パワレポ連動企画

電源投入時のトラブル対策編4 ~電源は入るが画面に何も表示されない場合~

【保存版 自作PC「トラブル」の原因と対策(5)】

DOS/V POWER REPORT 2015年7月号

 こだわりの自作PC専門誌「DOS/V POWER REPORT」の特集をほぼまるごと紹介するこのコーナーでは、「2015年7月号」の第一特集「“動かない・不安定・遅くなった”を解消せよ!保存版 自作PC トラブルの原因と対策」を掲載する。

 第5回目のトラブルは「電源は入るが、画面に何も表示されない」というケース。問題となっている箇所を探すときは「こんなミスはしない」と思っている単純なところから確認していこう。PCケースを開けるのはそれからでも遅くない。

 この特集が掲載されているDOS/V POWER REPORT 2015年7月号は全国書店、ネット通販にて5月29日(金)に発売。自作トラブル解決に必見の第一特集のほか、OSはSSDだけど、データ入れるならやっぱりこちら!異なる用途に最適な選択をアドバイスする第二特集「目的でキメる最新HDD」、0.1しか違わないのに2倍以上速い最新インターフェースを搭載!「USB 3.1対応マザーボード全員集合」、HDMIに挿すだけでテレビがパソコンに早変わり!「テレビ1台あればいい! 今知りたいスティックPC」、自分の健康にも投資するべき!の第二弾は財布にも優しいアイテム大集合!「PC疲れが楽になるお手軽健康グッズ29」など、特別企画も満載。人気の連載記事、髙橋敏也氏による「髙橋敏也の改造バカ一台」や本Web連載中のAKIBA限定!わがままDIY+の本編「わがままDIY」も掲載だ。

 今号の特別付録は、パーツ選びから動作中のトラブルまで、PC自作にまつわる「?」を一冊にまとめた「PC自作Q&A事典 2015」。CPUスペックの見方から、どこでパーツを買えばいいのか分からない、といった疑問にも困ったにも対応します!


- 電源投入時のトラブル編4 ~電源は入るが画面に何も表示されない場合~ -


原因の特定こそがキモ
自作PC起動編 4

 新品のパーツを購入してPCを組み立てても、電源が入らない、電源は入るがすぐに切れてしまう、電源は入るがシステムの再起動を繰り返す、電源は入るが画面に何も表示されないなどのトラブルが発生することがある。ここではそのような自作PC初回起動時に発生しやすいトラブルとその対策方法を解説していこう。

 なお、本項で解説しているトラブルと対策は、初回起動時だけでなく、PCを使用していて突然電源が入らなくなったり、電源が切れてしまったりした場合にも役立つので、参考にしていただきたい。

症状別トラブル原因判別と対処方法

判別と対処方法
 電源ユニット、マザーボード、CPUをケースから取り出して検証、組み立てミスなら組み直す、など
第2回にて解説】

判別と対処方法
 オンボードのOCスイッチなどが有効になっていないか確認した後、CPUクーラーを外し、グリスを塗り直し、取り付け直す、など
第3回にて解説】

判別と対処方法
 EPS12V電源ケーブルとビデオカードの補助電源ケーブルの接続を確認、UEFIのアップデートを行なう、など
第4回にて解説】

判別と対処方法
 POSTコードを表示するLEDなどがマザーボードに装備されていれば、表示されているコードからトラブルの原因を判別。なければ、ビデオカード、メモリなどを順にチェックして原因を判別して対処方法を探る、など
【今回解説】


症状4 電源は入るが、画面に何も表示されない

ケアレスミスがないか確認する

 CPUクーラーのファンなどが回っており電源は入っていると思われるのに、画面に何も表示されない場合は、CPU、電源ユニット、マザーボード、ビデオカード、メモリの故障、メモリの相性、組み立てミス、ディスプレイケーブルの破損などの原因が考えられる。とはいえ、まずはディスプレイのスイッチが入っているか、ディスプレイケーブルが接続されているかなど、ケアレスミスがないか確認してみよう。

