUS TUF Gaming」が高耐久ビデオカードな理由
最新世代は冷却材やコーティングも改良 text by 久保 勇
- 提供:
- ASUS
2025年3月31日 00:00
もともとは高耐久シリーズとして登場したTUFですが、現在ではスタンダードなポジションの製品を求めるユーザーや、中間の性能や機能をもとめるユーザーに適したモデルが投入されていますが、ビデオカードに関しては現在も高耐久モデルの特徴を多く維持し続けているシリーズになっています。
近年ビデオカードは性能が上がる半面、大規模化/大消費電力化しており、発熱による劣化や高付加状態での安全性も重視されるようになっているので、なるべく安全で高耐久なモデルを購入したいユーザーも増えています。そうしたユーザーへ、TUFシリーズの耐久性へのこだわりを紹介し、購入時の有力な選択肢にしてもらうことを目的にした内容の記事なります。
GeForce RTX 50/40世代のカードでTUF Gamingの特徴を確認
今回ASUS TUF Gamingシリーズの特徴を確認するために用意したモデルは2種類。
GeForce RTX 5070 Tiを搭載した「TUF Gaming GeForce RTX 5070 Ti 16GB GDDR7 OC Edition(型番TUF-RTX5070TI-O16G-GAMING)」(以下、TUF-RTX5070TI-O16G-GAMING)と、GeForce RTX 4070 Ti SUPERを搭載した「TUF Gaming GeForce RTX 4070 Ti SUPER 16GB GDDR6X White OC Edition(型番TUF-RTX4070TIS-O16G-WHITE-GAMING)」(以下、TUF-RTX4070TIS-O16G-WHITE-GAMING)だ。まずは2製品の外観を簡単に紹介しておこう。
ASUS TUF-RTX5070TI-O16G-GAMING
TUF-RTX5070TI-O16G-GAMINGはGeForce RTX 5070 Tiを搭載したオーバークロック仕様のビデオカード。コアクロックはOC mode時2,610MHz、Default mode時2,588MHz(Boost Clock)l、VRAMはGDDR7 16GB。
寿命が長いパーツと壊れにくい設計、TUF Gamingの高耐久ポイント
それでは、TUF Gamingシリーズのどのような部分が高耐久カードとしてのポイントなのか、特徴的な部分を順に見て行こう。
ミリタリーグレードのコンポーネント、最大2.5倍の寿命のコンデンサ搭載
TUF Gamingシリーズの最大の特徴となっているのが、ミリタリーグレードのコンポーネントを採用する点。最新世代のTUF-RTX5070TI-O16G-GAMINGであれば、TUF 5Kブラックメタルコンデンサを採用することで、通常のコンデンサと比べて52%広い温度範囲に対応し、2.5倍の寿命を誇るとされている。
TUF-RTX5070TI-O16G-GAMINGはミリタリーグレードのTUFチョークとMOSFETと採用しており、よりGPUに安定した電力を供給することでシステムの安定性を向上させるという。
1世代前のモデルにあたるTUF-RTX4070TIS-O16G-WHITE-GAMINGも、105℃で20,000時間の耐久性を持つミリタリーグレードのコンデンサが採用されている。こうしたコンデンサはGPU電源レールの高温やリップルに対して優れた耐性を持つとされており、過酷な環境下での使用を想定したグレードのパーツが採用されている。
製造時にダメージが少ない自動製造のAuto-Extreme Technology
ASUSのビデオカード基板は全自動製造の「Auto-Extreme Technology」で造られている。
パーツを実装する際にはんだ付けが行われるが、高温となるため回数が増えれば増えるほど熱によるダメージが実装部品や基板に入ることになる。Auto-Extreme Technologyは全てのはんだ付けを1回で済ませ、製造時の熱歪みなどの影響を最小とする方針がとられており、その分耐久性や寿命の面で有利な状態の製品が出荷可能となっている。また、結果的に製造時の洗浄なども最小で済み、製品全体の信頼性を高めることに寄与しているという。
自動製造の基板は背面を見るとはんだ付けの際の足がないのでわかりやすい。実装パーツも手作業では不可能なレベルで整然と実装されている。
金属製の外装とバックプレートで歪みを軽減、GPUホルダーも付属
