パワレポ連動企画

CPU/マザーボードの選び方

【保存版 PC自作マニュアル 2015(4)】

DOS/V POWER REPORT 2015年5月号

 こだわりの自作PC専門誌「DOS/V POWER REPORT」の特集をほぼまるごと紹介するこのコーナーでは、今回より「2015年5月号」の総力特集「保存版 PC自作マニュアル 2015」を掲載する。

 第四回目となる今回からは、自作PCの構成を決定する際にどのような基準でパーツを選べばいいのかを使用目的に分けて紹介していく。今回はPCの頭脳にあたる「CPU」と、PCの土台と言うべき「マザーボード」について。

 最近のCPUはローエンドモデルでも作業によっては十分な性能を発揮するので、使用目的に合致しているならば高価な上位モデルを用意しなくてもすむ場合がある。浮いた予算は別のパーツやおいしい食事に割り当てよう。秋葉原でおいしい店を探したい、そんなときは本Webサイトで好評連載中の「ちょび&姉ちゃんの『アキバでごはん食べたいな。』」が役に立つ。連載をまとめた単行本も絶賛発売中だ。

 この特集が掲載されているDOS/V POWER REPORT 2015年5月号は全国書店、ネット通販にて絶賛発売中。58ページの大ボリュームで送る総力特集「保存版 PC自作マニュアル 2015」のほか、キャリアメールが必要ないならこれでいいんじゃないか?「知らなきゃ損するMVNO! 六つの格安SIMを比較する」、802.11nが普及してきたと思ったら、時代はすでに11ac?最新の通信事情に対応したネットワークアイテムを紹介する「有線・無線LANをもっとスマートに ネットワークまわりの便利アイテム大集合!」、やっぱりソフトウェアキーボードより使いやすい!「PCでもスマホ&タブレットでも大活躍! Bluetoothキーボードオールスターズ」など、特別企画も盛り沢山。人気の連載記事、髙橋敏也氏による「髙橋敏也の改造バカ一台」や本Web連載中のAKIBA限定!わがままDIY+の本編「わがままDIY」も掲載だ。

 今号の特別付録は、Windowsをもっと便利に、さらに快適にするテクニックが満載の「自作PC がよくなるWindows設定集」。Windows7とは勝手が違うWindows8で困ったときに役立つ本だ。


- 保存版 PC自作マニュアル 2015 -
CPU/マザーボードの選び方


CPUの選び方

性能、電力、価格のバランスに優れた何でもこなせるミドルレンジ
Specification
対応ソケット:LGA1150●プロセスルール:22nm●コア数/スレッド数:4/4●動作周波数(Turbo Boost時最大):3.5GHz(3.9GHz)●3次キャッシュ:6MB●メモリ:PC3-12800 DDR3 SDRAM 32GB ●内蔵GPU(最大周波数):HD Graphics 4600(1.2GHz)● QSV:対応●vPro/TXT/VT-d/SIPP:対応● TDP:84W●倍率ロックフリー:非対応

 CPUは、PCの「頭脳」にあたる最重要パーツだ。選び方一つがPCの性能や消費電力を大きく左右する。選択時にはある程度用途を想定するとよい。

 CPUの詳細を解説する前に、製品選びの基準となるオススメ製品を紹介する。ミドルレンジのCore i5と、上位製品との大きな差は、同時処理できる「スレッド数」にある。これはクリエイティブ系アプリケーションではかなり効くが、それ以外では表面化しにくい。そもそもCore i5も遅くはないので、十分に対応可能だ。

 同じCore i5でも動作周波数の幅が結構広いので、予算のある限り、このCore i5-4690のような高い周波数のモデルがお勧め。

上位製品との比較
【検証環境】マザーボード:ASUSTeK Z97-I PLUS(Intel Z97)、メモリ:サンマックス・テクノロジーズ SMD-16G28CVLP-16K-Q(PC3-12800DDR3 SDRAM 4GB ×4 ※2枚のみ使用)、ビデオカード:MSI N660GTX Twin Frozr Ⅲ OC(NVIDIA GeForce GTX 660)、SSD:Micron Crucial m4 CT128M4SSD2(Serial ATA 3.0、MLC、128GB)、電源:Sea Sonic Electronics Xseries SS-760KM(760W、80PLUS Gold)、OS:Windows 8.1 Pro 64bit版

