パワレポ連動企画
自作PCをよくするワザ、教えます(4) ~マザーボード 中・上級編~
(2014/11/6 12:10)
このコーナーでは、こだわりの自作PC専門誌「DOS/V POWER REPORT」の最新号と連動、同誌12月号の特集記事「自作PCをよくするワザ、教えます」をほぼまるごと掲載する。
第四回目の今回は、マザーボードに関する便利なワザ(中・上級)を紹介する。
なお、この特集が掲載されているDOS/V POWER REPORT 12月号は、絶賛発売中。12月号では今回の特集のほか、最新UEFIの完全ガイド、ファイル送信サービス 10選、髙橋敏也の改造バカ一台など、多数の記事が載っている。また、特別付録として「保存版 インターフェース図鑑 2014」と題した小冊子が付いてくるなど、盛りだくさんの内容だ。
- DOS/V POWER REPORT 2014年12月号 Special Edition -
自作PCをよくするワザ ~マザーボード 中・上級編~
最近のマザーボードは多くの機能を搭載している上に、設定項目も豊富でチューニングの自由度が高い。ここでは、基本的な設定方法や便利な機能の紹介だけでなく、一歩踏み込んだ使いこなしのワザも紹介する。
【中級ワザ】Adaptive Modeを活用して省電力OCする
Intel 8シリーズ以降のマザーボードで、KシリーズのCPUを使っている場合に、ぜひ試してもらいたいのが、「Adaptive Mode」による省電力OCだ。Adaptive Modeとは、定格クロックを超えたOC状態でのみ、CPU電圧が昇圧されるようになる電圧モードのこと。つまり、定格クロックを超えるまでは定格電圧で動作する。常に設定した電圧が入力される「Manual Mode」や、CPUの定格電圧値に、設定した分だけ電圧を上乗せする「Offset Mode」と比べてムダな昇圧がない分、低負荷時の省電力性に優れている。
検証の結果、Manual ModeやOffset Modeよりもアイドル時の消費電力は低くなった。定格時より16Wも消費電力値が増えているのは、CPU倍率の動作モードを全コアシンクロに設定しているため。定格の状態で同じ設定にしたところ、Adaptive Mode設定時と同じ51.5Wまで消費電力値が上昇した。
【検証環境】
CPU:Intel Core i7-4790K(4GHz)、マザーボード:ASUSTeK Z97-PRO(Intel Z97)、メモリ:Novax Technologies UMAX Cetus DCDDR3-8GB-1600(PC3-12800 DDR3 SDRAM 4GB×2)、ビデオカード:GALAXY Microsystems GF PGT630/2GD3(NVIDIA GeForceGT 630)、SSD:Intel Solid-State Drive 730 SSDSC2BP240G4R5(Serial ATA 3.0、MLC、240GB)、電源:Antec HCP-1000 Platinum(1,000W、80PLUS Platinum)、CPUクーラー:Corsair Components H90(簡易水冷、14cm角×1)、OS:Windows 8.1 Pro 64bit版、電力計:Electronic Educational Devices Watts Up? PRO、アイドル時:OS起動10分後の値、高負荷時:CINEBENCH R15実行中の最大値
【中級ワザ】簡単設定の自動OCで手動OCに迫る
マザーボードの多機能化で設定項目が増えたことにより、OCの設定は以前よりも難しくなっている。そこで試してもらいたいのが、マザーボードの自動OC機能だ。
今回はASUSTeKのZ97-PROを用いて、質問に答えるだけで自動OCしてくれる「EZ Tuning Wizard」を試してみた。用途やCPUクーラーの種類を選択することで目標のクロックが決められる仕組なので、目標クロックだけを選択するタイプの自動OC機能と違って、電圧の過不足や冷却不足といったトラブルが起こりにくい。
一つ目の質問は「Gaming/Media Editing」、二つ目の質問では「Water cooler」を選択したところ、最終画面でのOC結果はCPU性能が15%、メモリ性能が2%向上するというものだった。メモリ性能が向上するのは、ベースクロックが引き上げられることにより、メモリの動作クロックも同時に引き上げられるからだ。再起動してからWindows上で確認すると、ベースクロックが102MHz、CPU倍率が45倍に変更され、CPUクロックは4.59GHzまでOCされていた。このときのCPU電圧はCPU-Zの表示で1.328V。安全性を確保するためかCPU電圧は若干高めに設定されるようだ。CINEBENCH R15や3DMark - Fire StrikeのPhysics Testを実行してみたが、問題なく完走した。この自動OC設定をベースにCPU電圧だけを調整するのが、OC初心者にはお勧めだ。
【検証環境】
CPU:Intel Core i7-4790K(4GHz)、マザーボード:ASUSTeK Z97-PRO(Intel Z97)、メモリ:Novax Technologies UMAX Cetus DCDDR3-8GB-1600(PC3-12800 DDR3 SDRAM 4GB×2)、ビデオカード:GALAXY Microsystems GF PGT630/2GD3(NVIDIA GeForceGT 630)、SSD:Intel Solid-State Drive 730 SSDSC2BP240G4R5(Serial ATA 3.0、MLC、240GB)、電源:Antec HCP-1000 Platinum(1,000W、80PLUS Platinum)、CPUクーラー:Corsair Components H90(簡易水冷、14cm角×1)、OS:Windows 8.1 Pro 64bit版、電力計:Electronic Educational Devices Watts Up? PRO、アイドル時:OS起動10分後の値、高負荷時:CINEBENCH R15実行中の最大値
【中級ワザ】PCI ExpressのGen設定を確かめる
