週刊3Dプリンタニュース

「iPadに指で描いてつくれる!、3Dプリンター体験イベント」体験記

~出力はフルカラーの石膏で~

 今回の週刊3Dプリンタニュースは、iPadを使った3Dプリンタ体験イベントの体験記と、無料で銅像3Dデータが作れるキャンペーンについて紹介する。

指でなぞって3Dモデリングするアプリ「Sunny 3D」を利用した体験イベント

タイトルは「iPadに指で描いて、3Dプリント体験」である
説明はSunny 3DのMac版を使って行われた。Sunny 3Dでは、適当に線を描くだけで、それが立体になるうので、とても簡単に3Dモデリングが可能だ
最初にオフィス24スタジオ店長の新村氏が挨拶を行った
講師を務めたのはイーフロンティアの坂口氏である

 4月26日、東京都新宿区にあるオフィスコンビニ・3Dプリント店「オフィス24スタジオで、iOS向け無料3Dモデル作成アプリ「Sunny 3D」を使った、3Dプリンタ体験イベントが開催された。

 この体験イベントは、オフィス24スタジオを運営する株式会社オフィス24と、Sunny 3Dの販売元である株式会社イーフロンティアが共同で開催したものであり、筆者も参加してきたので、その様子をレポートしたい。

 初心者向けの3Dプリンタワークショップが開催されることも増えてきたが、その多くは、PCを使って簡単な3Dモデリングを行い、モデリングしたデータをFDM方式のパーソナル3Dプリンタで出力したものを後日受け取るといったものであり、3D CADの操作などをある程度覚える必要がある。それに対し、この体験イベントは「iPadに指で描いてつくれる!3Dプリンター体験イベント」というタイトルからもわかるように、iPadの画面を指でなぞるだけで、3DモデリングができるSunny 3Dを使用しているため、よりハードルが低い。

 イベントでは、まず、オフィス24スタジオ店長である新村氏が挨拶を行い、予想以上のイベント希望者があり、第2回も開催する意向を表明した。次に、イーフロンティアの坂口氏が、Sunny 3Dの操作説明を行った。

 Sunny 3Dは、Padの画面に輪郭線を描くだけで自動的に立体化されるという、ユニークな3Dモデリングソフトであり、機能もシンプルなので、初心者でもすぐに3Dモデリングに挑戦できる。思い通りにモデリングできないことも多いが、それも含めて楽しめるソフトだ。参加者は10名ほどであったが、すぐにSunny 3Dの操作方法をマスターし、夢中でモデリングを行っていた。形がある程度できたら、モデリングした物体に色を塗ることができる。

 モデリング作業の合間には、オフィス24スタジオの3Dプリンタ見学会も行われた。オフィス24スタジオでは、3D Systemsの業務用3Dプリンタ「ProJet 3500 HDMax」「ProJet 660Pro」、パーソナル3Dプリンタの「Cube X」が設置されており、3Dプリントフルサービスと3Dプリントセルフサービスを利用できる。3Dプリントセルフサービス用に設置されているCube Xは実際に動作しており、興味深く見つめている参加者も多かった。

 モデリングが完了したら、メールでそのデータを担当者に送り、体験イベントは終了となる。Cube Xで出力されたサンプルがいくつか、お土産として参加者に配られた。

 この種の体験イベントでは、自分がモデリングしたデータを3Dプリンタで出力したものを受け取るまで、2~3週間程度かかることが多いが、本体験イベントでは、20時以降なら当日出力品を受け取れるという。ただし、今回は、当日受け取りを希望した参加者はおらず、全員が宅配での後日受け取りを選択していた(送料も無料)。

 イベントから数日後、筆者のもとに、出力品が届いた。今回の体験イベントでは、オフィス24スタジオにある石膏粉末タイプの3Dプリンタ「ProJet 660Pro」を利用して出力が行われており、形だけでなく、色もフルカラーで再現されていることが特徴だ。石膏粉末を固めたものなので、落下などの衝撃には弱いが、フィギュアとして飾っておく分には問題はない。

 筆者がモデリングした謎の生物も、かなり忠実に出力されていた。石膏粉末タイプの3Dプリンタでは、サポート部分が不要で、細いしっぽなど、FDM方式の3Dプリンタが苦手な部分もきちんと出力される。出力品のサイズは4~5cmほどと小さいが、自分でモデリングしたものが、そのまま現実の物体として出力されるのは嬉しい体験だ。

