パワレポ連動企画

マザーボード100選 2015(1)
~2014年のマザーボードを理解する~

DOS/V POWER REPORT 2015年1月号

 このコーナーでは、こだわりの自作PC専門誌「DOS/V POWER REPORT」の最新号と連動、同誌2015年1月号の特集記事「マザーボード100選 2015」をほぼまるごと掲載する。

 特集記事では、市場に流通しているマザーボード製品から5カテゴリー、100製品を選び、それぞれの推奨製品をDOS/V POWER REPORT編集部と執筆陣の投票で決定する。

 第一回目の今回は、各製品を見る前に、頭に入れておきたいマザーボードの基礎知識や2014年のトレンドを解説する。

 なお、この特集が掲載されているDOS/V POWER REPORT 2015年1月号は、11月29日(土)に発売予定。1月号では今回の特集のほか、“即戦力”になるフリーソフト特集、次期OS「Windows 10」Technical Preview使用レポート、髙橋敏也の改造バカ一台など、多数の記事が載っている。また、特別付録として「マザーボード&ベアボーン超図鑑 2015」と題した小冊子が付いてくるなど、盛りだくさんの内容だ。


- DOS/V POWER REPORT 2015年1月号 Special Edition -


2014年のマザーボードを理解する

プラットフォームの特徴を理解して把握しよう

 マザーボード選びの際は、プラットフォームの違いを頭に入れておくと個々の製品の特徴を把握しやすいだろう。プラットフォームという言葉は言及する対象によって意味が変化するが、ここでは「CPUとチップセットの組み合わせをCPUソケット別に分類したもの」と考えてほしい。最近はCPUとチップセットが相互に関連しているので、CPUやマザーボード製品を理解するにはこのくくりで整理すると把握しやすい。

2014年の主なプラットフォーム

 プラットフォームによってはメモリやストレージの規格などが変わることもあり、性能、消費電力、拡張性、トータルコスト、それぞれに大きな影響がある。下記でそれぞれのおおまかな特徴をまとめるとともに、具体的な性能と消費電力の参考として、それぞれのプラットフォームで使える最上位のCPUを搭載したシステムの性能と消費電力を掲載している。「CINEBENCH R15」については、ざっくりと「CPU」は動画エンコードなどでCPUのパワーが全開になるときの性能、CPU(シングルコア)は、OSの日常操作やWebブラウズなどのときの性能を示すと考えてよい。

各プラットフォームの特徴比較
各プラットフォームで使える最上位のCPUを搭載したシステムの性能と消費電力

 見てのとおり、性能はLGA2011-v3がダントツだが、8コアや6コアのCPUが使えることが大きい。この性能を追求するなら、LGA2011-v3が最高の選択肢だ。

 市場の中心はLGA1150。ハイエンドのZ97、メインストリームのH97、ローエンドのB85/H81チップセットとそれぞれグレードが分かれており、機能も差別化されている。実際のマザーボードも基本的にこのグレードに沿って企画・設計されている。例外はあるが、この位置付けを前提として覚えておくと、マザーの性格を把握しやすいだろう。

 Z97とH97の大きな違いは、マルチGPUシステム対応とOC対応が挙げられる。後者に関してはH97でも(B85やH81も)非公式に対応するマザーが多いが、実際の製品レベルではOC向けの細かい設定やOC作業用の機能だけでなく、基本的な品質や機能に関しても、しっかりとハイエンドとメインストリームの差別化がされている傾向がある。

 AMDのSocket FM2+はLGA1150と比べてもベンチ結果は低いが、内蔵GPUの性能が高いというメリットがある。内蔵GPU前提のシステムを組むのであれば検討する価値はあるだろう。CPUオンボードや、Socket FS1b(AM1)は性能は低いが、省電力性能が高く、導入コストの安い点がメリットだ。

【2014年の主流フォームファクターはこの三つ】

各社の主力モデルが勢揃い「ATX」
2014年はやや減少傾向「microATX」
引き続き人気を集める「Mini-ITX」
このほかにも代表的なものは上の3種類だが、ウルトラハイエンドやサーバー用にATXの奥行きを拡張したExtended ATX(305×330mm)や、Intelが超小型のNUC(Next Unit of Computing)向けに規定したUCFF(101.6×101.6mm)といった規格が利用されることもある。

Intel 9シリーズが話題の中心、ゲーミングの存在感が目立つ

 2014年のもっとも大きな動きは、Intel 9シリーズチップセットの登場だろう。先にハイエンド/ミドルレンジにZ97/H97チップセットが、続いてウルトラハイエンドのX99チップセットが投入されたが、これらを搭載した新製品が続々と登場し、現在のマザーボード市場での主役になっている。この最新世代の大きな特徴はPCI Expressストレージが利用可能になったことで、多くの製品がM.2スロットやSATA Expressポートを搭載。独自の付加価値としてより高速なM.2スロットを搭載する製品なども登場している。