ビデオカードの大型化/重量化が進むにつれて、長期間の仕様で基板に歪みが発生し故障したり、接触不良が起きたりといったことも増えてきた。TUF Gamingシリーズではこうした問題に対応するため、クーラーカバーの材質を金属にし、基板の歪みをなるべく防ぐ構造が取り入れられている。TUF-RTX5070TI-O16G-GAMING、TUF-RTX4070TIS-O16G-WHITE-GAMINGともに、基板を金属プレートで補強するようなかたちになっている。
背面側のバックプレートも金属製で、基板保護兼ねたものが搭載されている。また、TUF-RTX5070TI-O16G-GAMING、TUF-RTX4070TIS-O16G-WHITE-GAMINGともに、ビデオカード自体を支えてたわみや接触不良を防止するための小型ホルダーが付属している。シンプルで目立ちにくいデザインということもあり、扱いやすい。
基板の寿命を高めるPCBコーティング
TUF Gamingシリーズのビデオカード基板には、湿気やホコリ、ゴミなどによるダメージやショートを防ぐためのコーティングが施されている。
色などがついているわけではないので見た目ではわからないが、夏場の日本はもちろん、湿度が高い地域で製品を長く動作させるためには重要なポイントになるはずだ。
高耐久ボールベアリングファン採用、ファン回転方向も最適化
TUF Gamingシリーズはクーラー側も高耐久パーツが選定されており、ファンには長寿命なデュアルボールベアリングファンが採用されている。流体軸受けのファンは静音性に優れるとされるが、耐久性や信頼性を優先したパーツ選定となっているのはTUF Gamingシリーズらしさと言えるだろう。
クーラー周りの仕様は、TUF-RTX5070TI-O16G-GAMING、TUF-RTX4070TIS-O16G-WHITE-GAMINGともに同コンセプトで造られている。3連ファンの真ん中に逆回転のファンを搭載し乱流を防ぐ構造になっていたり、GPU温度が50℃を下回るとファンが止まる制御を採用していたりと、同じシリーズだと感じさせられる部分が多い。
ファン回転数や動作クロック、電力なども調整可能モニタリング機能も備えたユーティリティ「GPU Tweak III」
耐久性と直接関係しているわけではないが、ASUS製ビデオカードには、ファン回転数や動作クロック、Power Targetなどの電力チューニングが簡単に行えるユーティリティ「GPU Tweak III」が提供されている。
プロファイルなども登録可能で、カジュアルに使いたい場合は静音/低消費電力設定にしたり、パフォーマンスが必要な際はクロックやファン回転数を上げて性能が落ちにくい設定にしたりといった使い方もできる。ビデオカードを長く使うなら、自分好みの設定にチューニングできる点はポイントになるだろう。
LEDイルミネーションの制御に関しては、ビデオカード以外の製品でも利用されているユーティリティ「Armoury Crate」内の機能「Aura Sync」を利用して設定する仕組みになってる。カラーや発光パターン、他のデバイスとイルミネーションを同期させたりといった機能もAura Syncから利用できる。
TUF GameingのGeForce RTX 5070 Ti/4070 Ti SUPER搭載モデルの性能を確認手持ちのGeForce RTX 3060と比較してみた
TUF Gameingシリーズビデオカードの例として、GeForce RTX 5070 Ti搭載のTUF-RTX5070TI-O16G-GAMINGと、GeForce RTX 4070 Ti SUPER搭載のTUF-RTX4070TIS-O16G-WHITE-GAMINGを使って特徴を紹介しているが、実際の性能も紹介しておこう。
筆者は普段GeForce RTX 3060搭載ビデオカードを使用しているが、今時の上位ビデオカードに乗り換えるとどれくらいパフォーマンスが変わるのか、ゲーム用途とクリエイティブ用途の両方で確認してみた。テストに使用しているベース機材は以下の通り。
ベース機材 | |
---|---|
CPU | AMD Ryzen 7 9800X3D |
マザーボード | ASUS ROG STRIX B850-A GAMING WIFI |
メモリ | CORSAIR DOMINATOR TITANIUM 16GBx4枚(DDR5-3600動作) |
ストレージ | Crucial T500 2TB |
クーラー | CORSAIR iCUE LINK H150i RGB AIO |
電源 | Seasonic FOCUS GX-850 White ATX 3 |
OS | Windows 11 Pro 64bit |
モンスターハンターワイルズ ベンチマーク

モンスターハンターワイルズ ベンチマークはWQHD解像度/グラフィックプリセット ウルトラ/レイトレーシング 高の設定でテストを行った。
