忍者増田のレトロゲーム忍法帖

今宵も徹夜で対人プレイ! 『いたスト』に忍者増田がハマったワケ

~『いただきストリート』編 壱ノ巻~

忍者増田氏と『いただきストリート ~私のお店によってって~』のファミコンカートリッジ。

 忍者増田氏が名作レトロゲームを紐解き、その作品にまつわるエピソードや、今改めてプレイしてみての感想を語る連載「忍者増田のレトロゲーム忍法帖」。

 第四弾は1991年にアスキーから発売された『いただきストリート ~私のお店によってって~』(ファミリーコンピュータ版)。このソフトで対人プレイをたくさんしたという増田氏の実力はいかに?

(編集部)

ボードゲームの名作『いたスト』シリーズの初代最新作も今年発売予定

 今回のお題は、1991年にアスキーから発売されたファミコンのボードゲーム、『いただきストリート ~私のお店によってって~』でござる。本作はいわゆる『いたスト』シリーズの初代。『いたスト』はその後も様々なプラットフォームから続編が登場し、今年は『いただきストリート ドラゴンクエスト&ファイナルファンタジー 30th ANNIVERSARY』という最新作の発売が予定されているとのこと。

『いただきストリート ~私のお店によってって~』のファミコンカセット。『いたスト』シリーズの元祖。サイコロを振って進めていくボードゲーム形式で、総資産をステージごとの設定額まで貯めて先に銀行へたどり着くのが目的。
タイトル画面。ヒロインのまりながウインクし、店に入った人間がパンツ一丁になって出ていく演出がある。
『いたスト』のゲーム画面。まだ誰も購入していない店(灰色)に止まると、その店を購入できる。上の数字が「買い物料」で、他人がその店に止まったときにもらえる金額。下の数字が店を買うときの「価格」。
規定の4か所を回ってマークを揃え、銀行に戻るとサラリーがもらえる。基本的にはこのサラリーをもらうためにマップを周回しながら、止まったお店を購入していくことから始まる。

 『いたスト』と『ドラクエ』と『FF』の夢のコラボは、すでに2004年に『ドラゴンクエスト&ファイナルファンタジー in いただきストリート Special』にて実現していますが、当時も非常に驚いたものです。だってコレって、東映まんがまつりでマジンガーZとデビルマンとゲッターロボが手を組んだみたいなモンじゃないですか。いやはや、ニンともすごい時代になったものでござるよ。

 少し話がそれましたが、もう少しだけそらし続けます。拙者が『いたスト』を購入したのは、小さいころに親戚のお兄ちゃんの家で、『バンカース』という日本製のボードゲームを熱心に遊んでいたことが発端となっています。

 『バンカース』は、サイコロを振ってコマを進め、止まった土地に自分の家を建てていき、自分の家に相手が止まることでお金をもらう……ということを繰り返して資産を増やしていく不動産ゲーム。家を増築して、相手からぶんどる金額を増やすこともできます。

 要は、世界的に知られるボードゲームのスーパーロングセラー『モノポリー』のルールがベースとなっている、和製『モノポリー』とでもいうべきゲームなのでござるが、そんなことはだいぶ後になってから知りました。

『バンカース』みたいなボードゲームをコンピューターでも遊んでみたい

 拙者は当時この『バンカース』に、子供ながらに『人生ゲーム』などとはまた違う大人のニオイを感じ取り、親戚のお兄ちゃんたちと幾度もプレイに興じていたわけです。ちなみに、自分の土地に相手が止まったら、ウッドペッカーの鳴き声のような音程で「引っ掛かーりー!」と言って煽るのがお兄ちゃんと拙者のルールでした。

『いたスト』は思考型のゲームなので、今回はいつも以上に真剣にプレイ。
全部で5つのマップが楽しめる。最終マップの「宇宙星雲」は、形状も進路方向も独特だ。

 そして大人になった拙者は、ゲーム誌の記事か何かで『いたスト』を発見。『いたスト』が『モノポリー』や『バンカース』のような内容のボードゲームだと知ることになります。「懐かしいなあ。ああいうゲームがコンピューターで遊べるなら久しぶりにやってみたい!」ということで、『いたスト』を購入するに至ったのでござるよ。

 幼きころの郷愁に胸をときめかせながら、初代『いたスト』をプレイした拙者。いやあ、元々『バンカース』が好きだったこともあり、どっぷりとハマりました。まず感じたのは、当たり前なんだけど、お金の計算をすべてコンピューターがやってくれる楽チンさ。

 友達を引き込んで遊んだのはもちろん、帰省時には例の親戚のお兄ちゃんの家にわざわざファミコン本体と『いたスト』のカセットを持って押し掛け、「これ『バンカース』のファミコン版だよ!」などと言って一緒にプレイしたりもしました。友達とは、休日に徹夜でプレイすることもしょっちゅうでしたね。

 『いたスト』は、もしかしたら拙者が一番「対人プレイ」をしたコンピューターゲームかもしれません。


 『バンカース』に『人生ゲーム』などとは違う大人のニオイを感じ取った増田少年。そして時は流れ、ファミコンの『いたスト』に出会うと徹夜でプレイするほどに熱狂。彼をそこまで魅了した要因は何なのか? 次回は『いたスト』の魅力について語ります。お楽しみに!