CPUパフォーマンスを左右する五つのポイント

 まずは、コア数とスレッド数に注目。ハイエンドほど数が多い。多コア/多スレッドを活用するにはソフト側の対応が必要だが、切実にパワーを必要とする用途のソフトなら対応している。

1. コア数/スレッド数
 コアが複数あると同時に処理ができるので、コア数が多いほど高速。同時処理スレッド数を増やすのも、コアを増やすほどではないが似た効果がある。

2. 動作周波数
 同シリーズでコア数/スレッド数も同じなら周波数の高いほうが高性能。自動OC機能(TurboBoost)対応モデルは、必要時にコアの周波数を引き上げられる。

3. TDP/消費電力
 基本的にTDPの数値が小さいほどピークの電力や発熱が小さく、小型PCや静音PCに向く。TDPがとくに低い省電力モデルは、モデル名末尾に「S」や「T」が付いている。

4. グラフィックス機能
 多くのCPUはグラフィックス機能(映像出力機能)を内蔵している。ビデオカードに比べると性能は低いが、ちょっとしたゲームをプレイできる程度の性能はある。

5. OC対応(Kモデル)
 モデル名末尾に「K」が付いたモデルは、OC対応モデル。UEFIなどでクロック倍率を上げ、本来の周波数を超える設定ができる(OC時の動作保証はない)。

Intel CPU の主要ラインナップ

多スレッドモデルで動画や3Dの制作を高速化!

OCしなくても速い!
安価なLGA1150マザーにも対応

LGA1150対応のCPUでは、もっとも高性能なCPU。最高8スレッドを駆使しつつ、OCを行なうことで、さらに性能を底上げできる。
クリエイティブ系アプリに効果大
LGA2011-v3環境を安価に

LGA2011-v3対応のハイエンドCPU。最下位の本製品でも最高12スレッドに対応し、高速なDDR4メモリと広いバス帯域を活かすことで高い性能を発揮する。

 動画編集、3Dレンダリングなど、クリエイティブアプリケーションで作業するならば、多コア多スレッドモデルがよい。お勧めは、4コア8スレッドのCore i7-4790K。Core i5以下と同じLGA1150対応マザーやDDR3メモリなど、主流のパーツが使えて扱いやすい。OC対応のKモデルだが定格でも高速だ。

 さらに上のパワーを求める人には、6コアや8コアのモデルがあるLGA2011-v3版Core i7もある。対応マザーやメモリは高価だが、6コアのCore i7-5820Kならば比較的導入しやすい。

Intelの主な多スレッドモデル

6コア/ 8コアモデルの底力はクリエイティブアプリで全開に

 LGA2011-v3モデルは、写真編集やビデオ編集でCore i7-4790Kに圧倒的な差を付けている。CPUパワーが必要なクリエイティブ系アプリは多コア/多スレッドへの最適化が進んでおり、6コア/ 8コアのポテンシャルをフルに発揮できる。逆に、PCMark 8の結果を見ても分かる通り、一般的なアプリは多くのコアを効果的に使い切れず、本領を発揮できないこともある。

【検証環境】<X99環境>CPU:Intel Core i7-5960X Extreme Edition(3GHz)/ Intel Core i7-5930K(3.5GHz)/ Intel Core i7-5820K(3.3GHz)、マザーボード:ASUSTeK X99-DELUXE(Intel X99)、メモリ:ADATA Premier AD4U2133W4G15-2(PC4-17000 DDR4 SDRAM×2)×2
<Z97環境>CPU:Intel Core i7-4790K(4GHz)、マザーボード:ASUSTeK MAXIMUS VII FORMULA(Intel Z97)、メモリ:Corsair Vengeance CMZ32GX3M4X1866C10(PC3-14900 DDR3 SDRAM×4)
<共通環境>ビデオカード:ASUSTeK GTX770-DC2OC-2GD5(NVIDIA GeForce GTX 770)、SSD:Intel Solid-State Drive 730 SSDSC2BP240G4R5(Serial ATA 3.0、MLC、240GB)、電源:Corsair AX1500i(1,500W、80PLUS Titanium)、CPUクーラー:Thermalright Silver Arrow IB-E Extreme(サイドフロー、14cm径×2)、OS:Windows 8.1 Pro 64bit版

