パワレポ連動企画

自作PCをよくするワザ、教えます(8) ~PCケース 中・上級編~

DOS/V POWER REPORT 12月号

 このコーナーでは、こだわりの自作PC専門誌「DOS/V POWER REPORT」の最新号と連動、同誌12月号の特集記事「自作PCをよくするワザ、教えます」をほぼまるごと掲載する。

 第八回目の今回は、PCケースに関する便利なワザ(中・上級編)を紹介する。

 なお、この特集が掲載されているDOS/V POWER REPORT 12月号は、絶賛発売中。12月号では今回の特集のほか、最新UEFIの完全ガイド、ファイル送信サービス 10選、髙橋敏也の改造バカ一台など、多数の記事が載っている。また、特別付録として「保存版 インターフェース図鑑 2014」と題した小冊子が付いてくるなど、盛りだくさんの内容だ。


- DOS/V POWER REPORT 2014年12月号 Special Edition -


自作PCをよくするワザ ~PCケース 中・上級編~

 ここではPCケースの冷却性や静音性を高めるテクニックのほか、使い勝手を向上させるアイテムの活用法など、PCケースに関する技を紹介しよう。

【中級ワザ】ファンを増設して冷却性能を向上させる

テストに使用したPCケース
Fractal Design Define R4
実売価格:11,000円前後
テストにはファンマウンタの多い「Fractal Design Define R4」を使用。標準搭載ファン(前面と背面に1,000rpmの14cm角)に加え、前面、天板、側面にそれぞれ標準搭載ファンと同じ1,000rpmの14cm角ファンを追加して冷却性能を検証した

 多くのPCケースは冷却性能を向上できるように、ケースファン増設マウンタを装備している。下のテスト結果は、標準状態で前面に14cm角ファン(1,000rpm/吸気)、背面に14cm角ファン(1,000rpm/排気)を搭載したFractal DesignのDefine R4を使用して、「前面に吸気方向」、「天板に排気方向」、「側面に吸気方向」というパターンで14cm角ファン(1,000rpm)を増設して各パーツの温度変化を検証したものだ。

 これを見るとファンを増設することで冷却性能が確実に向上することが分かる。とくに側面ファンの追加は、ビデオカードとマザーボードの冷却に効果がある。ビデオカードの冷却を重視するなら、ファンの増設はまず側面と覚えておくとよい。

テスト結果
側面がもっとも効果アリ
ファンの設置による各部の温度の違い
今回の検証で、側面への増設がもっとも効果が高いことが分かった

【検証環境】

CPU:Intel Core i7-4770K(3.5GHz)、マザーボード:ASRock Z87 Extreme 4(Intel Z87)、メモリ:CFD販売 CFD ELIXIR W3U1600HQ-4G(PC3-12800 DDR3 SDRAM 4GB×2)、ビデオカード:MSI N770GTX Twin Frozr 4S OC(GeForce GTX 770)、SSD:Lite-On Plextor M5S PX-256M5S(Serial ATA 3.0、MLC、256GB)、PCケース:Fractal Design Define R4、電源:Corsair Components AX760i(760W、80PLUS Platinum)、増設ファン:Fractal Design FD-FAN-SSR2-140(14cm角、1,000rpm)、OS:Windows 8 Pro 64bit版、室温:25.1℃、アイドル時:OS起動10分後の値、高負荷時:OCCT 4.4.0を10分間実行中の最大値、各部の温度:使用したソフトはHWMonitor 1.21で、CPU はCPU Temperatures のPackage、GPUはTemperatures、マザーボードはSYSTINの値

【中級ワザ】使わないベイを外して冷却性能を向上させる

テストに使用したPCケース
Fractal Design Define R4
実売価格:11,000円前後

 HDDの冷却を考慮して前面ファンの前にベイユニットを搭載しているPCケースは多い。しかし、このベイユニットが前面ファンからの風通しを阻害して、冷却性能を低下させている場合がある。下のグラフは、Fractal DesignのDefine R4を使用して、標準状態とベイユニットを外した場合の各部の温度の違いを計測したものだが、冷却性能への良好な影響が見られる。ベイユニットが脱着可能で使用していない場合は取り外しておくことをオススメする。