 ビデオカードやメモリがきちんと装着されていないという場合もあるので、それらもあわせて確認しておきたい。

ディスプレイの電源ケーブルがコンセントに接続されているか

コンセントがスイッチ付きの場合はそこも確認

 ディスプレイの電源ケーブルを接続し忘れていたというのはありがちなミス。まず確認する

ディスプレイのスイッチはONになっているか

思っているよりもよくある

 ディスプレイのスイッチがONになっていないこともある。焦ってPCケースを開ける前に確認したい

ディスプレイケーブルはきちんと接続されているか

ディスプレイ側の入力切り替えも要チェック

 ディスプレイケーブルがきちんと接続されていない場合もあるので注意したい。DisplayPortやHDMIケーブルは奥までしっかり押し込もう

EPS12V電源ケーブルは接続されているか

CPUクーラーなどに隠れて気づかないことがある

 EPS12V電源ケーブルの接続も忘れがちなので注意。きっちり挿さっているかも確認しておきたい

ビデオカードがスロットに正しく挿入されているか

ネジ止めできていてもきちんとささっていない場合がある

 ビデオカードがきちんと挿入されているかも確認しておきたい。写真のように浮いてしまっている場合もあるので注意!

ビデオカードの補助電源ケーブルは接続されているか

補助電源ケーブルの挿し忘れは警告音が鳴るモデルもある

 慣れた人でも忘れがちなのがビデオカードの補助電源ケーブル。きちんと接続されているか必ず確認したい

メモリはきちんとスロットに挿入されているか

上下のロックが降りるまできっちり押し込もう

 メモリがきちんとスロットに挿入されていない可能性もある。写真のように浮いていないかも確認しておこう

一応、CMOSクリアも行なっておく

 新品のマザーボードの場合はほぼないことだが、UEFIの設定がおかしくなっていて、画面が表示されないということも考えられる。第3回で説明しているとおり、基板上のスイッチでCMOSクリアを行ない、UEFI設定の初期化を行なってみよう。

 通常は、プライマリディスプレイ出力はAuto設定になっていて、ビデオカード使用時は優先的にビデオカードから映像が出力されるが、プライマリディスプレイ出力がCPU内蔵GPUに設定されている上にマルチモニタの設定が無効になっていると、ビデオカードから映像が出力されない。こうした際はCMOSクリアするとよい。


POSTコードでトラブルの原因判別ができる

POSTコードを表示するLED
POSTコードを表示するLEDが搭載されているマザーボードは、表示された英数字でエラーの原因を判別することができる

 PCはシステムの起動時にキーボード、メモリ、ビデオカードなど、各種デバイスの自己診断を行なうPOST(Power On Self Test)と呼ばれる機能を持っており、チェック中の項目や検出されたエラー内容はPOSTコードと呼ばれる2桁の16進数で出力される。マザーボードによってはこのPOSTコードを表示するLEDが搭載されており、エラーの原因を判別することができる。

POSTコードはマニュアルで確認できる

 大手メーカーのマザーボードに搭載されているUEFIは、AMI製かAward(Phoenix)製のもののどちらかがベースとなっており、AMIとAwardではPOSTコードが異なるので注意が必要だ。現在のUEFIはボードメーカーがカスタマイズしているため、UEFIセットアップのインターフェースなどで、AMIのものなのか、Awardのものなのか、ユーザーが判断することは難しい。POSTコードLEDを搭載しているマザーボードは、マニュアルにPOSTコード表が掲載されているので、それを参照しよう。

ASRock Z97 Extreme6/acの場合
基板上にDr.Debugと名付けられたPOSTコードを表示するLEDを搭載
マニュアルにコードの簡潔な説明が記載されている
ASUSTeK Z97-PROの場合
基板上にQ-Codeと名付けられたPOSTコードを表示するLEDを搭載
マニュアルにコードの詳細が記載されている

