新しい高速コントローラやTLC NANDフラッシュを採用、「ランダムアクセス速度向上」をウリとするSAMSUNG製SSDの新エントリーモデル。シリーズ名は「SSD 840」で、ソフト収録CD-ROMなどが付属する「ベーシックキット」が販売されている。容量は120GB/250GB/500GBの3モデル。 SSD 840は6Gbps SATA対応の2.5インチ/7mm厚SSD。前モデル「SSD 830」からコントローラやフラッシュメモリが刷新され、ランダムアクセス性能が向上したのが大きな特徴。 搭載コントローラは、SSD 830の「MCX」を改良したSAMSUNG独自の「MDX」。「ランダムアクセス専用コア搭載」をうたうトリプルコアなのは従来同様で、プロセッサがARM 9(クロック220MHz)からARM Cortex-R4(同300MHz)に変更、処理能力が向上したという。 そして、NANDフラッシュもTLC(Triple Level Cell)タイプに変更。従来のMLC(Multiple Level Cell)が、1セルに2ビットのデータを記録していたのに対し、TLCでは1セルあたり3ビットのデータが記録できる。 TLCはMLCより記録密度が高く、チップのダイサイズが抑えられるなどのメリットがある一方で、速度や寿命の面で劣るというデメリットもあるが、SSD 840では「Enhanced TLC」と呼ばれる高品位タイプを採用、さらに予備領域の確保(オーバープロビジョニング)などを行なうことで信頼性を確保したとされる。保証期間は3年間で、これはSSD 830と変わりない。 NANDフラッシュは21nmプロセスの同社製「Toggle 2.0」を採用。従来の「Toggle 1.0」と比較して、転送速度が133Mbps→400Mbpsと3倍向上したとしている。 そして、注目はランダムアクセス性能の高さ。SSD 830の512GBモデルと、SSD 840の500GBモデルを比較すると、4Kリード/QD32で80,000IOPS→98,000IOPS、QD1で6,100IOPS→7,900IOPS、4Kライト/QD32で36,000IOPS→70,000IOPS、QD1で25,000IOPS→29,000IOPSと、それぞれ向上している。 なお、シーケンシャルアクセス性能については、リード520MB/s→540MB/s、ライト400MB/s→330MB/sと、リードは若干上昇、ライトは低下している。低容量モデルほどライト速度が低下しているので(250GBモデルは250MB/s、120GBモデルは130MB/s)、この点には注意が必要だろう(アクセス性能はいずれも公称値)。 キャッシュメモリも同社製で、低電力タイプのDDR2メモリを採用。キャッシュ容量は、500GBモデルが512MB、250GB/120GBモデルが256MB。本体サイズは100×69.85×7mm。 なお、MLC NANDフラッシュを採用し、リード100,000IOPS、ライト90,000IOPSというランダムアクセス性能(最大公称値)を持つ上位モデル「SSD 840 PRO」も発表済み。こちらのライト速度は公称390〜520MB/sと高速で、保証は5年間(条件あり)。こちらも近日発売とみられるが、「入荷は11月に入ってしまうかもしれない」(ショップ)とのこと。
□SSD 840ファミリー(ITGマーケティング) http://www.itgm.co.jp/product/ssd840/ □関連記事 【2012年10月24日】Samsung「SSD 840/840 PRO」シリーズ(平澤寿康の周辺機器レビュー/PC Watch) http://pc.watch.impress.co.jp/docs/column/hirasawa/20121024_567988.html 【2012年9月25日】Samsung、コンシューマ向けSSDの新製品を発表(PC Watch) http://pc.watch.impress.co.jp/docs/news/20120925_562011.html 【2011年11月11日】SAMSUNG初の6Gbps SSD登場、3コアの独自コントローラ搭載 http://akiba-pc.watch.impress.co.jp/hotline/20111112/etc_samsung.html
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