ゲームPCなら4コアCore i5でOK

Core i5最安クラス!
Specification
対応ソケット:LGA1150●プロセスルール:22nm●コア数/スレッド数:4/4●動作周波数(Turbo Boost時最大):3.2GHz(3.4GHz)●3次キャッシュ:6MB●メモリ:PC3-12800 DDR3 SDRAM 32GB●内蔵GPU(最大周波数):HD4600(1.1GHz)● QSV:対応● vPro/TXT/VT-d/SIPP:△(VT-d)● TDP:84W●倍率ロックフリー:非対応

 ゲームの性能にもっとも影響するのはグラフィックス機能だが、CPU性能もそこそこはないとボトルネックになる。最近のゲームタイトルの傾向からすると、「4コアのCore i5」が必要十分条件と言える。4コアであればCore i5の中でも価格が安く、周波数が比較的低いCore i5-4460でもCore i7との差は少ない。

 予算に制限があるならば、CPUはこの辺りにとどめて、差額をビデオカードのランクアップにつぎ込んだほうがゲーム用途では有効だろう。

Intel Core i5の主要ラインナップ

ゲームではCore i7とCore i5のパフォーマンスの差が出にくい

 Core i7とCore i5のスペック的な差は、主に同時処理スレッド数。Corei7ではHT(Hyper-Threading)で1コアにつき2スレッドを処理できるため、多スレッド対応ソフトでは強い。ただ、実際のゲームタイトルでHTはあまり有効でなく、ほとんどパフォーマンスに差が付かない。

【検証環境】マザーボード:ASUSTeK Z97-I PLUS(Intel Z97)、メモリ:サンマックス・テクノロジーズ SMD-16G28CVLP-16K-Q(PC3-12800 DDR3 SDRAM 4GB ×4 ※2枚のみ使用)、ビデオカード:MSI N660GTX Twin Frozr Ⅲ OC(NVIDIA GeForce GTX 660)、SSD:Micron Crucial m4 CT128M4SSD2(Serial ATA 3.0、MLC、128GB)、電源:Sea Sonic Electronics Xseries SS-760KM(760W、80PLUS Gold)、OS:Windows 8.1 Pro 64bit版

5年でこう変わった 性能は確実に向上、上位モデルも省電力化

 5年前のハイエンドCPUは、現行で言うとエントリークラスレベルの性能だ。当時のハイエンドクラス「Lynnfield」には、まだグラフィックス機能がなかった。TDPの数字こそ今とあまり変わらないが、実測の電力、とくにアイドル時の消費電力ははるかに高く、小型PCへの内蔵などは困難だった。

 最新世代のCPUは、省電力性能が大きく向上することで、パーツの組み合わせの自由度が高まっていると言える。

5年前のハイエンドモデルとの比較

低TDPモデルやローエンドモデルで省電力

通常版だが省電力
価格もリーズナブル

オフィスアプリ中心の作業や省電力サーバー的な使い方をするなら、リーズナブルな価格でTDPも低いこのモデル。通常モデルだが、十分省電力だ

 省電力PCを組み立てる場合、SやTの型番を持つ省電力モデルを選択するのが王道。だが、最近のCPUは基本的に省電力設計のため、コア数の少ないエントリーモデルは消費電力がかなり小さい。当然価格も安いためお勧めだ。とくに、2コアでTurbo Boost機能を持たないCore i3は、省電力モデルでなくとも十分省電力。ハイレベルな静音化が可能でファンレス運用も現実的に狙える。

お手軽OCならPentium G3258

OCで4.7GHz超えも……
実売8,000円前後と格安
Specification
対応ソケット:LGA1150●プロセスルール:22nm●コア数/スレッド数:2/2●動作周波数:3.2GHz●3次キャッシュ:3MB●メモリ:PC3-10600 DDR3 SDRAM 32GB●内蔵GPU(最大周波数):HD(1.1GHz)● QSV:対応●vPro/TXT/VT-d/SIPP:非対応●TDP:54W●倍率ロックフリー:対応

 自作PCならではの楽しみの一つにOC(オーバークロック)がある。CPUを本来のスペック以上の周波数で動作させることによるパフォーマンスアップもさることながら、冷却を強化したり、UEFIなどで設定をいろいろ試したりと、性能を伸ばしていくプロセスが楽しい。

 Pentium G3258は、型番にKこそ付かないものの動作周波数の変更が可能で、4.7GHz以上の動作報告も多くある。冷却や設定による伸びしろが大きい点も魅力だ。

