パワレポ連動企画
10年前のマシンでWindows 10を動かす ~アップグレード実証1~
【パワレポ連動:チョイ古 自作PC再生計画(25)】
2016年6月22日 17:05
こだわりの自作PC専門誌「DOS/V POWER REPORT」の特集をほぼまるごと紹介するこのコーナーでは、「2016年7月号」の第1特集「あなたのPCが生まれ変わる!3年、5年、10年前のパーツもめんどう見ます!! チョイ古 自作PC再生計画」を掲載する。
第25回目からは旧世代のPCを実際にアップグレードし、どの程度の性能向上が見込めるかを検証していく。まずは利用者も未だ多いと思われるCore 2 Duo搭載PCで、Windows 10を快適に動かすプランを紹介する。
本特集が掲載されているDOS/V POWER REPORT 2016年7月号は全国書店、ネット通販にて5月28日(土)に発売。第2特集はコストパフォーマンスに優れる大容量ディスクを用途別に解説する「容量単価×用途別が正解です 最新HDD購入案内」を掲載。そのほか、あなたのPCのメインメモリ、有効活用しませんか?「16GBオーバーのメインメモリはこう使え! Windows 10時代のRAMディスク活用術」、持ち運びに便利な大容量で高速なフラッシュメモリ「ベンチで性能が丸分かり! 一つは持ちたい最新USB 3.1/3.0メモリ」、スペースが許せば考えたい「ウルトラワイドもオーバー30型も PC体験を一変させる大型液晶ディスプレイ」など、特別企画も満載。人気の連載記事、髙橋敏也氏による「髙橋敏也の改造バカ一台」や本Web連載中のAKIBA限定!わがままDIY+の本編「わがままDIY」も掲載だ。
今号の特別付録は、自作PCの組み立てやメンテナンスに関わる「?」を解決!「39のギモンにベストアンサー! PC自作Q&A事典2016」だ。
-チョイ古 自作PC再生計画-
10年前のマシンでWindows 10を動かす ~アップグレード実証1~
10年前のマシンで Windows 10を動かす
Windows XP世代のマシンでも、メモリやストレージを強化すればWindows 10を実用的な速度で動かすことができる。その方法を紹介しよう。
Core 2 Duoマシンを「現役」にする
アップグレードするのは、Windows XP時代の2006年に発売されたCPU、Core 2 Duo E6600をベースとしたマシン。詳細なスペックは下の表のとおりだ。
Core 2 Duo E6600は、発売当時、高性能かつ省電力ということで高い人気を誇ったが、10年の月日が経った現在では、その性能はさすがに現行CPUと比ぶべくもない。また、G965チップセットを搭載したマザーボードも、サポートするインターフェースが旧世代であるなど、現行製品と比べると古くささは否めない。しかし、この世代のシステムであっても、現行のパーツによる強化が可能であり、弱い部分を補強することで、Windows 10マシンとしてまだまだ現役で使うことができる。その実践方法を紹介していくので、ぜひ参考にしてほしい。
カテゴリー | 製品名 |
CPU | Intel Core 2 Duo E6600(2.4GHz) |
マザーボード | Intel DG965RY(Intel G965) |
メモリ | PC2-5300 DDR2 SDRAM 1GB×2 |
グラフィックス機能 | Intel GMA X3000(Intel G965内蔵) |
HDD | Seagete Barracuda 7200.10 ST3320620AS(Serial ATA 2.5、7,200rpm、320GB) |
光学ドライブ | パイオニア DVR-111BK(DVD±R/RW/-RAM) |
電源ユニット | アビー AS Power ER-1480A(480W、ATX) |
【Windows 10はインストールできるのか?】
Windows 10のハードウェア要件は、動作周波数1GHz以上のCPU、2GB以上のメモリ(64bit版)など。意外と要求が低いので、Core 2 Duo E6600世代のマシンでも十分対応可能だ。今回のベースマシンでも、UEFIモードには対応しないもののインストールは普通に行なうことができた。
問題は各パーツのドライバだ。今回使用したIntelのG965マザーでは、PCIシンプル通信コントローラ以外は自動でインストールされたが、多くのドライバが自動でインストールされないことも予想される。その場合は、メーカーのWebサイトなどから入手する必要があるので留意しておきたい。
なお、対応ドライバが入手できない場合は、その機能はあきらめるしかない。
【検証環境】
