放射線量を測定するガイガーカウンタを自作できるというユニークなキット。メーカーはビット・トレード・ワン。同社ではこの製品をホビー向けとしており、いわく「正確さを求める計測には使わないでほしい」とのことだが、完成品が3〜5万円するのに対し、この製品は1万円強とかなり安いのも魅力と言える。 キット内容は本体カバー、制御基板、写真用のフィルムケース、冊子マニュアルなど。フィルムケースは、放射線を検出するためのセンサーとなるGM管(ガイガー・ミュラー計数管)として使用するもので、あらかじめ穴開け加工されている。 マニュアルは「GM管製作手引き」「基板製作マニュアル」「キット調整方法」の3部構成。「キット調整方法」では、放射線の種類、性質についてや、GM管の仕組み、動作などについても詳しく紹介されている。なお、これらのPDF版をWebサイトから入手することもできる。 GM管の製作時には、不活性ガスとしてライターのブタンガスを注入する作業が伴うほか、基板にパーツを取り付ける際に半田づけを行なう必要もあり、自作キットとしての難度は高めの印象。なお、ライターはタバコ用のいわゆる“100円ライター”が使用できる。 このほか、普通紙やアルミホイル、食品用ラップ、エポキシ樹脂ボンド、9Vの角型アルカリ電池、USBケーブルなど様々な素材や道具が別途必要。詳細な内容はWebサイトにも掲載されている。 キット完成後はGM管の調整が必要。本体の電圧調整スイッチを使って「プラトー電圧」を探し当てたり、ブタンガスの濃度を上下させたりしつつ、正しく放射線を検出できるよう調整していく。同社によれば「検出の感度はGM管の出来に大きく左右される。プラトー電圧が上手く現れない場合もあり、根気が必要」という。 また、この調整では、3,000〜4,000Vという高電圧を発生させるほか、ブタンガスを注入したり抜いたりといった危険な作業が伴うため、十分に注意を払う必要がある。マニュアルでも「感電したり、ガス注入時に引火したりしないように注意」といった文言を記し、注意を促している。 完成時の本体サイズは80×140×40mm。検出できる放射線はα線、β線、γ線。収集データをUSB経由でPCに転送することも可能で、WebサイトにはWindows用のデータロガーソフトも掲載されている。なお、データロガーソフトは前述の電圧調整を行なう際にも使用する。 ちなみに、安価な放射線測定器としては、γ線のみを検出できる「エアカウンター」が10月にエステーから発売される予定。予価は15,750円。
|