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“Palomino”ことDual対応のAthlon「Athlon MP」が発売に
Dual対応マザーボード登場直後にCPUもデビュー、周波数は1.2GHz
【価格は3万円前後】 | 【Palomino】 |
【Athlon MP 1.2GHz】 | 【新旧コアの比較】 |
【マーキング】 | 【裏側 】 |
【Athlon MP Dualデモ中】 | 【マザーボード上に実装】 |
これまでのThunderbirdコアAthlonとのパフォーマンス差はもちろん、一足先に発売されたAthlon MP対応のDual Socket Aマザーボードとの組み合わせがどれほどの威力を発揮するのか、大きな注目を集めそうだ。
●Athlon MPの3つの魅力
「Athlon MP」の新しい点は、おおまかに3点ある。
まず、新命令として3DNow! Professionalをサポートした点があげられる。これは、従来の3DNow!を含むEnhanced 3DNow!にIntelのSSE命令を付加したもので、これによって3Dグラフィックスの処理や動画のエンコードなどに有効な命令群がほぼ全方位サポートとなり、高速化する対応アプリケーションが飛躍的に増えている。同様の命令に関して、ほかにPentium 4が採用しているSSE2命令もあるが、こちらは現状ほとんど対応アプリケーションがないため、エンドユーザーにとっては3DNow!+Enhanced 3DNoW!+SSEという組み合わせのほうが、実質的に対応範囲の広さという意味でメリットがあると言える。
2点目はハードウェアプリフェッチの対応。これはCPUの処理に必要なデータを投機的に先読みする機能で、これによって常に足を引っ張るかたちになっていたメモリのレイテンシによる速度低下が大幅に改善される。メモリ帯域を消費してしまう機能だが、DDR SDRAMとFSB速度アップによってメモリ帯域がすでに大きく拡張されていることを考えれば、理にかなった機能拡張ではある。
3つ目はマルチプロセッサの対応。AMD-760 MPチップセットを搭載したマザーボードと組み合わせることでDualなどの運用が可能となり、さらに新しいSmart MPという技術によってマルチプロセッサ運用時の効率的な速度アップが期待できる。これは、Pentium IIIやXeonのように1つのシステムバスをそれぞれのCPUが共有するのとは違い、システムバスに対してCPUをそれぞれポイントツーポイントで接続してシステムバスの帯域をCPU 1つ1つにフルに割り当てる機能。さらにコマンドとデータを分離して転送するスプリットトランザクションと呼ぶ新機能も採用しているため、コマンドとデータを同時転送するなど効率的な運用が可能になっている。
●コアのサイズが大型化
アキバでデビューを飾ったAthlon MPの第1弾は1.2GHzモデル。例によってバルク品のかたちで出回っている。
外見上はThunderbirdコアのAthlonと似ているが、よく見ると細かいところでの違いも多い。まずはコアのサイズが異なっている。ThunderbirdのコアよりもPalominoは20%程度大きく、これまで横長だった印象のコアが、ほぼ正方形に見える。コア上のマーキングもブランドネームこそ「AMD Athlon」と従来のままだが、OPNの部分には「AHX1200AM3C」と新たにAthlon MP特有のコードである「HX」の文字が追加されている。この2文字はGenerationという項目欄で、「HX」はHigh-Performance Processor for Multiprocessing Systemsの意味を持つ。ほかにも、L1などのブリッジの数が増えていることや、電子部品がいくつか増えていたり配置が異なっているなど、細かい違いが見られる。
●従来のマザーボードとの互換性は?
気になる従来のマザーボードやチップセットとの互換性については、はっきりしない点がまだ多いので要注意。基本的に公式対応をうたったマザーボードはAMD-760 MPチップセット搭載の製品しかなく、従来のSocket A対応マザーボードで動作するのかどうかはまだよくわかっていない。これに関しては、GIGABYTEが現行マザーボードでAthlon MPに対応するという新BIOSをリスト化して発表するなど、徐々に動きが出ているものの、これとて完全にパフォーマンスを引き出せているのかどうかはわからず、チップセットメーカーやマザーボードメーカーのコメントも今のところばらばらで、しばらく見極めるのに時間がかかりそうだ。
Athlon MP 1.2GHzの実売価格は29,800円~32,800円(詳細は「今週見つけた新製品」参照のこと)。ThunderbirdコアのAthlonとの比較では、ほぼAthlon 1.4GHzと同等の価格ということになる。CPU単体ではさほど高くはないものの、それでもDualで運用を行おうとすると、現状でDual対応マザーボードは100,000円前後のTyan Thunder K7しかなく、さらにRgisteredタイプのDDR SDRAMが必要など、コストはかなりの額になってしまう。Pentium III並みにDual環境が手軽に構築できるよう、廉価なマザーボードの登場が待ち望まれるところだ。
実際にどれほどのパフォーマンスが出るのかも含め、まだまだ未知数の点が多いのは事実だが、それだけにパワーユーザーにとっては新地を開拓するような魅力を感じさせるCPUであるとも言えそう。確実なパフォーマンスアップが確認でき、そして廉価なDual対応マザーボードが出てくるようになれば、Athlon MPは一気にブレイクするかも知れない。
□Athlon MP(日本AMD)
http://www.amd.com/japan/products/cpg/server/athlon/index.html
□Gigabyte support palomino CPU BIOS list(Gigabyte Technology)
http://www.gigabyte.com.tw/home/palomino.htm
(AMD Athlon MP) |
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