パワレポ連動企画

SSDの性能を維持するためのメンテナンス術

【自作PCチューニング技術大全100(13)】

DOS/V POWER REPORT 2016年4月号

 こだわりの自作PC専門誌「DOS/V POWER REPORT」の特集をほぼまるごと紹介するこのコーナーでは、「2016年4月号」の第1特集「もう一手間、一工夫でアナタのPCがグッと使いやすく快適に!! 自作PCチューニング技術大全100」を掲載する。

 第13回目では、SSDのファームウェア更新や購入時の状態に戻す方法など、メンテナンスに関するテクニックを紹介する。

 本特集が掲載されているDOS/V POWER REPORT 2016年4月号は全国書店、ネット通販にて2月29日(月)に発売。第1特集のほか、第2特集は最新OSの現在の姿を解説する「リリース時とはもう違う。現在形、分かってる? Windows 10知っておきたい10のこと。」、まずはデータ保存から始めよう、低コストで導入できるモデルを紹介「転ばぬ先のバックアップ! 1万円台で買えるお手頃NASキット」、マルチディスプレイやライトゲームに、内蔵GPUからのパワーアップを目指す「チョイ足しアップグレードで効果大! 格安ビデオカードセレクション」、外出先でも2画面で!「いつでもどこでも手軽に使える モバイル液晶ディスプレイ大集合」など、特別企画も満載。人気の連載記事、髙橋敏也氏による「髙橋敏也の改造バカ一台」や本Web連載中のAKIBA限定!わがままDIY+の本編「わがままDIY」も掲載だ。

 今号の特別付録は「小型PC向けパーツ大百科」。メインマシンもサブマシンもコンパクトにまとめる時代です!


-自作PCチューニング技術大全100-
SSDの性能を維持するためのメンテナンステクニック~SSD/HDD編 その2~


M.2やNVMeの活用法とは
SSD / HDD編

 M.2やNVMeなどの新規格を採用した製品の登場によって多様化が進んだSSD。これに伴い、従来のSerial ATA接続のSSD/HDDを利用するときとは異なったテクニックが生まれている。

 ここでは、素朴な疑問を解決する小技や性能を向上させる、実用的なテクニックなどを紹介しよう。

51. SSDのファームウェア更新で性能も安定性もアップ   難易度★★

 SSDにおけるファームウェアの更新は、通常、発売後のバグ修正を目的としている。頻度は高くないが、パフォーマンスアップが行なわれる場合もある。このため、ファームウェアの更新を行なえば、それだけバグの少なく、パフォーマンスが高い状態でSSDを利用できる。

 新しいファームウェアが利用可能になったかどうかの確認や実際の更新作業は、通常、メーカーが配布しているユーティリティで行なえる。また、光学ドライブから起動してファームウェアの更新を行なうための専用ツールをISOファイルで配布しているメーカーも多い。なお、NVMe対応SSDの場合、メーカーが提供している専用ドライバを利用しないとファームウェアの確認や更新ができない場合があるので注意。

ファームウェアの更新でバグなどを解消できる
1. ユーティリティを起動する
IntelのSSDを例に更新の手順を紹介。ユーティリティを起動し、最新ファームウェアがあるときは「ファームウェアの更新」を押す
2. 注意点などを確認する
更新後のファームウェアのバージョンの情報や更新時の注意点などが表示される。問題がなければ、「更新」をクリックする
3. 更新作業を開始する
「実行」をクリックすると更新作業が始まる。データが消去されることはないが、事前にバックアップを作成しておくと安心だ
4. PCを再起動する
ファームウェアの更新作業が終わると、再起動を促す画面が表示される。「はい」をクリックするとPCが再起動して更新完了だ

52. 万能ツール「TxBENCH」でメンテナンス   難易度★★

 TxBENCH(http://www.texim.jp/)は、テクシムが無償配布しているベンチマークソフトだが、SSDの汎用メンテナンスツールとしての機能も持つ便利な存在だ。Secure Eraseの実行、Trimの送信、S.M.A.R.T.情報の表示、データの消去、ドライブの搭載機能の表示などを行なえる。Windows 8以降は、OSの制限でSerial ATA接続のSSDに対してSecure Eraseを行なえないが、TxBENCHならば、USB接続のSSDに対してSecure Eraseを実行したり、Trimを送信したりできる。

 また、Windows 7のようにユーザーが任意のタイミングでTrimを送信することができないOSでも、TxBENCHを利用すれば、手動でTrimを利用した定期的なSSDのメンテナンスを行なえる。

 なお、TxBENCHは、2016年の夏頃にNVMeへの対応や新たな機能を追加するバージョンアップを予定している。

Secure Eraseも簡単に実行が可能
1. データの消去を選択する
ここでは代表的な機能の一つ「Secure Erase」を紹介する。TxBENCHを起動して、「データの消去」をクリック。Secure Eraseを行ないたいドライブを選択し、「Secure Erase」をクリックして、「開始」をクリックする
2. 実行時の注意点を確認する
データの消去(Secure Erase)を実行した場合の注意点が表示される。確認して「はい」をクリックする。Secure Eraseを実行すると、パーティション情報などを含めて、ドライブ内のデータはすべて消去される

【TxBENCHの主なユーティリティ機能】

・Secure Erase
・Trimを利用した全データの消去
・データの上書き消去
・Trim送信によるSSDのメンテナンス
・S.M.A.R.T.情報の表示
・ドライブ情報の表示
・ドライブの自己診断機能の実施

