週刊3Dプリンタニュース

ローランドDGによる3Dプリンタの試作機が展示、「ものづくりワールド」で

~5色造形の3Dプリンタがファンディング成功、年末から出荷予定~

 今回の週刊3Dプリンタニュースは、設計・製造ソリューション展でのパーソナル3Dプリンタ関連の話題と、5色造形が可能なパーソナル3Dプリンタが登場したという話題をお届けしよう。

3Dプリンタ関連の展示が増加した「設計・製造ソリューション展」

設計・製造ソリューション展は、機械要素技術展、3D&バーチャルリアリティ展、医療機器開発・製造展と併催されており、あわせて「日本ものづくりワールド2014」と呼ばれている

 2014年6月25日~27日、東京ビッグサイトで「第25回設計・製造ソリューション展」が開催された。設計・製造ソリューション展は、機械要素技術展、3D&バーチャルリアリティ展、医療機器開発・製造展と併催されており、設計・製造に関するさまざまな機器やソリューション、サービスなどが一同に会する、ものづくりのための展示会だ。

 前回あたりから、3Dプリンタ関連の展示ブースが増えているが、今年は、さらに3Dプリンタ関連の展示が増えており、来場者からの注目を集めていた。そこでここでは、設計・製造ソリューション展で展示されていたものの中から、特に読者の関心が高いと思われる、パーソナル3Dプリンタ関連の話題を紹介したい。

ローランドDGブースに参考出品されていた小型3次元切削加工機「SRM-20」(左)と光造形式3Dプリンタ「ARM-10」(右)
光造形式3Dプリンタ「ARM-10」。動作はしてなかったが、造形サンプルは展示されていた
小型3次元切削加工機「SRM-20」。こちらは動作しており、ケミカルウッドを切削していた。基本的に非金属材料用とのことだ
SRM-20やARM-10の造形サンプル。中央は光造形式3Dプリンタ「ARM-10」で造形したもの。右は3次元切削加工機「SRM-20」で造形したもの。左はARM-10とSRM-20の両方を使って造形したパーツを組み合わせて作ったもの

 ローランドDGは、今年秋に発売を予定している、光造形式3Dプリンタ「ARM-10」および小型3次元切削加工機「SRM-20」の試作機を展示していた。

 SRM-20は、実際に動作しており、ケミカルウッドを切削していたが、ARM-10は動作はしていなかった。その代わり、ARM-10での出力結果が展示されていた。気になる価格だが、SRM-20よりもARM-10のほうが高くなるようで、ARM-10は60万~80万円程度になるとのことだ。

3D Systemsブースに展示されていたパーソナル3Dプリンタの新製品「Cube 3」。秋発売予定で、価格は16万円程度になるとのこと
Cube 3はデュアルヘッド仕様であり、2色を使った造形が可能だ

 3D Systemsブースでは、CESで発表されたパーソナル3Dプリンタ「Cube 3」や「Cube Pro」などが展示されていた。

 Cube 3は、Cubeの後継となる製品で、デュアルヘッド仕様になっていることが特徴だ。発売は今年秋の予定で、現行のCubeと同じ16万円前後になりそうとのこと。

 Cube Proは、Cubx Xの後継となる製品で、Cube Xと同様にシングルヘッド、デュアルヘッド、トリプルヘッドの3モデルが用意されている。

3D Systemsのパーソナル3Dプリンタの新製品「Cube Pro」。Cube Xの後継として位置づけられ、トリプルヘッド仕様まで用意されている
展示されていたCube Proは、トリプルヘッド仕様である。ヘッドが3つあるのがわかる
Stratasysブースに展示されていたMakerBotのパーソナル3Dプリンタの新製品「Replicator Mini」
新型Replicatorでの造形例。新型ReplicatorはPLA樹脂専用となっている

 Stratasysブースでは、MakerBotのパーソナル3Dプリンタの新製品「Replicator Mini」や「Replicator」、パーソナル3Dスキャナ「Digitizer」などが展示されていた。Replicator Mini」や「Replicator」は、PLA専用であるが、無線LANに対応し、モニター用カメラを搭載していることが特徴だ。

同じくMakerBotのパーソナル3Dプリンタの新製品「Raplicator」。無線LANに対応し、モニター用のカメラも搭載
MakerBotのパーソナル3Dスキャナ「Digitizer」

 ケイエヌトレーディングブースでは、パーソナル3Dプリンタ「Buccaneer3D」や「ROBO 3D」、折りたたみ式のパーソナル3Dスキャナ「Matter and form」などが展示されていた。

ケイエヌトレーディングブースで展示されていたパーソナル3Dプリンタ「Buccaneer3D」
同じくケイエヌトレーディングブースで展示されていたパーソナル3Dプリンタ「ROBO 3D」
こちらはケイエヌトレーディングブースで展示されていたパーソナル3Dスキャナ「Matter and form」

 また、ムトーエンジニアリングブースでは、3Dフィギュアサービス「The Bobble Shop」のデモを実施。The Bobble Shopは、専用3Dスキャナにより、顔の3Dスキャンを行い、衣装や髪型を選択して、石膏粉末タイプのフルカラー3Dプリンタを利用して、フルカラーの3Dフィギュアを作るというサービスだ。サイズによって値段は変わるが、一番小さいサイズなら3,000円程度でフィギュアを作ることができるので、気軽に利用できそうだ。

ムトーエンジニアリングブースでデモされていた3Dフィギュアサービス「The Bobble Shop」の3Dスキャナ
このように3Dスキャナの中に顔を入れて、3Dスキャンを行う。スキャンは10秒程度で完了する
完成した3Dフィギュア。衣装や髪型は用意されているものから選択・カスタマイズできる
3D Systemsのハイエンド3Dプリンタ「Objet 500 Connex 3」。マルチカラー・マルチマテリアルに対応
Objet 500 Connex 3での造形例。素材の透明度や柔らかさなども調整できる

5つのヘッドで5色成型できる3Dプリンタ「Rova3D」がファンディング成功年末から出荷予定

最大5つのヘッドを搭載可能な「RoVa3D」。エクストルーダーとヘッド部分を分離することで、高速化を狙っている
RoVa3Dでの造形例。PLA、ABS、PETT、ナイロン、ポリカーボネートなど多種の素材を利用できる

 ORD Solutionsは、最大5つのヘッドを搭載可能なパーソナル3Dプリンタ「RoVa3D」を開発し、クラウドファンディングサイト「Kickstarter」での資金調達プロジェクトを開始した。既にファンディングは成功しており、最初のロットは2014年12月に出荷されるという。

 RoVa3Dは、いわゆるFDM方式のパーソナル3Dプリンタであるが、最大5つのヘッドを搭載でき、ヘッドは最大450℃まで加熱できるため、PLA、ABS、PETT、ナイロン、ポリカーボネートといったさまざまな素材を利用できることが特徴だ。ヒートベッドも搭載しており、最大115℃までプラットフォーム温度を上げることができ、フィラメント詰まりを防ぐために、ヘッド部分に液冷システムが搭載されていることもウリの一つだ。

 なお、Kickstarterでのプロジェクトでは、1496カナダドル以上の出資で本製品を入手できる。締め切りは7月29日で、7月9日現在、目標金額である2万5000カナダドルの4倍近くとなる9万ドルを超える出資を集めている。

(石井 英男)