PCI Express 3.0対応の高性能なビデオカードを使用していても、マザーボード側の設定がAutoのままだと、PCI Express 2.0動作になり、性能をフルに発揮できない場合がある。ゲームのフレームレートやベンチマークのスコアが低い場合は、PCI Expressスロットの動作モードを確認してみよう。UEFI上のシステム情報欄から確認する方法のほかに、GPU-ZなどPCI Expressの動作モードが表示されるソフトウェアで確認する方法もある。設定項目はUEFIのチップセット関連のメニューにある場合が多い。ビデオカードを接続しているスロットの動作モードをPCI Express 3.0に設定すればOKだ。
【中級ワザ】内蔵GPUとビデオカードでマルチディスプレイを構築する
GPUを内蔵したCPUなら、UEFIで設定を変更をすれば、ビデオカードを装着していてもディスプレイ出力が行なえる。
1枚のビデオカードでマルチディスプレイ出力を行なうと、単体出力時に比べてゲームのフレームレートが低下する場合があるが、内蔵GPUと組み合わせてマルチディスプレイ環境を構築すれば、フレームレートが低下することはない。
ビデオカードのコネクタをすべて利用している状態で、ディスプレイを追加したい場合にも使えるテクニックだ。
【中級ワザ】iVRやCステートの設定をカスタマイズして省電力化
Haswell世代のマザーボードは、UEFI上に多くの電源関連の設定項目がある。マザーボードのVRMの設定だけでなく、CPUに内蔵された電圧レギュレータ(iVR)の動作を変更することも可能だ。デフォルトの設定でも省電力性は十分高いのだが、実はまだまだチューニングする余地は残されており、設定しだいではさらなる省電力化が可能だ。
今回検証に使用したASUSTeKのZ97-PROでは、表に示した20項目の設定を変更することで、消費電力を抑えることに成功した。アイドル時に3.3W、CINEBENCH R15実行中の最大値で5.5Wの低下が見られた。それでいて、ベンチマークのスコアが下がるといったパフォーマンスの低下は一切見られなかったので、ぜひとも試してほしい。
【検証環境】
CPU:Intel Core i7-4790K(4GHz)、マザーボード:ASUSTeK Z97-PRO(Intel Z97)、メモリ:Novax Technologies UMAX Cetus DCDDR3-8GB-1600(PC3-12800 DDR3 SDRAM 4GB×2)、ビデオカード:GALAXY Microsystems GF PGT630/2GD3(NVIDIA GeForceGT 630)、SSD:Intel Solid-State Drive 730 SSDSC2BP240G4R5(Serial ATA 3.0、MLC、240GB)、電源:Antec HCP-1000 Platinum(1,000W、80PLUS Platinum)、CPUクーラー:Corsair Components H90(簡易水冷、14cm角×1)、OS:Windows 8.1 Pro 64bit版、電力計:Electronic Educational Devices Watts Up? PRO、アイドル時:OS起動10分後の値、高負荷時:CINEBENCH R15実行中の最大値
【中級ワザ】OC特化モデル並みのツールでOCに挑戦(ASRockマザーボード)
ASRockのA-Tuningは、OC関連を中心に多くの機能を備える統合ユーティリティだ。とくに完成度が高いのが「OC Tweaker」。OC Formulaシリーズに付属の「Formula Drive」と共通のデザインを採用しているので操作性は抜群。設定反映時のレスポンスがよく、エラーで設定が反映されないなどの不具合も発生しにくい。また、画面右側の三角マークをクリックすると、CPUやリングバス、メモリのクロックが表示されるので、常にシステムの状態を確認しながらOCに専念できる。
「Tools」タブからは、「XFast RAM」というRAMディスク作成機能や「XFast LAN」という通信優先度の変更機能が利用できるほか、Fast Boot設定の変更も可能。「System Info」のモニタリング機能が充実しているのも特徴で、クロックや電圧の情報に加えて、各部の温度やファンの回転数なども同じ画面から確認できる。
【中級ワザ】簡単OCツールでパフォーマンスアップ(GIGA-BYTEマザーボード)
GIGA-BYTEの「EasyTune」はグラフィカルかつシンプルなUIが特徴のOCユーティリティだ。「Smart Quick Boost」の画面では、「ライト」、「ミディアム」、「エクストリーム」の3段階のOC、省電力性重視の「省電力」、デフォルト設定の「標準」、そして自動チューニングを行なう「Auto Tuning」が選択できる。それぞれの設定プロファイルのアイコンには右上に目標クロックが表示されており、設定変更もアイコンをワンクリックだけと簡単なので、初心者にも分かりやすい。
より詳細なセッティングを行ないたい場合は、「Advanced CPU OC」画面に切り換えよう。UEFI上と同じ設定をWindows上のユーティリティで変更可能だ。また「Advanced DDR OC」画面では、XMPプロファイルの選択をはじめ、メモリの各種設定が行なえる。なお、設定を反映させるためには、Windowsの再起動が必要だ。
【上級ワザ】Haswell限定 電源リミッターを解除する
電圧レギュレータをCPUに内蔵するHaswell系のCPUは、電源リミッターの解除なしでは限界までOCすることができない。マザーボードのVRMの設定とCPUに内蔵される電圧レギュレータ(iVR)の設定がデフォルトのままだと、CPU電圧が1.4Vを超えると不安定になる個体が多く、そのままベンチマークを実行するとフリーズしてしまう。
電源リミッターと言っても、UEFIの設定項目は一つではない。変更する項目と設定値の例をまとめたのが下の表だ。省電力系の設定はすべて無効にし、VRMやiVRの設定もパワーリミットを上限に変更している。OC向けのマザーではデフォルトでもこれらの値が高いため、リミッターが発動しにくい。しかし、スタンダードモデルは安定性重視の設定で、リミッターが発動しやすくなっている。
[Text by 清水貴裕]
【DOS/V POWER REPORT 12月号は10月29日(水)発売】
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