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500Hzの超高速有機ELかつ最新のパネル劣化防止機能付き、26.5型/WQHDのゲーミングモニター「MSI MPG 271QR QD-OLED X50」
量子ドットで鮮やかなQD-OLED、パネル寿命を最大限伸ばす「AIケア」も搭載 text by 坂本はじめ
- 提供:
- MSI
2025年10月30日 00:05
MSIの「MPG 271QR QD-OLED X50」は、500Hz/0.03ms駆動に対応する26.5型WQHDゲーミングモニター。量子ドット技術を取り入れた有機ELパネル(QD-OLED)の採用により、コントラスト比1,500,000:1、DCI-P3カバー率99%という表現力の高さと、圧倒的な高速駆動を両立した高性能モデルだ。
また、MPG 271QR QD-OLED X50は優れた表示性能に加え、ユーザーの視線を検知して電源管理を行うAI Care センサーをはじめ、QD-OLEDパネルの寿命を無駄遣いしないためのパネル保護機能を多数搭載。長期にわたって表示性能を維持できるよう設計されている。
最上級の表示性能と先進的なOLED保護機能が魅力のMPG 271QR QD-OLED X50。実機でその実力と機能を確認してみよう。
500Hz/0.03ms駆動のQD-OLEDパネルを採用した26.5型WQHDゲーミングモニター
MPG 271QR QD-OLED X50は、26.5型のQD-OLED(量子ドット+有機EL)パネルを採用したモデルで、画面解像度はWQHD(2,560×1,440ドット)。
最大リフレッシュレートは500Hzで、応答速度は0.03ms(GTG)。各画素が自発光素子で構成されているQD-OLEDパネルの特性により1,500,000:1ものコントラスト比を実現。HDR規格のDisplayHDR True Black 500に対応するほか、広い色域(sRGB=100%、Adobe RGB=98%、DCI-P3=99%)と、ΔE≦2の優れた色精度を実現している。
本体サイズは約610×242×527mmで、本体重量は約8.2kg。購入後3年間の製品保証付きで、実売価格は税込み174,800円前後。なお、ゲーミング向けの機能はそのままにセンサーと連動したパネル保護機能などを省いた「MAG 272QP QD-OLED X50」もラインアップされており、こちらの実売価格は158,800円前後となっている。

本体背面に搭載されている映像入力用インターフェイスは、DisplayPort 2.1a×1基、HDMI 2.1×2基、USB Type-C(USB 2.0、DP Alt mode)×1基の4系統。いずれのポートでもWQHD/500Hzの映像入力が可能だが、HDMI 2.1に関してはDSC(ディスプレイストリーム圧縮)の利用が必須で、DisplayPortおよびUSB Type-Cに関してもDSC無しで入力するにはPC側の出力ポートがDisplayPort 2.1a以上に対応している必要がある。
DisplayPort 2.1aは、GeForce RTX 50シリーズをはじめとする最新世代GPUの多くでサポートされているが、ひとつ前のGeForce RTX 40シリーズでは対応しておらず、実際にGeForce RTX 4060 Tiで試してみたところWQHD/500Hzを実現するにはDSCの利用が必須だった。DSCを利用しても表示される映像への影響は実用上感じられなかったが、気になるのであれば最新世代のGPUと組み合わせたい。
映像入力以外のインターフェイスも背面に配置されており、PCと接続するためのアップストリーム用USB 3.2 Gen 1 Type-B、周辺機器接続用のUSB 3.2 Gen 1 Type-A×2基、ヘッドホン出力が実装されている。
また、映像入力も可能なUSB Type-Cポートは、USB 2.0接続でのデータ通信機能とUSB PDによる最大98W(20V/4.9A)の電力供給に対応しており、周辺機器接続用のUSB 3.2 Gen 1 Type-Aに接続されたUSB機器をKVMスイッチにより共有することもできる。
なお、MPG 271QR QD-OLED X50は電源回路を本体に内蔵しているため、AC電源ケーブルを接続するだけで動作する。
USB接続を介してPCと通信可能なMPG 271QR QD-OLED X50は、ユーティリティソフトの「Gaming Intelligence」に対応しており、OSDメニューと同等の設定をPC上から行うことができる。
また、「Remote Display」という専用アプリをインストールしたスマートフォン(Android)を用意し、Gaming Intelligenceを実行中のPCと同一ネットワーク上に接続すれば、MPG 271QR QD-OLED X50の設定を一部スマートフォンから変更することも可能だ。
