【 2009年9月26日号 】 | |
恐るべきイマドキの中古PC!(活用編) Windows 7もすんなりOK、ビデオカード換装でスト4も快適に Text by 保坂 陽一 |
Windows XPであと何年使えるか?
2万円ちょっとで満足のゆく中古PC(スペックは購入編参照)をゲットした友人だが、中古PCはやっぱり古いPCである。
Windows 7画面:
チップセットやネットワークを含め、今回の中古PCはWindows 7の標準ドライバですべて動作OK。1,920×1,200ドットの画面でAeroも動作している
グラフィックス関連は弱いが、Windows 7の基本動作に問題ない。重いと言われ続けたVistaでAero環境が動作するマシンなら、Windows 7はまず大丈夫だ何より気になるのはスペックよりもWindows XPというOSだ。セキュリティ更新サポートは2014年まで延長されたとは言え、そろそろWindows 7も発売されるわけで、アプリケーションなどの将来性は気になるところ。
では、このマシンにWindows 7をインストールしたらどうなるのだろう、というのが後編のお話である。
ちなみに今回の中古PCには、リカバリーCDなどが付属していないので(プロダクトIDは付属)、環境を戻すには別途用意が必要となる点には注意が必要だ。
激安PCを手に入れるにはOSが重要なポイントとなるが、こうした部分も購入時にはよく確認しておくとよいだろう。また、購入店のGENOでは、中古PCながら1カ月保証も付いているが、アップグレードしてしまうとその保証も受けられなくなるので注意したい。
さて、今回インストールしたのはWindows 7 Ultimate RTM。DVD-ROMドライブを搭載したマシンなので、DVD-Rメディアで作成したシステムディスクからのインストールにつまづくようなことはなく、すんなりとインストールは完了。
かなり拍子抜けである。デバイスドライバもWindows 7標準で一通りインストールされており、ひとまず追加インストールの必要もなさそうだ。もともとこのマシンが、Radeon X1300というビデオカードが搭載しているのは、Windows VistaのAero環境を想定した仕様であるためだ(今回のマシンはWindows XPだが、Vistaモデルも存在している)。Vistaより軽い7なら動かないわけはないと言ったところだろうか。
しかし、エクスペリエンスインデックスを見ると、やはりWindows 7でもAeroの値は3.0と動作ギリギリ。
チップセット内蔵のグラフィックス機能を使用するよりはマシだろうが、これはなんとかしたいところだ。CPUやメモリ、HDDは5.0を超えているので、まずまずと言えそうだが、なにせHDDは80GBである。SSDの人気や1TB HDDが7,000円で手に入る現状から考えると、この辺りもアップグレードしてみたいところである(予算的にどうかというのは置いておいて)。
ということで、続いてはビデオカードの換装に加え、HDDを高速なSSDに交換してどれくらいのアップグレードになるかをチェックしてみた。
Low Profileで使える最新ビデオカードは? ただし、拡張カードは背の低いLow Profileタイプしか使用できないので、ビデオカードもそれに準じたものを選ぶことになる。現状でLow Profileかつ、なるべくハイスペックなものをと探すと、ATI(AMD)ならRadeon HD 4650、NVIDIAならGeForce 9800 GTなどが存在するようである。今回は7,000円弱と手頃なRadeon HD 4650搭載ビデオカードを試してみることにした。
HDDと交換するストレージには、IntelのMLCタイプSSDの最新モデル「X25-M SSDSA2MH160G2」を用意。160GBで5万円弱と高価であり、恐ろしいことにこれ1個で今回友人が購入した24型ワイドディスプレイと中古PC本体が買えてしまう(苦笑)
実のところ、今回はせっかくだからということで、DOS/V POWER REPORT編集部からお借りしてきたのだが、友人のようにこれから何年も安定して使っていきたい、という人に現状のSSDはお勧めできない。
確かに低発熱で超高速と、一度使うと逃れられない快適さなのだが、まだまだ過渡期のアイテムであり、動作や寿命などの面でトラブルも多いのが実情である。
今回のマシンの筐体は基本的にツールフリー構造であったので、パーツの換装に関しては、とくに専門的な工具や知識は必要なし。ドライブベイの構造が独特で、中段に位置する3.5インチベイが実質FDD専用となっているのは少々残念であったが、とくに初心者でも悩むことはないだろう。SSDの3.5インチシャドーベイへの取り付けには、2.5→3.5インチ変換ケースを使用している。500円程度で購入できる簡単な変換マウンタでもよいが、ケース型のほうが何かと楽なのでお勧めである。
ビデオカード換装でスト4も快適に!