 ※本日21:00から忍者増田氏出演の生放送「忍者増田のレトロゲーム忍法帳:生動画絵巻」を放送予定。 生放送は終了しました。

 ※次回掲載は2月7日(火)を予定しています。

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『いただきストリート』シリーズは今このプラットフォームで遊べる

『いただきストリート』シリーズを今遊ぶには(参考価格/価格は税込表記)
『いただきストリート ~私のお店によってって~』
ファミコンカセット(中古品/付属品無し)
1,000円前後~
『いただきストリート2 ネオンサインはバラ色に』
スーパーファミコンカセット(中古品/付属品無し)
300円前後
『いただきストリート3 億万長者にしてあげる!~家庭教師付き!~』 PlayStation 2版(中古品/付属品無し)600円前後
『ドラゴンクエスト&ファイナルファンタジー in いただきストリート Special』 PlayStation 2版(中古品/付属品無し)800円前後
『ドラゴンクエスト&ファイナルファンタジー in いただきストリート ポータブル』PSP版(中古品)700円前後
『いただきストリートDS』ニンテンドーDS版(中古品)1,500円前後
『いただきストリートWii』Wii版(中古品)2,000円前後
※2017年1月調べ

注釈

  1. いただきストリート ~私のお店によってって~
    1991年3月に発売されたファミコンソフト。通称は『いたスト』。サイコロを振って進めていくボードゲーム形式で、総資産をステージごとの設定額まで貯めて、先に銀行へたどり着くのが目的。後に異なるプラットフォームにてシリーズ化されるが、この作品だけは発売元がアスキーだったりする。ゲームデザインは『ドラクエ』でもおなじみの堀井雄二さん。
  2. まりな(はやせ まりな)
    初代『いたスト』のコンピューターキャラクターのひとり。15歳の高校1年生。B型の水瓶座。性格は「ロマンチストで世話好き」。ヒロイン然としていて、プレイや言動にもクセがないので、選択に迷ったらとりあえず入れておくと無難なキャラ。趣味の「ピアノ演奏」を一度聴いてみたいですね。
  3. 東映まんがまつり
    かつて東映が、子供向け映画を数本まとめ、東映まんがまつりとして劇場公開していた。当時、『マジンガーZ対デビルマン』などのタイトルに、てっきり両ヒーローが対決するものと思って観に行ったら全然そんなことはなく、肩透かしを食らった子供も少なくなかった。
  4. バンカース
    はなやま商店(現ハナヤマ)が1953年に発売した、『モノポリー』ライクなボードゲーム。のちに『ニューバンカース』というマイナーチェンジ版や、復刻版も発売されている。同社のボードゲームでは『ダイヤモンドゲーム』も有名。他にも、色々なゲームが複数セットになったお得な『家庭盤』シリーズも知られており、増田氏はこちらもよく遊んだそう。「『名探偵』や『コピット』が面白かったなあ」とのこと。
  5. サラリー
    スペード・ハート・クローバー・ダイヤの4種のマークを揃えてから銀行に到着することでもらえるお金のこと。周回数や所持しているお店の数でも変化するので、後半になるとサラリーでもらえる額が増えてくる。「やっぱり サラリーが いちばん もうかりますね!」
  6. モノポリー
    1935年から世界各国で発売され、プレイヤーの累計人数が最も多いと言われるボードゲームの大定番。世界で約2億5千万個以上の売り上げを記録。現在、日本でもタカラトミーから発売中。ちなみに、1965年に日本で初めてモノポリーを発売したのもハナヤマ(はなやま玩具)である。
  7. 人生ゲーム
    1960年にアメリカで発売された『THE GAME OF LIFE』というボードゲームが原型。日本でも1968年にタカラ(現タカラトミー)から『人生ゲーム』として発売され、大流行した。プレイヤーはルーレットを回してコマを進め、止まったマスの指示に従い、お金を稼ぎながら人生のゴールを目指すという双六形式の内容。子供が増えすぎて、自動車ゴマに人物ピンを乗せられなくなった経験のある人も多いはず。当時、「一家にひとつ」と言ってもいいくらい日本全国に普及していた。家庭用ゲーム機のソフトとしても様々な作品が発売されている。
  8. ウッドペッカー
    ウッディー・ウッドペッカーのこと。ユニバーサル・ピクチャーズのアニメーション作品に登場する、キツツキをモデルとしたキャラクター。独特の笑い声で知られる。
  9. 対人プレイ
    コンピュータが相手ではなく、生身の人間と戦うゲームプレイのこと。ファミコンだと古くは『マリオブラザーズ』も協力プレイという名の対人戦ができたものである。兄弟や友達とやってケンカの火種になったりも。

増田厚(ペンネーム:忍者増田)

 茨城県生まれ。漫画『ゲームセンターあらし』や『マイコン電児ラン』の影響を受け、中学2年生のときにパソコンをいじり始める。東京の大学入学と同時に、パソコンゲーム誌『ログイン』にバイトとして採用され、6年間在籍。忍者装束を着て誌面に出る編集者として認知度が高まる。その後、家庭用ゲーム雑誌『週刊ファミ通』に3年在籍したあと、フリーライターとなる。現在はおもに、雑誌やWeb、攻略本などでゲームのレビュー記事や攻略記事を執筆しつつ、ゲーム以外のライティングも。得意なゲームは、『ポケモン』、『ウィザードリィ』、『サカつく』など。