週刊3Dプリンタニュース

スマートフォンで顔の3Dモデルが簡単に作れる「3Dピポ」登場

~リコーが3Dプリント関連事業に参入~

 今回の週刊3Dプリンタニュースは、スマートフォンを使って顔の3Dモデルが簡単に作れるアプリ「3Dピポ」の話題と、リコーが3Dプリント関連事業に参入したというニュースをお届けしよう。

写真1枚で顔の3Dモデルを作って遊べる「3Dピポ」3Dフィギュアも注文OK

3Dピポでは、まず、スマートフォンのフロントカメラを使って、3Dモデル化したい人の顔写真を撮影する。顔の輪郭と目の位置をガイドラインにあわせるとよい
写真を撮影したら、男性か女性かを選択し、「3Dピポで遊ぶ」か「3Dプリントしよう!」を選べば、3Dモデル化が行われる
服や髪型などは暫定的に選ばれるが、自分の好きな服や髪型に変更できる。3Dモデルは、自由に拡大や縮小、回転などが可能だ
服や髪型も多数用意されている
表情を変えたり、寝転ぶといったアクションを選べば、モデルがアニメーションする
静止画をFacebookやLINEでシェアしたり、アルバムに保存することも可能だ。アルバムにはアニメーションの動画を保存することもできる

 株式会社アイジェットが、スマートフォンを使って顔の3Dモデルを作って遊べるアプリ「3Dピポ」を開発した。アイジェットは、3Dプリント出力サービスや3Dスキャン、3Dデータ制作などを行っている企業であり、kinectセンサー4基を使った3Dスキャンシステム「SHOZO 3D」などを開発している。3Dピポはギフトショーにあわせて発表され、同社のブースでも展示が行われていた。

 3Dピポのダウンロードは無料で、現在はiOS用のみが公開されており、Android用は12月上旬に公開予定である。3Dピポの使い方は簡単で、まず、スマートフォンのフロントカメラを利用して、顔の写真を撮る。

 次に、男性か女性かを選択し、「3Dピポで遊ぶ」か「3Dプリントしよう!」を選べば、3Dモデルが作成される。できた3Dモデルは自由に拡大や縮小、回転などができ、髪型や服装、メガネなど、多数のパーツの中から選択して着せ替えが可能だ。3Dピポで遊ぶを選択した場合は、着せ替えだけでなく、表情やアクションを選んでアニメーションをさせることや背景の変更も可能で、静止画をFacebookやLINEにシェアする機能も用意されている。

 3Dプリントしよう!を選んだ場合、気に入った髪型や服装で、3Dプリンタで出力される3Dフィギュアを注文することができる。

 料金は髪型や服装にかかわらず、1体あたり5,980円となっている。この3Dフィギュアは、石膏粉末タイプの3Dプリンタで出力されるもので、フルカラーだが、衝撃には弱いので注意すること。3Dフィギュアのサイズは手のひらに載る程度なのでそれほど大きくはないが、その分、価格もリーズナブルだ。前回紹介した「Create Me」の3Dフィギュア/マスク作成サービスも手軽だが、こちらはショップなどに行く必要がなく、直接アプリから3Dフィギュアを注文できることが魅力だ。

 3Dピポで遊ぶだけなら、費用はかからない。作った3Dキャラを着せ替えたり、アニメーションさせるだけでも楽しいので、興味を持った方は是非試してみてはいかがだろうか。

ギフトショーのアイジェットブースでは、3Dピポを使って作られた3Dフィギュアが展示されていた
3DピポがインストールされたiPhoneが並んでおり、自由に試せるようになっていた
Kinectセンサーを4基使って全身スキャンを行う「SHOZO 3D」もデモされていた
SHOZO 3Dでは、ターンテーブルの上に被写体が乗り、回転しながらスキャンを行う
3Dフィギュアは3Dピポのアプリから注文して購入できる
3Dピポの公式サイト。アプリは無料でダウンロードできる。現在は、iOS用のみ公開されており、Android用は12月上旬に公開予定だ

リコーが3Dプリント関連事業に参入3Dプリンタの自社製造・販売も視野に

 株式会社リコーは、3Dプリンタをキーとするアディティブ・マニュファクチャリング事業(AM事業)に参入することを表明した。

 アディティブ・マニュファクチャリングとは、日本語では、付加製造や積層製造などと訳されるが、その名の通り、材料を削るのではなく、積み重ねたり、付け加えたりして製造を行う方法の総称である。従来は、材料を削ったり、型に流し込んで作る方法が製造業の主流であったが、3Dプリンタの進化に伴い、アディティブ・マニュファクチャリングによる製造も現実味を帯びてきた。

 3Dプリンタを代表とするアディティブ・マニュファクチャリング市場は、今後大きな成長が見込まれており、さまざまな企業が新規参入を果たしているが、リコーでは、AM事業の第1弾として、ものづくりイノベーション拠点となる「RICOH Rapid Fab」を神奈川県横浜市と厚木市の2ヵ所に開設する。

 RICOH Rapid Fabは、企業の設計・製造部門の顧客を中心に、3Dプリンタの活用によるものづくり変革を提案する場であり、ショールームとしての役割だけでなく、顧客のデータを用いた3Dプリント出力サービスにも対応する。RICOH Rapid Fab新横浜は、9月8日にリコー新横浜事業所内に開設され、RICOH Rapid Fab厚木は、9月下旬にリコー厚木事業所内に開設される予定だ。

 なお、RICOH Rapid Fabの開設はあくまでAM事業参入の第1弾ということで、今後は3Dプリンタの仕入れ販売、3Dプリント出力サービス、実践事例に基づくコンサルティングなどを展開し、拠点も順次拡張していくとのことだ。また、リコーは、インクジェット技術や粉体技術といった、3Dプリンタ関連の要素技術を有しており、今後は自社が持つ技術を用いて3Dプリンタの自社製造・販売も視野に入れて、研究開発を進めていくとしている。

 キヤノンも3Dプリンタ開発を表明しているが、リコーやキヤノンのようなプリンタ関連の要素技術を有する国内大手メーカーが3Dプリンタを開発・販売するようになると、3Dプリンタの普及も次のステージへと進むのではないだろうか。

(石井 英男)