2020年6月3日 06:01
自宅で仕事をするテレワークが意外な形で広がり、業務環境の整っていなかった自宅に十分な性能のPCを導入しよう、という動きが活発になっている。ところが工場での生産や国際的な流通が滞り、急速なニーズの拡大に対応しきれず、手頃な価格帯の在庫は枯渇気味に……。一時は実店舗でもネット通販でも品薄となり、新しいPCが欲しいのにすぐに手に入らない時期もあった。
6月時点では在庫状況はある程度改善してきているものの、依然として人気モデルのなかには納期の見込みが立たない製品も少なくない。とはいえ仕事は待ってくれないわけで、できるだけ早くに実用的なPCを手に入れて、効率にテレワークをこなせるようにしたい、と考える人もいるはず。外出自粛が緩和されて出勤がOKになっても、今後を見越してテレワーク環境を整えておくことは重要だ。
そこで注目したいのが中古ノートPC。国内で流通する中古ノートPCは現在在庫が豊富にあり、即納できるものも多い。ただ、「中古」と聞くと性能や見た目になんとなく不安を感じないこともない、というのが正直なところ。そのあたり、実際はどうなのだろうか。日本マイクロソフト Office Personalが付属する中古ノートPC「東芝 Dynabook シリーズ」を、中古PCのネット販売で有名なオーエープラザ(OA-PLAZA)から入手したので試してみた。
中古PCでもテレワーク向け装備が充実、約6万円の15インチノートPCはなかなか高性能
今回手に入れたのは東芝(現Dynabook株式会社)製の「dynabook B65/Y」という15インチクラスのビジネスノートPCをオーエープラザがリファービッシュしたモデルだ。日本マイクロソフト Office Personalがセットになったモデルは税込59,800円。
自宅で仕事に使うにはちょうどいいサイズ感のモデルだ。CPUが第5世代のIntel Core i5-5200U(2.2GHz/2コア・4スレッド)なので、元々の発売時期としては2015年頃だろうか。OSはWindows 10にアップグレード済みだ。
メモリは8GBで、リッチな容量とは言えないものの、業務用途なら許容範囲内といったところだろうか。ディスプレイはHD解像度(1,366×768ドット)で、昨今のIPS液晶に比べれば若干コントラストが低く、視野角があまり広くない印象を受けるが、視認性が低いというわけではない。写真・動画の編集やDTPで正確な色再現が必要ならともかく、ビジネスアプリケーションの使用には全く問題なさそうだ。
ストレージは256GBのSATA SSDを搭載。本来dynabook B65/Yが搭載していただろうHDDから交換されている。オーエープラザが販売する中古ノートPCはいわゆるリファービッシュ(整備済)品で、性能的にもセキュリティ的にも不安のつきまとうストレージは基本的に新品に交換されているようだ。ストレージは今やPC全体の性能に最も影響しやすい要素の1つだけに、SSD化されたこのモデルは、元の状態と比べて明らかに性能が高くなっているはずだ。
DVD-RやCD-Rなどの書き込みに対応する光学ドライブ「DVDスーパーマルチドライブ」を内蔵しているのもポイントが高い。今どきのPCでは省略されることの多い装備だが、現在もデータのやり取りに光学メディアを利用している企業はあるだろうし、息抜きにDVDで映画を見ることができるという点でも重宝する。さらにSDカードリーダー(SDXC対応)も搭載しているので、デジカメ写真の取り込みなどもスムーズだ。
そしてもちろんWebカメラもある。テレワーク需要で同じく品薄が続いているWebカメラだが、中古ノートPCを購入すればほとんど自動的についてくるわけだ。
オンライン会議ツールのSkypeやZoomで使ってみたところでは、十分に満足できる画質。マイクももちろん内蔵しているから、追加装備なしでWeb会議が可能となっている。ただ、マイク性能は最新のノートPCであってもあまり重視されていなかったりする部分。より聞き取りやすい声を相手に届けたいのであれば、ヘッドセットなどの導入を検討しよう。
オフィスアプリケーションは快適に動作、中古PCはアリ!ディスプレイ追加でさらに快適に使うことも
今回紹介しているPCのOSは当然のことながらWindows 10。しかもビジネス向けのWindows 10 Proだ。オフィスアプリケーションには互換アプリではなく、正真正銘の日本マイクロソフト Office Personalがプリインストールされている。
本体と一緒に同梱のプロダクトキーを入力するだけで、Word、Excel、Outlookの3種類のアプリケーションをすぐに使い始めることが可能だ。
実際に快適に動作するのか、試しにWordで画像入りの原稿を作成してみたところ、アプリケーション自体の起動やファイルの読み込みに待たされることはなく、カーソルの動きも、文字入力も、画像を挿入したときの動作も、全てに不満がない。文書のスクロールがもたついたりすることもなく、かなりきびきび動く。CPUがCore i5で、ストレージがSSDなのが効いているように思える。
Excelでは、多数の数値を3次元グラフで表現するスプレッドシートを読み込んで編集してみたが、やはり何ら問題なかった。こういった事務的な処理では絶対的な要求性能がそこまで高くないためか、より性能の高いデスクトップPCで同じ処理をしたときと比べても、大きな差を感じられるほどではない。
WordとExcel、OutlookにWebブラウザーなど、複数のアプリケーションを同時使用している状態のメモリ消費量は、8GBのちょうど半分となる約4GBで、まだまだ余裕があった。
こうしたアプリケーションの操作だけでなく、通常のWindowsの操作においてもストレスを感じるところはなく、かなりサクサクと動いてくれて、「これで十分じゃないの」という気持ちになってくる。
全体的には不満なく使いこなせるが、強いて言えば、オプションで選べるマウスがさらに使いやすいものであればと思うときもある。長時間PCに触れるのであれば、こだわって自分好みの高機能マウスに入れ替えると生産性はもっと上がりそうだ。
ちなみに仕事の効率を高めるという意味では、マルチモニターにするのも凄くアリ。今回のdynabookにはHDMI出力とVGA出力があり、外部モニターと接続することで最大3画面の広大なデスクトップを実現できる。
業務に適した21~23インチ、フルHD解像度のモニターは、新品でも今や1万数千円からのお手頃価格で手に入る。さほど大きな出費にもならないので、中古ノートPCと合わせて購入し、さらに快適な業務環境に仕立てるのもいいのではないだろうか。
想像よりもずっと満足度の高い中古ノートPC、カスタムしてさらに快適にすることも
ざっと使ってみた感じ、ビジネス用途でこれだけ満足感のある今回の中古ノートPCが約6万円で手に入るので、ずいぶんお買い得な感じがする。
グラフィック処理などの重い作業をするからどうしても最新PCじゃないと! という人でない限りは、これくらいの性能の中古ノートPCでいろいろ間に合ってしまうに違いない。手頃な価格帯の最新PCが手に入りにくい状況では、安価な中古ノートPCが代替品としてちょうどいいのではないだろうか。
メモリ8GBは少ないなあ……と感じる人には、カスタマイズをおすすめしたい。オーエープラザのリファービッシュ品の中古ノートPCは、モデルにもよるが注文時にメモリの増設やストレージの大容量化といったカスタマイズをすることも可能だ。
まるでBTO PCのように、中古であっても用途に合わせて性能をできる限りアップさせられる(あるいは性能を下げてコストを抑えられる)のは魅力。テレワーク用としてメインPCにしてもいいし、すでにメインPCを持っている場合は、サブマシンとして脇に置いて使うのもいいだろう。