パワレポ連動企画
Core i7-4790K+Mini-ITX環境を常用するための冷却術
【冷却まわりの新鉄則、教えます(12)】
(2014/8/16 20:55)
このコーナーでは、こだわりの自作PC専門誌「DOS/V POWER REPORT」の最新号と連動、同誌9月号の特集記事「冷却周まわりの新たな鉄則、教えます~冷却・静音、これが答えだ!~」をほぼまるごと掲載する。
第十二回目の今回は、高性能CPU「Core i7-4790K」とMini-ITXマザーボードからなる小型PCを、徹底的に冷却・静音化するテクニックを紹介する。
なお、この特集が掲載されているDOS/V POWER REPORT 9月号は絶賛発売中。9月号では今回の特集のほか、USBバスパワーで動作する冷却グッズや薄型CPUクーラーの紹介、6TBクラスの大容量HDD特集、髙橋敏也の改造バカ一台など、多数の記事が載っている。また、100個の自作PC問題を載せた「PC自作力 2014年度夏期試験」が小冊子として付いてくるなど、盛りだくさんの内容だ。
- DOS/V POWER REPORT 2014年9月号 Special Edition -
狭いスペースをどう活かす?
Mini-ITX環境でCore i7-4790Kを常用するための冷却術
冷却強化や静音化の選択肢が限られるMini-ITXプラットフォーム。しかし、パーツの選択やカスタマイズしだいで、発熱の大きい高性能CPUの常用も可能だ。
最新の高性能Mini-ITXマシンをベースに小型PCの冷却を研究
高性能CPUの冷却性能を強化する一般的な手段は、大型の高性能CPUクーラーに交換したり、ケースファンを追加したりしてPCケース内部のエアフロー効率を高めることだ。しかし、Mini-ITXなどの小型PCでは、内部スペースやパーツレイアウトの関係上、搭載可能なCPUクーラーの選択肢が狭く、ケースファンも追加できないことがある。
また、PCケースに大型CPUクーラーを搭載できるスペースがあったとしても、使用するマザーボード側のレイアウトによって制限されることも、めずらしくはない。このように小型PCは、もともと冷却性能の強化や静音化に対する制限がとても多い。
しかし、最近では小型PCに対する需要の高まりを反映してか、従来の小型PCの弱点をカバーした、新世代のPCケースやマザーボードが登場している。使いたいパーツを吟味すれば、冷却性能や静音性の強化も以前よりはやりやすくなっており、高性能な小型PCを作りやすい環境が整ってきている。
そこで今回は、高性能だが発熱も大きいハイエンドCPU「Core i7-4790K」を搭載したMini-ITXマシンをベースに、安定した動作と高い静音性を両立する冷却法を見つけるべく、さまざまなテストを行なってみた。PCケースは小型ながら内部が広く、高さ18cmまでのCPUクーラーを搭載可能な「PC-Q33」を採用している。さまざまなカスタマイズと調整を行なうことで、CPU温度や動作音がどのように変化していくのかを検証する。
カテゴリー | 製品名 | 実売価格 |
---|---|---|
CPU | Intel Core i7-4790K(4GHz) | 37,000円前後 |
マザーボード | GIGA-BYTE TECHNOLOGY GA-Z97N-Gaming 5(rev. 1.0)(Intel Z97) | 17,000円前後 |
メモリ | CFD販売 CFD ELIXIR W3U1600HQ-4G(PC3-12800 DDR3 SDRAM 4GB×2) | 9,500円前後 |
グラフィックス機能 | Core i7-4790K 内蔵(Intel HD Graphics 4600) | - |
SSD | Micron Technology Crucial MX100 CT256MX100SSD1(Serial ATA 3.0、MLC、256GB) | 16,000円前後 |
電源ユニット | Corsair Components CX500M(500W、80PLUS Bronze) | 6,500円前後 |
PCケース | Lian Li Industrial PC-Q33A(Mini-ITX) | 12,000円前後 |
CPUクーラー | Intel Core i7-4790K付属クーラー | - |
最新CPUならMini-ITX+リテールクーラーで余裕……じゃなかった!
まずはCore i7-4790K付属の標準クーラーを組み込み、冷却面のチューニングをとくに行なっていない状態でCPU温度や動作音を計測してみた。ちなみに、以前同じケースを使った構成で、Core i7-4770Kを組み込んだときのCPU温度は高負荷時で88℃。ギリギリ常用可能と言える温度だったので、今回もとりあえず大丈夫だろうと思ったのだが、実際に計測してみたら何と99℃!