 今回の体験イベントは、あっという間に定員に達してしまい、反響も大きかったため、5月24日に第2回のイベントを行う予定。すでに申し込みも受付中だ。

まず顔の大体の形を作って、耳などを変形させて形を仕上げていく
形ができたら、色を塗っていく
参加者は夢中でSunny 3Dでのモデリングに取り組んだ
途中で休憩を兼ねて、オフィス24スタジオの3Dプリンタの見学会が行われた
造形中のCube Xの様子を興味深そうに見ている参加者
石膏粉末タイプの3Dプリンタでの出力例も展示されていた
筆者がモデリングした謎の生物。Sunny 3Dの操作は簡単だが、モデリングはなかなか思い通りにはならない
お腹のところに「石井」という文字を書いてみた
数日後、丁寧な梱包で3Dプリンタでの出力品が送られてきた。サイズは単3電池程度でかなり小さいが、石膏なので意外とずっしりしている
筆者がモデリングした出力品を前から見たところ
お腹の部分に書いてみた文字もちゃんと再現されている
足の長さもフリーハンドでモデリングしているので、高さがぴったり揃っているわけではないが、一応ちゃんと4本足で立っている。細いしっぽも綺麗に出力されているのは、石膏粉末タイプならではだ

アサヒ飲料が「自分の銅像」を作るキャンペーンを開始

オアシス銅像ファクトリーのトップページ。ENTERをクリックして中に入る
自分の銅像3Dデータを作るには、まず、職業を選ぶ。職業は、アパレル店員や駅職員など、全部で30種類が用意されている
筆者はライターなので、30番目の職業である「ライター」を選択した

 アサヒ飲料株式会社は、乳性飲料「カルピスオアシス」のキャンペーンとして、4月30日に特設サイト「オアシス銅像ファクトリー」を開設した。

 オアシス銅像ファクトリーは、30種類の職業を対象とした銅像3Dデータ作成サービスであり、Webブラウザ上で職業を選択し、Webカメラで顔写真を撮影するか、あらかじめ撮影しておいた顔写真をアップロードするだけで、自分だけの銅像3Dデータが簡単に作成できることが特徴だ。1枚の写真から作るにしては、わりとリアルな3Dデータが生成される。髪型やメガネ、髭などは自由に選択できる。

 オアシス銅像ファクトリーで作成した銅像は、OBJ形式の3Dデータとしてダウンロードできるだけでなく、世界の風景をバックに撮った記念写真をSNSでシェアすることもできる。さらに、3Dプリント出力サービスを提供している「rinkak」と連携しており、作成した銅像3Dデータをそのまま石膏粉末タイプの3Dプリンタでフィギュアとして出力してもらうことも可能だ(出力は有料で6,000円から)。

 オアシス銅像ファクトリーは6月30日までの期間限定サイトなので、自分の銅像3Dデータが欲しい人は、是非試してみてはいかがだろうか。

職業あるあるを投稿する場合は、左に名前とあるあるを入力して、「投稿」をクリックする。銅像を作るには右上の「鋳造」をクリックする
顔写真をWebカメラで撮影するか、あらかじめ撮影しておいた写真をアップロードするかを選択する
今回は写真のアップロードを選択した。複数人で写っている写真の場合は、自分の顔の範囲を指定する必要がある
アップロードした写真をもとに銅像の顔部分が生成される。髪型やメガネ、髭を指定し、銅像名を入力して、「鋳造」をクリックする
オリジナルの銅像が作成される
銅像をクリックすると顔の部分が拡大表示される
銅像の下には「記念撮影してもらう」と「3Dデータのダウンロード」というボタンがある。また、銅像IDをメモしておくと、後日トップページから検索して探すことができる
「記念撮影してもらう」をクリックすると、世界のさまざまな場所に設置された銅像の写真が表示される。「設置場所を変える」をクリックすることで、設置場所を変更できる
記念写真をFacebookやTwitterでシェアすることも可能だ
「3Dデータのダウンロード」をクリックすると、この画面が表示される。「見積もる」をクリックすると、3Dプリント出力サービス「rinkak」に接続され、石膏粉末タイプの3Dプリンタでの出力申し込みが可能だ
rinkakでの出力料金は、一番小さなサイズSS(7cm)で6,000円からとなる
ダウンロードした3Dデータを、MakerWareに読み込ませたところ

(石井 英男)