AMD CPUの活かしどころ

Specification
対応ソケット:Socket FM2+●プロセスルール:28nm●コア数/スレッド数:4/4●動作周波数(Turbo CORE時最大):3.7GHz(4GHz)●2次キャッシュ:4MB●メモリ:PC3-17000 DDR3 SDRAM 32GB ●内蔵GPU:Radeon R7(720MHz、512基)● TDP:95W●倍率ロックフリー:対応

 IntelのライバルであるAMDには根強いファンがいる。AMDのCPUはグラフィックス性能が高いことが特徴。上位モデルは最安クラスのビデオカードくらいの性能があるので、ライトなゲームならビデオカードなしで楽しめる。

 ゲーム以外でもOpenCL対応のアプリなら内蔵グラフィックス機能を併用して高速化できるが、まだ対応ソフトは少ないのが現状だ。

Intel CPUとの比較
【検証環境】マザーボード:ASUSTeK A88X-PRO(AMD A88X)、ASRock Z87E-ITX(Intel Z87)、メモリ:Corsair DOMINATOR PLATINUM CMD32GX3M4A2400C10(PC3-19200 DDR3 SDRAM 8GB×4 ※PC3-17000に設定、2枚のみ使用)、サンマックス・テクノロジーズ SMD-16G28CVLP-16K-Q(PC3-12800 DDR3 SDRAM 4GB×4 ※2枚のみ使用)、内蔵グラフィックス機能:AMD A10-7850K 内蔵(Radeon R7)、Intel Core i5-4670K 内蔵(Intel HD Graphics 4600)、SSD:Samsung 840 PRO MZ-7PD256BW(Serial ATA 3.0、MLC、256GB)、電源:Sea Sonic Electronics Xseries SS-760KM(760W、80PLUS Gold)、OS:Windows8.1 Pro 64bit 版

[Text by 鈴木雅暢]


マザーボードの選び方

 マザーボードはすべてのPCパーツを接続するメイン基板。機能、拡張性などを左右するだけに、用途に適したものを選択する必要がある。

 マザーボードは、現在主流のLGA1150 CPUに対応したもので、機能とコストのバランスがよいH97チップセット搭載モデルが人気だ。なかでも定番となっているのがASUSTeKのH97-PRO。最新トレンドであるM.2などの高速インターフェースをサポートする拡張性の高さと、ファン制御を行なうものなどの独自ユーティリティが充実している点が評価されている。

 コンパクトでも不自由なく使えるマザーが欲しい。そんなわがままに応えてくれるのがこのH97I-PLUS。Mini-ITXという規格上、ビデオカードなどの拡張カードは1枚しか使えないが、USB 3.0ポートなど、充実したインターフェースはその制約を補って余りある。高性能なコンパクトマシンが作成できる1枚だ。

トレンド機能を網羅した
お買い得モデル
コンパクトマザーボードの決定版
Specification
対応CPU:Core i7/i5/i3、Pentium、Celeron●メモリスロット:PC3-12800 DDR3 SDRAM×4(最大32GB)●ディスプレイ:HDMI×1、DVI-D×1、Dsub 15ピン×1●拡張スロット:PCI-Express 3.0 x16×1、PCI-Express 2.0 x4(x16形状)×1、PCI-Express 2.0 x1×2、PCI ×3●主なインターフェース:M.2(Socket 3、PCI-E 2.0 x2接続)×1、SATA Express×1、Serial ATA 3.0×4、USB 3.0×6、USB 2.0×8(USBのポート数は内部ピンヘッダを含む)● LAN:1000BASE-T×1
Specification
対応CPU:Core i7/i5/i3、Pentium、Celeron●メモリスロット:PC3-12800 DDR3 SDRAM ×2(最大16GB)●ディスプレイ:DisplayPort×1、HDMI×1、DVI-D×1、Dsub 15ピン×1●拡張スロット:PCI-Express 3.0 x16×1、PCI-Express Mini Card(ハーフ)×1●主なインターフェース:M.2(Socket 3、PCI-Express 2.0x2接続)×1、Serial ATA 3.0×4、USB 3.0×6、USB 2.0×6(USBのポート数は内部ピンヘッダを含む)● LAN:1000BASE-T×1

必ず使用するCPUに対応したCPUソケットのものを選ぼう

主なCPUソケットと対応CPU

 マザーボードは使用するCPUに対応したCPUソケットを搭載したものを選ぶ必要がある。CPUソケットが違うとCPUが搭載できないので注意したい。現行の主なCPUソケットと対応CPUを右の表にまとめたので、参考にしていただきたい。

