【 2001年4月7日号 】

カノープスが独自構造のCPUクーラー「Firebird R7」を発売
側面が羽ばたく鳥にソックリ、現行コアのCPUでは1.7GHzまで対応

只今入荷!!パッケージ
【只今入荷!!】【パッケージ】
側面ヒートシンク部
【側面】【ヒートシンク部】
底面熱分布図
【底面】【熱分布図】

  ビデオカードのメーカーというイメージが強いカノープスから独自構造のCPUクーラー「Firebird R7」が登場した。低熱抵抗を実現するヒートプリズム構造の採用や羽ばたく鳥に似たイメージのフィン形状などユニークな点が多く、自ら性能追求のためにこだわったと豪語する注目株だ。

 2月の発表直後から大きな注目を集めていたこともあり、店頭での売れ行きも上々という。

SPECTRAシリーズの開発チームが担当

 「Firebird R7」は、ビデオカードのSPECTRAシリーズを担当しているG.I.Worksチームが開発したというカノープス初のCPUクーラー。ビデオカードとCPUクーラーとの間には何の関わりもないように見えるが、同社によると、GeForce2 Ultra搭載ビデオカードのSPECTRA 8800で熱対策と電源対策をした際の技術蓄積があり、それがそのまま今回の「Firebird R7」の開発につながっているのだという。つまり、最近のビデオチップがCPU並みに発熱量と消費電力量が極端に増大していることが、今回の製品が産まれる背景にあるわけだ。

ヒートプリズム構造が熱を均一に拡散

 「Firebird R7」は、アルミ製ヒートシンクとファンの組み合わせという素材の組み合わせの点ではオーソドックスなCPUクーラーだが、ヒートシンクの構造や各種部品に独自の工夫が凝らされている点が普通の製品とは異なっている。

 一番の肝はヒートプリズムという構造にある。これは、ヒートシンクのコア接触部をまたぐかたちで水平の三角柱構造体を設け、そこから放熱用のフィンを斜めに羽根のように伸ばすという独特の構造で、外見上はまさに羽ばたこうとしている鳥のよう。この構造のメリットは、CPUコアの熱を垂直と水平方向に均一に熱を逃がすことができることで、結果的に効率的な熱拡散が行えるのだという。一般的なヒートシンクは、薄い水平のベース板に対して垂直にフィンが立っているだけの構造のため、水平方向に熱抵抗が高いかたちになり、結果としてヒートシンクの中央部に熱が集中しやすくなってしまうという。

 また、流体軸受けを採用した直径6cmの九州松下製大型ファンを改良し、標準で4,000rpmの回転数を特注で4,500rpmに高めて風量を確保しているという特徴もある。

 さらにユニークなのは、固定用のクリップがCPU別に専用のものが用意されているという点。これは、ひとつのクリップだけでは本来、CPUによって異なるコアの高さや推奨される圧力の違いを吸収できないためで、すべての条件でベストな状態を引き出すためにクリップもCPU別に設計してあるのだという。製品に標準で同梱されているのは、IronCraw-AというAthlon/Duron向けのSocket A用クリップのみで、このほかPentium III/Celeron向けのSocket 370用IronCraw-370、Pentium 4向けSocket 423用IronCraw-423が別途発売される予定になっている。

将来のコアベースでは2GHzまで対応

 こうした新設計を採用することで、実際に動作確認がとれている範囲ではAthlonは1.2GHz、Pentium 4は1.5GHzまで対応でき、さらに予想値としては、現行のコアであればAthlonは1.6GHz、Pentium 4では1.7GHzまで対応可能、将来の製造プロセス縮小版のコアであれば、いずれも2GHzまで対応できる見込みという。

 これまでにも、アキバではさまざまなCPUクーラーが出現しては話題になっているが、今回の「Firebird R7」は別格の注目度の高さだと言える。CPUクーラーという本来なら非常に地味なパーツであるにもかかわらず、各ショップの店先などでは「Firebird R7入荷!」などとアピールしているケースが多く見られ、売る側もかなりの力を入れている様子。また、いくつかのショップによると、入荷直後から売れ行きも好調という。このぶんだと、今後のユーザー側の評価しだいでは新たな定番になる可能性も高そうだ。

 製品には信越化学の超低熱抵抗グリスと、簡単にクリップを固定するための専用装着工具も付属しており、このあたりにも細かいこだわりが見られる。実売価格は4,980円~5,800円(詳細は「今週見つけた新製品」参照のこと)。なお、くれぐれも、製品には固定用クリップとしてSocket A用のタイプしか標準で入っていないことをお忘れなく。また、一般的なCPUクーラーと比較して、サイズが76mm(W)×60mm(D)×48mm(H)と大きく、特に横幅があるのでマザーボードによっては取り付けられないことがあるので要注意。同社によると、AOpen AX3SProやASUS P4Tなどでは取り付けられないことが確認できているとのこと。

□Firebird R7(カノープス)
http://www.canopus.co.jp/catalog/firebird/firebird-r7_index.htm
【2001/2/23】カノープスから登場した高性能CPUクーラー「Firebird R7」の実力を探る(AKIBA PC Holine! HotHotレビュー)
http://www.watch.impress.co.jp/pc/docs/article/20010223/hotrev97.htm

 (カノープス Firebird R7)

[撮影協力:パソコンハウス東映コムサテライト1号店PCiN秋葉原]


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