OS:Windows 10 Pro 64bit版
アイドル時:OS起動10分後の値
高負荷時:PCMark 8- Home Accelerated実行時の最大値
電力計:Electronic Educational Devices Watts Up? PRO
CPUをアップグレードする オススメ度★★★
PCの性能に直結するパーツと言えばCPU。まずはここから検証したい。今回使用しているIntel製のG965マザーボードは、FSB1,066MHzにしか対応していないため、右の表のとおり、Core 2 Duo E6700、Core 2 Quad Q6600、Core 2 Quad Q6700の三つがアップグレードの選択肢だ。なお、新製品は入手困難なため、中古品を購入するしかない。
Core 2 Duo E6600 | Core 2 Duo E6700 | Core 2 Quad Q6600 | Core 2 Quad Q6700 | |
---|---|---|---|---|
動作周波数 | 2.4GHz | 2.66GHz | 2.4GHz | 2.66GHz |
コア/スレッド数 | 2/2 | 2/2 | 4/4 | 4/4 |
FSB | 1,066MHz | 1,066MHz | 1,066MHz | 1,066MHz |
TDP | 65W | 65W | 105W | 105W |
2次キャッシュ | 4MB | 4MB | 8MB | 8MB |
対応ソケット | LGA775 | LGA775 | LGA775 | LGA775 |
中古実売価格 | 1,000円前後 | 2,000円前後 | 3,000円前後 | 6,000円前後 |
今回は、コストパフォーマンスも考慮してCore 2 Quad Q6600にアップグレードすることとした。
その効果は下のとおり、CPUの単体性能(マルチスレッド処理)で76%性能が向上、またシステム全体の性能も9%向上した。やはりCPUのアップグレードは効果的だ。
メモリを増設する オススメ度★★☆
ハードウェア要件を満たしているとはいえ、メモリ2GBでWindows 10の64bit版を動かすとストレスがたまる。実際、メニューを表示させたりするにも動作がもたつく。メモリにフォーカスして効果的なアップグレードを探ることにした。
試したのは、PC2-6400 DDR2 SDRAMを2GB(1GB+1GB)増設、4GB(2GB+2GB)増設、8GB(4GB+4GB)に換装の3パターン。まず2GBを追加して4GBにしたところ、エクスペリエンスインデックスのメモリスコアが5.5から5.8にアップし、実際の操作感も格段に向上した。それ以上の増設では、エクスペリエンスインデックスのスコアは変わらず、PCMark 8のスコアも下の結果のとおり、あまり差が付いていないが、実際の操作感はメモリサイズが多くなるにつれ快適になった。
使用しているマザーボードは8GBまでしか認識できないので、ここでは、メモリを4GB+4GBに換装、最大容量の8GBを搭載することとしたい。
システムドライブをSSDにする オススメ度★★★
10年前のシステムではチップセットがSerial ATA 2.5(3Gbps)にしか対応しておらず、Serial ATA 3.0(6Gbps)対応の最新SSDを使用しても性能をフルに発揮させることはできない。
しかし、下のテスト結果を見ていただけば分かるとおり、Serial ATA 2.5対応のHDDと比べるとその性能差は歴然としており、システムドライブをSSDにすることで、システム全体の性能を向上させることができる。
システム全体のパフォーマンスを計測するPCMark 8の結果ではスコアが3%しか向上していないため、効果を数値的に見て取ることは難しいが、システムキャッシュやWebブラウザなどのキャッシュの読み出し速度の向上など、SSD化の恩恵はいたるところに現われるので、実際の使用感はかなり向上する。
【Serial ATAのリビジョンに注意】
古いマシンをアップグレードする場合は、サポートするSerial ATAのリビジョンに注意したい。Serial ATA 2.5は、最大転送速度が3Gbpsなので、最新の6Gbps転送が可能なSerial ATA 3.0対応SSDの性能をフルに発揮できない。
ちなみに、IntelのチップセットでSerial ATA 3.0をサポートするのは、2011年に発売されたSandy Bridge対応のP67/H67などからである。
【2.5インチドライブを装着するマウンタが必要】
古いPCケースには2.5インチドライブベイが装備されていないことが多い。その場合は、5インチベイまたは3.5インチベイに2.5インチドライブを装着するアダプタを活用しよう。