チップセットでおおまかな機能が決まる

オススメはH97
H97とZ97の大きな違いはマルチGPUへの対応ぐらい。機能のわりに比較的価格の安いマザーボードが揃うH97がオススメだ

 下の表はLGA1150 CPU用チップセットの機能を比較したものだ。マザーボードの基本的な機能は、このとおりチップセットで決まる。それぞれに長所、短所があるが、今、LGA1150 CPU用マザーボードを選ぶならH97チップセット搭載モデルを選ぶことをオススメしたい。表のとおり、Serial ATA 3.0とUSB 3.0のサポート数は上位モデルのZ97と同じで、マザーボードの価格は機能のわりに安いものが多い。大きな違いはマルチGPUへの対応だが、これは一部の上級者向けと考えてよい。

LGA1150 CPU用チップセット機能比較

ディスプレイ出力は自分の環境に合ったものを選ぶ

高解像度に対応した最新インターフェース。対応するディスプレイも増えてきた
現在主流のデジタルインターフェース。現行のほぼすべてのディスプレイが対応している
デジタル信号のみ出力するDVI-Dと、デジタル/アナログ両方の信号を出力するDVI-Iがある(写真はDVI-D)
アナログ信号のみ出力する映像端子。最近では搭載するディスプレイは少なくなっている

 ビデオカードを搭載せず、CPU内蔵GPUを使用するのなら、マザーボードに搭載されたディスプレイ出力ポートも重要なポイント。必ず自分の使用するディスプレイに合った出力ポートを備えているか確認しておきたい。

 高価な製品でもビデオカードの使用を想定してHDMIしか搭載していないということもあるので要注意だ。

サイズが違うと何が変わる?

小型になるほど拡張スロットが少ないことに注意
基本的にMini-ITXマザーは、PCI Express x16スロットが1本しか用意されていないので、ビデオカードを使用するとほかの拡張カードを使用することはできない

 現行の主なマザーボードは、下のATX、microATX、Mini-ITXのいずれかの規格に準拠している。コンパクトなPCを作成するには、microATXやMini-ITXマザーボードが適しているが、ATXと比べると拡張性が低くなる。

最大サイズ:
305×244mm
拡張スロット数:
最大7本
最大サイズ:
244×244mm
拡張スロット数:
最大4本
最大サイズ:
170×170mm
拡張スロット数:
最大1本

インターフェースの種類と用途を知ろう

ストレージ系
現在主流のストレージインターフェース。最大転送速度が600MB/sの3.0規格対応と300MB/sの2.5規格対応のものがある
今後主流になると目されているのがこのM.2。PCI Express 3.0 x4接続は、最大約4,000MB/s、PCI Express 2.0 x2接続は、最大1,000MB/sの転送速度を誇る
拡張カード系
ビデオカード用の拡張スロット。最大転送速度は、16,000M B/s。見た目がx16形状であっても内部での接続はx4やx8であるものも多いので注意が必要
テレビキャプチャカードやUSB 3.0インターフェースカードなどの拡張カード用のスロット。最大転送速度は500MB/s
搭載するマザーボードが少なくなってきている旧世代の拡張カード用スロット。古い拡張カードを使いたい人以外には不要
各インターフェースの最大転送速度

価格帯によって装備が変わる

機能が充実した上位モデル
Specification
対応CPU:Core i7/i5/i3、Pentium、Celeron●メモリスロット:PC3-26400 DDR3 SDRAM×4(最大32GB)●ディスプレイ:DisplayPort×1、Mini DisplayPort×1、HDMI×1●拡張スロット:PCI-Express 3.0 x16×2(x16/-、x8/x8で動作)、PCI-Express 2.0 x4(x16形状)×1、PCI-Express 2.0 x1×4●主なインターフェース:M.2(Socket 3、PCI-Express 2.0 x2接続)×1、SATA Express×2、Serial ATA 3.0×6、USB 3.0×10、USB 2.0×8(USBのポート数は内部ピンヘッダを含む)● LAN:1000BASE-T×2

 マザーボードは価格帯によって装備が大きく変わる。たとえば、ハイエンドの定番モデルであるASUSTeK Z97-DELUXEとミドルレンジのASUSTeK H97-PROを比べると、以下のとおり、電源回路、Serial ATA 3.0ポート数、USB 3.0ポート数、オンボード機能など、装備の差は歴然としている。

