取材中に見つけた○○なもの

ブロックチェーンで身分証やIDの管理が変わる?仮想通貨以外にも活用できるのかイベントで見てきた

名古屋で開催された「Blockchain for Enterprise 2018」レポート

 名古屋でブロックチェーンのイベント「Blockchain for Enterprise 2018」が2月22日に開催されました。

 ブロックチェーンは注目度が高いものの、仮想通貨以外に使われているといった話はあまり聞きません。PCの性能を活かせる新しいジャンルなので、仮想通貨以外にも面白い使い道は無いものかと思うのですが……。

 と、そんなことを思っているときに「今後、ブロックチェーン技術がどう活用されるのか紹介されるイベントがある」と聞き、今回編集部から久保が参加してきました。

 INTERNET Watchにもプライベートブロックチェーン「mijin」についての解説と、ブロックチェーンの未来を語るパネルセッションの模様の記事が掲載されているので、気になる方は是非。

ブロックチェーン関連の技術やサービスを各社がプレゼンテーション

 イベントは、ブロックチェーンに関連する企業や著名人が、将来的なビジョンや今後提供予定のサービスなどをプレゼンテーションするもので、半日かけて20セッション以上を実施。

 仮想通貨やブロックチェーンとはそもそもどんなものなのかといった入門的な話から、企業が導入可能なサービスの紹介、今後提供が予定されているサービスなど、内容は様々。今後の展開をかたるものが多かったので、かたちとして見えるものはまだ少ない感じ。それでもいくつかは興味深いものもありました。

 1本目の記事ではどんなイベントだったのかということで、ざっといくつかのセッションを写真でご紹介します。

慶應義塾大学の斎藤氏がブロックチェーンとビットコインの仕組みを解説

慶應義塾大学 SFC研究所 上席所員の斉藤 賢爾氏

 イベントは慶應義塾大学 SFC研究所 上席所員の斉藤 賢爾氏のセッションからスタート。

 ブロックチェーンとは何か、ビットコインとはどんなものなのかといった入門編的な解説が行われました。ビットコインの解説はビーカーや新聞を例えに使い、詳しくない人にも噛み砕くかたちで解説。

 セッションの最後には既存のブロックチェーンシステムの問題点などを改良し、自身が開発に参加している「BBc-1」の紹介も行われました。

ブロックチェーンとは何か
ビーカーを例えにビットコインを説明
ビットコインのブロックの生成は新聞に例えて解説
ブロックチェーンが改ざんされにくい理由
開発に関わっているブロックチェーンの「BBc-1」
直近の著書は「信用の新世紀 ブロックチェーン後の未来」(インプレス)

ブロックチェーンに接続するIoTデバイス向けのセキュリティソフト

Keychainの三島 一祥氏

 Keychainの三島 一祥氏は、ブロックチェーンに接続するIot向けデバイスなどに組み込めるセキュリティソフトを紹介。

 Raspberry Piなどに組み込んで使用可能なもので、ソフトの軽さ、処理速度の速さ、セキュリティの高さなどがウリとして紹介されました。

Raspberry Piに組み込んで使用できるIoT向けのセキュリティソフト
IoT向けのものはまだまだ少ないそう
金融関係での利用も想定

ICOに関しての規制や規則、実施方法などを紹介

コンセンサス・ベイスの白石 義彦氏

 コンセンサス・ベイスの白石 義彦氏はICOの規制や規則、実施する際のポイントなどを解説していました。

ICOの規制/規則の現状
ICO企画を実施する際の考え方
トークン企画に関する解説

ブロックチェーンで電気はミネラルウォーターのように付加価値がつく?

エポカの大串 康彦氏

 エポカの大串 康彦氏はブロックチェーンによって電気に付加価値をつけるサービスを提案。

 ミネラルウォーターを例えに、電気に付加価値をつけることを提案。昔であれば水道水しか飲み水は無かったが、現在であれば銘柄を選んで購入することがあたりまえになっており、こうした付加価値を電気にもつけられると紹介。

 海外では電力取引にブロックチェーンを導入しているところもあり、エネルギー分野でブロックチェーンが活用されている例も紹介されました。

電気の付加価値を上げる方法
新しいサービスは増えつつある
ミネラルウォーターを例に、電気も付加価値がつく時代になると紹介

AI時代のブロックチェーンの活用法を紹介

ソラミツの武宮 誠氏

 ソラミツの武宮 誠氏は、AIがデジタルガバナンスの利用される際の安全性をブロックチェーンで担保する案などを解説。

 オープンソースのブロックチェーン「Hyperledger Iroha」のコードは同社が提供したもの。同社のブロックチェーンシステムはカンボジアの国立銀行にも採用されており、技術力のアピールも行われました。

AI時代のブロックチェーンの活用を提案
同社のシステムはカンボジア国立銀行にも採用されている
オープンソースのブロックチェーン「Hyperledger Iroha」は同社が提供

ゲーム内の通貨やカードを価値記録化、実例などを紹介

IndieSquareの星野 裕太氏

 IndieSquareの星野 裕太氏はゲーム内の通貨やカードをトークン化し、ブロックチェーン上で価値が担保されたものとしてユーザー間でやりとりできる実例などを紹介。

 ゲーム内のアイテムなどは価値化するのが難しいものでしたが、ブロックチェーンを使うことで改ざんなどが行われない価値のある物として定義可能になることが解説されました。

 ちなみに、星野氏は携帯ゲーム「チャリ走」の作者だったりもします。

ゲームを例に、価値化が難しかったものに価値を定義する例を紹介
ブロックチェーンを利用したゲームの実例
評価が難しかったものも価値をトークン化することで評価可能に

ブロックチェーン使った国連の取り組みや、今後ブロックチェーンが活用される分野を紹介

日本ブロックチェーン協会の樋田氏

 日本ブロックチェーン協会の樋田氏は、ブロックチェーンを使った国連の取り組みや、海外での使用実例、今後大きな影響を受けると思われる分野などの紹介を行いました。

 国連の取り組みは、身分証を持てず、公的なサービスが受けられなかったり、経済活動に参加できない人にIDを発行し、こうした人たちの生活を手助けするもの。日本では免許証や保険証が身分証として使われることが多かったりしますが、これがうまくいくと将来的には身分証の扱いもいろいろ変わるかもしれません。

 このほか、海外企業ですでに利用されているブロックチェーンの実例が紹介されたほか、取引の自動化、証明書等の権利関係の処理など、大きく影響を受けそうなジャンルの紹介も行われました。

国連での取り組み
海外で使用されているブロックチェーンの実例
今後の展望