ビデオカードを増設してゲーム対応に オススメ度★★☆
今回アップグレードするマシンはビデオカードを搭載しておらず、チップセットのG965が内蔵するグラフィックス機能(Intel GMA X3000)を使用しているため、ストリートファイター4などの旧世代のゲームもまともにプレイすることができない。しかし、この世代のマザーボードはPCI Express 2.0 x16スロットを装備しているので、ビデオカードを搭載すれば、最新世代のゲームもプレイすることが可能になる。
ちなみにこの世代のマシンにビデオカードを搭載するなら、ミドルレンジクラスのビデオカードがよい。と言うのは、ハイエンドのビデオカードを搭載しても、CPUなどの性能がボトルネックとなり、ゲームプレイにおいてその性能を十分に活かし切ることができないし、電源も大出力のものに交換する必要が出てくるからだ。そういった観点からここではGeForce GTX 950搭載ビデオカードを搭載することにした。
CPU、メモリ、SSD、ビデオカードをアップグレードする オススメ度★★☆
ここまでのすべてをアップグレードすると下のとおり、かなり性能が向上する。Windows 10が動くのはもちろん、ゲームを含め幅広い用途に対応可能だ。しかし、その費用は、新規に低コストマシンを作成するよりも安くはあるが微妙なところ。お金をかけるならワンポイントかツーポイントのアップグレードにしておくのが無難。それ以上は将来性のある新規マシンとよく比べてみよう。
カテゴリー | 製品名 | 実売価格 |
---|---|---|
CPU | Intel Core 2 Quad Q6600(2.4GHz)※中古 | 3,000円前後 |
メモリ | PC2-6400 DDR2 SDRAM 4GB×2 ※中古 | 6,000円前後 |
SSD ADATA | Premier SP550 ASP550SS3-240GM-C(Serial ATA 3.0、TLC、240GB) | 7,500円前後 |
ビデオカード | 玄人志向 GF-GTX950-E2GB/OC/ECO(NVIDIA GeForce GTX 950) | 20,000円前後 |
36,500円前後 |
【拡張カードで機能を追加する】
USB 3.0カードを使用すればUSB 3.0ポートを増設することもできる。
ただ覚えておきたいのは、古いマシンのPCI Expressはリビジョンが古く帯域が狭いため、USB 3.0の性能がフルに発揮できないこと。それでも下のテスト結果のとおりUSB 2.0よりは大幅に性能が向上するので、増設する価値はある。
古いマシンではPCI Expressの帯域の問題でSSDの性能を発揮し切れないが、RAIDカードを増設し、SSD2台でRAID 0を組めばストレージ性能をかなり向上させることができる。
【検証環境】
SSD:Micron Crucial MX100 CT256MX100SSD1(Serial ATA 3.0、MLC、256GB)
Serial ATA-USB 3.0変換ケーブル:サンワサプライ USB-CVIDE3
【問い合わせ先】
エアリア:Webサイトのフォームから/http://www.area-powers.jp/
[Text by 滝 伸次]
【DOS/V POWER REPORT 2016年7月号は5月28日(土)発売】
★第1特集「あなたのPCが生まれ変わる! 3年、5年、10年前のパーツもめんどう見ます!! 『チョイ古自作PC再生計画』」
★第2特集「容量単価×用途別が正解です 『最新HDD購入案内』」
★特別企画「16GBオーバーのメインメモリはこう使え! 『Windows 10時代のRAMディスク活用術』」「ベンチで性能が丸分かり! 『一つは持ちたい最新USB 3.1/3.0メモリ』」「ウルトラワイドもオーバー30型も 『PC体験を一変させる大型液晶ディスプレイ』」
★連載「最新自作計画 ~最新ケースで作るパワフル小型マシン~」「自作初心者のための[よくある質問と回答]」「New PCパーツ コンプリートガイド」「激安パーツ万歳!」「髙橋敏也の改造バカ一台」「PCパーツ スペック&プライス」「全国Shopガイド」「DOS/V DataFile」
★ 特別付録「39のギモンにベストアンサー! 『PC自作Q&A辞典2016』」(雑誌のみ別途付録、電子版では本誌巻末に収録)
★ 雑誌を買うと電子版(PDF)を無料ダウンロード可能
★ 毎月700円(税込)で最新号が読める 直販電子版 月額プランも受付中
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