世代ごとに順当に性能が上がるといった感じだが、GeForce RTX 40世代ではDLSS 3.5によるフレーム生成機能「Frame Generation」が利用可能で、GeFoece RTX 50世代ではDLSS4によるマルチフレーム生成「Multi Frame Generation」が利用できる点がGeForce RTX 30世代までのカードと大きく異なる。
モンスターハンターワイルズはMulti Frame Generationには現在対応していないので、通常のFrame Generationまでの対応となる。有効時にはTUF-RTX5070TI-O16G-GAMINGとTUF-RTX4070TIS-O16G-WHITE-GAMINGのフレームレートがかなり伸びており、効果の大きさがわかる。
サイバーパンク2077ベンチマーク

サイバーパンク2077はベンチマークモードを使って性能を計測してみた。
サイバーパンク2077はDLSS4のMulti Frame Generationに対応しており、最大で4X設定が利用できる。GPUのランクやアーキテクチャの違いも大きいが、Frame Generation対応の可否がフレームレート差として出る。特にMulti Frame Generation 4xの効果は大きい。
TUF-RTX5070TI-O16G-GAMINGとTUF-RTX4070TIS-O16G-WHITE-GAMINGともにFrame GenerationなしでもWQHD解像度/グラフィックプリセット レイトレーシング:ウルトラ設定で平均100fpsを超えているので十分ではあるが、超高フレームレート表示対応のゲーミングモニターなど所有しているユーザーは有効活用できるので、積極的にGeForce RTX 50世代のカードを選択しても良いかもしれない。
Blenderベンチマーク

クリエイター向けのレンダリング性能は3DCG制作アプリケーションのBlenderのベンチマークを使用して計測した。
Blenderのベンチマークはレンダリング内容が異なる3パターンが計測されるが、GPUの世代が新しく、ランクが上のモデルが順当にポイントが高くなる結果となった。GeForce RTX 3060から乗り換えるのであれば、TUF-RTX5070TI-O16G-GAMING、TUF-RTX4070TIS-O16G-WHITE-GAMINGともに性能向上が感じられるだろう。
Adobe Camera Raw AIノイズ除去

AI性能はAdobe Camera RawのAIノイズ除去機能を使って比較してみた。
3,410万画素のRAWファイルを使ってAIノイズ除去が適応されるまでの時間を比較してみたが、こちらも順当にGPUパワーの差がそのまま時間の差となった。GeForece RTX 3060でも実用的な時間ではあるが、利用頻度が高いのであれば上位GPUを選びたくなる程度の差は出る。
製品サイトなどには特に記載が無いが、少なくともここ数年のTUF Gamingシリーズのビデオカードはブラケット部分にもコーティングが施されているとのこと。
今回のレビューでは結果報告までは時間の都合で行えないが、コーティングの効果がどの程度あるのか、ノンコーティングのブラケットのパーツを取り寄せて実験してみることにした。
コーティングされているブラケットとコーティングされていないブラケット両方に、ハンドクリームを使い指紋汚れをつけ、しばらく経過観察を行うことにしてみた。グリスで汚れた手で気付かないうちにPCパーツを触ってしまうことなどがあるかと思うが、そうした状況を想定してみた。
筆者宅は高温多湿で、埃なども多く、夏場には若干潮風が入ってくるような場所に住んでいる。PCパーツにはこうした環境はやはりよくないようで、過去にビデオカードを錆びさせてしまったことも……。ある意味耐久テストには良い環境でもあるので、経過を見て数か月後に面白いデータが取れれば結果を紹介する予定だ。
高負荷環境でビデオカードを使うなら高耐久モデルをヘビーユーザーにおすすめしたいASUS TUF Gamingシリーズ
ASUSのTUF Gamingシリーズビデオカードは、長時間作業やゲームを行ったり、GPU負荷が高い業務などを行う人におすすめしたいモデルだ。
ミリタリーグレードのコンポーネントを採用し、特にGeForce RTX 50世代のモデルはコンデンサ、チョークコイル、MOSFETがミリタリーグレードのもので、安定性や長寿命がうたわれているほか、耐久性を上げるための設計やカード保護のための機能も取り入れられている。
耐久性にこだわって作られている分コストがかかる面はあるが、PCを酷使するユーザーは購入時にASUS TUF Gamingシリーズのビデオカードを是非選択肢に加えて欲しい。