一方、モニター本体の背面中央下部には、OSD操作用のNaviキーと電源スイッチ、Gaming Intelligence起動が割り当てられたマクロキーが配置されている。
MPG 271QR QD-OLED X50のモニタースタンドは、高さ、チルト(上下角度)、スイベル(左右角度)、ピボット(画面回転)の調整に対応した高機能なもので、支柱部分にはケーブルを通す配線穴が設けられている。
また、本体背面に同梱のスペーサーを取り付けることでVESA100に対応できるため、別売りのモニターアームを利用することが可能だ。
違いをしっかり体感できる500Hz/0.03msの超高速表示ClearMR 21000認証取得の滑らかで明瞭な表示
500Hz/0.03msという驚異的な高速表示能力を有するMPG 271QR QD-OLED X50。その高速表示をゲームで体感できるのか、GeForce RTX 5080を搭載するPCと接続して確かめてみた。
今回は、GPU負荷が低く高いフレームレートを出しやすいVALORANTを使い、240Hz駆動時と500Hz駆動時で違いが感じられるのか試してみたのだが、視線を大きく動かしたときの表示に関してはやはり500Hzの方が滑らかに感じられた。
240Hzも相当に高速な表示であり、60Hzと144Hzや、144Hzと240Hzを比較したときほどの大差ではないものの、同じパネルで実際に見比べてみると違いが分かる程度の差はあるので、表示性能が勝ち負けを左右する競技向けゲームで500Hzというリフレッシュレートを実現することのメリットは間違いなく存在する。実現のハードルは高いが、最高の環境を求めるゲーマーにはこの高速描画をぜひ体験してもらいたい。
ゲームにおいて、MPG 271QR QD-OLED X50の表示が滑らかで明瞭に見えるのは、QD-OLEDパネルによって実現した0.03msという超高速な応答速度の恩恵も大きい。これにより、映像の鮮明さを規格化したVESAのClearMR規格の最上位「ClearMR 21000」認証を取得しており、滑らかでありながらもブレの少ない明瞭な映像でゲームを楽しめる。
また、可変リフレッシュレート技術のAdaptive-Syncにも対応しているので、フレームレートが500fpsを割り込むようなシーンでもティアリングを抑えた破綻の少ない映像を実現できるほか、入力遅延に関しても約1.5ミリ秒という低遅延を達成している。
このように優れた表示速度を実現しながら、DCI-P3カバー率99%に達する広い色域とΔE≦2の色精度、DisplayHDR True Black 500認証を取得した抜群のコントラスト比を兼ね備えており、映像を表示する性能に関してはまさに最上級の実力を有していると言える。
24.5インチエミュレートやAIビジョンなど、多数のゲーマー向け機能を搭載
驚異的な表示性能を備えるMPG 271QR QD-OLED X50は、MSIがゲーミングモニター向けに提供している機能を一通り備えたモデルになっており、画面情報に応じて明るさやコントラストを最適化する「AIビジョン」や、QD-OLED向けに用意したHDR機能「EOTFブースト」など、MSI独自のユニークな機能も搭載している。
そんなゲーマー向け機能の中でも特に注目度が高いもののひとつが、表示領域を24.5インチ相当に縮小表示するディスプレイサイズエミュレート機能だ。
FPSをはじめとする競技性の高いゲームでは、画面全体を視界に収めて情報を得ることが重要とされており、この観点から多くの競技者が24インチ前後のディスプレイサイズを支持している。MPG 271QR QD-OLED X50のディスプレイサイズエミュレート機能はこの需要に応えて実装されたものだ。
ディスプレイサイズエミュレート機能を使用した場合、可変リフレッシュレート機能のAdaptive-Syncが利用できないという制約が生じたものの、PC側からの入力信号としてはWQHD/500Hzというフルサイズ表示と変わらない解像度とリフレッシュレートで映像入力が可能だった。
実際の表示に関しては、500Hzの高速駆動がフルサイズ表示と変わらない一方、24.5インチ相当の表示エリアにWQHDの映像を入力しているため入力解像度と表示解像度が一致せず、細かい文字の表示にガタツキが生じているが、VALORANTをプレイしている状況ではそこまで気にならなかった。細かい文字表示を多用するゲームでなければ十分に実用的な機能と言える。
OLEDパネルの寿命を無駄遣いしない先進的な保護機能を採用人を検知して保護を行うAI Care センサーを搭載
OLEDパネルの画素に用いられる有機EL素子には、発光時間や輝度の高さに応じて劣化が進行するという特性があり、長期間の使用による劣化の影響は輝度の低下や発色の変化、焼き付きなどの形で顕在化する。劣化による変化を許容できなくなった時が、OLED系のパネルを採用するモニターの寿命となるわけだ。
