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中古モバイルノートPCの強化に挑戦!!ThinkPad X240の液晶交換、SSDへのアップグレードは効果大!

「ThinkPad X240」

 中古のノートPCが人気だ(詳細はこちら)。なかでも、5万円、3万円といった低価格帯は勢いがある。ディスプレイの解像度がフルHDではない、ストレージがSSDではないなどの点を割りきって使えば、立派なコンピューティング環境が格安で手に入るためだ。

 そうは言っても、いざそういった中古モバイルノートPCを手にすると欲が出てくるもの。自分の手でパワーアップすれば低コストでさらにオイシイ思いができるのでは……という妄想が頭をよぎる。

 さて、強化するとなるとどこか。メモリ増設はメジャーな手法。HDDのSSD換装はちょっとPCに詳しい方なら聞いたことがあるはず。これらはまず手を付けたい。そして検討してみたいのがノートPCの液晶パネル交換である。

 実際のところ、Amazonには一部のPCの交換用と銘打ったフルHD液晶パネルが販売されている。これを使えば1,336×768ドットなどの液晶がフルHD(1,920×1,080ドット)になるというわけだ。交換パネルは1万円しないので格安ノートと組み合わせるにはもってこいだが、未経験者の筆者にとって換装の何度は未知数。自作PCは多数組み立てているが、少なからず不安がある……。

 そんなわけで液晶パネル交換を含めた強化作戦に挑戦し、みなさんと情報共有したいと思う。もちろん、SSD換装や液晶パネル交換はメーカー、中古ショップの保証対象外。実施する場合はすべて自己責任で行ってほしい。

 今回、強化のベースとして用意したのはレノボの「ThinkPad X240(Core i7-4600U,メモリ4GB、SSD 240GB)」。軽くて持ち運びが容易、しかもThinkPadシリーズならではの使いやすさもあって、道具としてまだまだ使える。非フルHDモデルは4万円以下で豊富に流通しており、入手性も高い。

SSDやメモリの増設は定番だが、今回の中古モバイルPC「ThinkPad X240」では、メーカー純正ではないものの、交換用のフルHD液晶パネルが流通している。これで待望のフルHDモバイルノートを格安ゲットだぜ!?

ハードウェア保守マニュアルで作業内容を確認しよう

ハードウェア保守マニュアルを熟読して、内部構造を確認

 ここ数年で増えてきた薄くて軽量なモバイルノートPCは、内部へのアクセスが簡単にできない構造になっていることが多い。そうしたモデルだと、今回試すようなユーザーによるカスタマイズやメンテナンスは非常に難しい。

 ただレノボのThinkPadシリーズは、伝統的にメンテナンスや拡張作業がしやすいモデルとして有名だ。実際、今回のThinkPad X240でも底面のカバーを外すことで簡単にSSDやメモリの増設にチャレンジできるし、後述するように液晶パネルの交換すら可能だ。

 レノボでは、PC内部のメンテナンスを行なうためのマニュアルとなる「ハードウェア保守マニュアル」のPDFを、Webサイトで公開している。ThinkPad X240のマニュアルもWebからダウンロードできる。まずはこれを一読し、内部の構造や底面カバーの外し方を確認しておこう。

 まずはSSDの交換だ。購入時はMicronのSSD「Crucial BX500 CT240BX500SSD1」が組み込まれていた。これは標準仕様ではHDDだったものを中古販売時に換装したものと思われる。容量は240GBでSerial ATA 3.0対応。ThinkPad X240の内蔵SSD用インターフェースはSerial ATA 3.0対応なので、リード/ライト性能は100%発揮できている。

 速度的には不満がないが、容量はちょっと物足りないので大容量SSDに換装する。HDDモデルをお持ちの方は、換装方法自体は同じなので参考にしてほしい。

(交換前)組み込まれていたSSDのCrystalDiskMarkの結果。Serial ATA 3.0対応SSDらしい数値だ

 容量が240GBだと、音楽データ、動画データ、デジカメで撮影したRAWデータなどを大量に保存するのはNGだ。そこで今回は、同じくMicronのSSD「Crucial MX500 CT1000MX500SSD1/JP」に換装してみる。インターフェースはSerial ATA 3.0で、容量は1TB。実売価格は14,000円前後だ。

