週刊3Dプリンタニュース

ヨーヨーを3Dプリント、そのまま遊ぶ無料講習会が開催

~ボンサイラボがデュアルノズル仕様のパーソナル3Dプリンタを発売~

 今回の週刊3Dプリンタニュースは、ヨーヨーを3Dモデリングして遊ぶ無料講習会の参加レポートと、ボンサイラボのパーソナル3Dプリンタの新製品について取り上げよう。

ヨーヨーのモデリングとヨーヨー教室が一緒に

講習会は、中野ブロードウェイ地下1Fにある「あっ3Dプリンター屋だ!!」で行われた
あっ3Dプリンター屋には、6台のパーソナル3Dプリンタが置かれていた
今回、特別ゲストとして講師を務めた東方秀樹氏。サラリーマンをしながら、3D CADを使ったモノ作りに取り組み、趣味の楽器で使うグッズやヨーヨーなど、さまざまな3Dモデリングを行っている
講習会は午後1時からと午後4時からの2回に分けて行われた。こちらは2回目の様子
東方氏が3Dプリンタを使って作成したオリジナルヨーヨー「Hacchi」。ボディにハニカム構造を採用していることが特徴だ

 7月5日、東京中野にある3Dプリンタ屋「あっ3Dプリンター屋だ!!」で、「第5回"123D Design"無料3D CADモデリング講習会」が開催された。

 あっ3Dプリンター屋だ!!は、株式会社東京メイカーと株式会社ストーンスープが共同で運営している3Dプリンタ屋で、中野ブロードウェイ地下1Fにある。あっ3Dプリンター屋については、以前このニュースでも取り上げているのでそちらもご覧いただきたいが、名称といい、立地といい、なかなかユニークな店だ。

 この3D CADモデリング講習会は、同店のインターン生が講師となり、無料で行われているものだが、今回は特別ゲストの東方秀樹氏が講師を務めた。内容も123D Designで3Dモデリングの基礎を学ぶという点はいつもと同じだが、今回は、ヨーヨーの3Dモデリングに挑戦したことが特徴だ。

 東方氏は、サラリーマンをしながら、3D CADを活用したモノ作りに取り組んでおり、趣味の楽器で使うグッズやヨーヨーなど、さまざまな3Dモデリングを行っている多才な人物であり、今回の講師にはまさにうってつけだ。あっ3Dプリンター屋の店舗スペースはあまり広くないため、講習会は午後1時からと午後4時からの2回開催されたが、どちらの回も参加者で一杯であった。

 東方氏はまず、ヨーヨーのトレンドについて説明を行った。

 日本では定期的にヨーヨーがブームになっており、来年は世界大会が東京で開催予定だという。競技ヨーヨーのトリック(技)は年々進化しており、ヨーヨー自体もボールベアリングの搭載や金属材料を採用するなど大きく進化してきた。3D CADと3Dプリンタを使うことのメリットは、自分の好きな形状や重量のヨーヨーを作れることや、従来の加工技術では困難な造形も可能なことだ。

 東方氏が実際に3Dプリンタを使って作成したオリジナルヨーヨーの実物を見せてくれたが、ハニカム構造を採用するなど、3Dプリンタならではのオリジナリティにあふれた見事なヨーヨーであった。

 次に、123D Designを使ったヨーヨーの3Dモデリングの実習に移った。3D CADの基本は、「面を作って押し出す」ことであり、円筒形を基本とするヨーヨーなら、円を描いて押し出せばよい。さらに、ネジが通る穴をあけたり、角を丸くする(フィレット)ことで、ヨーヨーのモデリングを行っていく。この講習会では時間が限られているため、ヨーヨーの基本形状のモデリングで終了したが、それをベースにしてオリジナリティあふれるヨーヨーを作ることが可能だ。

 モデリングの実習が終わると、ヨーヨー教室が始まった。競技ヨーヨーでは、1Aから5Aまで5つのカテゴリーがあるのだが、東方氏は順番にそれぞれのカテゴリーのトリックを披露してくれた。次に、参加者にヨーヨーが貸し出され、ヨーヨーが初めてという人にも丁寧に指導を行なっていた。

