【 2001年7月14日号 】

Xeonのリテールパッケージ発売、新構造のCPUクーラーに注目
化粧箱はシンプルなデザイン、1.4GHz~1.7GHzまで3種類

価格は4万円台パッケージ
【価格は4万円台】【パッケージ】
Xeon(表)Xeon(裏)
【Xeon(表)】【Xeon(裏)】
CPUクーラー全体ヒートシンク
【CPUクーラー全体】【ヒートシンク】
CPUクーラーの設置状態箱側面のシール
【CPUクーラーの設置状態】【箱側面のシール】

 6月初頭にES品が一部のショップに出回るという形でアキバに初登場したIntel Xeonプロセッサだが、今週に入りようやくリテールパッケージ品が発売となった。先に発売されたES品は1.7GHzモデルのみだったが、今回発売されたのは1.4GHzモデルと1.5GHzモデルと1.7GHzの3種類。実売価格は1.4GHzモデルが39,800円~41,800円、1.5GHzモデルが46,800円~49,800円、1.7GHzは57,800円~65,800円となっている(詳細は「今週見つけた新製品」参照のこと)。

 先行したバルク品とはCPUそのものに違いはないが、新構造のCPUクーラーが同梱されている点には注目が集まりそうだ。

サーバー版Pentium 4という位置付け

 XeonはPentium 4のいわばサーバー版とも言うべき存在のCPUで、マルチプロセッサ構成が可能なことや2次キャッシュ容量の点などでPentium 4に勝る仕様を持つ。ただし、今回発売されたモデルはXeonのラインナップの中でも下位に位置するもので、2次キャッシュ容量はPentium 4と同じ256KB、かつDual構成までのサポート(4Wayや8Wayは対応していない)となっている。また、CPUソケット形状は603ピンで、Pentium 4(423ピン)タイプとの互換性はない。

 Xeonに対応するチップセットはi860で、i860搭載マザーボードとしてはSUPERMICROの「P4DC6」と、Tyanの「Thunder i860」の2種類がすでにアキバで販売されている。しかしどちらも10万円以上という高値を付けており、一般ユーザーには手が出しづらい製品、というのが現状だ。

まるで小型風洞実験室のようなCPUクーラー

 さて、Xeonのリテールパッケージ品を見てまず驚くのは、その巨大な外箱だ。Pentium IIIやCeleronなどと比較すると、1.5倍程度はあるようだ。箱を開けると、CPU本体のほか、巨大なヒートシンク、そのヒートシンク全体をすっぽりと囲める大きさの透明なカバー、クーリングファン、注射器入りグリスなどが入っており、ヒートシンクと透明カバーの存在がこの「巨大な外箱」の原因になっていることが一目で分かる。

 XeonへのCPUクーラーの取り付け方も従来のCPUとは変わっている。まず、クーリングファンを口径変換アダプタのような透明な部品に装着し、それをヒートシンクを囲むための透明なカバーに取り付ける(透明カバーの両端どちらにも取り付けられるようになっている)。次に、Xeonの上にヒートシンクを装着し、その上から先ほどファンを付けた透明カバーを被せるように取り付けて完成、という手順だ。完成状態は、ヒートシンクに対して水平に風を通す形になり、冷却構造的にはアルファ製Socket A/370用CPUクーラーの「PEP66U」に近い感じだ。

マザーボードへの設置は一苦労?

 完成した状態を見れば一目瞭然だが、クーリングファン、口径変換アダプタ(のような部品)、透明カバーという3段構成のために、CPUクーラーがマザーボード上で占める面積は非常に大きく、ほかの部品と物理的に干渉してしまうケースもありうる。実際、Tyanの「Thunder i860」では、Processor 1(P1)側に取り付けたCPUクーラーが、IDEコネクタとFDDコネクタを一部隠してしまう状態になる。ただ、コネクタとCPUクーラーの間には若干の隙間があるため、ケーブルの接続が完全に不可能というわけではないようだ。もし使えないとしても、「Thunder i860」の場合はUltra160 SCSIインターフェイスをオンボードで持っていることから、FDDは使用せず、HDDはSCSIのみ使用するということであれば(かなり強引かもしれないが)大きな問題ではない。

 別の対処法として、市販のPentium 4用CPUクーラーなどを代用することも考えられるだろう。ただし、これだけ大掛かりな構造の純正CPUクーラーが同梱されているだけにXeonの発熱量もかなり大きいことが予想されるため、代用するCPUクーラーに十分な冷却能力があるかどうかをしっかりと確認しておきたいところだ。

 リテールパッケージ品の発売でXeon搭載PCを自作する環境も整いつつあるが、i860搭載マザーボードが10万円以上という高値を付けている現状では、まだまだ手が出しづらいモノではあることは確か。低価格なi860搭載マザーボードの登場が待たれるところだ。

□Xeon(Intel)
http://www.intel.com/xeon/
□PEP66U(アルファ)
http://www.micforg.co.jp/jp/c_pf.html
【2001/6/2】“Foster”ことXeonの1.7GHzがデビュー、価格は6万円台
http://akiba-pc.watch.impress.co.jp/hotline/20010602/xeon.html

 (Intel Xeonシリーズ)

[撮影協力:USER'S SIDE本店高速電脳]


[前の記事]: DVD-RAM/Rドライブが低価格で登場、人気集中で発売直後に品切れ
[次の記事]: デスクトップ版“Tualatin”の1.13GHzがデビュー、1.2GHzは展示のみ

[ Back ]戻る  

Copyright (c) 2001 impress corporation All rights reserved.
E-Mail:akiba-pc-info@impress.co.jp