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軽量で画像編集もバッチリ、期待以上だったRyzen AI搭載ノート「DAIV Z4-A9A01SR-B」

1.14kg/19.5mm厚で持ち運びも快適なマウスコンピューターのクリエイター向けモデル text by 久保勇

 最近増えつつあるRyzen搭載のノートPC。性能が高いと言った話を最近割と見かけるので、気になっている方も多いのではないでしょうか。ノートPC向けのRyzenは高性能な内蔵GPUを備えるモデルが多く、写真の編集や画像加工などをよく行う筆者はRyzenのGPU性能がどれくらいの快適さを提供してくれるのかが気になっていたりします。

 今回は、AMD Ryzen Al 9 365 プロセッサを搭載するマウスコンピューターのクリエイター向けノート「DAIV Z4-A9A01SR-B(Copilot+ PC) (型番Z4A9A01SRBGEW102DEC)」を例に、実際にRyzen搭載ノートを仕事で使って快適なのか確認してみました。

シルバーを基調にまとめられた14インチのRyzen AI搭載クリエイター向けノート

シルバー基調のデザイン
AMD Ryzen Al 9 365 プロセッサを採用、内蔵GPUはRadeon 880M
マグネシウム合金を使うことで薄型化
本体の厚みは19.5mm
底面側

 DAIV Z4-A9A01SR-Bは、AMD Ryzen Al 9 365 プロセッサ(10コア/20スレッド)を搭載した14インチのクリエイター向けAIノートPC。薄型かつ軽量をコンセプトに設計されており、筐体にマグネシウム合金を使用することで、強度を保ちつつも重量1.14kgと軽量化を実現したモデル。厚みも19.5mmと薄型で、可搬性を重視した仕様になっています。

右側面にはUSB3.2 Gen1 Type-A(5Gbps)×2、SDカードリーダー(SD Express(SD7.0)対応)×1を搭載
左側面にはUSB3.2 Gen2 Type-C(10Gbps)×1、USB3.2 Gen1 Type-A(5Gbps)×1、オーディオコンボジャック×1を搭載
背面側にはUSB4(40Gbp)、HDMI×1、1000BASE-T 有線LAN×1を搭載
付属のACアダプタは100W出力対応品

 インターフェイスは、USB4(40Gbps/映像出力対応/USB PD入力対応)×1、USB3.2 Gen2 Type-C(10Gbps/映像出力対応/USB PD入力対応)×1、USB3.2 Gen1 Type-A(5Gbps)×3、HDMI×1、オーディオコンボジャック×1などを備え、カードリーダー(SD Express(SD7.0)対応)や有線LAN(1000BASE-T)なども搭載。そのほかの仕様は以下の通り。

DAIV Z4-A9A01SR-B(Copilot+ PC)
CPUAMD Ryzen Al 9 365 プロセッサ(10コア/20スレッド)
GPUAMD Radeon 880M
メモリDDR5-5600 32GB(16GB×2)
ストレージWD_BLACK SN850X 2TB(※標準仕様からカスタム)
インターフェイスUSB4(40Gbps/映像出力対応/USB PD入力対応)×1
USB3.2 Gen2 Type-C(10Gbps/映像出力対応/USB PD入力対応)×1
USB3.2 Gen1 Type-A(5Gbps)×3
HDMI×1
1000BASE-T 有線LAN
オーディオコンボジャック×1
無線機能Wi-Fi 7 + Bluetooth 5
ディスプレイ14インチ/1,920×1,200ドット/60Hz/ sRGB比 100%
OSWindows 11 Home
本体サイズ311×225.5×19.5mm
本体重量1.14kg
製品保証3年間修理保証/24時間365日電話サポート

 今回レビューで使用しているモデルはSSDのみカスタマイズを行っており、標準仕様の1TB(Gen4)からWD_BLACK SN850X 2TB(Gen4)に変更しています。なお、DAIV Z4-A9A01SR-Bの標準構成時の価格は219,800円(記事執筆時)で、SSDカスタム後の価格は251,700円(記事執筆時)。

今回はSSDをWD_BLACK SN850X 2TBにカスタム
シーケンシャルアクセスの速度は7GB/s近い速度

内蔵GPU「Radeon 880M」の性能でPhotoshopも快適、AI系の処理もノートで実用的に

PhotoshopとCamera Rawで画像処理性能をテスト

 筆者は仕事でPhotoshopを使うことが多く、特にPhotoshopに含まれるCamera Rawは欠かせない機能です。Camera Rawのノイズ除去は非常に強力で、暗いイベント会場でノイズが多い写真しか撮影できなかった場合でも見られるレベルまで画質補正が行えるので、常時使いたいレベルの機能だったりします。そのため、なるべくGPU性能が高い環境で作業ができた方が処理待ちの時間が減るのでありがたかったりします。

