取材中に見つけた○○なもの

元日本AMD社長の吉澤氏が大阪のブロックチェーンセミナーに来場、会場の様子をちょっと紹介

ブロックチェーン用PCのトレンドが変わる?少し先の話も聞いてきた

 7月下旬に開催されたイベントなのでちょっと前の話になってしまいますが、ブロックチェーンの最新動向や活用例を解説するセミナー「ブロックチェーンが変える世界と最新動向」に参加してきたので、その中でちょっと気になった話などをご紹介します。

 なお、イベントは東京と大阪で行われており、一つのセッション以外は共通の内容。東京のセミナーの模様が仮想通貨Watchの記事で紹介されているので、セミナーの主な概要はそちらを見てもらえればと思います。

 また、会場にはPCパーツメーカーの完成品マイニングリグも多数展示されていました。なぜPCパーツメーカーが完成品マイニングリグを投入する流れになっているのかは、MSIへのインタビューを行っているので、そちらをご覧ください。

セミナー主催のWOODMANは元AMDスタッフが多数在籍、元AMD社長の吉澤氏も

 大阪でのセミナーを主催したのは、大規模ブロックチェーンシステムの構築やコンサルティングを手がけるWOODMAN。
 WOODMANの代表は元AMDの小野 慎二郎氏で、顧問は元AMD吉澤 俊介氏。技術関連も元AMDのスタッフが多く、AMD色が強いメンバーが集まった企業のようです。

WOODMAN代表の小野氏
WOODMAN顧問の元日本AMD社長の吉澤氏

 ちなみに、吉澤氏はAMDのレアグッズなども会場に持ってきており、Ferrari × AMDのノベルティバックパックを自慢されました(笑)。色も鮮やかで作りもしっかりしており、貴重さも合わせて納得の逸品。CPUコアを樹脂に封入したノベルティグッズも見せてもらえる予定でしたが、ホテルに忘れてきたとのことで、それは次の機会にとなりました。

Ferrari × AMDのコラボレーションバックパック。関係者のみが持つ貴重な逸品?

PCパーツメーカー各社が完成品マイニングリグを投入、多数のシステムを管理するためのソリューションも

 会場には複数メーカーのマイニングリグが展示されており、各メーカーの担当者が来場者にレクチャーしていました。

 メンテナンス性を重視したオープンフレームタイプ、ラックなどに収めることを前提にした薄型タイプなど、各社デザインなどは異なりますが、完成品で攻めるという方向は同じのようです。

 個人向けの仮想通貨マイニングニーズが落ち着いていることもあり、今後は購入して即使うことができる業務向けのニーズがメインになっていくのかもしれません。

ASRock
ASRockが展示していたマイニングリグは、縦方向へのゆとりがあるケースを採用したモデル。自社でマザーボードもビデオカードも設計できるので、システム全体としての完成度は高そうです。
MSI
MSIが展示していたマイニングリグは、オープンフレームタイプのモデル。メンテナンス性を最大限高めたモデルで、ビデオカード部分はトレイのように引き出せるようになっていたり、冷却ファンもまとめて取り外せる構造になっていたりと、パーツの交換などが簡単に行える仕組みになっています。
TUL(PowerColor)
TULのマイニングリグはラックなどの納めて使用することを前提にデザインされたモデル。ラックマウントサーバーのように前方から吸気、背面に排気と風を一方方向に流すエアフローデザインになっています。ビデオカードはファンレスで、ケースファンで冷却する前提のモデル、マザーボードもビデオカードサイズの特殊な物が使用されています。
XFX
XFXは薄型タイプとマザーボードとビデオカード部分が2段構成になったモデルの2製品を展示。設置スペースなどに合わせて複数モデルをラインナップしているようです。
日本電産設備
日本電産設備は複数のマイニングリグを監視するためのソリューションを展示。マイニングファームなどを設営した際に、遠隔地から各マイニングリグのステータスを確認したり、管理を行ったりできるものになっています。

ブロックチェーン用のPCは小型化されて各家庭に置かれる時代になる?

 セミナーの内容は仮想通貨Watchの記事を参照してもらいたいのですが、大阪でのみ行われたAerial Lab Industriesの小松 周平氏のセッションの中で気になる発言があったのでその部分だけご紹介します。

 Aerial Lab IndustriesはドローンやAI、ブロックチェーンシステムなど開発などを行っている企業で、珍しいところではエアーバイクの開発なども行っています。

Aerial Lab Industriesの小松氏
開発中のエアーバイク、日本でも“一般的なバイク”として乗車できるかたちで販売予定とのこと

 セッションでは現在研究などを行っている分野などが紹介されていたのですが、その中で「他社は大型なシステムを投入しているが、弊社は家庭に置くことを前提とし、小型で超静音タイプのモデルをテストしている」との発言がありました。

 通常、ブロックチェーンで性能を出したければ、多数のビデオカードを搭載した大型のモデルがセオリーです。セッションでは小型モデルに関しての詳細な解説などはありませんでしたが、世界中に自社のマシンを普及させるのを目的としているとのことなので、用途自体がこれまでのものとは違うのかもしれません。もしかしたら思いも寄らないことに使われるかもしれないので少し動向を気にしたいと思います。

ドローンがより活用できるように働きかけも行っているそうです。
自社のマイニングマシンの普及にも力をいれるとのことなので、今後の動きにも注目です。

次世代のブロックチェーンシステムはAIの演算性能も重要?今後のトレンドも少し聞いてみた

 今回のセミナーでは、AIやDeep Learning、グラフィックのレンダリングなど、ブロックチェーンのシステムを仮想通貨マイニング意外にも最大限活用できないかといった話がチラホラでていたので、今後のブロックチェーンのシステムがどうなるのか、WOODMANの技術担当の方に聞いてみました。

会場に展示されていたRyzen Threadripper + Radeon Vegaのシステム。今後はマイニングもAIなどの演算処理なども行える両対応タイプが主流になる?

 現在のブロックチェーンシステムはビデオカードをPCIe X1レーンで多数接続するタイプの物が主流ですが、AIやグラフィックレンダリングに使用するにはビデオカードを接続するPCIeの帯域が必要とのことで、そのまま活用するのは難しいそうです。

 仮想通貨は価値が乱高下することが多く、仮想通貨の価値が下がった際はAIなどの演算に、仮想通貨の価値が上がった際はマイニングにと、状況に合わせ用途を変えられるものが理想とのことです。

 現在このニーズを満たすには、Ryzen Threadripper + Radeon Vega×4枚の構成がバランスが良いそうで、今後はビデオカード側の帯域を増やしたマシンが増えていくのでは無いかとのことでした。ちなみに、デモ機はイベント用に“魅せる”ことを重視したため、Radeon Vega×2枚の構成になってしまったそうです(笑)。

 現在ではなかなかコストがかかる構成なので、マイニングだけを考えると導入が難しかったりしますが……、数年後にはブロックチェーン用マザーボードは今のモデルとはかなり異なる仕様になっているかもしれません。このあたりもちょっと気にしながら追ってみたいと思います。