パーツ換装後に再びWindows 7をインストールしたところ、こちらでもデバイスドライバは一式標準で揃っており、すぐに使える状態になった。
ビデオカードをRadeon HD 4650に換装すると、ストリートファイター4が「とても快適にプレイすることができる環境」に! 上の画像はWindows 7で試した際の結果だが、Windows XPでもやっぱりランクAであった。
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アップグレードの結果、グラフィックスの値が4.9になった。これはもう立派な現役PCだろう。CPUの換装は難しいが、これならさまざまな用途で活躍できるはずだエクスペリエンスインデックスをチェックしてみると、最低が「グラフィックス」の値の4.9となり、「プライマリハードディスク」に至っては7.4と文句なしの性能。
CPUが変わっていないにもかかわらず、OSもさらにキビキビと動く感じだ。これくらいの性能があれば、Windows 7時代も十分やっていけるのではないだろうか。
さらに、前編でも試したストリートファイター4 ベンチマークソフトを再び動かしてみると……正直、CPUパワー不足なのだろうと思っていたので期待していなかったのだが……結果はまさかのランクA!
ビデオカード換装前はノロノロと動いていたデモ画面が、実にスムーズに動作している。前回のテストで、筆者はスト4は重いゲームと誤解していたが、Athlon 64 X2 4600+とRadeon HD 4650搭載ビデオカードという環境で遊べるなら、それほどハイスペックを要求するゲームとは言えないだろう。
CPUとビデオカードのバランスがよければ、ミドルレンジ以下のマシンでも十分遊べるゲームであったようだ。SSDはともかく、このビデオカードと中古本体を合わせても3万円で手に入ると考えると、低価格ゲームマシンとしてもなかなかよい感じにまとまってたのではないだろうか。
中古PCは今が狙い目!? Windows 7という最新OSの登場で、中古市場やリサイクルに流れるマシンも増えるはず。今回のように、Windows Vista登場後のマシンなら、一定以上のスペックを備えているし、PCI Express x16スロットの搭載や、システムドライブのSerial ATAインターフェースへの移行も進んでおり、最新パーツへの換装も難しくはない。
OSなども含め、その辺りを基準に選べば、まだまだ長く使っていけるバランスのよい激安マシンが手に入れられることだろう。逆に、あまり上を見過ぎると、新品で揃えたほうが無難などということにもなりかねないので難しいところだが、「2万円、3万円でOS込み」といったような目標を持っていれば、かなり熱い買い物ができるはずだ。
3万円というと、PS3などの家庭用ゲーム機もこの価格帯だが、もしかするとゲーム機は買ってくれないけど、勉強も兼ねて同じ値段でPCが欲しい、と言えばお金を出してくれる親御さんがいるかもしれない(笑) 筆者の世代ではファミコンとMSXがそんな関係だったのだが、なんともうらやましい時代になったものである。
なお、最後に省電力化としてビデオカードを取り外し、チップセットRadeon Xpress 1150内蔵グラフィックス機能でも試してみたが、やはりというかAero環境を使うには厳しいようだ。
ただ、消費電力はアイドル時で55W前後と、Radeon X1300搭載ビデオカード搭載時に比べて20W以上下がった。ゲームなどを考えず、Windows XPでインターネット専用マシンとするならこれもアリではないだろうか。デジカメにケータイと、何かとPC以外に惹かれるデジモノが多く、電気代もバカにならない昨今。必要スペックを的確に把握し、賢くやりくりしていきたいところである。
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【2009年9月12日】恐るべきイマドキの中古PC!(購入編)
http://akiba-pc.watch.impress.co.jp/hotline/20090912/sp_used1.html
□Impress Watchエコ特集
http://www.watch.impress.co.jp/headline/extra/2009/eco/中古PC