 Core i7-4790K、Pentium G3258などOC対応新CPUの登場も大きかった。とくに後者はIntel CPUとしては久しぶりの低価格なOC対応CPUであり、このタイミングで、H97、B85、H81マザーボードでも非公式ながら倍率変更OCができるようになったことで、新チップセットがなかったローエンド市場もかなり活性化された。また、2013年は低価格ゲーミングモデルのヒットというトピックがあったが、2014年もゲーミングモデルの存在感は目立った。スタンダードと並ぶラインナップの軸に据えるメーカーもあり、ウルトラハイエンドからローエンドまで幅広く展開されている。

【2014年の最新トピックス】

トピック1
新チップセット、CPU、プラットフォーム登場

 ウルトラハイエンド~メインストリーム向けに新世代のIntel 9シリーズチップセットが登場。それらを搭載したマザーボードが続々と登場し、現在の市場の主役となっている。

OC対応新CPU
Core i7-4790K、Pentium G3258など倍率変更OCができるCPUが登場。H97やB85搭載マザーでも非公式ながらOCが可能に
ウルトラハイエンドに新顔
ウルトラハイエンドのCPU(Haswell-E)とDDR4メモリが登場。チップセットは3年ぶりのリニューアルで、魅力的なマザーが多数登場
2014年登場の主なチップセット

トピック2
新インターフェース登場

 Intel 9シリーズチップセットの大きな特徴が、PCI Expressストレージのサポートだ。これを受け、多くの製品がM.2スロット、SATA Expressポートを装備している。

M.2
モバイル向けの小型カード規格だが、すでに対応SSDが流通しているためデスクトップでも話題に。CPU直結の高速M.2スロットも登場
SATA Express
対応ストレージ製品がまだないが、Serial ATAポートを拡張したコネクタ形状であるため、Serial ATAポート2基としても使える

トピック3
ラインナップ区分がより明確に

 ゲーミングやOCなどの特化型モデルのボリュームを拡充し、スタンダードと並ぶ軸として展開する動きも目立った。とくにゲーミングは価格帯の幅、数とも大幅に増えている。

ラインナップ区分の例

【検証環境】

CPU:Intel Core i7-5960X Extreme Edition(3GHz)、Intel Core i7-4790K(4GHz)、AMD A10-7850K(3.7GHz)、AMD Athlon 5350(2.05GHz)、Intel Pentium J2900(2.41GHz)、マザーボード:ASUSTeK X99-DELUXE(Intel X99)、ASUSTeK Z97-PRO(Intel Z97)、ASUSTeK A88X-PRO(AMD A88X)、GIGA-BYTE GA-AM1M-S2H(rev. 1.0)(CPU内蔵)、ECS BAT-I/2900(CPU内蔵)、メモリ:ADATA AD4U2133W4G15-BHYM(PC4-17000 DDR4 SDRAM 4GB×4 ※LGA2011-v3環境)、サンマックス・テクノロジーズ SMD-4G28CVLP-16K-Q(PC3-12800 DDR3 SDRAM 4GB×4 ※2枚のみ使用、LGA1150環境およびScoket AM1環境)、Corsair Components Dominator Platinum CMD32GX3M4A2400C10(PC3-19200 DDR3 SDRAM 8GB×4 ※PC3-17000として2枚のみ使用、Socket FM2+ 環境)、Novax Technologies UMAX Castor DCSoDDR3-8GB-1600(PC3-12800 DDR3 SDRAM SODIMM 4GB ×2 ※PC3-10600として1枚のみ使用、Pentium J2900環境)、グラフィックス機能(ビデオカード):MSI N770GTX Twin Frozr 4S OC(NVIDIA GeForce GTX770 ※LGA2011-v3環境のみで使用、ほかはCPU内蔵を使用)、SSD:Micron Technology Crucial m4 CT128M4SSD2(Serial ATA 3.0、MLC、128GB)、Samsung SSD 840 PRO MZ7PD256HCGM(Serial ATA 3.0、MLC、256GB ※Socket FM2+ 環境のみ)、電源:Sea Sonic Electronics Xseries SS-760KM(760W、80PLUS Gold ※LGA2011-v3環境、LGA1150環境、Socket FM2+ 環境)、SilverStone SFX Series SST-ST45SF-G(450W、80PLUS Gold ※Socket AM1環境およびPentium J2900環境)、OS:Windows 8.1 Pro 64bit版、アイドル時:OS起動10分後の値、高負荷時:CINEBENCH R15実行中の最大値、電力計:Electronic Educational Devices Watts Up? PRO

[Text by 鈴木雅暢]


DOS/V POWER REPORT 2015年1月号は11月29日(土)発売】

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http://book.impress.co.jp/teiki/dvpr/2014-10-16-1643.php

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(AKIBA PC Hotline!編集部)