POSTコードが表示されない場合は、CPUの故障の可能性

 POSTコードLEDに何も表示されない場合は、CPUが故障している可能性がある。きちんとCPUが取り付けられているか確認し、もう一度取り付け直してみよう。CPUソケットのピンが曲がっている可能性もあるのでそれも確認してみよう。

CPUの取り付けを確認
CPUソケットのピンなどが破損していないかチェック
CPUがきちんと取り付けられているか確認してみる
CPUやCPUソケットのピンなどが曲がっていないか確認してみる

ビープ音でもエラーの原因を判別できるが……

 ビープ音でもエラーの原因を判別できるが、現在ではビープ音を鳴らすスピーカーを搭載しているマザーボードやPCケースは少ない。また、ビープ音のパターンはAMI製UEFIとAward製UEFIでは異なるが、前述のとおり、現在ではメーカーが独自にカスタマイズしたUEFIが主流でその判別が難しい。そのためビープ音での判断は上級者向けと言える。

エラー箇所を知らせるLEDを搭載するマザーボードもある

 ASUSTeKマザーの多くは、POST時に順番に点滅し、エラーが見付かったデバイスのLEDを点灯させるQ-LEDを搭載しており、CPU、メモリ、グラフィックス機能、ブートデバイスのエラーを知ることができる。

四つのLEDを搭載
CPU_LED、DRAM_LED、VGA_LED、BOOT_DEVICE_LEDの四つのLEDが搭載されており、POST時に順番に点滅する。点灯したまま停止した場合はその箇所でエラーが発生している

ビデオカード、メモリ、CPU、マザーボード、電源ユニットの故障、メモリの相性問題の可能性
ビデオカード、メモリの順に検証していく

 ビデオカード使用時、電源が入っているのに画面が出ない場合にまっ先に疑うべきはビデオカードの故障だ。まず使用しているビデオカード以外で画面が出力されるか確認してみる。それでも画面が出ない場合はメモリの故障や相性問題が発生している可能性が考えられるので、メモリの検証を行なってみる。

ディスプレイケーブルが破損している場合もある

複数のケーブルで確認
ディスプレイケーブルが破損していることもある。ディスプレイケーブルが複数ある場合は、ほかのケーブルでも画面が出ないか試してみよう

 まれなケースであるが、ディスプレイケーブルが破損していて画面が出ないということもある。こればかりは、ほかのディスプレイケーブルで画面が表示されるかどうか試してみるしかない。HDMIとDVI-Dなど複数のディスプレイケーブルを所持している場合は、いろいろとパーツ構成や設定をいじる前に一応試しておこう。

ビデオカード、メモリの順に検証していく

メモリの相性問題を回避する機能を持つマザーボードもある

MemOK!
メモリのエラーを知らせるLEDが点灯している際に、MemOK!ボタンを押すと、システムはメモリの動作タイミングなどを遅くして起動を試みる

 ASUSTeKのマザーボードの多くはMemOK!と名付けられたメモリの相性問題を回避する機能を搭載している。メモリの動作タイミングなどをギリギリまで遅くして起動する機能なので根本的な解決にはならないが、とりあえずは画面が表示されるようになることがあり、相性問題が発生しているのかを判断する目安となる。


UEFIセットアップでデバイスが正しく認識されていない場合の対処方法

 PCを組み立てた後、電源を投入して、無事UEFIセットアップが立ち上がっても、CPUの動作クロックが定格と違う値になっている、接続しているはずのドライブが認識されていない、USBキーボードが使用できないなどのトラブルが発生していることがある。ここではそうしたハードウェア認識トラブルが発生した際の対処方法を紹介しよう。