 SSDを換装する場合、OSをどうするかを考える必要がある。方法としては、古いSSDのOSを新しいSSDにそのまま移し換える「引っ越し」と、新しいSSDにWindows 10を新しくインストールしなおす「クリーンインストール」の二つがあるが、今回は手間いらずの引っ越しを選んだ。

 なおThinkPadシリーズでは、クリーンインストール後にデバイスドライバなどを一括して導入できる「System Update」という便利なツールを用意している。手間をいとわないのであれば、すっきりきれいな環境で利用できるクリーンインストールもオススメだ。

レノボのThinkPadシリーズで利用できる「System Update」。めんどうなデバイスドライバのインストールを一括で行なえる便利なツール

 MicronのSSDには、この引っ越し作業を行なうためのツール「Acronis True Image for Crucial」を利用できる権利が付いている。Acronis True Imageは、バックアップに関するさまざまな機能をまとめた統合ソフトで、非常に簡単な作業でWindows 10環境を引っ越せる。換装用SSDを選ぶ際にはこうしたソフトの有無の確認も忘れずに。

「Acronis True Image for Crucial」は、Micronのサポートページからダウンロードできる

 Acronis True Image for Crucialは、Micronのサポートページからダウンロードできる。まずはこれを、ThinkPad X240にインストールしておこう。次に引っ越し先の新しいSSDを、USBの外付けケースに入れてThinkPad X240に接続し、Windows 10に認識させておく。この時点では、新しいSSDに対して領域を確保したり、フォーマットしたりといった作業は必要ない。

 次にAcronis True Image for Crucialを起動し、「ディスクのクローン作成」機能で古いSSDのWindows 10を、USBの外付けボックスに組み込んだ新しいSSDにコピーすれば、下準備は完了だ。一旦ThinkPad X240の電源を切り、外付けボックスから新しいSSDを取り出しておく。

Acronis True Image for Crucialの起動画面。この画面で左にあるメニューの上から2番目にある[ツール]ボタンをクリック
[ツール]のメニューにある[ディスクのクローン作成]ボタンをクリックすると、古いSSDから新しいSSDにWindows 10を引っ越すウィザードが開始される
[ソースディスク]の選択では、古いSSDを選択して[次へ]
[ターゲットディスク]の選択では、USBの外付けボックスに組み込んだ新しいSSDを選択して[次へ]
あとはディスクのクローン作業が終わるまで待てばよい。今回は移行する容量が約34GBと少なかったこともあり、15分程度で作業は終了

内蔵バッテリを無効化し、SSDを交換する

 内部に組み込まれたパーツなどの交換を行なう前に、必ずやらなければならないことがある。それは「内蔵バッテリの無効化」だ。ThinkPad X240では着脱できる底面バッテリのほか、底面カバーを外すと確認できる「内蔵バッテリ」を装備する。

 このバッテリは、基本的には取り外しできるようにはなっていない。そのため内部のパーツに手を加える前にこの内蔵バッテリからの電流を遮断し、間違ってショートなどが起きないようにする必要があるのだ。

 早速作業に移ろう。まずは、電源ケーブルと底面バッテリを外す。次に電源ボタンを押してThinkPad X240を起動し、[F1]を押して表示するUEFIメニューの[Config]にある[Disable Built-in Battery]で、[Yes]を選ぶ。すると内蔵バッテリが無効化され、ノートPCの電源が落ちる。この作業は、パーツなどの換装作業を行なう前に必ず行なう。

UEFI設定画面の[Disable Built-in Battery]で、[Yes]を選択する

 ここまでの準備を整えたら、ThinkPad X240の内部にアクセスするため、底面カバーを外そう。底面カバーはツメとネジで本体側に固定されている。「No.1」あるいは「+1」と呼ばれる刃先のプラスドライバーを使い、最初にネジを外していく。

 さらに側面にカードやヘラの先のような薄いものを徐々に挿し込んでいくと、小さく「パキッ」と音がして、底面カバーのフックが外れる。側面にはいくつもこのフックで固定されている場所があるので、慎重に、力を入れ過ぎないようにして側面のフックをくまなく外していく。

底面のネジをドライバーで外していく
側面のフックを外すと、このように底面カバーが外れる

 すると底面カバーが、ふわっと浮くようにして外れる。これでSSD用の2.5インチシャドーベイや、メモリスロットなどにアクセスできるようになる。

 下の写真が底面カバーを外したもので、左下にSSDが組み込まれている2.5インチシャドーベイ、右にメモリスロットがある。メモリスロットはDDR3 SO-DIMM対応だ。

