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大型OLEDディスプレイに安全機能も備えたMSIのフラグシップ水冷クーラー「MEG CORELIQUID E15 360」

ラグジュアリーなデザインに性能も兼ね備えた一台 text by 坂本はじめ

 MSIの「MEG CORELIQUID E15 360」は、水冷ヘッド部に6.67型の大型AMOLEDディスプレイを搭載した360mmサイズのオールインワン水冷クーラーだ。

 MSIのフラッグシップブランドであるMEGを冠するだけあって、プレミアムな意匠や独自機能を採用したMEG CORELIQUID E15 360。今回はその実機を用いて、MSIの新たな最上位CPUクーラーが備える機能や魅力と冷却性能を紹介しよう。

6.67型湾曲ディスプレイを搭載する360mmオールインワン水冷クーラー

 MSIのMEG CORELIQUID E15 360は、360mmサイズのラジエーターを採用するオールインワン水冷クーラーで、MEGシリーズに属するフラッグシップモデルだ。対応CPUソケットはIntel LGA1851/1700およびAMD Socket AM5/AM4。

MSI MEG CORELIQUID E15 360
MSI MEG CORELIQUID E15 360の製品パッケージ
対応CPUソケットはIntel LGA1851/1700およびAMD Socket AM5/AM4

 水冷ヘッドには、どの角度からも美しく感じられるようにこだわった、110度の曲面デザイン6.67型AMOLEDディスプレイを搭載。ディスプレイは着脱が容易なマグネット式のPOGO-PINコネクタを採用しており、交換用のシンプルなパネルも付属する。

 水冷ヘッドのベース面には銅を採用しており、サーマルインターフェイスマテリアル(TIM)として7W/m·℃を謳う独自のサーマルグリスが同梱されている。

6.67型の湾曲AMOLEDディスプレイを搭載。
見た目の美しさにこだわった110度の湾曲デザインを採用している
着脱が容易なマグネット式のPOGO-PINコネクタを採用
ディスプレイ部分のアルミフレームはヒートシンクも兼ねており、ディスプレイの熱を逃がすことで長寿命化にも寄与しているという
交換用のシンプルなデザインのカバー(写真左)も同梱されている
CPUと接触するベース部には銅を採用
7W/m·℃を謳う独自のサーマルグリスが同梱

 360mmサイズのラジエーターには、一体型の3連120mmファンが標準搭載されている。一体型ファンのフレームにはシャンパンゴールドのアルミパーツを用いた装飾が施されており、上品な高級感が漂うビジュアルに仕上がっている。

 また、3基の冷却ファンのうち中心の1基に逆回転ファンを用いる「Laminar Focus Technology」を採用。これによって乱流を抑制し、スムーズなエアフローとノイズ低減を実現するとしている。

一体型の3連120mmファンを搭載。アルミ素材を用いた装飾を施すことで上品なビジュアルを実現している
装飾に使われているアルミ素材のパーツは削り出しで作られ、造形美だけでなく剛性も意識したものとなっている
3基のファンの中心に逆回転ファンを用いて乱流を抑制するLaminar Focus Technologyを採用。中心部のファンはブレードの向きが異なる
厚さ30mmの360mmラジエーターを採用

 MEG CORELIQUID E15 360では、煩雑になりがちなオールインワン水冷クーラーの配線をケーブル1本に集約するユーザーフレンドリーな設計を採用。冷却ファンや水冷ヘッドの配線を内装化してラジエーターに集約し、独自のケーブル1本でマザーボードに接続する仕組みとなっている。

 独自のケーブルはMSI独自規格であるEZ conn対応ケーブルと汎用ケーブルの2本が同梱されており、11ピン仕様のEZ conn(JAF_2)を備えるマザーボードと組み合わせれば、EZ conn + ポンプ速度検出用の3ピンファンコネクタのみというシンプルな接続でMEG CORELIQUID E15 360を駆動可能だ。

MEG CORELIQUID E15 360は動作に必要な接続ケーブルを1本に集約。
本体側に用意されている接続コネクタはUSB Type-C×1基のみと非常にシンプル
水冷ヘッドやディスプレイの駆動に必要なケーブルも内装化してラジエーター側に集約している
汎用ケーブル(左)とEZ conn向けのケーブル(右)が付属する
マニュアルに記載された配線例。11ピンEZ conn(JAF_2)対応マザーボードなら非常にシンプルな接続を実現可能。もちろんEZ conn非対応マザーボードでも使用可能で、それぞれの環境に合わせたケーブルが付属している