 ここ数年のPCであれば重い処理はほとんどないのですが、Camera Rawのノイズ除去はAIを使うため処理が重く、GPUの性能が低かったり、GPUが非対応で動作しなかったり、CPUで処理したりといった場合はかなりの時間がかかります。デスクトップPC向けのビデオカードであれば軽い処理に入るレベルではあるものの、GPU性能が低めのノートPCなどの場合は画像1枚の処理に数分~10分くらいかかったりするので、出先で利用するのは諦めていました。

AdobeのCamera Raw内のノイズ除去は非常に有用な反面、処理が重め
AMD Ryzen Al 9 365 プロセッサ内蔵のRadeon 880Mは正式対応のGPUなので、GPUアクセラレーションが利用可能
Radeon 880Mで処理した際の様子、40~50秒ほどで処理が可能
GPU性能が低い古いPCでの動作例、表示目安より長い時間が必要になることはざらで実際には6分ほどかかりました

 CPU内蔵GPUにCamera Rawのノイズ除去はなかなか重い処理だったのですが、DAIV Z4-A9A01SR-Bに搭載されているRadeon 880Mであれば実用的な時間でノイズ除去の処理が可能。画像1枚当たりの処理時間は40~50秒前後で済み、Ryzen搭載ノートPCがかなり欲しくなりました。

搭載メモリが多いので、3,300万画素の写真を150枚ほど一気に開いても問題ありませんでした
メモリはほぼ使い切るような状況なので、クリエイター用PCのメモリは大いに越したことはありません

 また、DAIV Z4-A9A01SR-BはGPUとメモリはシェアになるものの、メモリ容量32GBが標準と大容量なので、大量の画像ファイルをPhotoshopで開いてもなかなか重くなりません。150枚くらいの画像を一気に開いてみましたが、固まるようなことはなく、快適に作業が行えました。高速な大容量メモリが標準搭載されている点もDAIV Z4-A9A01SR-Bの魅力になっています。

入力しやすい打鍵感のキーボード、レイアウトは好みが分かれる部分も

アイソレーションキーボードを採用

 執筆業や入力作業の多い人であれば、ノートPCのキータッチはこだわるべきポイント。

 DAIV Z4-A9A01SR-Bに搭載されているキーボードは、アイソレーションタイプでバックライトを備えたものになっています。キータッチも程よいクリック感が心地よく、外で文章を執筆していても苦に感じる部分はほとんどなかったので、個人的にはかなり好印象。電源ボタンがキーボートから少し離れたところにあるのもポイントで、誤操作しないよう配慮されています。

打鍵感は好印象
ホワイトのキーバックライト付き

 キーレイアウトの一部に少しだけ気になる部分があり、Enterキーの右横にキーが並んでいるところだけは使いにくさを感じました。これは慣れの問題も大きく、指に配置を覚えさせるしかないのですが、筆者的にはEnterキーの横にもう少し広いスペースをとってもらえたらと思ったりします。ゲーミングノートからPCに入った人達は慣れがあるのでこうしたレイアウトでも困らないと聞くのですが、違和感がある人は少し気にした方が良い部分かもしれません。

誤って押さないように電源ボタンはキーから離れた位置にあります
Enterキーの横にキーが並んでいるので、レイアウトは好みが分かれるところ

持ち運びしやすい軽量モデル、1.1kg台の重量はかなり快適

DAIV Z4-A9A01SR-Bは持ち運びやすいサイズと重量感

 ノートPCを選択するうえで重量は大きなポイントの一つ。外で作業を行うことが多い人であれば、妥協したくない部分だと思います。筆者は持ち歩くPCの重量はなるべく1kg前後にしたいと考えていますが、約1.1kgと1kgを少し超えるDAIV Z4-A9A01SR-Bを外に持ち出しても重さが気になることがないか試してみました。

 まずは実測の重量ですが、本体のみの重量は1.122kg。充電用のACアダプタとケーブルも含めた重量は1.361kgでした。概ね公称値通りの重量で、見た目の金属感の印象からすると持った時に軽く感じます。

本体のみの重量
ACアダプタとケーブルも込みの重量

 イベント取材時に実際に持ち運んでみましたが、重いと感じることもなく、普段使っている1kg前後のノートPCと同じ感覚で使えました。トートバッグに入れて持ちあるいても苦にならないので、モバイル用途メインの人にもDAIV Z4-A9A01SR-Bは良さそうです。

片手でも持ち運びやすい重量感
トートバッグなどに入れて持ち運んでも苦にならず、モバイル向き

USB4搭載で外付けストレージとのデータ転送も快適

 DAIV Z4-A9A01SR-BはUSB4ポート(40Gbps)を備えており、大容量ファイルの転送も意識した仕様になっています。クリエイター向けPCでれば、高速インターフェイスの有無も選択時のポイントになります。

 今回はUSB4対応の製外付けSSDケースSatechi ST-EU4NPMとSamsung製SSDの9100 PRO 2TBを使い、USB4接続の外付けSSDと高速なデータ転送が行えるのか試してみました。

