【 1999年8月21日号 】

Athlon正式販売スタートするもマザーにトラブル
マザーボードの一部ロットに問題、キャンペーンも延期

一時中止してますCyber Athlete
【一時中止してます】【Cyber Athlete】
Athlon販売中Athlonエンブレム
【Athlon販売中】【Athlonエンブレム】
CPUクーラー(OK)CPUクーラー(NG)
【CPUクーラー(OK)】【CPUクーラー(NG)】

 予定通り17日(火)から正式販売がスタートしたAthlon。発売日当日には深夜販売が行われ、このあと多数のショップがAthlonの販売を始めるなど、アキバでのスタートは一見順調のようだ。

 しかし、Athlonと同時に出荷されたマザーボードの一部ロットに問題が見つかり、今週末に予定されていたAMDとショップ共同主催のキャンペーンも直前ですべて延期されるなど「初物」ならではのトラブルも発生している。状況からすると、国内マーケットの恵まれた状況ゆえに表面化した事例ともいえ、内容的には深刻な問題というわけでもなさそうだが、すでに多数のAthlonユーザーが存在している日本にあってはそのリカバリーいかんが注目される。Athlonは正式デビューから1週間もたたず、第一の難関を迎えることに。

Athlon販売ショップは多数

 Athlonの正式販売は、TWO-TOPが全国5店舗で当日の深夜0時から行ったのがまず最初。すでに輸入版Athlonの販売とデモが始まっていたアキバでは、さすがに物珍しさが薄れていたのか、0時前に並んだ買い物客は3名、1時までの購入者は計10人程度とやや寂しい状況だったが、仙台や大阪では30人を超える人が集まった。OSでは恒例化している深夜0時販売も、CPUにおいてはこのAthlonが初の事例になる。

 Athlonは正式デビュー直後から多数のショップで販売が始まり、21日(土)時点でAthlonを取扱っていたショップはアキバで約20店にものぼる。実売価格は、500MHzが32,480円~44,800円、550MHzが57,700円~68,800円、600MHzが79,500円~95,800円(詳細は「CPU最安値情報」参照のこと)。ショップによっては、AthlonもしくはAthlon搭載PCを購入した人にAthlonオリジナルエンブレムをプレゼントしているところもある。

 なお、現時点では正規品であっても500MHz~600MHzのいずれも「7th GENERATION PROCESSOR」のロゴを使用した製品がほとんどで、「AMD ATHLON TM PROCESSOR」の正式ロゴがついた製品は少ない。日本AMDによると、これは製造時期とAthlonの製品名が決まった時期とのズレで起きているもので、今後出回る新しい製造分から正式ロゴのタイプに切り替わるはずだという。

マザーの問題でAthlon関連製品も出荷停止?

 そして、ここ数日になって流通関係者の間で急浮上してきた話題がAthlon関連製品の出荷停止話。複数のショップによると、まず代理店からAMD公認のベアボーンキット「Cyber Athlete」が出荷されなくなり、現在在庫中の製品についても対策品と交換するまでは販売しないでほしいとのリクエストがきたという。実際、ショップによっては店頭で「(販売を)一時中止してます」と張り紙を出しているところもある。マザーボード(Microstar MS-6167)に問題が見つかったというのがその理由で、ほかにも同梱されているCOOLERMASTER製CPUクーラー「DRACO-K7」の固定用クリップ(金具)にも問題のあるロットの製品が一部に含まれており、形状の問題でAthlonを壊してしまう可能性があるという。CPUクーラーに関しては、メーカー側から先にアナウンスが出ており、問題のあるロットのクリップでは取り付けた際にAthlonの基板と接触してショートする危険性があるという(写真参照)。なお、単体で正規ルート品として販売されている「DRACO-K7」にはこの問題はないという。

 ショップによっては、これと同時にAthlon単体の出荷も止まったと言うところもあり、これらに関して日本AMDの広報に問い合わせみた。日本AMD側の回答は次の通り。

「マザーボードメーカーのMicrostarとAMDで調査したところ、Athlon用マザーボードの一部ロットに問題があることがわかった。発生する問題は、コールドスタート時に起動に失敗するケースがあるというもの。ほかのメーカーのマザーボードには関係なく、Athlon自身に問題があるわけでもない。マザーボードは、BIOSの更新と一部の部品交換で解決でき、改良品は来週から出荷される予定になっている。Athlon単体の出荷を停止したことはないが、営業レベルで一時的に販売を控えるよう勧めていたことはあるかも知れない。延期したキャンペーンについては、マザーボードだけの問題ではないので再開時期はまだわからない。」

 Microstarの日本法人であるエム・エス・ア イコンピュータジャパンでは、「この件については週明けにも詳細な内容を発表する予定」とコメントしている。

これも「初物」ならではの楽しみ?

 ネット上では、これらに関していろいろな推測や情報が入り乱れているが、両社からの現時点の公式なコメントは以上の通り。とりあえず長期にわたって影響の出る問題ではなさそうだ。マザーボードを筆頭に、Athlon関連製品は日本のリテールマーケットを優先にいきなり大量に出回ったことから、早くも初期ロットにありがちな問題にぶつかってしまったというわけだ。

 これも志願ベータテスター「人柱」達にとってみれば、必然の楽しみといったところか。まずは、この第一の難関をどううまくクリアするかに注目が集まる。

□AMD&ショップ ジョイントキャンペーン(日本AMD)
http://www.amd.com/japan/event/campaign_joint.html
□AMD Athlonエンブレムキャンペーン(日本AMD)
http://www.amd.com/japan/event/campaign_emblem.html
□CPUクーラーの注意(クーラーマスター/高速電脳)
http://www.ko-soku.co.jp/PVT.htm
http://www.ko-soku.co.jp/WARNING.htm

[撮影協力:PCiN秋葉原ツクモパソコン本店IIパソコン工房秋葉原3号店]


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