底面カバーを外すと、内部構造を確認できる
CPUファンの近くにメモリスロットを装備

 2.5インチシャドーベイは、ベイの右にある小さなネジ1本で固定されている。このネジを外し、さらにSSDに挿さっている電源ケーブルとSerial ATAケーブルを外そう。SSDの側面のネジ穴には、ベイのフレームのピンが挿さっているので、これも外す。これで2.5インチシャドーベイから古いSSDが外れるはずだ。

 次に、先ほどの手順を逆にたどり、新しいSSDを2.5インチシャドーベイのフレームに組み込み直そう。2.5インチシャドーベイをもとの場所にネジ止めしたら、今までの手順に従ってもとに戻す。底面カバーをもとに戻して電源ボタンを押すと、新しいSSDからWindows 10が起動するはずだ。

シャドーベイの右にある小さなネジをドライバーで外す
マザーボードとSSDを接続しているケーブルも外しておこう
SSDはシャドーベイの側面にあるピンで固定されているので、これも外す

 換装前のCrucial BX500と、換装後のCrucial MX500は、どちらもSerial ATA 3.0対応のSSDであり、リード/ライト性能に大きな違いはない。そのため、ベンチマークテストの数値はほとんど変わらない。一部換装後のほうが遅いものもあるが、この程度なら誤差の範囲と言ってよいだろう。

Crucial MX500のCrystalDiskMarkの結果だ(交換後)。BX500と大きな違いはない
PCの総合的な性能を計測できるPCMark 10の結果にも、大きな違いはなかった(左:交換前、右:交換後)

 容量は計算どおり、かなりの余裕ができた。アプリも自由にインストールできるようになり、使い勝手はさらに高くなった。

SSDを交換する前の空き容量は188GBだが、交換後は892GBに増えた

ベゼルを外して液晶パネルを交換する

 次はいよいよ液晶パネルの交換してみよう。非常にハードルが高く感じられるアップグレードではあるが、ThinkPadシリーズでは伝統的に純正、非純正含めて保守部品が手に入りやすいこともあり、ユーザーによる交換事例は多い。

 とくに今回のモデルのような1,366×768ドット解像度をフルHD化する、TNパネルを発色がよく視野角の広いIPSパネルへ変更するという需要は多いようで、保守部品としての液晶パネルも入手しやすかった。ThinkPad X240用ということで検索してみると、いくつかの選択肢がある。

 今回は、ネット上のいくつかのユーザー事例で実際に利用されていた12.5型ワイドのIPSパネルを購入した。Amazon.co.jpでの購入価格は8,000円だった。販売業者からは、何重もの緩衝材にくるまれ大きめな箱に入った状態で届いた。それだけ精密で壊れやすい部品、ということなので、作業時の取り扱いには細心の注意を払いたい。

液晶パネルは銀色の静電気防止袋に封入された上で、さらに何重にも緩衝材にくるまれた状態で届いた

 最初の作業は、前述したバッテリの無効化作業だ。電源が切れたら、底面カバーを外すときに使った薄いカードやコテの先を、液晶パネルとベゼルの隙間にキズを付けないように挿し込む。その状態でゆっくりと力を入れながらカードやコテを手前に引っ張ると、「パチ」と音がしてベゼルを固定している爪が外れる。

 この作業を続けていくとベゼルが外れ、液晶パネルにアクセスできるようになる。液晶パネルはネジ止めされているわけではなく、そのまま手前に引っ張れる状態だ。キーボードに緩衝材を敷き、工具をぶつけて衝撃を与えないようにしながら、慎重にキーボード側に倒す。

薄いヘラの先を、このようにベゼルと液晶パネルの間に挿し込む
徐々に力を入れてフックを外すと、このように隙間ができる
フックをすべて外すと、ベゼルも外れる

 本体と液晶パネルは、小さな金属製のインターフェースのみで接続されていた。絶縁テープで保護されているのでそれをはがし、端子部分をゆっくり力を入れながら背面方向に押して外すと、液晶パネルを取り外せるようになる。液晶パネルは壊れやすい部品なので、緩衝材の上に置いて一時的に保管しておこう。

 新しいパネルには表示面に保護シートが貼ってあるので、まずはそれをはがす。この保護シートは、ベゼルを組み込んだ後だとはがせない。まずはキーボード側の緩衝材に、表示面を向けて倒しておく。さらに金属製の端子を、先ほどの端子に接続する。小さくて細かいピンが集まっている端子なので、力を入れ過ぎて破損しないように注意したい。