 自分にジャストフィットした製品を入手するには、必要な装備を見きわめることが重要だ。

H97-PRO
B85-PLUS
Z97-DELUXEと比較しているH97-PROもミドルレンジとしては装備が充実しているほう。もう少し価格の安いB85-PLUSなどのローエンドモデルだともっと装備がシンプルになる。

ハイエンドモデルとミドルレンジモデルの装備の違い

ハイエンド
ミドルレンジ

電源回路(VRM)
OCも想定したハイエンドは高負荷時でも安定してCPUに電力が供給できるように多重化した電源回路を搭載している

ハイエンド
ミドルレンジ
※ ハイエンドはSerial ATA 互換のSATA Express ポート含む

Serial ATA 3.0ポート
ミドルレンジはチップセットのサポートするもののみ。上位モデルは別途コントローラを搭載することで数を増やしている

ハイエンド
ミドルレンジ

USB 3.0ポート
ミドルレンジはチップセットのサポートするもののみ。上位モデルは別途コントローラを搭載することで数を増やしている

ハイエンド
ミドルレンジ

オンボード機能
ハイエンドは電源スイッチやシステムの状態が分かるPOST LEDを装備するが、ミドルレンジには装備されていない

ハイエンド
ミドルレンジ

ファン用電源コネクタ
CPUファンやケースファン用の電源コネクタもハイエンドのほうが多く搭載している

ハイエンド
ミドルレンジ

付属品
ミドルレンジは必要最低限のものしか付属していないが、ハイエンドは拡張カードが付属するなど豪華

5年でこう変わった 付属のユーティリティが進化

Fan Xpert 3
自動で静音化を図れるほか、手動で各種ファンの回転数を細かく制御することもできる

 現行のモデルを5年前のモデルと比較すると、もっとも大きく進化したと言えるのは付属ユーティリティだ。とくにファンを制御するユーティリティの進化は目覚ましい。

 たとえばASUSTeKの上位のマザーボードに付属している「Fan Xpert 3」は、システム構成に応じて自動でファンの回転数の最適化を行なうのだが、本誌で何度も実証しているように、適切な冷却能力を維持したまま静音化を実現することができる。ハードウェアのファンコントローラを使ってファンの回転数を制御する時代はもはや終わったと言ってよい。

特定の用途に向いた機能特化タイプ

ゲーム特化型
Specification
対応CPU:Core i7/i5/i3、Pentium、Celeron、Xeon● メモリスロット:PC3-25600 DDR3 SDRAM×4(最大32GB)●ディスプレイ:DisplayPort×1、HDMI×1● 拡張スロット:PCI-Express 3.0x 1 6×3(x 1 6 /- /-、x 8 / x 8 /-、x8/x4/x4で動作)、PCI Express 2.0 x4(x16形状)×1、PCI Express 2.0 x1×2、PCI-Express Mini Card(ハーフ)×1●主なインターフェース:M.2(Socket 3、PCI-Express 2.0x2接続)×1、SATA Express×2、Serial ATA 3.0×4、eSATA(SATA 3.0)×1、USB 3.0×8、USB 2.0×8(USBのポート数は内部ピンヘッダを含む)●LAN:1000BASE-T×2

 最近のマザーボードのトレンドとしては、特定の用途向けに機能を強化したモデルの台頭が挙げられる。とくに、サウンドとネットワーク機能を強化したゲーミングモデルの増加は顕著で、ハイエンド製品からローエンド製品まで幅広い製品が揃っている。

 なかでも人気なのが、ASRock Fatal1ty Z97 Professionalのような、基本機能が充実した上にゲームプレイに役立つ機能を備えたアッパーミドルモデル。コストパフォーマンスを考慮しつつも高性能なゲーミングマシンを作成したい人たちの高い支持を得ている。

ゲームの臨場感を盛り上げる
高性能サウンド機能を搭載
ネットワークゲームが
ストレスなく楽しめる
THX TruStudio Proなどに対応したCreative TechnologyのSound Core3Dを搭載。臨場感のある高音質ゲームサウンドを楽しむことができる
ネットワークコントローラには、低負荷で遅延の少ないQualcomm Atheros Kiler E2200を採用。ネットワークゲームの勝率が上がるかも!?