53. SSDメーカーのユーティリティを活用   難易度★★

専用ユーティリティで寿命予測を確認
Crucial Storage Executiveは、自社製SSDの寿命予測やファームウェアの更新、暗号化の解除(Cryp to Erase)、Secure Eraseなどの機能を搭載したユーティリティ。メインメモリをキャッシュに利用することでSSDの高速化を図る機能も搭載する

 SSDは、その特性上、書き込みできるデータの総量には限りがあり、メンテナンスを怠ると性能が低下する場合がある。また、ファームウェアの更新によって不具合の修正やパフォーマンスの向上が図られる場合もある。SSDメーカー各社は、このような作業をWindows上から簡単に行なえる専用ユーティリティを用意。とくに寿命に関しては、専用ユーティリティでのみメーカーの公式な寿命の予測値が分かる。

 メンテナンスに関しては、フリーソフトなどでも一部機能を代用できるが、寿命に関しては代用できない。SSDを利用する場合は、メーカーが用意している専用ユーティリティをインストールすることをオススメしたい。

IntelのSolid-State Drive Toolboxは、各社が専用ユーリティティを用意する先駆けになった。寿命予測やTrim送信、Secure Eraseの実行、ファームウェアの更新といった機能を搭載する
主要SSDメーカーのユーティリティ
メーカー名ツール名特徴
ADATA TechnologySSD Toolbox利用頻度の高い機能のみをまとめたユーティリティ。カラフルな色使いが特徴的。
IntelSolid-State Drive Toolboxもっとも古くから提供され他社のお手本となったユーティリティ。必要とされる機能がシンプルにまとめられている。
Micron TechnologyCrucial Storage ExecutiveWebブラウザベースで利用するユーティリティだが、暗号化の解除機能など自社ドライブの特徴を活かした機能を搭載。
Lite-On TechnologyPlextool搭載機能は多くないが、寿命予測やメインメモリをキャッシュに利用した高速化機能など最低限必要な機能はある。
OCZ Storage SolutionsOCZ Toolboxメンテナンスに必要とされる機能のみをシンプルにまとめたユーティリティ。
Samsung ElectronicsMagicianメインメモリをキャッシュに利用した高速化、ファームウェアの更新、Secure Eraseなど機能満載の多機能ユーティリティ。
SanDiskSSD DashboardSecure Eraseや寿命予測、HDDからの移行ツールなど自社ドライブの特徴に合わせた機能を搭載。
Transcend InformationSSD Scope各種メンテナンス機能に加え、データ移行に便利なドライブクローン機能も搭載したユーティリティ。

54. Secure Erase / Format NVMを実行する   難易度★★

 SSDの速度を購入時の状態に戻したいときは、Secure EraseやFormat NVMを実行すればよい。Secure Eraseは、Serial ATA接続のSSDまたはAHCIベースのPCI Express接続のSSDで利用され、Format NVMはNVMe対応SSDで利用される。

 Secure EraseやFormat NVMを行なうには対応ソフトが必要で、通常、メーカーが提供している専用ユーティリティで利用できる。なお、Format NVMは、ユーリティティ上ではSecure Eraseと表記されていることが一般的で、内部では自動的にFormat NVMが実行される。また、Format NVMは、メーカーの専用ドライバをインストールした環境でしか利用できない場合がある。

 SED(自己暗号化ディスク)対応SSDの場合、暗号化を解除しないとSecure EraseやFormat NVMを実行できない場合がある点にも注意してほしい。

1. Secure Eraseを実行
ここではIntelのSSDを例にSecure Erase / Format NVMの手順を紹介する。まず、Solid-State Drive Toolboxを起動。このツールでは、Format NVMも「Secure Erase」と表記されている。「Secure Erase」をクリックして、「消去」をクリックする
2. SSDが購入時の状態に戻る
「実行」をクリックするとNVMe対応SSDの場合は、Format NVMが実行され、それ以外の場合はSecure Eraseが実行される。「無事完了しました」と画面内に表示されたら作業は完了だ

【Secure Eraseを不可にする 暗号化(SED)を解除するには】

Crucial Storage Executive

 Micron(Crucialブランド)のSSDを例に暗号化の解除方法を紹介する。

 Crucial Storage Executiveを起動し、「PSIDを元に戻す」をクリックして、PSIDを入力後、「はい、PSID~」をクリック。PSIDは、ドライブのラベルに印刷されている

[Text by 北川達也 / 芹澤正芳]


DOS/V POWER REPORT 2016年4月号は2月29日(月)発売】

★第1特集「もう一手間、一工夫でアナタのPCがグッと使いやすく快適に!! 自作PCチューニング技術大全100」
★第2特集「リリース時とはもう違う。現在形、分かってる? Windows 10知っておきたい10のこと。」
★特別企画「転ばぬ先のバックアップ! 1万円台で買えるお手頃NASキット」「チョイ足しアップグレードで効果大! 格安ビデオカードセレクション」「いつでもどこでも手軽に使える モバイル液晶ディスプレイ大集合」
★連載「最新自作計画」「自作初心者のための[よくある質問と回答]」「New PCパーツ コンプリートガイド」「激安パーツ万歳!」「髙橋敏也の改造バカ一台」「PCパーツ スペック&プライス」「全国Shopガイド」「DOS/V DataFile」
★ 特別付録「メインマシンもサブマシンもコンパクトにまとめる時代です! 小型PC向けパーツ大百科」(雑誌のみ別途付録、電子版では本誌巻末に収録)

★ 雑誌を買うと電子版(PDF)を無料ダウンロード可能
★ 毎月700円(税込)で最新号が読める 直販電子版 月額プランも受付中
http://book.impress.co.jp/teiki/dvpr/2016-02-22-0000.php

【電子販売ショップ】

(AKIBA PC Hotline!編集部)