パワレポ連動企画

GPUアーキテクチャ & GeForce GTX 1080を解説

【パワレポ連動:チョイ古 自作PC再生計画(9)】

DOS/V POWER REPORT 2016年5月号

 こだわりの自作PC専門誌「DOS/V POWER REPORT」の特集をほぼまるごと紹介するこのコーナーでは、「2016年7月号」の第1特集「あなたのPCが生まれ変わる!3年、5年、10年前のパーツもめんどう見ます!! チョイ古 自作PC再生計画」を掲載する。

 第9回目からはビデオカードのアップグレードについて解説していく。数年前のPCをアップグレードする場合、ある程度のCPUパワーがあれば、ビデオカードの更新はかなり有効な手段だ。そのほか5月に販売が開始されたばかりの最新ビデオカード「GeForce GTX 1080」についても紹介する。

 本特集が掲載されているDOS/V POWER REPORT 2016年7月号は全国書店、ネット通販にて5月28日(土)に発売。第2特集はコストパフォーマンスに優れる大容量ディスクを用途別に解説する「容量単価×用途別が正解です 最新HDD購入案内」を掲載。そのほか、あなたのPCのメインメモリ、有効活用しませんか?「16GBオーバーのメインメモリはこう使え! Windows 10時代のRAMディスク活用術」、持ち運びに便利な大容量で高速なフラッシュメモリ「ベンチで性能が丸分かり! 一つは持ちたい最新USB 3.1/3.0メモリ」、スペースが許せば考えたい「ウルトラワイドもオーバー30型も PC体験を一変させる大型液晶ディスプレイ」など、特別企画も満載。人気の連載記事、髙橋敏也氏による「髙橋敏也の改造バカ一台」や本Web連載中のAKIBA限定!わがままDIY+の本編「わがままDIY」も掲載だ。

 今号の特別付録は、自作PCの組み立てやメンテナンスに関わる「?」を解決!「39のギモンにベストアンサー! PC自作Q&A事典2016」だ。


-チョイ古 自作PC再生計画-
ビデオカード編 その1 最新アーキテクチャ & GeForce GTX 1080解説


一点豪華主義でも効果は絶大!!
ビデオカード編

 ビデオカードのアップグレードは、とくにゲームにおいて絶大な効果を得られる。

 そして以前に比べるとかなり容易に行なうことができるので、ゲーマーならやらない手はない。

着実に向上する性能と電力効率

 ゲームの描画が重い、つまりフレームレートが伸びないPCの場合、CPUやメモリよりもビデオカードのアップグレードが効果的だ。ここ2、3世代のCPUと違い、GPUは世代交代ごとに性能を着実に伸ばしてきた。それどころか、直近では性能と同時にワットパフォーマンス(消費電力あたりの性能)も大幅に向上している。

 NVIDIAのGeForceを例に取ると、700シリーズ以前の世代までは、性能増と消費電力増がほぼ連動していた。ところが、最新の900シリーズ(Maxwell世代)では性能向上と大幅な省電力化を同時に達成。GTX 460などの旧世代のミドルレンジから、最新のGTX 960にアップグレードするだけで、描画性能の大幅な向上と、省電力化や静音化が期待できるだろう。

NVIDIA GeForceアーキテクチャの進化

 一方、AMDのRadeonもアーキテクチャが更新されるとともにワットパフォーマンスは徐々に向上している。ただ、現行シリーズ内に新旧アーキテクチャが混在している、という点には注意が必要だ(FreeSyncなどの付加機能への対応状況に関係する)。

【現行AMD Radeonは3世代のアーキテクチャが混在】
アーキテクチャ該当GPU特徴
Graphics Core Next 1.0Radeon R9 370X/370現在につながるアーキテクチャの初期型
Graphics Core Next 1.1Radeon R9 390X/390、Radeon R7 360Fluid Motionに標準対応するのはこの世代から
Graphics Core Next 1.2Radeon R9 Fury X/Fury/Nano、R9 380X/380最新アーキテクチャ。ワットパフォーマンス向上

【Windows 10環境ではDirectX 12対応も重要?】

 GeForceもRadeonもDirectX 12の基本的な機能にはすでに対応済みだが、オプション的な機能への対応状況に違いがある。とくにマルチスレッド化が進むDirectX 12環境では、現状GCN世代のRadeon(とGTX 1080)のみが対応する「非同期演算(Async Compute)」に注目。

 だがDirectX 12を活用したゲームは少ないため、現時点では決定的な差とは言えない。

いよいよ登場! GeForce GTX 1080

VRでも非VRでも最速!
“Founders Edition”という名称が与えられたリファレンスモデル。クーラーのデザインが未来的になったが、設計自体は従来どおりの外排気仕様

 NVIDIAの最新アーキテクチャ「Pascal」をベースに、16nm FinFETプロセスで製造された初のコンシューマ向けGPU「GeForce GTX 1080」および「GeForce GTX 1070」が発表された。

