パワレポ連動企画
旧世代のビデオカードから乗り換え先のモデルを考える
【パワレポ連動:チョイ古 自作PC再生計画(10)】
2016年6月6日 17:05
こだわりの自作PC専門誌「DOS/V POWER REPORT」の特集をほぼまるごと紹介するこのコーナーでは、「2016年7月号」の第1特集「あなたのPCが生まれ変わる!3年、5年、10年前のパーツもめんどう見ます!! チョイ古 自作PC再生計画」を掲載する。
第10回目ではビデオカードのいくつかの製品について性能を比較していく。また、古いPCをアップグレードする場合の注意点についても合わせて解説する。
本特集が掲載されているDOS/V POWER REPORT 2016年7月号は全国書店、ネット通販にて5月28日(土)に発売。第2特集はコストパフォーマンスに優れる大容量ディスクを用途別に解説する「容量単価×用途別が正解です 最新HDD購入案内」を掲載。そのほか、あなたのPCのメインメモリ、有効活用しませんか?「16GBオーバーのメインメモリはこう使え! Windows 10時代のRAMディスク活用術」、持ち運びに便利な大容量で高速なフラッシュメモリ「ベンチで性能が丸分かり! 一つは持ちたい最新USB 3.1/3.0メモリ」、スペースが許せば考えたい「ウルトラワイドもオーバー30型も PC体験を一変させる大型液晶ディスプレイ」など、特別企画も満載。人気の連載記事、髙橋敏也氏による「髙橋敏也の改造バカ一台」や本Web連載中のAKIBA限定!わがままDIY+の本編「わがままDIY」も掲載だ。
今号の特別付録は、自作PCの組み立てやメンテナンスに関わる「?」を解決!「39のギモンにベストアンサー! PC自作Q&A事典2016」だ。
-チョイ古 自作PC再生計画-
ビデオカード編 その2 乗り換え先のGPUを考える
一点豪華主義でも効果は絶大!!
ビデオカード編
ビデオカードのアップグレードは、とくにゲームにおいて絶大な効果を得られる。
そして以前に比べるとかなり容易に行なうことができるので、ゲーマーならやらない手はない。
乗り換え先のGPUを考える
描画性能と消費電力の違いに注目
主にゲームのプレイを目的として、旧世代のビデオカードから現行世代のものへアップグレードするときに重要なのは、目的とするゲームに合った性能を確保することだ。たとえば「World of Tanks」や「League of Legends」クラスの軽いゲームしか遊ばないのか、それとも「Fallout 4」や「ライズ・オブ・トゥームレイダー」を最高の画質で遊びたいのかによっても、GPU選びの基準は大きく変化する。前者ならGTX 750 Tiや950、Radeon R7 370といった“低価格ミドルレンジ”GPUを搭載したビデオカードで十分だし、後者の場合はGTX 980以上やR9 390以上のハイエンドクラス以上のGPUを搭載する製品がターゲットだ。とくに最近の画質重視のゲームはビデオメモリ搭載量が重要なので、重量級ゲームを高画質で楽しみたいなら、ビデオメモリは4GB以上欲しいところ。
次に消費電力についてだが、現行のビデオカードの消費電力は、過去の製品と比較するとあまり高くない。ゲームで負荷をかける程度なら、GTX 980 Tiを使う場合でも700W以上の大出力電源は不要なので、適切な出力の電源を使っているなら、さらに大出力の電源に乗り換える必要はない。ただ仮想通貨採掘のようにGPUの限界まで回すような処理をさせる場合、あるいは電源ユニットの+12Vの出力が小さいなどの設計面での古さがある場合は、電源ユニットもまとめて交換する必要が出てくる。
最後に、ゲームで遊ぶことを重視する上でもっともやってはいけない選択は、ゲーム向きでないビデオカードを選んでしまうことだ。GeForceならGT 730以下、RadeonならR5 240以下などのローエンドGPUを搭載する低価格カードは、今時のゲームにはまったく向いていない。現行世代のミドルレンジ以上を購入することが、1日でも長く使い続けるためのコツだ。
【検証環境】
CPU:Intel Core i7-6700K(4GHz)
マザーボード:ASUSTeK Z170-A(Intel Z170)
メモリ:Micron Crucial BLS2K8G4D240FSA(PC4-19200 DDR4 SDRAM 8GB×2)
SSD:Micron Crucial MX200 CT1000MX200SSD1(Serial ATA 3.0、MLC、1TB)
電源:Corsair RM650(650W、80PLUS Gold)
OS:Windows 10 Pro 64bit 版
アイドル時:OS起動10分後の値
高負荷時:3DMark v1.5.915のFire Strikeデモ実行中の同一シーンでの最大値
電力計:Electronic Educational Devices Watts Up? PRO
ミドルレンジは使い方に工夫を
