1998年1月17日号


Socket 7のベース100MHz時代目前?K6 3Dと対応マザーの価格が出る
VIAも100MHzサポートのMVP3チップセットを発表

VIA MVP3Microstar MS-5169サンプル
【VIA MVP3】【Microstar MS-5169サンプル】

 まるで、Socket 7ベースクロック100MHz時代が一気に目前まで迫ってきたかのような状況だ。100MHzサポートのALi AladdinVチップセットを採用したMicrostar製マザーボードMS-5169の予価が通販ショップのHappy Catに出たほか、MS-5169のサンプル品を使った100MHz動作のレポートも同店のホームページ上で公開された。また、ALiに続いて、公式100MHzサポートをうたうチップセットとしてVIAからMVP3チップセットが正式発表され、量産出荷がアナウンスされた。そして驚いたことに、Happy Cat高速電脳では、いよいよSocket 7対応CPUでベースクロック100MHzを初めて実現するK6 3Dが2月上旬に入荷する、とのアナウンスを16日(金)から始め、同時に予約受付までも開始しているのだ。

 まずはチップセットがらみの話からいこう。まず真っ先に100MHzサポートをうたったALiのAladdinVは、1月か2月には採用マザーボードが市場に出てくることになりそうだ。今のところわかっている具体的な製品としては、AbitのIT5A、MicrostarのMS-5169の2製品があり、このうちMS-5169はかなり具体的な情報が最近流れ始めている。例えば、独自にMS-5169のサンプル品を入手したという通販ショップのHappy Catでは、ついにベースクロック100MHzでの動作を実際に確認、その動作レポートを、やはり16日(金)から公開している。それによると、CPUにMMX Pentium 166MHz(SL27Hロット)を使ったテストで、100MHz×2=200MHz、100MHz×2.5=250MHzで問題なく動作し、AladdinVも熱をあまり発生しなかったそうだ。メモリは三菱製8nsチップを積んだ製品を使い、ビデオカードは3D RAGE Pro搭載のAGPビデオカードを使用したとのこと。ベンチマーク結果なども掲載されているので、興味のある人は直接レポートを参照してみるといいだろう。ただ、動作レポート中に報告されているMMX Pentiumでのベースクロック100MHz動作など、メーカーの保証範囲を超える使用条件も幾つか含まれていており、この点については、あくまでも実験者が自己責任の範囲において動作させた結果ということで、決して同店が動作保証をしているわけではない、という大前提があることをお忘れなく。MS-5169については、すでに同店では1月中の入荷予定としたうえで18,500円という予価も出ている。

 チップセットに関しては、VIAもいよいよ動き出した。すでにロードマップで概要を一部公開していた「MVP3」について、15日(現地時間)には正式発表を行ない、20社以上のOEMベンダーに対して量産出荷を開始したことを明らかにしている。詳細はまだ明らかになっていないが、「Virtual Clock Synchronization(VCS)」という技術を独自開発したことで、100MHzサポートを実現したという。チップは、North BridgeのVT82C598AT、South BridgeのVT82C586Bによる2チップ構成で、CPUはPentium/MMX Pentium/K5/K6/6x86/6x86MX/WinChip C6に対応、ベースクロックは66/75/83/100MHzをサポートする。メモリはFastPage/EDO/SDRAM/DDR SDRAM IIに対応、L2キャッシュは2MBまで対応、AGPは2XまでOKだ。今のところ、MVP3を採用したマザーボードについては確定した情報はないが、VIAと親密なFICあたりからは確実にリリースされることになりそう。

 SiSの新チップセットSiS5591については、いまだに100MHzサポートかどうかハッキリしないけれども、ひとまず83MHz設定まで可能な採用マザーボードが、PC ChipsRISEGIGA-Byteから1月末~2月中に出てくる予定だ。これらの製品は、マージンと非公式の隠し設定で100MHz動作する可能性はあるかもしれない。

 肝心のCPUに関しては、AMD K6 3Dの入荷時期と予価が出始めた。通販ショップのHappy Cat高速電脳の両店では、2月上旬に「K6 266 3D」が入荷する、と16日(金)からアナウンスを開始している。予価は59,800円で、予約も受付中だ。仕様はCore電圧が2.2Vで、動作クロックは100MHz×2.5=250MHzとしている。しかし、(1) AMDのロードマップではK6 3Dは300MHzから出ることになっていること、(2) K6/266でさえリテールにはまだ流れていないというのにK6 3Dが先に出てくることがありうるのか、(3) AMDが最近になってK6 3Dの出荷が5月以降に遅れると漏らしたという報道が出ていること、(4) Intelが新たなMMX命令を発表したことでK6 3Dの独自MMX命令拡張(AMD 3Dテクノロジ)の見直しが必要になったとする説がある、などの点を考えると、どうにも完全に信じきるには難しい面もある。「単なるK6/266ではないか」、「いや、本来の動作クロック一歩手前の初期ES品ではないか」など、さまざまな憶測が出ているけれども、これは情報元である台湾系の卸業者から、さらに詳しい情報が来週中に入る予定とのことなので、それを楽しみに待つことにしよう。

 もし、「K6 266 3D」が本当なのだとしたら、メルコが1月中に発売を予定しているPC100対応100MHz対応SDRAMも合わせて、CPU/マザーボード/メモリと一気にSocket 7での100MHz環境(AMD曰く、Super 7)が整ってしまうことになるが、さて、そう都合よくいくのかどうか。いずれにしても、Socket 7のベースクロック100MHz時代が着々と近づいていることだけは確かで、期待は高まる一方だ。

【追記】
後日、PowerAssistでも「2月上旬にK6-266 3Dが入荷する」とのアナウンスが出た。こちらの予価は56,800円。今のところ予約は受け付けていない。

[写真提供:VIA TechnologiesHappy Cat]


[ Back ]戻る