【 2000年6月17日号 】

Slot A版の“Thunderbird”も出回る、基板に奇妙な絵文字

Thunderbird Slot A Ver.Thunderbird Slot A Ver.
Thunderbird Slot A Ver.Thunderbird Slot A Ver.
Thunderbird Slot A Ver.Thunderbird Slot A Ver.
Thunderbird Slot A Ver.Thunderbird Slot A Ver.
Thunderbird Slot A Ver.全3世代の裸

 Socket A版に続き、Slot A版の“Thunderbird”もアキバに出回り始めた。16日(金)時点で購入可能なモデルは650MHzと700MHzで、単体販売の価格は650MHzが21,000円(詳細は「今週見つけた新製品」参照のこと)、700MHzは19,700円~27,800円となっている(詳細は「今週見つけた新製品」参照のこと)。

 Slot A版の“Thunderbird”は外見上、従来のAthlonとほとんど変わりがないため、見た目の新鮮味はまったくない。新型と従来型を見分ける一番簡単な方法は、カートリッジ上にあるマーキングを見ることで、従来は「AMD-K7xxx」(xxxはクロック数)で始まっていた内容が、新型では「AMD-Axxxx」(同)となっている。AMDに続く文字がK7かAなのかで見分けられるほか、クロック数を示す数値の桁が3桁か4桁かというのも大きなポイントだ。

 ただし、マーキングだけの違いというのは、リマーク品(偽造品)を作りやすい構造ということでもあり、実際に海外ではリマーク品の話題も出始めている。複数のショップによると、日本AMDの代理店もSlot A版の新型Athlonを自ら出荷し始める一方、ショップに対してリマーク品についての注意をメールなどで伝えているという。新旧Athlonをより確実に目視で見分けるもうひとつの方法は、コネクタ側から内部を覗き込み、2次キャッシュのチップが基板上に載っているかどうかを確認すること。もちろん載っていれば従来型で、載っていなければ新型ということになる(従来型Athlonから2次キャッシュを外した偽造品という可能性もありえないわけではない)。現状は並行輸入品と正規代理店からの流通品と2種類が出回っており、後者については一部ショップがマザーボード(K7ProとAK72)とのセットという形で販売を行なっている。

 なお、違いがあまりないというのは外側だけの話で、カートリッジを剥がしてみれば(いわゆる“殻割り”)全く中身が別物であることがわかる。2次キャッシュ用のチップが全く載っていないスッキリした基板になっているほか、Slot A用のコネクタを手前にした場合、従来型Athlonではセラミックパッケージ上に横向きについていたCPUコアが、新型Athlonでは縦向きについている点も大きく異なっている。CPUコアの大きさ自体は0.18μm製造の従来型Athlonとそれほど変わらない。一番興味をひかれるのは基板の表と裏にそれぞれ謎の絵文字が入っている点で、表側にはCPUパッケージの真上に鳥が羽根を休めて立っているような「M」型の絵文字が配置され、裏側の右下部分にはAMDの文字とともに、鳥の羽根を立体的に描いた直線的な絵(あるいは靴に羽根の生えたヘルメスの靴?)が描きこまれている。これらは“Thunderbird”という開発コードと何か関係がある意味深なマークなのだろうか。

 逆に変わっていないという点では、基板上にいわゆる“Golden Fingers”と呼ばれる端子があり、ここを利用することで、これまでどおりCPUの動作クロックの倍率変更などが行なえるようだ。実際に一部ショップの実験では、既存のAthlon用オーバークロックツールがそのまま新型Athlonでも有効だったという。高速電脳では店内で新型Athlon 700MHzとオーバークロックツールのFreeSpeed Proを組み合わせてデモを実施中なので、興味のある人はチェックしてみるといい。なお、このデモ機ではマザーボードにABIT KA7-100、ビデオカードにまだ発売されていないカノープスのGeForce2 GTS搭載ビデオカードSPECTRA 8400が使われている。

 Slot A版の新型Athlonは公式にはAMD-750チップセット搭載のマザーボードでなければ動作しないことになっており、セット販売しているショップの例もMicrostar K7Proとの組み合わせになっている。しかしその一方、動作確認が取れたとしてApollo KX133チップセット搭載のAOpen AK72とのセット販売という例もあり、このあたりはちょっとした混乱もみられる。本当にAMD-750でなければならないのか、あるいはあるとしてどんな問題があるのか、これらはこれから続々と出てくると見られるネット上の動作報告をウォッチする必要がありそうだ。

 どれほどパフォーマンスが新旧で違うのかも含め、すでにSlot A対応マザーボードを持っている人なら、今が自分自身で確かめるいいチャンス。Socket Aの環境へ移行する前にSlot Aの“Thunderbird”に手を出してみるのもいいかも知れない。

□Athlon(日本AMD)
http://www.amd.com/japan/products/cpg/athlon/

 (Athlon 700MHz - Slot A Thunderbird)

[撮影協力:コムサテライト1号店ツクモパソコン本店IIソフトアイランド秋葉原店高速電脳ツクモ12号店CUSTOM]


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