 ここまで作業したら、あとは絶縁テープを貼り直し、ベゼルをもとに戻すだけでよい。ベゼルはヒンジに近いほうのツメを合わせて挿し込み、周囲のツメを少しずつはめ込んでいこう。はめ込むときにも「パチ」という音がするので、それを目安にするとよいだろう。

液晶パネルと本体は、左側のヒンジの近くにある小さなインターフェースで接続されている。保護用の絶縁テープをはがす
徐々に力を入れながら、インターフェースケーブルを外す
液晶パネルを入れ換えたら、先ほどのポートに新しい液晶パネルのケーブルを挿す
新しい液晶パネルを、天板のくぼみに合わせてはめ込む
パチンパチンと音がすることを確認しながら、ベゼルをもとに戻していく

 底面のバッテリをもとに戻して電源ボタンを押すと、Windows 10が起動する。ここで何かドライバのインストールなどが必要になるのかと思ったが、とくになにも要求されずにフルHDのデスクトップが表示された。一般的なデスクトップPCでも、液晶ディスプレイを変えるたびに何か設定を変更するわけではないので、そう言うものなのだろう。

 交換後に感じるのは、映像の緻密さと美しさである。視野角や色再現性は、交換前のTNパネルとは比較にならないレベルと言ってよい。表示サンプルのチューリップを見ると、朝露に濡れたしっとりとした表面の質感、そしてみずみずしい赤や黄色の色合いがしっかりと表現されている。

交換前の解像度は1366×768ドットだが、交換後は1,920×1,080ドットになっている(左:交換前、右:交換後)

 スケーリングは125%に自動で設定されており、文字やアイコンの表示サイズは古い液晶パネルとほぼ同等。しかし解像度が向上し文字を構成するドット数が増えたことで、文字の払いや曲線のなめらかさなどといったディティールがグッと向上した。総じて非常に満足度の高いアップグレードであり、これが8,000円でできるのはかなりオトク感がある。

無線LANもアップグレードしてみよう

 今回はもう一つ、無線LANのアップグレードも行なった。世代の古いThinkPad X240では、IEEE802.11b/g/nまでの対応であり、無線LANでファイルをやり取りする速度が異常に遅く感じたからだ。

 底面のカバーを開けているため、無線LANインターフェースカードを交換することもできた。しかしこのタイプの無線LANカードは、製品数が少なく高価で、入手性も非常に悪い。一般的なUSB接続の無線LANインターフェースを導入するほうがよいだろう。

アイ・オー・データ機器の「EX-WNPU1167M」

 購入したのはアイ・オー・データ機器の「EX-WNPU1167M」で、実売価格は3,000円前後。IEEE802.11a/ac/b/g/nにフル対応しており、2本のアンテナで867Mbpsまでの帯域に対応する。

 筆者の事務所では同じくIEEE802.11a/ac/b/g/nに対応し、最大で1,625Mbpsまで対応するNetGearの「Nighthawk X6S」を軸にネットワーク環境を構築しており、帯域は十分だ。

 これはUSBポートに挿すだけでWindows 10に認識され、利用できるようになるのでとくに説明は必要ないだろう。シーケンシャルリード/ライトは、変更前に比べるとおおむね3倍に跳ね上がっており、これなら動画ファイルのやり取りでも不満を感じない。

無線LANインターフェースをアップグレードすることで、ファイルのやり取りが早くなる(左:内蔵無線LAN、右:USB無線LAN)
ちなみに内蔵有線LANで接続する場合は、内蔵HDDと大きな違いはなかった

 側板を空ければすぐに拡張作業が行なえるデスクトップPCとは違い、ノートPCでは拡張作業の難易度は高い。今回紹介したように、内部へのアクセスは簡単ではないし、ほかの部品を破損しないように慎重な作業が必要となる。とはいえ、作業の見返りはかなり大きい。

 しばらく使って不満を覚えたら、という今回のようなプランもよし。目的としているスペックでは高くて手が届かないので、今回のような拡張作業を前提にして予算に収まるモデルを購入すると言うのもよし。ThinkPadシリーズのような有名ブランドであればユーザーがネットで報告している事例も多いので、そうした事例があるモデルを決め打ちで探すというのもありだろう。