 東方氏は、3Dプリンタが普及するには、3Dデータを作成するスキルを身につけることはもちろんだが、製作したものが実用的に利用でき、さらにその延長上としてマネタイズができることが必要だと考えているとのことだ。同氏のヨーヨー製作は、そうした考えの基に行われており、実際にオリジナルヨーヨーの販売も行っている。東方氏の活動や3Dプリンタで作成したヨーヨーに興味がある人は、東方氏のblogを見ていただきたい。

ヨーヨーについて。日本でのヨーヨーブームは定期的に訪れており、来年夏にはヨーヨーの世界大会が東京で開催される予定だ
競技ヨーヨーについて。トリックが高度化し、ボールベアリングの搭載や金属素材の採用など、ヨーヨーも進化してきた
3D CADでヨーヨーをモデリングする意義。自分の好きな形状や重量のヨーヨーを作れることや、従来の加工技術では困難な造形も可能なことがメリットだ
これまでに東方氏が作ったヨーヨー。3D CADでモデリングし、3Dプリント出力サービスを利用して造形したものだ
3D CADの基本は、「面を作って押し出す」ことである
123D Designを使って、実際にヨーヨーのモデリングに挑戦しているところ
モデリングが完了したら、今度はヨーヨー教室が始まった。まず、競技ヨーヨーの種類について、実演を交えて解説が行われた。この写真は5A(カウンターウエイト)の実演中
参加者みんなでヨーヨーの練習開始
東方氏は、ヨーヨーのトリックのやり方を一人一人丁寧に指導していた

デュアルノズル仕様のパーソナル3Dプリンタ「BS01 Dual」が登場シングルノズルからのアップグレードも可能

BS01 Dualのイメージ画像。実際のモデルは筐体にMDF板が使われるため、この写真とは異なる
左は、BS01 Dualで選べるボディカラー(全5色)。右はBS01での出力例

 ボンサイラボ株式会社が、デュアルノズル仕様のパーソナル3Dプリンタ「BS01 Dual」を開発し、予約受付を開始した。

 ボンサイラボは、小型パーソナル3Dプリンタ「BS01」の資金調達をクラウドファンディング「kibidango」によって成功させ、その後一般販売も開始している。BS01は、ボディがコンパクトで、高精度な造形が可能なことで定評がある。今回発表されたBS01 Dualは、BS01のデュアルノズルモデルであり、同時に2色の材料を利用して造形が可能なほか、1つのノズルをサポート材専用にすることで、サポート部分の除去が容易になり、複雑な形状の物体もより高精度な造形を行うことが可能だ。

 BS01 Dualは、BS01と同様に、PLAのみ対応モデルとABS/PLA両対応モデル(ヒートベッド付き)があり、それぞれ組み立てキットと完成品、完成品+1年間の代替品貸し出しサービス付きの3種類が用意されており、価格は、一番安いPLAのみ対応の組み立てキットが119,800円となっている。本体サイズは250×250×275mm(幅×奥行き×高さ)で、積層ピッチは0.1mmが推奨である。

 すでにBS01を購入済みという人に向けて、デュアルノズル化を行う「デュアル対応キット」や「デュアル対応おまかせプラン」などが用意されていることも評価できる。自分でデュアル対応を行うデュアル対応キットは25,800円、BS01をボンサイラボに送ってデュアル対応に改造してもらうデュアル対応おまかせプランは35,000円である。

 また、ボンサイラボは、新たに高品質フィラメントメーカーであるPolymakrと業務提携を行い、Polymakr製フィラメント「PolyPlus PLA」、「PolyMax PLA」、「PolyFlex」の販売を開始した。

 PolyPlus PLAは、フィラメント詰まりが起きにくいように設計された高品質PLAであり、半透明を含む全11色が用意されている。1スプールの重量は750g品と500g品があり、750g品は通常色が3,450円、半透明が3,750円、500g品は通常色が2,760円、半透明が3,000円である。PolyMax PLAは、色はホワイトのみだが、機械的性質を大幅に高めたフィラメントであり、耐衝撃強度は一般的なPLAの8~9倍、強度が高いABSと比べても約20%も上回っている。こちらは750g品が4,500円、500g品が3,600円である。

 PolyFlexは、一般的なFDM用樹脂とは異なり、造形品が柔軟で曲げることができ、弾力性に優れていることが特徴だ。材質は熱可塑性エラストマーであり、色はホワイトのみだが、弾力性を活かした新たな用途が考えられる。価格は750g品が7,980円、500g品が4,600円であり、PLAに比べるとやや高価だ。

(石井 英男)