 上位のGTX 1080は、広帯域なHBM2は採用せず、10GHz相当で動作するGDDR5Xメモリとより高効率のメモリ圧縮技術でメモリ帯域を稼ぎ、容量も8GBに増量してきた。また、CUDAコア数はGTX 980の25%増でありながら、消費電力は9%増の180Wに抑制。これらを総合した結果、実ゲームにおけるパフォーマンスは、OC版のGTX 980 TiやTITAN Xを軽く上回る。

【新旧GeForce上位モデルのスペック】
GeForce GTX 1080GeForce GTX TITAN XGeForce GTX 980 TiGeForce GTX 980GeForce GTX 1070GeFore GTX 970
アーキテクチャーGP104(Pascal)GM200(Maxwell)GM200(Maxwell)GM204(Maxwell)GP104(Pascal)GM204(Maxwell)
製造プロセス16nm FinFET28nm28nm28nm16nm FinFET28nm
ストリーミングプロセッサ数2,5603,0722,8162,0481,9201,664
コアクロック1.607GHz1GHz1GHz1.126GHz1.506GHz1.05GHz
ブーストクロック1.733GHz1.075GHz1.075GHz1.216GHz1.683GHz1.178GHz
メモリクロック10GHz7GHz7GHz7GHz8GHz7GHz
メモリタイプGDDR5XGDDR5GDDR5GDDR5GDDR5GDDR5
メモリバス幅256bit384bit384bit256bit256bit256bit
メモリ容量8GB12GB6GB4GB8GB4GB
消費電力180W250W250W165W150W145W
補助電源8ピン8ピン+6ピン8ピン+6ピン6ピン×28ピン6ピン×2

 内部設計に目を向けると、描画と演算タスクの随時切り換えが可能になり、この分野で先行するRadeonを猛追する。さらに複数の視点からのレンダリングを1回で行なうSimultaneous Multi Projection機能を利用し、VRゴーグル用の画像をより効率く生成できるようになるなど、VR時代のGPUと言うべき設計だ。

 そのほか超高フレームレート時に向けた新たな同期技術「FastSync」や、2基のSLIブリッジを同時に使って帯域を稼ぐ「SLI HB(High Bandwidth)Bridge」対応など、細かな機能追加や改善が多数盛り込まれている。次号(DOS/V POWER REPORT 2016年8月号)では、各社のオリジナルカードも交え、さらに細かく検証を行なう予定だ。

ライズ・オブ・トゥームレイダー
3DMark v2.0.2067
システム全体の消費電力

【検証環境】

CPU:Intel Core i7-6700K(4GHz)
マザーボード:ASUSTeK Z170-A(Intel Z170)
メモリ:Micron Crucial BLS2K8G4D240FSA(PC4-19200 DDR4 SDRAM 8GB×2)
SSD:Intel SSD 750 SSDPEDMW400G4X1(PCI Express 3.0 x4、MLC、400GB)
電源:Corsair RM650(650W、80PLUS Gold)
OS:Windows 10 Pro 64bit 版
アイドル時:OS起動10分後の値
高負荷時:3DMark v2.0.2067のFire Strikeデモ実行中の同一シーンでの最大値
電力計:Electronic Educational Devices Watts Up? PRO
ライズ・オブ・トゥームレイダー:プリセットの“最高”を選択後にアンチエイリアスを“FXAA”に設定、内蔵ベンチマークモードを使いレームレートを測定


[Text by 加藤勝明]


DOS/V POWER REPORT 2016年7月号は5月28日(土)発売】

★第1特集「あなたのPCが生まれ変わる! 3年、5年、10年前のパーツもめんどう見ます!! 『チョイ古自作PC再生計画』」
★第2特集「容量単価×用途別が正解です 『最新HDD購入案内』」
★特別企画「16GBオーバーのメインメモリはこう使え! 『Windows 10時代のRAMディスク活用術』」「ベンチで性能が丸分かり! 『一つは持ちたい最新USB 3.1/3.0メモリ』」「ウルトラワイドもオーバー30型も 『PC体験を一変させる大型液晶ディスプレイ』」
★連載「最新自作計画 ~最新ケースで作るパワフル小型マシン~」「自作初心者のための[よくある質問と回答]」「New PCパーツ コンプリートガイド」「激安パーツ万歳!」「髙橋敏也の改造バカ一台」「PCパーツ スペック&プライス」「全国Shopガイド」「DOS/V DataFile」
★ 特別付録「39のギモンにベストアンサー! 『PC自作Q&A辞典2016』」(雑誌のみ別途付録、電子版では本誌巻末に収録)
★ 雑誌を買うと電子版(PDF)を無料ダウンロード可能
★ 毎月700円(税込)で最新号が読める 直販電子版 月額プランも受付中
http://book.impress.co.jp/teiki/dvpr/2016-05-23-0956.php