 MEG CORELIQUID E15 360には「90度チューブクリップ」というユニークなパーツが付属している。

 これは、水冷ヘッドとラジエーター間を接続するウォーターチューブに取り付けるアクセサリーで、通常だと設置状況に応じて柔軟に変形するウォーターチューブを直角に変形させるものだ。ウォーターチューブの潰れによる機能低下を起こすことなく直線的な配管が可能となり、PC内部をスマートなビジュアルに仕上げることができる。

90度チューブクリップ。チューブを潰すことなく90度曲げるガイドとして機能するクリップだ
クリップを用いることで直線的な配管が可能となる

立体感のある映像を表現できる110度湾曲ディスプレイ2,240×1,080ドットの高解像度でデスクトップ表示も可能

 MEG CORELIQUID E15 360最大の特徴である水冷ヘッド搭載の6.67型ディスプレイは、表示部に画面解像度2,240×1,080ドットの高精細AMOLED(Active Matrix OLED/有機EL)パネルを採用。MEG CORELIQUID E15専用に用意された「スタンドアロン版EZ Display」を用いることで、表示する映像をカスタマイズ可能だ。EZ DisplayはMSIのユーティリティ「MSI Center」にも含まれる機能だが、通常のEZ DisplayからMEG CORELIQUID E15を制御することはできない。

 動作モードは、画面全体に映像を表示する「全画面モード」のほか、110度の湾曲部分を境に2種類の映像を組み合わせて表示する「画面分割モード」、Windowsにディスプレイとして認識させる「拡張モード」を選択可能。110度の湾曲をいかした立体感のある映像表現やPCの各種ステータス情報を表示できる。

6.67型の湾曲ディスプレイは、表示部に2,240×1,080ドットの高解像度AMOLED(有機EL)を採用
MEG CORELIQUID E15専用の「スタンドアロン版EZ Display」。ディスプレイの表示を全画面モード、画面分割モード、拡張モードから選択する
全画面や画面分割モードでは、映像や画像表示に加えてPCのステータス情報も表示可能
裸眼立体視の表示にも対応しており、表示用のアニメーションも複数パターン用意されている。ユーザー自身が作成した動画などを表示することも可能だ
拡張モードでは、WindowsにUSB接続のサブディスプレイとして認識させることができる

冷却ファン異常時のセーフティ機能「Cooling Safeguard」

 MEG CORELIQUID E15 360には、冷却ファンが不具合で動作しなくなった際に作動するユニークなセーフティ機能「Cooling Safeguard」が実装されている。

 冷却ファンが不具合で停止したり異常が発生すると、Cooling Safeguardは冷却ファンのLEDカラーを赤に変更し、ユーザーに異常を知らせる。それまで設定していたLEDカラーに関わらず赤く光り、不具合があるファンは赤く点滅するので視覚的に分かりやすい。同時に、正常に稼動している冷却ファンの回転数を最大に引き上げ、障害が発生した際にも冷却能力が可能な限り失われないように動作する。

正常に動作している状態から意図的に障害を発生させてみた
左端のファンを意図的に停止。異常を検知するとLEDの発光色が赤に変わる
停止したファンのLEDは赤色で点滅し、動作するファンの回転数は最大に引き上げられる

 LEDの点灯状態と動作音でユーザーに異常を知らせるというCooling Safeguardの仕組みは面白いものだ。MEG CORELIQUID E15 360の機能としては冷却ファンの不具合にのみ対応する機能だが、ポンプの不具合への対応やディスプレイやソフトウェアを用いたアラートなど、さらなる発展を期待したい。

Ryzen最高峰「Ryzen 9 9950X3D2 Dual Edition」で性能テスト空冷クーラーと冷却能力を比較

 ここからは、MEG CORELIQUID E15 360の冷却性能をテストする。

 冷却テストに用いるCPUは、Socket AM5対応Ryzenの最高峰「Ryzen 9 9950X3D2 Dual Edition」。Zen 5世代の16コア/32スレッドCPUで、TDPが200W(PPT=270W)に達するハイエンドCPUだ。今回はこのCPUをMSIのハイエンドマザーボードである「MEG X870E GODLIKE MAX」に搭載して使用する。

