1998年6月20日号


K6-2/333とWinChip C6 240MHzが「謎あり」デビュー
どちらもイレギュラーなベースクロックが特徴

C6 240MHz(BaseClock 60MHz)C6 240MHz(BaseClock 80MHz)
【C6 240(Clock 60MHz)】【C6 240(Clock 80MHz)】
K6-2/333K6-2/333入荷
【K6-2/333】【K6-2/333入荷】

 K6-2/266とK6-2/300が登場した5月第4週以来、約1ヶ月ぶりに新型Socket 7用CPUがデビューした。AMD K6-2の最新型である「K6-2/333」と、IDT WinChip C6の最新型「WinChip C6 240MHz」だ。いずれも今まで聞いたこともないベースクロックを採用しているのが特徴。

K6-2/266とほぼ同じ製造時期のK6-2/333

 まず、K6-2/333から紹介しよう。現在販売しているショップは2店のみで、実売価格は39,800円(詳細は「今週見つけた新製品」参照のこと)。やや高い気もするが、「初物価格」としてはこんなところか。形状は今までのK6-2から変化はなく、CPU表面にプリントされている電圧仕様もコア電圧2.2V、I/O 電圧3.3Vと変わっていない(これは発表時の仕様通り)。販売中のモノをひとつチェックしてみたところでは、製造時期を示すデートコードは「9814」(つまり'98年第14週)となっており、これはアキバに最初に出まわったK6-2/266の一部にあったものと同じだ。CPU名称も旧称の「AMD-K6 3D」で、かなり初期に作られたものであることがわかる。つまり、これはそれらと同時期に生産された製品からの「選別品」ということらしい。

 AMDの発表によれば、このK6-2/333はSocket 7では前代未聞の95MHzをベースクロックに採用している。実クロックの333MHzは95MHzの内部3.5倍速で実現するわけだ。AMDは自らベースクロック100MHzのSocket 7環境を「Super 7」と呼び、Socket 7でもベースクロック100MHzをデファクトスタンダードにしようと推し進めてきたにもかかわらず、なぜか突然ここで95MHzという異例の仕様を採用したことになる。これは大いに謎だ(いろんな憶測が飛び交っている)。今現在、ベースクロック95MHzに対応したマザーボードはないため、公式仕様で動かすことはできないが、すでに95MHzに対応したクロックジェネレータもUTRONなどが製品ラインナップとして持っており、ある大手マザーボードメーカーも95MHz対応のマザーボードを出すことを内々に流通関係者へアナウンスしている。ただ、コストパフォーマンスがウリだったはずのSocket 7(Super 7)も、こう電圧やらベースクロックをころころと変えられては、DIY市場からするとそのたびにマザーボードを買い換えなくてはならず、トータルとしてはかなりのコストアップになってしまうのが気になる。

 今のところK6-2/333に関しては、実質的に100MHz×3.5=350MHzといった自己責任によるクロックアップで使うしかないが(動けば、だが)、むしろマニアックな「人柱」達にとって面白い存在にはなりそうだ。

WinChip C6 240MHzは80MHz×3?

 さて、もうひとつはWinChip C6 240MHz。こちらは扱っているショップが確認できたところで計5店とやや多い。実売価格は11,000円前後(詳細は「今週見つけた新製品」参照のこと)。これが「初物価格」と考えれば、かなり安い。K6/233とぶつかりそうな価格帯ではあるが、動作電圧が3.52Vで古いマザーボードでも動くCPUとして考えれば、アップグレード用途や、ちょっとしたサブマシンの環境構築などにはもってこいだ。

 ビックリしたのはベースクロックの仕様。今まで、240MHzは60MHz×4とアナウンスされていたが、なんと今アキバに出まわっている製品には60MHz以外に、80MHzというこれまた前代未聞のベースクロックを採用したものが出まわっている。販売しているショップのうち、1店が60MHz、ほかの4店が80MHzの製品を扱っている。確認したところ、実際にCPUの表面に「60MHz clock」と「80MHz clock」と明記している2種類が存在し、80MHzの製品を扱っているショップでは、きちんと店内に「80MHz×3=240MHz」と仕様を表示して販売している。83MHzならともかく、80MHzのベースクロックというのはそれこそ寝耳に水。対応したマザーボードやクロックジェネレーター、ましてやチップセットがあるとは聞いたことがなく、これも大いに謎だ。WinChip 2ならいざ知らず、現行のWinChip C6でこうしたイレギュラーな仕様が事前アナウンスなく採用されたのはなぜなのか..。可能性としては、60MHzを80MHzにしてしまったという、単なるミスプリントである可能性も考えられるところだが、仕様を聞いて仕入れを断念したというあるショップによれば、代理店からも80MHzの仕様だとアナウンスが出ていたそうだ。値段が安いことから、それこそ83MHz×3=250MHzなど、いろんなクロック設定にして動かす「人柱」になってみるのは気楽でよさそうではあるが。

 迷走するSocket 7の仕様を楽しむべきなのか、嘆くべきなのか..。

【追記】
23日、日本IDTは「80MHz」とプリントされたWinChip C6 240MHzは誤ってプリントされた製品であるとして、回収を発表した。

□AMD
http://www.amd.com/
http://www.amd.com/japan/index.html
・K6-2
http://www.amd.com/products/cpg/k623d/index.html
http://www.amd.com/japan/products/cpg/k623d/index.html
□IDT
http://www.idt.com/
http://www.idt.co.jp/
・WinChip C6
http://www.winchip.com/
http://www.idt.co.jp/WinChip/WinC.html

[撮影協力:パソコン工房秋葉原1号店]


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