パワレポ連動企画
静音マシンをもっと静かに、静音チューニング術
【冷却まわりの新鉄則、教えます(11)】
(2014/8/15 12:05)
このコーナーでは、こだわりの自作PC専門誌「DOS/V POWER REPORT」の最新号と連動、同誌9月号の特集記事「冷却周まわりの新たな鉄則、教えます~冷却・静音、これが答えだ!~」をほぼまるごと掲載する。
第十一回目の今回は、静音PCをさらに静かにする静音チューニング方法を紹介する。
なお、この特集が掲載されているDOS/V POWER REPORT 9月号は絶賛発売中。9月号では今回の特集のほか、USBバスパワーで動作する冷却グッズや薄型CPUクーラーの紹介、6TBクラスの大容量HDD特集、髙橋敏也の改造バカ一台など、多数の記事が載っている。また、100個の自作PC問題を載せた「PC自作力 2014年度夏期試験」が小冊子として付いてくるなど、盛りだくさんの内容だ。
- DOS/V POWER REPORT 2014年9月号 Special Edition -
静音パーツそのままで使っていませんか?
静音マシンはもっと静かになる!
静音パーツを集めてマシンを作ったところ、そこそこ静かで大きな不満はないけど、こんなものかな?と思っている方もいるのではないだろうか。実は、今時の静音パーツ、静音PCは、チューニングで格段に静かになるのだ。
静音マシンを無調整で使うのはもったいない
現在では、静音仕様のPCケースやオリジナルクーラーのビデオカードなど、静音性を追求したパーツは簡単に入手でき、それらを集めて組み上げれば、意外と簡単に静音マシンを作れてしまう。ただ、静音パーツといえども、多くの環境で安定動作させるために冷却能力には余裕を持たせてあることが多い。実際にマシンを組んだ際には、必要以上にファンが回転するようなこともある。
これは、見方を変えれば、温度面の問題がない範囲でファンの回転数などを調整していけば、まだまだ静音性が向上する可能性が残されているということなのだ。この考えをもとに、ここでは静音マシンをとことん静音化するための実践的チューニング方法を紹介していく。
テストマシンに使用した静音パーツ
カテゴリー | 製品名 | 実売価格 |
---|---|---|
CPU | Intel Core i7-4790K(4GHz) | 37,000円前後 |
マザーボード | ASUSTeK Z97-PRO(Intel Z97) | 22,000円前後 |
メモリ | Team Group TED38192M1600C11DC(PC3-12800 DDR3 SDRAM 4GB×2) | 8,000円前後 |
ビデオカード | ASUSTeK STRIX-R9280-OC-3GD5(AMD Radeon R9 280) | 39,000円前後 |
SSD | CFD販売 CSSD-S6T256NHG6Q(Serial ATA 3.0、MLC、256GB) | 15,000円前後 |
HDD | Western Digital WD Green 3TB WD30EZRX-1TBP(Serial ATA 3.0、5,400rpm、3TB) | 10,000円前後 |
電源ユニット | Enermax Revolution-X't ERX530AWT(530W、80PLUS Gold) | 11,000円前後 |
PCケース | Fractal Design Define R4(ATX) | 11,000円前後 |
CPUクーラー | サイズ 阿修羅 | 4,000円前後 |
組み上げた静音マシンの動作音をチェック
まずは、組み上げた静音マシンのアイドル時、高負荷時の動作音をチェックしてみる。
アイドル時は、OS起動10分後の値。高負荷時は、OCCT 4.4.0のPOWER SUPPLYを実行し、12分間実行中の値を計測した。また、動作音が静かでも各パーツの冷却がきちんと行なわれていなければ意味はないので、HWMonitor 1.25で、CPU、マザーボード、ビデオカード、SSD、HDDの温度も計測。さらに、ケース内部の熱だまりになりそうな部分の温度も温度計で計測した。
動作音の測定結果は、アイドル時で40.2dB、高負荷時で41.3dB。数値的にはかなりよいが、実際にはファンの音がやや気になる。各部の温度を見てみるとまったく問題がないので、チューニングの第一歩としてファンの回転数を落としてみる。
ケースファンの回転数をケース付属のファンコンで低速にしてみる
使用したケースは、電圧(12V、7V、5V)によってファンの回転数を変更できるファンコンが付属しているので、これを使ってファンの回転数を落として、動作音と各部の温度を計測してみた。結果は下のとおり、一番低速の5Vに設定した場合、アイドル時で30.6dB、高負荷時で35.9dBとなった。アイドル時はほぼ無音に感じる。ただし、高負荷時はケースファン以外の音、とくにCPUクーラーのファンの音が耳に付くようになった。次はこの対策を考えてみることにする。
Fan Xpert 3で静音化を図ってみる
次は、ケースファンに加え、CPUクーラーのファンも制御できるASUSTeKのマザーボード付属ユーティリティ「Fan Xpert 3」を試してみた。Fan Xpert 3で各ファンをキャリブレーションした後、Silentプロファイルを適用した状態で計測したのが右下の結果だが、高負荷時でもほぼ動作音が気にならなくなった。CPU温度の上昇が気になる人もいると思うが、通常使用ではまずあり得ないほどの負荷をかけ続けるOCCT実行中の値であるので問題はない。この結果を受け、ファンの制御はファンコンではなくFan Xpert 3で行なうことにした。
PCケースに音漏れ対策を施す
Fan Xpert 3でかなり静かになったとはいえ、まだ高負荷時には若干ながらファンの音が気になる。そこで次はケースに音漏れ対策を施すことにした。行なった対策は左下のとおりだ。その結果、アイドル時で28.8dBと無音(暗騒音と同じ)に、高負荷時でも33.1dBと動作音が気にならないレベルになった。各部の温度もあまり上昇しておらず、音漏れ対策の効果はかなり大きいことが確認できた。
電源ユニットを準ファンレスのものに変えてみる
静音化はほぼ完璧に実現できたが、高負荷時に電源ユニットのファンが発するノイズが若干気になったので、電源ユニットを準ファンレスのCorsair Components RM450に交換してみた。その結果、気になっていたノイズは消え、アイドル時、高負荷時ともにさらに動作音は小さくなった。ほかの部分の静音化がすんでから気になり始めたので、優先順位は低いが、静音PCにはやはり準ファンレス電源の導入を考えたほうがよいかもしれない。
【まとめ】
●静音PCはファンの制御が重要
●ファンの制御にはケース付属のファンコンよりユーティリティのほうが有効
●不要な穴をふさぐのは効果アリ
●電源ユニットは準ファンレスのものが最適
【検証環境】
OS:Windows 8.1 Pro 64bit版、室温:31.5℃、暗騒音:28.8dB、アイドル時:OS起動10分後の値、高負荷時:OCCT 4.4.0のPOWER SUPPLYを12分間実行中の値、各部の温度:使用したソフトはHWMonitor 1.25、ケース内部の温度:サイズ KAMA-Thermo どこでも温度計2での計測値を四捨五入、動作音測定距離:ケースの前面から約10cm
[Text by 滝 伸次]
【DOS/V POWER REPORT 9月号は7月29日(火)発売】
★巻頭特集「冷却周まわりの新たな鉄則、教えます~冷却・静音、これが答えだ!~」はもちろん、USBバスパワーで動作する冷却グッズや薄型CPUクーラーの紹介、6TBクラスの大容量HDD特集、髙橋敏也の改造バカ一台など、多数の記事を掲載
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