【 2010年5月8日号 】
6コアPhenomで6GHzクリア、液体窒素OCデモで
 OVERCLOCK WORKSが5月2日(日)に、オーバークロック(OC)イベント「OVERCLOCKセミナー&PARTY2010Spring」を開催した。協賛はMSI。

 同イベントは3部構成。第1部はOCに向いたPCを参加者が同店スタッフと制作し、設定の基本の解説を受ける「オーバークロックPC組立教室」。第2部はAMD PhenomII X6 1090T Black EditionとIntel Core i7-980X Extreme EditonでのOC手順を紹介する、「オーバークロックセミナー」。そして第3部が、上記の2種のCPUを使い、液体窒素(LN2)を使ったOC方法をデモする「オーバークロックデモンストレーション」だ。


●Phenom II X6 1090T BEでの6GHz動作を達成


Phenom II X6を担当した鈍兵衛氏(左)とi7-980X担当のduck氏(右)

LN2冷却なので、コア電圧などの設定は非常に高い。これでも十分な冷却ができる

Phenom II X6マシンでOC中。カップラーメンの容器はLN2を注ぐためのものだ

最終的な3DMark06スコアは30,945。ビデオカードはMSIの「R5870 Lightning」だ

使用メモリは新顔、台湾AVANTIUM社のDDR3-2000製品。同店にて取り扱い予定とのこと。

i7-980X側はOCGP 2010のアドバイスが中心なので、ユーザーの参加が多かった

LN2用の升に取り付けられた温度計。これを一定に保つためのテクニックが中心だった

ユーザーによるLN2注入イベント時のクロックは約4.96GHz。普段は体験できないものだ
 中心となったのは第3部のデモンストレーション。発売されたばかりのPhenom II X6 1090TをLN2で冷却するデモは今回が初となることと、同時に設けられたOCGP 2010(僚誌DOS/V POWER REPORTが主催するOCコンテスト)のアドバイスコーナーの講師に、日本有数のオーバークロッカーとして知られるduck氏が迎えられたことで、同店は満員になる一幕も。

 Phenom II X6のLN2チャレンジは、AMD Phenom II X4でもOC達人として知られる鈍兵衛氏が担当。Windows 7 64bit版上で、3DMark06を完走可能なクロックを探った。

 「実は製品入手時期の都合上、事前テストがまったくできなかった」という状況ながら、AMDのOCツール「AMD Overdrive」や使用マザーボード(MSI 890FX-GD70)のOC機能などでおおよその設定を探り、再起動してBIOS設定に反映するという方法で、最終的には6GHz(ベースクロック 240MHz×25倍)で完走。Phenom II X6の製品発表時に報道されたAMDのテストラボ記録と並ぶ記録を見事に達成した。

 鈍兵衛氏によると、「今回の手応えからすると、設定のクセのデータの蓄積やBIOSの更新などにより、さらにクロックが上がる余地は十分ある」とのこと。また、3DMark06でのCPUスコアは、「Phenom II X4では6.3GHz以上でなければ出ないスコアなので、6コアのパワーの価値はあります」とのコメントも得られた。

●OCアドバイスコーナーも
 冷やしすぎ注意

 一方のOCGP 2010アドバイスコーナーでは、duck氏をはじめとする講師がCore i7-980XとGeForce GTX 480を中心としたシステムで、LN2冷却で3DMark06を完走させるためのポイントを解説。とくに今回は、空冷では発生しない、「冷やしすぎによるPCの停止」(通称コールドバグ)と、それに対抗するためのCPUの温度コントロールに関する話題が中心となった。

 局面によっては、参加者がLN2入りのカップを持ち、duck氏たちのアドバイスを受けつつ注入することも。「3DMarkのテスト項目ごとに異なるCPUの稼働率を予測して、冷やしすぎないようにLN2を注入する」というLN2冷却のポイントに関するアドバイスを受けながらOCにチャレンジしていた。


□OVERCLOCKセミナー&PARTY2010Spring(OVERCLOCK WORKS)
http://www.ocworks.com/event/2010-gw.html

□OCGP 2010(DOS/V POWER REPORT)
http://www.dosv.jp/contest/ocgp/

□関連記事
【2010年5月1日】6コアPhenomが4GHzでOCデモ中、GW中に液体窒素OCも
http://akiba-pc.watch.impress.co.jp/hotline/20100501/etc_amd2.html

(橋本 新義)

[撮影協力:OVERCLOCK WORKS]

※特記無き価格データは税込み価格(税率=5%)です。