Satechi ST-EU4NPMとSamsung 9100 PRO 2TB

 DAIV Z4-A9A01SR-BにはUSB4ポートと、10Gbps対応のUSB 3.2 Gen2 Type-Cポートがあるので、ベンチマークと約100GB分の写真データの転送で差が出るのか確認してみました。

 結果はベンチマークでは3倍以上、PCへのファイル転送の時間は2倍近い差が出る結果に。USB4を使用することでだいぶ時間が削減できるので、大容量ファイルを扱う際には積極的に利用したいところです。なお、エクスプローラーは転送速度が出にくい傾向があるので、高速なファイルコピーソフトを使用すればUSB4側はもっと性能が引き出せると思われます。

USB4ポート接続
USB4接続時のベンチマーク(※ディスクの書き込みキャッシュ有効)
USB4接続時の外付けSSDからPCへのファイル転送(約100GB)、約1分5秒で完了
USB 3.2 Gen2ポート接続
USB 3.2 Gen2接続時のベンチマーク
USB 3.2 Gen2接続時の外付けSSDからPCへのファイル転送(約100GB)、約1分57秒で完了

思っていたより長持ちするバッテリー、打ち合わせや資料整理なら10時間以上の連続稼働も

 DAIV Z4-A9A01SR-Bに搭載されているバッテリーは75Whで、動画再生時で約9.0時間、アイドル時19.5時間の可動が可能とされています。

 筆者としては事務作業やオンライン会議に使用して6時間もってくれれば一日安心して使える感覚ですが、公称値に近い稼働が可能なのか試してみました。

バッテリー残量100%からどれだけ使用できるのかをテスト
文書作成や資料の整理、オンライン会議、画像編集などを行い、どの程度バッテリーが持つのか確認してみました。

 文書の作成や資料の整理、オンライン会議や画像編集、動画視聴と一日使ってみましたが、9時間59分使用することが可能でした。思っていたよりだいぶバッテリーは持つ印象で、ゲームをしたり動画エンコードをしたりといったヘビーな使い方をしなければかなり長持ちします。

バッテリーが残り5%の段階で9時間52分使用できました
バッテリーが残り3%を切った時点でPCはシャットダウン、最終的な稼働時間は9時間59分

sRGB比 100%のパネルを採用、素直な発色で扱いやすい液晶画面

sRGB比 100%の液晶パネルを搭載

 DAIV Z4-A9A01SR-Bに搭載されているパネルは、14インチ/1,920×1,200ドット/sRGB比 100%の液晶パネル。クリエイター用途を意識して再現性の高いものが採用されています。

縦が1,200ドットとフルHDよりも120ドット長いのも特徴
鮮やかな画像もしっかり表示してくれます

 発色は素直で、色の偏りなども感じないので、写真の編集などには使いやすい印象。Adobe RGBやDCI-P3などの色域はカバーしていませんが、彩度や輝度が足りないと感じることもないので、クリエイター用途だけでなくコンテンツの閲覧にも好適なパネルになっています。

 また、120ドットとわずかですが、縦方向に大きいのはビジネス/クリエイティブに実はかなり有効。フルHD解像度の素材を加工する際などには、この余白の部分にツールを表示するなど活用次第で作業を快適にできます。

カジュアルにゲームを楽しむなら十分な性能のDAIV Z4-A9A01SR-B

 仕事の合間や休憩時間にPCゲームを楽しんでいる人も多いはず。DAIV Z4-A9A01SR-Bはクリエイター向けのモデルですが、ゲームもある程度遊べるのか確認してみました。

 テストに使用したのはApex Legends。画面解像度は1,920×1,200で、標準で高画質寄りの設定が適応されていたので、そのままの設定でゲーム性能を確認してみました。

 Apex Legendsの射撃訓練場でフレームレートを確認した限りではおおむね70~80fps出ており、休憩中やちょっと時間が空いた際にカジュアルに遊ぶなら十分な性能。メインの用途ではないけど、ゲームもそこそこ遊ぶという人にAMD Ryzen Al 9 365 プロセッサ搭載ノートは良い選択肢になりそうです。

Apex Legendsの射撃訓練場でフレームレートを確認
安定して70fps前後でていたので、カジュアルに遊ぶには十分な性能
画質設定、解像度は1,920×1,200でテスト
画質としては中の上といったセッティング

軽量かつGPU支援の性能が必要な人にオススメなクリエイター向けノート

 仕事使いから普段使いまでざっとDAIV Z4-A9A01SR-Bを試してみましたが、思っていたよりもずっと快適だったというのが第一印象。14インチで重量1.1kg台と持ち運びしやすく、バッテリーも思っていたよりも長く持ってくれたので、外で作業を行う必要がある人には恩恵が大きいノートPCと言えます。軽量ノートなのにAdobeのソフトが快適に動作してくれるのはポイントが高いです。

 GPU性能は欲しいけど、単体GPUを搭載するゲーミングノートは重すぎるといった人に、Ryzen AI搭載ノートPCはジャストフィットするモデルになるはず。軽量かつGPU性能が高いノートPCを探している人にDAIV Z4-A9A01SR-Bはオススメの1台です。