パワレポ連動企画

自作PCをよくするワザ、教えます(5) ~メモリ編~

DOS/V POWER REPORT 12月号

 このコーナーでは、こだわりの自作PC専門誌「DOS/V POWER REPORT」の最新号と連動、同誌12月号の特集記事「自作PCをよくするワザ、教えます」をほぼまるごと掲載する。

 第五回目の今回は、メモリに関する玄人ならではのワザを紹介する。これらのワザを使って、自作PCをもっと速く、もっと便利に使いこなしてほしい。

 なお、この特集が掲載されているDOS/V POWER REPORT 12月号は、絶賛発売中。12月号では今回の特集のほか、最新UEFIの完全ガイド、ファイル送信サービス 10選、髙橋敏也の改造バカ一台など、多数の記事が載っている。また、特別付録として「保存版 インターフェース図鑑 2014」と題した小冊子が付いてくるなど、盛りだくさんの内容だ。


- DOS/V POWER REPORT 2014年12月号 Special Edition -


自作PCをよくするワザ ~メモリ編~

 メモリのセッティングは自作の重要ポイントの一つ。正しい設定を行なって初めて性能が発揮されるので、基本からしっかり押さえておこう。

【初級ワザ】XMPメモリを正しく設定・利用する

 XMP(Extreme Memory Profile)に対応したメモリは、マザーボード側でXMPプロファイルをロードしないと、スペックどおりに動作させることできない。これは、デフォルトではJEDEC規格準拠のSPD(Serial Presence Detect)情報をマザーボードが読み込んでしまうためだ。XMPプロファイルをロードしておかなければ、いくら高速な製品を使っていたとしても宝の持ち腐れになってしまうので注意が必要だ。

XMPの設定はASUS Z97-PROの場合、EZ Modeの画面からもXMP設定の選択とロードが可能

 たとえばASUSTeKのZ97-PROの場合、XMPプロファイルのロードを行なうには「Ai Tweaker」タブの「Ai Overclock Tuner」の項目でメニューから「XMP」を選択する。すると、XMPプロファイルの選択メニューからプロファイルがロードできる。ロードすると、メモリクロックやアクセスタイミング、メモリ電圧などが設定される。あとは設定を保存してシステムを再起動させれば、XMPプロファイルが適用される。

設定はAi Tweakerタブから
XMP設定がある「Ai Tweaker」タブを開き、「Ai Overclock Tuner」の項目からXMPを選択することで、XMP設定がロードできる
プロファイルの内容を確認
複数のXMPプロファイルがある場合は、続いてメニューから選択。動作クロックやアクセスタイミング、メモリ電圧が表示される
アクセスタイミングまで自動設定
XMPプロファイルのロード後は、メモリクロックや動作電圧だけでなく、アクセスタイミングも自動で設定される

【初級ワザ】AMD環境でもXMPメモリが使える

使い方はIntel系と同じ
XMPに対応しているAMDマザーの場合、Intelマザーと同様にXMP設定がロードできる。プロファイルを選択して再起動を行なうだけでOKだ

 AMDのCPUに対応するマザーでは、AMP(AMD Memory Profile)というXMPと同等の機能が利用できる。しかし、対応しているメモリが少なく、価格も少し高めだ。

 しかし、メーカーの独自対応により、一部のAMDマザーではXMP対応メモリを使用することが可能だ。ただ、XMPメモリはIntel環境向けの情報で動作するので、AMD環境ではスペックどおりに動作しない可能性も。高クロック品ではとくに注意が必要だ。マザーのXMP対応状況に関しては多くのメーカーがWebサイトなどで公開している。

【中級ワザ】メモリOCのプリセット設定は結構優秀

 メモリのオーバークロック(OC)は、設定できる項目が多く、複数の要素が複雑に組み合わさるため、OC上級者でさえも設定に苦戦する。たとえば、動作させるメモリクロックによって、最適なアクセスタイミングや電圧が変わるのだ。

 しかし、最近のOCマザーの多くは、メーカーに協力するオーバークロッカーが調整したアクセスタイミングのプリセット設定を内蔵している。これを選択するだけで、プライマリタイミングだけでなくセカンダリやサードタイミング、さらにUEFI内では表示されていない隠された部分までが自動で設定される。プリセットのタイトルに表示されている、メモリクロックと電圧を手動で設定する必要があるものの、プロの設定を手軽に利用できるのは魅力的だ。ハイエンドメモリにしか対応していない機能だと思われがちだが、DDR4-2400MHz辺りの設定も内蔵されているので、ぜひとも試してみてほしい。

ASUSTeKのRampage V Extremeの場合は、DRAM Timing Control内のMemory Presetsから設定。プリセット名には動作クロックや電圧、容量や枚数も表示されているので、自分の環境や使用している製品に応じたプリセットが簡単に選べる
ASRockのマザーボード「X99 OC Formula」では電圧やクロックも自動設定。「DRAM Frequency OC Preset」機能は、メモリクロックを選択するだけで、アクセスタイミングと動作電圧を自動で最適に設定してくれる

【中級ワザ】DDR3Lメモリを利用する

DIMMでは貴重なDDR3Lメモリ
G.Skill International AEGIS F3-1600C11D-8GISL
実売価格:10,000円前後

 一般的なDDR3メモリの動作電圧が1.5Vなのに対し、DDR3Lメモリの動作電圧は1.35Vと低い。省電力性に優れているだけでなく、発熱も抑えられているのが特徴だ。熱のこもりやすい小型PCや、ファンレスマシンへの使用には最適なメモリだ。さらに、低発熱なので大型のヒートスプレッダを装着する必要がなく、CPUクーラーと干渉しにくいというメリットもある

DDR3-1600メモリ使用時とDDR3L-1600メモリ使用時のシステム全体の消費電力

【検証環境】

CPU:Intel Core i7-4770S(3.1GHz)、マザーボード:ASUSTeK Z97-PRO(Intel Z97)、メモリ:G.Skill AEGIS F3-1600C11D-8GISL(PC3L-12800 DDR3L SDRAM 4GB×2)、Novax Technologies UMAX Cetus DCDDR3-8GB-1600(PC3-12800 DDR3 SDRAM 4GB×2)、Intel Solid-State Drive 730 SSDSC2BP240G4R5(Serial ATA 3.0、MLC、240GB)、OS:Windows 8.1 Pro 64bit版、室温:24℃、アイドル時:OS起動10分後の値、高負荷時:PCMark 8- Home全項目実行中の最大値

【初級ワザ】ホコリ対策でトラブルを防ぐ

カバーでふさいでホコリ対策
アイネックス DC-020
実売価格:600円前後
スロットとカバーの間にわずかな隙間があり、ホコリを完全に防ぐことは難しいが、長期使用でも不安は少ない

 メモリスロットにホコリがたまってしまうと、認識不良などの原因となることがある。トラブルで痛い目を見る前に、使用していないスロットはふさいでしまう対策も有効だ。長期間ふさぐのであれば、市販のメモリスロットカバーが最適だ。

テープでふさぐのもアリ
テープを使えば隙間なくピッタリふさぐことも可能。ただし、スロットに糊のべたつきが残らないテープを選びたい。ここでは、模型用のマスキングテープを使った

 一時的な処置ならテープでふさぐというワザもある。ただし、粘着力の強いテープだと、糊が付着してスロットがベタベタになってしまうので注意が必要。

[Text by 清水貴裕]



DOS/V POWER REPORT 12月号は10月29日(水)発売】

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(AKIBA PC Hotline!編集部)