【 2000年7月29日号 】

ようやくVIAのSocket 370用CPU「Cyrix III」がデビュー果たす
500MHzが7,800円、533MHzが9,500円

M IIIではありませんCyrix III販売中
【M IIIではありません】【Cyrix III販売中】
Cyrix III 500MHz(表)Cyrix III 500MHz(裏)
【Cyrix III 500MHz(表)】【Cyrix III 500MHz(裏)】
Cyrix III 533MHz(表)Cyrix III 533MHz(裏)
【Cyrix III 533MHz(表)】【Cyrix III 533MHz(裏)】
Cyrix III 600MHz(表)Cyrix III 600MHz(裏)
【Cyrix III 600MHz(表)】【Cyrix III 600MHz(裏)】
兄弟達(表)兄弟達(裏)
【兄弟達(表)】【兄弟達(裏)】
親戚一同BIOS表示
【親戚一同】【BIOS表示】

 VIAのSocket 370対応CPU「Cyrix III」がようやくアキバでデビューを果たした。一部ショップで500MHzと533MHzの販売が始まったもので、いずれも初物価格ながら1万円を割る安値をつけている。

 紆余曲折の末にやっとデビューした初のP6バス互換CPUは、アキバの自作PC市場で果たして受け入れられるだろうか。

難産だったCyrix III

 「Cyrix III」は、VIAがCyrixとIDTのCPU事業を買収してから初めて自社ブランドでリリースするCPUで、基本的にはCeleron対抗の低価格PC向け製品という位置付けになっている。

 実のところ、このCPUに関しては製品の内容そのものよりも、市場に出てくるまでの紆余曲折の方があまりにも有名で、期待感よりも「やっと出たか」という感想を持つ人の方が多いかも知れない。開発コードが途中で1度変わっているほか、最初の製品発表ではCyrixベースのJoshuaコアだったものが、2度目の製品発表ではIDT WinChipベースのSamuel1に変わっていた、などの経緯がある。

 対応するCPUインターフェイスはSocket 370で、FSBは100MHzと133MHzに対応、128KBの1次キャッシュを内蔵している。ただし、2次キャッシュは内蔵していない。SIMD命令としてはAMDの3DNow!をサポートする。基本的にはマザーボードからCeleron互換のCPUとして見え、ほとんどの場合はBIOS更新の必要もなく既存のマザーボードで動作することがすでに確認されている(詳細は「AKIBA PC Hotline! HotHot REVIEW 番外編:VIA Technologies Cyrix III日本最速レビュー」参照のこと)。

謎?なぜか微妙に違う500MHzと533MHz

 扱っているのはコムサテライト1号店の1店のみで、100MHz×5で動作する500MHzは7,800円、133MHz×4で動作する533MHzは9,500円で販売されている(詳細は「今週見つけた新製品」参照のこと)。初物価格ながら1万円を割っているところは、まさに低価格PC用CPUであることを証明している。なお、マーキング上の仕様を見る限り、どちらも動作電圧は1.8Vとなっている。

 外観はSocket 7用のCyrix M IIや6x86MXとほとんど同じで、セラミックのベース部分を基本に、表面中央部には丘状に盛り上がった金色のHEAT SPREADERがあり、裏側(ピン側)中央部にもコアのカバーにあたる黒い丘状部品が付けられている。マーキングの内容は、500MHzを例にとると、表側には「VIA Cyrix III Processor VIA Cyrix(R)III-500MHz 100MHz BUS 5.0X 1.80V HEATSINK REQUIRED」とあり、裏側には「(C)(M)VIA Cyrix(R) 500MHZ(100X5.0) 0026 TAIWAN A300BN01691」と記されている。533MHzも最後のシリアルナンバーとクロックに関する数値が違う以外は同じパターンで記されている。

 不思議なのは、500MHzと533MHzで外観が微妙に異なっている点。まず、セラミックの色が異なり、500MHzを標準的な赤茶色とすると、533MHzはやや灰色がかった赤茶色になっている。微妙な差ではあるが、両者を並べて見ると一目瞭然だ。面白いことに、兄弟関係にある(?)M IIやWinChip2と並べて色を比較してみると、500MHzはM IIと同じ色で533MHzはWinChip2と同じ色であることがわかる。また、このほかにも、表面のHEAT SPREADER周囲にある余白の金色部分が500MHzと533MHzとで違い、500MHzの方が幅が広くなっている。さらに、表面にある1番ピンの場所を指すマークが、500MHzでは五角形で、533MHzでは一般的な矢印状の三角形という違いもある。

 どちらも台湾での製造品で、工場が違うとも思えず、こうした違いに何か意味があるのかどうかは不明。なお、実際にSOLTEKのApollo Pro133Aチップセット搭載Socket 370マザーボードSL-65JVB-Xで動作させてみたところ、どちらもCyrix IIIとBIOSで正常に認識され、2次キャッシュは0KBと表示された。Joshuaコアならば2次キャッシュが内蔵されているはずなので、外観に違いはあるものの、どちらもSamuel1コアであることは間違いないようだ。

自作マーケットでは予備用CPU扱い?

 それほど高い性能が期待できるわけではないが、互換性の高さと安さを考えれば、「Cyrix III」は自作PCマーケットでは予備用CPUとして、あるいは低コストなサブマシン用CPU、もしくはコレクターズアイテムとして価値を見出すことが出来るかも知れない。

 まだ販売はされていないものの、フェイスではCyrix III 600MHzを店内で参考展示中。マーキングを見る限り、この600MHzの動作電圧は500MHや533MHzと違い、1.9Vになっている。この600MHzも、そう遠くないうちにアキバでデビューを飾ることになりそうだ。

□Cyrix III(VIA Technologies)
http://www.via.com.tw/products/cyr3.htm
【AKIBA PC Hotline! HotHot REVIEW】番外編:VIA Technologies Cyrix III日本最速レビュー
http://www.watch.impress.co.jp/pc/docs/article/20000622/hotrev66.htm

 (Cyrix CPU)

[撮影協力:コムサテライト1号店フェイス]


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