耐久性向上型
Specification
対応CPU:Core i7/i5/i3、Pentium、Celeron●メモリスロット:PC3-14900 DDR3 SDRAM×4(最大32GB)●ディスプレイ:DisplayPort ×1、HDMI ×1●拡張スロット:PCI-Express 3.0 x16×2(x16/-、x8/x8で動作)、PCI-Express 2.0 x4(x16形状)×1、PCI-Express 2.0 x1×3●主なインターフェース:SATA Express×1、Serial ATA 3.0×6、USB 3.0×8、USB 2.0×8(USBのポート数は内部ピンヘッダを含む)● LAN:1000BASE-T×2
温度監視とファン制御を行なう専用IC
専用のプロセッサ「TUF ICe」を搭載しており、12カ所の温度監視と9基ものファン制御を正確に行なうことができる

 軍用レベルの部品を採用した電源回路を搭載するなど徹底的に耐久性を重視したモデル。

 表面を覆うカバーは、防塵とともに、ファンで内部に風を送り込むことで基板全体を冷却する役割を持つ。1台を長く使いたい方に。


オーバークロック特化型
Specification
対応CPU:Core i7● メモリスロット:PC4-24000 DDR4 SDRAM×8(最大64GB)●ディスプレイ:-●拡張スロット:PCI-Express 3.0 x16×2※、PCI-Express 3.0 x8(x16形状)×2※、PCI-Express 2.0 x1×3●主なインターフェース:M.2(Socket 3、PCI-Express 2.0 x2接続)×1、SATA Express ×1、Serial ATA 3.0×8、USB 3.0×10、USB 2.0×8(USBのポート数は内部ピンヘッダを含む)● LAN:1000BASE-T×1
※40レーンCPU使用時
OCに役立つオンボード機能を満載
CPU倍率や外部クロックの増減をリアルタイムに行なえるボタンや各種電圧測定用の接点などOC向け機能を満載する

 記録を競い合うオーバークロッカー向けに開発されたモデル。

 最上級の電源回路を搭載し、CPU倍率、クロック、各種電圧を細かく調整できる機能など、OCに役立つ機能を満載している。

ハイエンドモデルはさらに豪華

Micro-Star International
X99 GAMING 9 ACK
実売価格:58,000円前後

 LGA2011-v3対応CPU向けのゲーミングモデルなどハイエンドモデルはさらに装備が豪華となる。

 たとえば、MSIのX99 GAMING 9 ACKは、ビデオカードを最大4基協調動作させるマルチGPUに対応するなど基本機能が充実している上に、ハイグレードのサウンド機能やネットワーク機能だけでなく、描画性能を落とすことなくゲームプレイをリアルタイムに動画配信できる機能など、豪華な拡張機能を搭載している。

[Text by 滝 伸次]


【使用パーツ問い合わせ先】

Intel:0120-868686(インテル)/ http://www.intel.co.jp/
Advanced Micro Devices:0066-33-81265(日本AMD)/ http://www.amd.co.jp/
ASUSTeK Computer:info@tekwind.co.jp(テックウインド)/ http://www.asus.com/jp/
ASRock:03-3768-1321(マスタードシード)/ http://www.asrock.com/
GIGA-BYTE TECHNOLOGY:-/ http://www.gigabyte.jp/
Micro-Star International:webjp@msi.com(エムエスアイコンピュータージャパン)/ http://jp.msi.com/


DOS/V POWER REPORT 2015年5月号は2015年3月28日(土)発売】

★総力特集「保存版 PC自作マニュアル 2015」
★特別企画「六つの格安SIMを比較する」「ネットワークまわりの便利アイテム大集合!」「Bluetoothキーボードオールスターズ」
★連載「最新自作計画」「POWER REPORT PLUS」「自作初心者のための[よくある質問と回答]」「New PCパーツ コンプリートガイド」「激安パーツ万歳!」「髙橋敏也の改造バカ一台」「PCパーツ スペック&プライス」「全国Shopガイド」「DOS/V DataFile」

★ 紙版を買うと電子版(PDF)を無料ダウンロード可能
★ 特別付録小冊子「自作PCがよくなるWindows設定集」(紙版のみ別途付録、電子版では本誌末尾に収録)
★ 電子版は割安な税別926円
★ 毎月700円(税込)で最新号が読める 直販電子版 月額プランも受付中
http://book.impress.co.jp/teiki/dvpr/2014-12-26-1549.php

【電子販売ショップ】

(AKIBA PC Hotline!編集部)