Ryzen 9 9950X3D2 Dual Edition。3D V-Cacheを2基のCCDに搭載した16コア/32スレッドCPUで、TDPは200W(PPT=270W)に達する
MSI MEG X870E GODLIKE MAX。Ryzen 9 9950X3D2 Dual Editionのフルパワーを引き出せるハイエンドマザーボードだ

 実行する負荷テストは、最低実行時間を30分に設定したCinebench 2026のMultiple Threadsで、モニタリングソフトのHWiNFO64 Pro v8.52を使用してCPUの温度や動作クロックなどを計測する。

 テストでは、オープンフレームケースに組み付けたMEG CORELIQUID E15 360のポンプ速度を最大(3,000rpm±300rpm)に固定し、冷却ファンのPWM制御を100%、50%、20%の3通りに設定した場合の冷却性能を計測した。また、参考データとして、MSIの空冷CPUクーラーである「MAG COREFROZR AA13 WHITE」(ファン速度最大)でも計測を実施した。テスト実行時の室温は約26℃で、その他の機材やテスト環境の詳細は以下の表のとおり。

 なお、今回はテスト中のCPU負荷の条件を空冷クーラーと揃えるため、負荷テスト中はMEG CORELIQUID E15 360のEZ Displayを無効にしている。

オープンフレームケースに取り付けたMEG CORELIQUID E15 360
MSIの空冷CPUクーラー「MAG COREFROZR AA13 WHITE」
MAG COREFROZR AA13 WHITEを取り付けた状態

 以下のグラフは、Cinebench 2026のMultiple Threadsを実行した際に計測したCPU温度とベンチマークスコアをまとめたものだ。

CPU温度│Cinebench 2026
ベンチマークスコア│Cinebench 2026

 MEG CORELIQUID E15 360が記録したCPU温度は、PWM=100%で平均79.7℃(最大81.6)℃、PWM制御=50%は平均81.3℃(最大85.2)℃、PWM制御=50%が平均84.4℃(最大88.9℃)で、いずれの設定でもCPUの上限温度である95℃を余裕で下回ってみせた。

 一方で、空冷CPUクーラーのMAG COREFROZR AA13 WHITEは、ファン全開でもCPUの上限を超える平均95.8℃(最大96.1℃)を記録した。ベンチマークスコアや推移グラフを見ると、MAG COREFROZR AA13 WHITEで生じたサーマルスロットリングは軽微なものではあるが、MEG CORELIQUID E15 360の冷却性能が安価な空冷クーラーとは一線を画するものであることは明らかだ。

 特に、PWM制御を20%(約1,090rpm)まで絞った状態でも、Ryzenの最上位に位置するRyzen 9 9950X3D2 Dual Editionをあっさり冷やし切れる点は素晴らしい。MEG CORELIQUID E15 360の冷却性能はMSIのフラッグシップモデルに相応しいものであると言える。

MSI MEG CORELIQUID E15 360 (ファン速度=PWM 100%)
MSI MEG CORELIQUID E15 360 (ファン速度=PWM 50%)
MSI MEG CORELIQUID E15 360 (ファン速度=PWM 20%)
空冷クーラー(MSI MAG COREFROZR AA13 WHITE)

湾曲ディスプレイを備え洗練されたビジュアルの水冷クーラー冷却性能や使い勝手の面でも優れるMSIのフラグシップモデル

 MEG CORELIQUID E15 360は、高精細表示が可能な6.67型の湾曲ディスプレイというユニークな要素を備えつつ、黒と金をうまく組み合わせることで上品かつ洗練されたビジュアルに仕上げたオールインワン水冷クーラーだ。

 本来の役割であるCPUの冷却に関しても、ハイエンドCPUを余裕で冷やし切れる素晴らしい性能を備えており、あらゆる点においてフラッグシップモデルに相応しい製品であると言える。

 記事執筆時点で国内販売価格は不明だが、ここまで豪華に作り込まれた製品ともなれば、相応の価格になることが予想される。MEG CORELIQUID E15 360は、こだわりの一台を構築したいユーザーのためのオールインワン水冷クーラーとなるだろう。