まず初期出荷状態に戻してみる

 UEFIセットアップには、メーカーによって、「Load Optimized Defaults」、「Load SetupDefaults」などと名称は違うものの、各種設定を初期出荷状態に戻すメニューが用意されている。新製品を購入した場合は初期出荷状態になっているはずだが、ハードウェアが正しく認識されていない場合は、まずこのメニューを利用して設定を初期値に戻してみよう。

設定を初期出荷状態に戻す - ASUSTeK Z97-PROの場合 -
Load Optimized Defaultsを適用
Exitメニューに用意されている「Load Optimized Defaults」にカーソルを合わせて[Enter]キーを押し、確認メニューが表示されたら[OK]を選択する
設定を保存し再起動する
Exitメニューの「Save Changes & Reset」にカーソルを合わせて[Enter]キーを押し、確認メニューが表示されたら[OK]を選択して再起動する

CPUの動作クロックが正しくない

 UEFIの初期出荷状態に戻すメニューを適用しても、CPUの動作クロックが定格よりも高くなっていたり、低くなっていたりする場合は、オンボードの自動オーバークロックスイッチや省電力モードスイッチが有効になっていることが考えられるのでチェックしてみよう。

CPUの動作クロックが定格と違う
UEFIの初期出荷状態に戻すメニューを何度適用してもCPUのクロックが定格と異なる
オンボードスイッチを確認する
オンボードの自動オーバークロックスイッチや省電力スイッチなどが有効になっている可能性があるのでチェックする

ストレージ類が認識されない

 ストレージが認識されない場合は、Serial ATAケーブルと電源ケーブルがきちんと接続されていない可能性が高いので、コネクタ部分を確認してみよう。サードパーティ製のSerial ATAコントローラの中には光学ドライブと相性の悪いものもあるので、接続するポートに注意を要する場合もある。

ケーブルの接続を確認する
ストレージにSerial ATAケーブルと電源ケーブルがきちんと接続されているか確認してみる
接続するポートを変えてみる
特定のSerial ATAコントローラと相性の悪い光学ドライブもあるので、接続するポートをチップセットのものに変えてみる

USBキーボードが使えない

 最近では少なくなったが、チップセット以外のコントローラがサポートするUSB 3.0ポートに接続した場合、UEFIセットアップでUSBキーボードが使えないということがある。その場合は違うポートに挿し換えて試してみよう。

 なお、Deleteキーを押してもUEFIセットアップが起動しないという場合は、Fast Bootの設定で、起動を高速化するためにUSB機器の認識を省略する設定になっている可能性がある。

接続するポートを変えてみる
UEFIセットアップでUSBキーボードが使えないという場合は違うポートに挿し換えて試してみよう
CMOSクリアを行なう
Deleteキーを押してもUEFIセットアップが起動しない場合は、FastBootの設定が関係している可能性があるのでCMOSクリアを行なってみよう

[Text by 滝 伸次]


DOS/V POWER REPORT 2015年7月号は2015年5月29日(金)発売】

★第1特集「保存版 自作PCトラブルの原因と対策」
★第2特集「目的でキメる最新HDD」
★特別企画「USB 3.1対応マザーボード全員集合」「今知りたいスティックPC」「PC疲れが楽になるお手軽健康グッズ29」
★連載「最新自作計画」「自作初心者のための[よくある質問と回答]」「New PCパーツ コンプリートガイド」「激安パーツ万歳!」「髙橋敏也の改造バカ一台」「PCパーツ スペック&プライス」「全国Shopガイド」「DOS/V DataFile」

★ 紙版を買うと電子版(PDF)を無料ダウンロード可能
★ 特別付録小冊子「疑問にも困ったにも対応します! PC自作Q&A事典 2015」(紙版のみ別途付録、電子版では本誌末尾に収録)
★ 毎月700円(税込)で最新号が読める 直販電子版 月額プランも受付中
http://book.impress.co.jp/teiki/dvpr/2015-05-25-0000.php

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(AKIBA PC Hotline!編集部)