【 2001年6月2日号 】

最新DステップのPentium III発売されるも問題多し、トラブル続出?
現状では動作しないマザーあり、店頭でDステップとCステップが混在

Flip Chip PGAの有無Warning
【Flip Chip PGAの有無】【Warning】
D Step 1GHz(表)D Step 1GHz(裏)
【D Step 1GHz(表)】【D Step 1GHz(裏)】
パッケージ(裏)パッケージ(側面)
【パッケージ(裏)】【パッケージ(側面)】
C StepとD Stepの違いB~D Stepの裏
【C StepとD Stepの違い】【B~D Stepの裏】
価格は変わらず注意書き
【価格は変わらず】【注意書き】

 これからしばらくの間、Pentium IIIを購入するのにはかなりの注意が必要になりそうだ。なにしろ、従来のマザーボードでは動作しない可能性がある最新Dステップ(D-0)のPentium IIIが、ほとんど見分けのつかない状態で出回り始めてしまったのだ。

DステップのFC-PGA版が突然出回る

 今週から出回り始めたのは、従来のCステップ品(C-0)から細かいバグフィクスや一部仕様の変更が行われたDステップのPentium III。確認できた範囲では、1GHzモデルと866MHzモデルのDステップ品がリテールパッケージ入りで出回り始めており、すでにショップの店頭在庫はCステップ品と混じり合って渾然一体と化している。なお、Dステップでは新しいCPUパッケージのFC-PGA2バージョンも出ることになっているが、現時点ではFC-PGAのバージョンのみ出回っている。

 DステップのFC-PGA版Pentium IIIは、CPUの形状こそ従来と同じものの、動作電圧は1.7Vから1.75Vへと上昇し、表面のマーキングもPentium IIIのロゴが消滅して、代わりにシリアルナンバーなどを記した黒帯上のレーザーマーキングが1個所から2個所に増やされるなど、外見上だけでもいくつか変更点が確認できる。CPUの名前が表面から消えてしまった点は問題で、事前に知識がないとCeleronなのかPentium IIIなのか区別がつかない状態になっている。

Dステップで動作しないマザーボードが多数?

 詳細は不明だが、内部的な仕様も変更されている模様で、Intelの代理店からショップ側への連絡によると、現在流通しているSocket 370用のマザーボードでは動作しないものが複数存在するという。中にはBIOSの更新だけで対応可能なものもあるようだが、それにしてもBIOS更新作業のためには別のCPUが必要となってしまう。

 互換性の問題が発生する以上、エンドユーザーとしてはCステップとDステップのPentium IIIを明確に区別して購入する必要が出てくるが、これが困ったことにリテールパッケージにはステップの違いが明確に明示されていないため、混同する可能性が高く、しばらくは混乱しそうだ。調べたところ、実際にショップ側でも気が付かないうちに店頭在庫のCステップ品とDステップ品が混在状態となってしまい、そのまま区別せず販売していたというショップもあった。

Dステップ品の見分け方

 Dステップ品の入ったリテールパッケージは、実際には従来のものとは化粧箱のデザインに細かなところで違いが見られる。まず、表面右下にあった「Flip Chip PGA」というマークが消え、右側面には「Warning: This Processor has new electrical requirements thst must be supported by your motherbord.」と、新仕様のマザーボードが必要であるとの注意書きが小さく印刷されている。さらに裏面にあった「Flip Chip PGA Package」の表記も「370-Pin Package」に変更されている。CPUパッケージの表記が変わっているのは、おそらく、FC-PGA2版が出てくることへの対応という意味があるとみられる。

 ただし、こうした違いはとても小さな変更であり一見してわかるものではなく、ショップ側も気づいていないというケースさえある。低クロックのPentium IIIを使用しているユーザーが単にアップグレードのために高クロックのPentium IIIを購入しようとしてDステップ品を購入した場合、使用中のマザーボードでは使えないというケースが考えられるほか、最悪のケースでは、初めてマザーボードとDステップPentium IIIをセットで購入してしまった場合、何が原因で動作しないのか判別不能な状況に陥る可能性もある。

しばらくは混乱必至?

 マザーボード側のDステップPentium IIIへの対応がBIOSだけですむのかどうかさえ、今はわからず、しばらくの間は混乱するのは必至。これからPentium IIIを購入する予定があるという人は、CステップとDステップの違いを意識する必要があり、特にDステップ品を使いたいという人ならば、どんなマザーボードで動作するのか情報収集が不可欠だ。

 エンドユーザーにとっては、本来なら0.13μm製造のTualatinこと次期Pentium IIIの登場がPentium III一大変化のタイミングだったはずだったが、思わぬところで大きな変化が発生してしまったようだ。今後、Pentium IIIの全モデルがDステップに順次切り替わっていくはずなので、しばらくは要注意だ。

 なお、一部ショップではDステップのバルク品も販売されたものの、少量入荷であったことと、指名買いのユーザーの購入で即完売してしまったという。バルク品は近日再入荷の予定があるとのこと。

□Mark Change for Pentium III Processor (0.18m) on D-0 Step in the FC-PGA Package
http://developer.intel.com/design/pcn/Processors/D0001164.pdf
□Pentium III Processor 0.18u C-0 to D-0 Core Stepping Conversion in the FC-PGA Package
http://developer.intel.com/design/pcn/Processors/D0001051.pdf

 (Intel Pentium III)

[撮影協力:ツクモParts王国TSKUMO eX.]


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