週刊3Dプリンタニュース

国産3Dプリンタの新製品が相次いで登場

~「次世代ものづくり」の第一人者が集結する講演会が開催~

 今回の週刊3Dプリンタニュースは、国産パーソナル3Dプリンタの新製品の話題2つと、3Dプリンタの活用も主要テーマになっている「次世代ものづくり」に関する講演会の話題をお届けしたい。

オープンキューブがパーソナル3Dプリンタの新製品「SCOOVO X9」を発売積層ピッチ0.05mm

SCOOVO X9の外観。ボディカラーはシルバーとブラックの2色が用意されている
最大造形サイズは200×170×230mmとかなり大きい
ホットエンド部とフィラメントフィーダが分離されており、高精度な造形を実現。また、ホットエンド部にはデュアルファンが搭載されており、フィラメント詰まりを防いでいる
プラットフォームに、ロックナット付アジャストスクリューが採用されており、工具を使わずに簡単にヘッドとのクリアランスを調整できるようになっている
積層ピッチを変えた造形サンプル。左から積層ピッチ0.2mm、0.1mm、0.05mmである

 3月3日、株式会社オープンキューブは、パーソナル3Dプリンタの新製品「SCOOVO X9」を発表し、直販サイト「オープンキューブオンラインストア」での予約を開始した。オープンキューブは、2013年7月にパーソナル3Dプリンタ「SCOOVO C170」を発売しており、今回発表されたSCOOVO X9は、SCOOVO C170の上位機として位置づけられる。発売は、3月14日の予定で、価格は220,500円である。

 SCOOVO X9はSCOOVO C170と同じく、熱溶解積層方式の3Dプリンタだが、SCOOVO C170に比べて、様々な点が強化・改良されている。積層ピッチは、SCOOVO C170が最小0.1mmだったのに対し、SCOOVO X9では半分の最小0.05mmになり、最大造形サイズは、SCOOVO C170の150×150×175mm(幅×奥行き×高さ)から、SCOOVO X9では200×170×230mmに拡大、体積はほぼ2倍になっている。0.05mmピッチというのは、熱溶解積層方式ではトップクラスの細かさであり、高精度な造形を実現する。本体サイズは、406×343×441mm(幅×奥行き×高さ)で、重量は約16.5kgである。

 さらに、SCOOVO C170はヒーテッドベッドはなく、造形材料もPLAしか利用できなかったが、SCOOVO X9では、シリコンラバー製ヒートパッドを搭載、PLAに加えてABSも利用できるようになっている。また、エクストルーダが一新され、フィラメントフィーダとホットエンド部が独立した設計になった。ホットエンド部の重量が軽くなるため、反復稼働時のオーバーランが抑えられ、より精度の高い造形が可能になる。ホットエンド部には、ファンが2つ搭載されており、ノズル内部の温度が上がりすぎ、フィラメントが詰まることを防いでいる。その他、プラットフォームとノズルのクリアランス調整に、ロックナット付アジャストスクリューが採用されており、より調整が容易になっている。スライス/プリンタ制御ソフトは、「SCOOVO Studio」を利用する。SCOOVO Studioは、日本語表記で、かんたん設定モードも用意されているため、初心者にもわかりやすい。

三豊工業がパーソナル3Dプリンタ「Ninjabot」を発売

Ninjabotはオープンフレーム方式を採用している
デュアルヘッドのFDM-200HW。2色での造形が可能だ
エクストルーダに透明パーツが使われており、フィラメントの状況がわかりやすい

 株式会社三豊工業は、国産パーソナル3Dプリンタ「Ninjabot」を3月中旬に発売することを発表した。Ninjabotは、株式会社アイツーアイ技研が設計し、三豊工業が製造および販売を行う、熱溶解積層方式の3Dプリンタである。

 Ninjabotは、ヘッドの数やヒーテッドベッドの有無によって、全部で3つのモデルが用意されている。FDM-200がシングルヘッド、ヒーテッドベッドなしのベースモデルで、FDM-200Hがシングルヘッド、ヒーテッドベッドあり、FDM-200HWがデュアルヘッド、ヒーテッドベッドありとなる。本体サイズは、450×450×480mm(幅×奥行き×高さ)で、最小積層ピッチは0.1mmである。最大造形サイズは、3モデルとも200×200×200mm。造形材料は、ヒーテッドベッドなしがPLA専用で、ヒーテッドベッドありモデルはPLA/ABS/PVAなど多彩な素材を利用できる。

 エクストルーダーが透明パーツで構成されており、フィラメントの状態が目視しやすく、フィラメントの交換やメンテナンスも容易にできる。標準では、スタンドアロン動作には対応していないが、オプションのSDカード対応液晶パネルを利用することで、スタンドアロン動作にも対応する。プリンタ制御ソフトとしては「Printrun」を使うことが推奨されている。

 価格はオープンプライスだが、店頭予想価格はFDM-200が240,000円前後、FDM-200Hが265,000円前後、FDM-200HWが280,000円前後になる見込みだ。

「次世代ものづくり」の第一人者が集結するトークショーが開催3Dプリンタからクラウドファンディング、ロボティクスまで

fabcross Meeting vol.01の紹介ページ

 3月23日(日)、東京都港区赤坂の株式会社メイテックのイベントスペースで、fabcross主催のトークセッション「fabcross Meeting vol.01 ~ブームで終わらせない『次世代ものづくり』のあり方」が開催される。

 fabcrossは、Makerムーブメントに代表される個人のものづくり特化型の情報サイトであり、3Dプリンタや電子工作、最新技術などに関する情報が集まっている。fabcross Meeting vol.01は、fabcrossが初めて開催するトークセッションであり、クラウドファンディングを活用して国内外に製品を展開するメイカーズ企業から、既存の概念にとらわれないロボティクス開発、成熟期を迎える3Dプリンタの活用まで、最前線で活躍する方たちをゲストに迎え、講演が行われる。

 fabcross Meeting vol.01は、4部と懇親会に分かれている。第1部のゲストは、機楽株式会社CEOの石渡昌太氏で、テーマは「CES2014からみるものづくりのこれからと機楽の挑戦」、第2部のゲストは、スケルトニクス株式会社代表の白久レイエス樹氏と株式会社V-Sido代表の吉崎航氏で、テーマは「次世代ものづくりのクリエイティビティ」、第3部のゲストは、一般社団法人3Dデータを活用する会・3D-GAN理事長の相馬達也氏、RepRap Japan Community代表の加藤大直氏、ビークル株式会社執行役員の片岡豪太氏で、テーマは「3Dプリンターの可能性と多様性」である。第4部は、「ブームで終わらせない『次世代物づくり』のあり方と題して、第1部から第3部までのゲストによるディスカッションが行われる。さらに、第4部終了後は懇親会の時間が設けられている。ゲストはそれぞれの分野で注目を集めている第一人者ばかりであり、非常に豪華な人選といえる。

 13時から19時30分までという、長時間にわたるトークショーであるが、途中入退場は自由となっている。参加費も1,000円と手頃なので、3DプリンタやMakerムーブメントに興味がある方は参加してみてはいかがだろうか。

(石井 英男)