最新のQD-OLED採用モニターであるMPG 271QR QD-OLED X50では、有機EL素子の劣化という課題に対して、MSI最新のOLED保護機能「MSI OLED CARE 3.0」を導入することで対策を講じており、同社の液晶ゲーミングモニターと同等の3年間保証を実現している。
MSI OLED CARE 3.0では、従来のOLEDでも採用されていたピクセルシフトによる焼き付き軽減のほか、入力されている映像を検知して輝度を調整する機能を採用。一定時間以上ロゴや静止画、タスクバーなどを表示している画素の輝度を自動的に調整することで、劣化による焼き付きを抑制する。
これらの機能はOSDやGaming Intelligenceから有効/無効を切り替え可能であり、ゲーム対戦中などに意図せずリフレッシュ機能が動作してしまわないように無効化することも可能だ。
また、OLEDパネルの表示性能を維持するために定期的な実行が必要なパネルリフレッシュ機能については、従来は4時間毎に実行を推奨するメッセージを表示し、16時間連続で実行されなかった場合は強制実行されるという仕組みだった。MSI OLED CARE 3.0対応モデルである「MPG 271QR QD-OLED X50」は、出荷時点でパネル保護機能の強制実行間隔が24時間に設定されており、4時間ごとの通知は表示されない仕様が標準となっている。
また、MSI OLED Care 2.0を搭載した他のモデルでも、同様に24時間間隔でのパネル保護機能が利用可能な製品が順次展開されている(詳細はMSIの公式ニュースリリースを参照のこと)。
パネルリフレッシュは前回の実行から4時間以上が経過した際、モニターがスリープ状態や電源OFF状態(電源ケーブル経由の通電は必要)になると自動的に実行されるものであり、24時間以上連続で画面を表示させ続けない限り、パネルリフレッシュの存在を意識する必要は無くなるだろう。
このように、MSI OLED CARE 3.0では既存のOLED保護機能を進化させる一方で、新機軸となるAI Care センサーを用いた保護機能を導入した。
AI Care センサーとは、モニター前面に搭載したCMOSセンサーと、モニター内蔵NPUを組み合わせたシステムで、CMOSセンサーで0.2秒ごとに取得した画像からユーザーの存在や視線を認識し、ユーザーが離席した際にモニターの表示をオフにするLoL(Lock on Leave)、ユーザーが戻ってきた際にモニターの表示を復帰するWoA(Wake on Approach)、ユーザーが視線を外した際に画面の輝度を下げるAdaptive Dimmingを提供する。
AI Care センサーの動作はOSDやGaming Intelligenceで設定する「モニターモード」のほか、Windows 11の電源管理から設定する「システムモード」が選択できる。
モニターモードとシステムモードでは若干挙動が異なっており、その中でも目立つのは離席によってオフにしたモニターの表示を復帰させるWoAの動作だ。モニターモードでは電源オフ状態からの復帰となるため起動に7秒程度の時間がかかるのに対し、システムモードでは3秒程度で画面の表示が復帰する。
復帰時間的にはシステムモードが優位なのだが、AI Care センサーによる人認識の精度はモニターモードの方が高い印象で、システムモードでは映像入力インターフェイスの種類や設定によってはうまく復帰できない場合もあった。
離席時に画面をオフにするLoLの作動には最大2分のディレイを掛けることが可能なので、ごく短時間の離席で作動する設定にしなければ、7秒程度の復帰時間もさほど気になるものではないので、筆者としてはモニターモードの利用がおすすめだ。
AI Care センサーによるLoLとWoAは、短時間のつもりだった離席が長引いてしまうようなケースで、OLEDパネルの寿命を無駄に消耗するのを防ぐのに役立つ機能だ。
いくら高価なOLEDパネルの表示性能を維持するためとはいえ、AI Care センサーと同等の電源管理を手動で行うのは手間がかかりすぎて継続が難しい。復帰時に数秒待たされる程度の負担で寿命の無駄な消耗を防げるAI Care センサーの有用性は、容易に想像できるはずだ。
QD-OLEDだからこそできる圧倒的な表現力と高速表示の両立より扱いやすくなったQD-OLEDゲーミングモニター
MPG 271QR QD-OLED X50は、500Hz/0.03msの圧倒的な高速性と色鮮やかで美しい映像表現を兼ね備えた理想的なゲーミングモニターだ。そのうえで、AI Care センサーを導入したMSI OLED CARE 3.0の採用により、QD-OLEDパネルの寿命を無駄遣いせずに最大限伸ばすための機能も取り入れられている。
実売価格は174,800円前後と高級モデルではあるが、ゲームシーンにおいてベストな表示性能を備える製品のひとつだ。究極のゲーミング環境を求めるユーザーにとって、最上級の選択肢となり得るモデルだろう。




















































