2025年1月17日 09:00
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全体的な基本性能の上昇、極端な値引き合戦の消滅や端末価格の値上がりにより、かつてより注目度が高くなっている“中古スマートフォン”。前回の記事では、中古スマホ購入時のチェックポイントやスマホ特有の注意点などの基礎を紹介した。後編となる本稿では、中古スマホを買った後に、旧端末から新端末に環境を引っ越しする手順や注意点を解説する。
中古スマホへの乗り換えは、基本的にはキャリアショップなどの手厚いサポートに頼りにくく、自力での作業が必要となる。通信のみならず決済にも必要な“現代の生活必需品”であるスマホの環境移行の失敗は可能な限り防ぎたいところ。以前に比べると環境移行は簡単になっているので、本稿を参考に、ぜひチャレンジしてみていただきたい。
自力での環境移行も今は比較的簡単異OS間移行の情報も充実
中古スマホへの乗り換えも機種変更の一つ。情報端末にあまり詳しくない方だと、中古スマホを購入するとしても機種変更の作業をどのようにすればよいか、というところに不安に感じるかもしれない。代表的な移行の例を簡単に紹介していこう。
まず、“AndroidからAndroid”、“iPhoneからiPhone”という、同OS間での移行は最近かなり簡単ではある。移行元と移行先で同じGoogleアカウント/Apple IDを設定することで、多くの設定、電話帳、導入済みアプリ(アプリ側の対応は必要)まで、アカウントにひもづけられたものが自動的に移行できる、という仕組が用意されている。
Android⇔iPhoneという異なるOS間での移行は若干手間がかかるが、Apple、Androidが公式サイトで移行方法を解説している。今回はAppleの解説を参考に、Android端末からiPhoneへの移行の流れを追ってみよう。移行元スマホにはAndroid端末の「Galaxy Note 8」のドコモ版、移行先にはiPhone 15 Pro Maxを用意した。
まずはAndroid側での事前準備。作業の際には、AndroidのWebブラウザからAppleの移行解説ページを表示させておくとちょっとスムーズになる。このページからリンクされている移行アプリ「iOSに移行」(Apple)をインストール、起動しておこう。
次はiPhone側での作業。iPhoneの電源を入れると自動的にセットアップ画面がはじまる。画面をスワイプして次の画面に移ろう。指示に従っていくと、画面中央で「近くのデバイスを検索中……」と表示される画面になるが、これはiPhone→iPhoneの移行や新たにiPadなどを使い始めるためのもので、ここではAndroid端末は検出してくれない。そこで「もう一方のデバイスなしで設定」をタップする。タップした先の「アプリとデータを転送」画面に「Androidから」という項目があるのでこれを選ぶ。
スムーズに検出されれば、1回限りのパスコード入力画面になる。iPhone側にコードが、Android側は入力画面になるので表示のとおり入力する。認証されれば画面が切り換わるので、Android端末側で転送する項目にチェックを入れ、一部アクセス許可の確認画面で許可を選ぶ。「続ける」をタップすれば転送が開始する。
あとは「転送が完了しました」の画面を待つだけだ。かかる時間はデータ量によるが、充電ケーブルを挿した状態で行うのがよいだろう。iPhoneを使う上で必須となるApple IDの作成などはその後の画面で行う。すでにApple IDをお持ちならそれを利用すればOK。画面の指示に従って進めていけば、さほど苦労することなく移行は完了するだろう。AndroidとiPhoneではアプリが当然ながら異なるので、あとは手動でアプリのインストールや細かい設定の調整を行っていこう。
移行作業時に気を付けるべきこと・知っておきたいこと
以上のように、新旧端末間での基本的なデータ移行はそれほど難しくなくなったのだが、注意が必要なものもいまだに残っている。
電子マネーは事前に手順を確認!
移行に注意が必要なものの筆頭は電子マネーだ。移行が上手くいかなくてお金を全額失う、ということはめったにないが、復旧には手間と時間がかかってしまうため、その間電子マネーを使えなくなってしまう。移行を検討する前段階から、自力でできる・できないを含めて一通りチェックしておくことをおすすめする。
とはいえ、最近ではその手順もだいぶ洗練され、同じOS間であればそこまで苦労しなくても大丈夫になっている。筆者も過去にiPhone→iPhoneで電子マネーの移行を経験しているが、その際はモバイルSuicaとiDに絞って利用していたこともあり、スムーズに移行できた。
異なるOS間での電子マネーの移行であってもスムーズに移行できるものが多いが、種類によっては、残額を引き継げず一度口座に払い戻しをしたり使い切ったりといった手間がかかるものもあるようだ。移行方法は電子マネーごとに異なるので、いくつもの電子マネーを登録している方は、事前に移行方法をリストアップし、手順を確実にこなしていくようにチェックしながら作業するとよいだろう。時間や手間がかかるケースもあるので、余裕をもって作業する・別の決済手段(現金やカードなど)も用意しておく、などの準備をしておけばより確実だ。
もう一つ、電子マネーの移行について調査していた最中に気付いたのだが、Web検索からリーチできる情報の中には“古い情報”も紛れているため注意が必要だ。電子マネーの移行方法は、年を追うごとに進歩しており、今とは手順がガラッと変わっている、ということも少なくない。情報収集の際には、まずは、Android/Appleやキャリアの公式サイトに掲載されている機種変更関連の情報やQ&Aなどの“最新の情報”を確認しよう。追加の情報を探す場合には、この次に改めてWeb検索して補完する参考情報を確認すれば、見つけた情報が最新のものなのか古いものなのかの判断が付けられるはずだ。
各種アカウントはアプリ/クラウドも活用
次は各種のアカウント情報だ。GoogleアカウントやApple IDは絶対に忘れないようにしておきたいのだが、顔や指紋などによる生体認証を備えたスマホを使っていると、アカウント登録以降は生体認証で簡単ログインしていたため、本来のID/パスワードを覚えていない、なんてことも起こりやすい。
ID/パスワードを事前にリストアップしておくというアナログな方法もあるにはあるが、ミスやリスクも。今どきは、アプリ+クラウドを利用したデジタルな方法を活用してみよう。たとえば、Googleパスワード マネージャーやAppleの「パスワード」アプリといったID/パスワード管理機能を日常から利用し、機種変更の際の安全性は高い。ただし、異OS間移行の際でも万能というわけではないので工夫も必要になる(AppleのパスワードアプリはAndroidで利用する方法がないので、iPhone→Androidのときはほかのアプリを使う、など)。
ラクしたいならデータはクラウドへ
写真や動画、各種ファイルの移行は基本的には公式の移行手順で簡単に移行できる場合がほとんどだが、もし個別に移動しなければならない場合はクラウドを活用するのが簡単だ。Googleドライブ、iCloud、OneDriveなど各社のクラウドサービスもよいし、自宅にNASを導入してプレイベートクラウドを作る、というのもアリだ。
断捨離こそスマホコストを抑えるコツ
使用しているサービス/アプリが多いほど、移行は複雑になる。移行時・移行後のダウンロード&インストールにかかる時間はかかるし、OS間移行をする場合は代替アプリを探す手間も生じる。アプリをたくさんインストールすれば容量もたくさん食うことになり、端末コストも上がってしまう。
昨今のスマホは本体ストレージ容量をワンランク上にするだけでも結構価格が上昇する。加えて販売価格が高額な大容量モデルほど流通量が少ない傾向にあるため、当然中古スマホでは選択肢が狭まる可能性があることは気にしておきたい。