描き込みの見事な重量級ゲームを遊びたいがハイエンドのビデオカードには手が出ない、と悲観することはない。PCゲームは画質設定を適切に変更すれば、結構遊べるものなのだ。たとえば推奨GPUがGTX 780と高いことで知られる「Fallout 4」も、低価格なミドルレンジGPU、GeForce GTX 950の環境では、フルHD解像度で、画質を“中”もしくは“高”設定にすれば平均60fps程度出る。これなら十分快適に遊ぶことが可能だ。
さらにパフォーマンスを絞り出すなら画質設定をチューニングしよう。とりわけ“影の質”や“アンビエントオクルージョン”といった設定を下げることで、パッと見の画質低下を抑えつつ効率的にフレームレートを稼ぐことができる。最終手段としてアンチエイリアスを完全にOFFにするという手もあるが、輪郭がチラついて見えるようになるため、最低限のアンチエイリアスは残すのが画質設定のコツだ。
ただ「Tom Clancy's The Divison」や「ライズ・オブ・トゥームレイダー」など一部の負荷がきわめて高いゲームだと、最低画質にしても60fps到達が難しい場合も。こうなると、もっとGPUをパワーのあるものに変えるか、解像度を下げるしかなくなってくる。
【Fallout 4の検証環境】
CPU:Intel Core i7-6700K(4GHz)
マザーボード:ASUSTeK Z170-A(Intel Z170)
メモリ:Micron Crucial BLS2K8G4D240FSA(PC4-19200 DDR4 SDRAM 8GB×2)
SSD:Micron Crucial MX200 CT1000MX200SSD1(Serial ATA 3.0、MLC、1TB)
ビデオカード:MSI GTX 980Ti GAMING 6G(NVIDIA GeForce GTX 980 Ti)、MSI GTX 960 GAMING 4G(NVIDIA GeForce GTX 960)、ASUSTeK GTX950-2G(NVIDIA GeForce GTX 950)、ASUSTeK STRIX-R9380-DC2OC-2GD5-GAMING(AMD Radeon R9 380)
検証方法:一定のフィールドを移動中のフレームレートを「Fraps」で計測(垂直同期はドライバで強制OFF)
電源:Corsair RM650(650W、80PLUS Gold)
OS:Windows 10 Pro 64bit 版
アイドル時:OS起動10分後の値
高負荷時:3DMark v1.5.915のFire Strikeデモ実行中の同一シーンでの最大値
電力計:Electronic Educational Devices Watts Up? PRO
旧PCへの組み込みで注意すべきこと
一点豪華主義でビデオカードをドンと買い換えるのはよいが、とくに旧型のPCをベースにアップグレードを図る場合には、スペックだけで新しい製品を選ぶのは避けること。まず物理的に入るかを確認しよう。ドライブベイなどが干渉した場合、古いケースだと解決策は皆無に等しい。また、幅の狭いケースの場合、カードと側板が接触したり、補助電源コネクタ分の空間が確保できないこともある。大型カードを使う場合には、CPUクーラー同様に高さへの注意が必要だ。
さらに、電源ユニットのPCI Express補助電源のコネクタ構成にも注意だ。とくにOCモデルの場合に必要な8ピン×2が古い電源には付いていない場合がある。変換・分岐ケーブルで回避することもできるが、消費電力/TDPの高いGPUへ移行する場合には、事前に確認しておくべきだろう。
GTX 900世代 | GTX 700世代 | GTX 500世代 | R9 300系 | R9 200系 | |
ハイエンド | 250W(GTX 980 Ti) | 250W(GTX 780 Ti) | 224W(GTX 580) | 275W(R9 Fury X) | 290W(R9 290X) |
ミドルレンジ | 120W(GTX 960) | 170W(GTX 760) | 150W(GTX 560) | 190W(R9 380) | 150W(R9 270) |
[Text by 加藤勝明]
【DOS/V POWER REPORT 2016年7月号は5月28日(土)発売】
★第1特集「あなたのPCが生まれ変わる! 3年、5年、10年前のパーツもめんどう見ます!! 『チョイ古自作PC再生計画』」
★第2特集「容量単価×用途別が正解です 『最新HDD購入案内』」
★特別企画「16GBオーバーのメインメモリはこう使え! 『Windows 10時代のRAMディスク活用術』」「ベンチで性能が丸分かり! 『一つは持ちたい最新USB 3.1/3.0メモリ』」「ウルトラワイドもオーバー30型も 『PC体験を一変させる大型液晶ディスプレイ』」
★連載「最新自作計画 ~最新ケースで作るパワフル小型マシン~」「自作初心者のための[よくある質問と回答]」「New PCパーツ コンプリートガイド」「激安パーツ万歳!」「髙橋敏也の改造バカ一台」「PCパーツ スペック&プライス」「全国Shopガイド」「DOS/V DataFile」
★ 特別付録「39のギモンにベストアンサー! 『PC自作Q&A辞典2016』」(雑誌のみ別途付録、電子版では本誌巻末に収録)
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