【 2000年4月29日号 】

AdaptecからIDE用のRAIDカード「AAA-UDMA」登場
フルサイズのカードでIDE 4ポートを装備

AAA-UDMAパッケージ
【AAA-UDMA】【パッケージ】
RAID 0デモ中貼り紙
【RAID 0デモ中】【貼り紙】
IDEコネクタ68Pinの空きパターン
【IDEコネクタ】【68Pinの空きパターン】
AIC-7890接続図
【AIC-7890】【接続図】

 SCSIからIDEへというストレージ用インターフェイスの流れはとどまるところを知らず、ついにはエントリーサーバーをターゲットにしたIDE RAIDカードまで登場。SCSI関連メーカーのリーダー的存在であるAdaptecから、本格仕様のIDE RAIDカード「AAA-UDMA」が発売され、特にハイエンド志向ユーザー達からただならぬ注目を集めている。IDE用としては初めてRAID 5をサポートするフルサイズのPCI用カードで、4台までのHDD接続をサポートする。

 販売を始めたのはUSER'S SIDE本店で、価格は56,800円(詳細は「今週見つけた新製品」参照のこと)。ただし、初期入荷分が少量だったために即完売となった。このほかでは、PCiN秋葉原が5月1日(月)に販売する予定という。

IDE対応では初のRAID 5サポート

 「AAA-UDMA」は18日(火)にAdaptecから発表されたばかりのIDE RAIDカード。Promise Fasttrak66などの低価格IDE RAIDカードとは違い、仕様はより本格的なもので、カードはPCI用でフルサイズ、標準2MBで最大64MBのEDO DIMMによるキャッシュメモリをサポート、Ultra ATA/66対応のIDEポート4つを搭載、RAIDのサポートレベルは0/1/0+1はもちろん、IDE対応製品として初のRAID 5もサポートする。

 RAID 0(ストライピング)は複数のHDDに分散してデータを書き込んで高速性を高め、RAID 1(ミラーリング)は2台のHDDに同時にデータを書き込むことで信頼性を高める。RAID 5(分散データガーディング)は基本的にRAIDでは最上位のレベルにあり、複数のHDDに対してデータとエラー訂正用パリティデータを分散して書き込むことで、高速性と信頼性をバランス良く高めることができるもの。

 このカードは1つのIDEポートに1台のHDDしか接続できないため、HDDの最大接続数が4台までという制限があるものの、まがりなりにもRAID 5をサポートしていることで、パーソナル用ではくエントリーサーバー向け製品と位置付けられている。価格もアメリカでの推定小売価格が429ドルと、既存のIDE RAIDカードとはあきらかに格が違っている。

なぜかSCSIコントローラーが…

 販売されているのはリテールパッケージ品で、カードとマニュアルのほか、キャッシュ用の2MB EDO DIMM、IDEケーブル4本などが同梱されている。カード上には多数のチップが載り、その中にはCPUのAMD Am186、Programmable Logic DeviceのALTERA FLEXとLattice ispLSI 2046、RAID co-processorのAdaptec AIC-7815、そして面白いことに定番SCSIカードのAHA-2940U2Wなどで採用されているSCSIコントローラーAIC-7890まで載っている。カードのブラケット付近には68Pinの外部SCSIコネクタをとりつけるためと見られる空きパターンもあり、IDEのコネクタさえ見なければ、まさに一般的なSCSI RAIDカードそのもの。

 こうした状況を考えると、どうやら基本構造はSCSI RAIDカードのままで、デバイス制御部分をIDE-SCSI変換して動作させる仕組みになっているようだ。仮にそうだとすると、RAIDシステムの構築では総合的な低コスト化は実現できるものの、変換部分でのオーバーヘッドなどを考えると高速性は犠牲になっている可能性がありそうだ。

 リテールパッケージにある説明書きによると、サポートしているOSはWindows NT4.0、Windows 2000、NetWare 4.2/4.5。Windows 98などはサポートされていない。

「じゃんけん大会」成立せず

 USER'S SIDE本店が29日(土)の販売分として用意していた在庫は2つ。争奪戦が予想されたため、同店では「じゃんけん大会」の勝者に販売すると事前に予告していた。しかし、指定時刻の17時に集まった購入者は2人だけだったため、そのまま何の混乱もなく即完売となった。話題性と注目度が抜群の製品とはいえ、さすがに6万円近いIDE RAIDカードにすぐ飛びつく人はそう多くなかったようだ。

 同店では、店内でMaxtor DiamondMax Plus 40の20GBモデルを4台接続して実際にRAID 0のデモを実施中。スピードや安定性、ユーティリティの操作性など、実際に自分の目で確かめてみたいという人はここでチェックしてみるといい。

 大手メーカーの製品でもあり、今後流通量は徐々に増えるのは確実。個人で購入するという場合には、焦らず、ひとまず同店でのデモや、先人達の評判をまず確かめるというのがベストかもしれない。

販売風景:動画【販売開始の状況】
aaaudma.mpg (約1.3MB / 31秒 / 320x240pixel / MPEG-1)

□Ultra DMA/66 RAID Card(Adaptec)
http://www.adaptec.com/products/overview/ultra_dma.html

[撮影協力:USER'S SIDE本店]


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