これは、とてもではないが常用可能な数値ではない。それなりにスペースの広いPC-Q33にもかかわらず、小型PCケースの限界がいきなり浮き彫りになった格好だ。
負荷がさらに続く状況では100℃に達する可能性もある。またこんな状況では、TurboBoostの効果に悪影響がありそうなので、Core i7-4790Kを使う意味が薄れる。まずはCPUクーラーを変更して、CPU温度を下げることを目標にする。
交換するCPUクーラーを選ぶ
小型のPCケースで使いやすいのは、リテールクーラーと同じように高さが低いタイプや、やや高さはあるが、マザーボードやPCケースの部品に干渉しにくい小型のサイドフロータイプだ。
ここでは前者の代表例として「サイズ 小太刀」、後者の代表例として「サイズ 刀4」を選択した。さらにPC-Q33を含めて、最近のMini-ITXケースは大型クーラーを搭載できるものが増えているので、大型のサイドフロータイプ「サイズ 阿修羅」も加えて冷却性能をテストした。
阿修羅の冷却性能は、ほかの二つと比べるとダントツの成績だった。ケースに組み込んでみても冷却性能は低下せず、動作音もまずまず静かだった。
さらなる冷却性能の向上にチャレンジ!
CPUクーラーを阿修羅に交換した際の結果は満足のゆくものだった。しかし、最新自作パーツの可能性をもっと追求してみたい。そこで、ここではCPUクーラーのファンの位置や向き、数などを変更することで、CPU温度や動作音がどのように変化するのかを検証してみた。
試してみたのは4パターンで、それぞれCPUクーラーを阿修羅に交換した上記の状態と比較している。
ちなみに、試しにマザーボード付属のOCツール「EasyTune」を使い、全コア4.5GHz動作に設定して負荷テストを行なってみたところ、1分も経たずにCPU温度が100℃に達したため、テストを続行できなかった。やはりOCまで視野に入れると、大型CPUクーラーを搭載可能なPC-Q33でも厳しいということだ。
冷却性能を維持したまま、動作音を低減できるか?
CPU温度をさらに下げることに成功したので、今度は気になる動作音の低減に挑戦してみよう。ここでは、上記で冷却と静音性の両面でよい成績だった「ケースファンとCPUクーラーのファンを吸気方向に変更」をベースにして、マザーボード付属のファンコントロールユーティリティ「Smart Fan」や追加のファンを使い、ファンの回転数を調整することで静音化を図り、CPU温度とのバランスを見て、最適な設定を探る。
【まとめ】
●高性能CPUを使うなら、大型CPUクーラーを付けられるPCケースを選びたい
●ファンの吸排気方向は意外と重要
●ファンを追加して低回転で運用すると、静音化しやすい
【ビデオカードを追加してみた】
ビデオカードを挿す場合は条件が変わる
阿修羅をケース内に搭載した状態を基本に、エアフローを排気方向と吸気方向のそれぞれの状態でビデオカードを挿して、各部の温度を計測したのが下のグラフだ。
吸気構成だとCPU温度が低くなるのは、前述の「さらなる冷却性能の向上にチャレンジ!」のパターン3と変わらないが、GPU温度は、排気構成に比べ5℃も高くなってしまった。CPUクーラーの排熱がケース内にとどまり、ビデオカードの冷却に悪影響を与えたのだろう。また、動作音も吸気方向のほうが、かなり大きくなってしまっている。
ビデオカードなしなら吸気構成にカスタマイズするのがベストだが、ビデオカードを挿すなら排気構成にしたほうがよさそうだ。
【検証環境】
室温:26.2℃、暗騒音:31.2dB、動作音測定距離:ケース正面から20cm、アイドル時:OS起動10分後の値、高負荷時:OCCT4.4.0のPOWER SUPPLY テストを10分間動作させたときの最大値、CPU温度:HWMonitor 1.25のCPU Temperatures のPackageの値
【DOS/V POWER REPORT 9月号は7月29日(火)発売】
★巻頭特集「冷却周まわりの新たな鉄則、教えます~冷却・静音、これが答えだ!~」はもちろん、USBバスパワーで動作する冷却グッズや薄型CPUクーラーの紹介、6TBクラスの大容量HDD特集、髙橋敏也の改造バカ一台など、多数の記事を掲載
★ 紙版を買うと電子版(PDF)を無料ダウンロード可能
★ 紙版は小冊子「PC自作力 2014年度夏期試験」付き
★ 電子版は割安な税別926円
★ 電子版では小冊子の電子版も完全収録
【電子販売ショップ】
- Impress Japan(PDFで購入可能)
- http://www.impressjapan.jp/books/1114110107.php
- Amazon.co.jp (Kindle版)
- http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B00M3QC95S/impresswatch-14-22/
- Zinio(最新号にリンクします)
- http://jp.zinio.com/www/browse/product.jsp?rf=sch&productId=500731851
- Google eBookstore
- https://play.google.com/store/books/details?id=z2ARBAAAQBAJ
- Newsstand
- https://itunes.apple.com/jp/app/dos-v-power-report/id877524169?mt=8
- 雑誌オンライン
- http://www.zasshi-online.com/magazine/ProductDetail/?page=1&dcode=dosvpowerreport5140729
- 富士山マガジン(最新号にリンクします)
- http://www.fujisan.co.jp/product/1879/
- 楽天kobo
- http://rakuten.kobobooks.com/
- honto
- http://honto.jp/ebook.html
- マガストア
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- ポンパレeブックストア
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- BookLive!
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- auブックパス
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