テスト結果
不要なベイを取り外すと
冷却性能が向上する
ベイの有無による各部の温度の違い
シャドーベイを取り外すと前面ファンを遮るものがなくなるため、風通しがよくなり、冷却性能が向上する

【検証環境】

CPU:Intel Core i7-4770K(3.5GHz)、マザーボード:ASRock Z87 Extreme 4(Intel Z87)、メモリ:CFD販売 CFD ELIXIR W3U1600HQ-4G(PC3-12800 DDR3 SDRAM 4GB×2)、ビデオカード:MSI N770GTX Twin Frozr 4S OC(GeForce GTX 770)、SSD:Lite-On Plextor M5S PX-256M5S(Serial ATA 3.0、MLC、256GB)、PCケース:Fractal Design Define R4、電源:Corsair Components AX760i(760W、80PLUS Platinum)、増設ファン:Fractal Design FD-FAN-SSR2-140(14cm角、1,000rpm)、OS:Windows 8 Pro 64bit版、室温:25.1℃、アイドル時:OS起動10分後の値、高負荷時:OCCT 4.4.0を10分間実行中の最大値、各部の温度:使用したソフトはHWMonitor 1.21で、CPU はCPU Temperatures のPackage、GPUはTemperatures、マザーボードはSYSTINの値

【中級ワザ】メッシュ構造を多用したケースではファンは全排気が効果的

 ある程度密閉性の高い一般的なPCケースの場合、前面ファンを吸気、背面ファンを排気という標準的な構成とした場合に冷却性能がもっとも高くなることが多い。しかし、メッシュ構造を多用した通気性の高いPCケースの場合は、搭載しているケースファンをすべて排気方向に搭載したほうが冷却性能が高くなることがある。

 下のテスト結果は、メッシュ構造を多用したCooler MasterのCM690 IIIを使用して、前面ファン(吸気)/背面ファン(排気)/天板ファン(排気)、前面ファン(吸気)/背面ファン(排気)/天板ファン(吸気)、全ファン吸気、全ファン排気のパターンで各部の温度を計測したものだが、すべてのファンを排気にしたパターンが総合的に見てもっとも高い冷却性能を見せている。メッシュ構造のケースを使用している人はぜひ試してみてほしい。

ファンの向きによる各部の温度の違い

【検証環境】

CPU:Intel Core i7-4770K(3.5GHz)、マザーボード:ASUSTeK GRYPHON Z97(Intel Z97)、メモリ:CFD販売 CFD ELIXIR W3U1600HQ-4G(PC3-12800 DDR3 SDRAM 4GB×2)、ビデオカード:MSI N770GTX Twin Frozr 4S OC(GeForce GTX 770)、システムSSD:Intel Solid-State Drive 730 SSDSC2BP240G4R5(Serial ATA 3.0、MLC、240GB)、PCケース:Cooler Master CM690 Ⅲ、電源:Super Flower SF-650P14PE(650W、80PLUS Platinum)、増設ファン:12cm角ファン(最大1,200rpm)、OS:Windows 8 Pro 64bit版、室温:25℃、暗騒音:30.5dB、動作音測定距離:ケース正面より15cm、アイドル時:OS起動10分後の値、高負荷時:OCCT 4.4.0のPOWER SUPPLY テストを10分間実行したときの最大値、各部の温度:使用したソフトはHWMonitor 1.25で、CPUはCPU Temperatures のPackage、GPUはVideocard Temperatures、マザーボードはMotherboard TemperaturesのMainboard、HDDはHDD Temperatures の値

【中級ワザ】小口径ファン×2より、大口径ファン×1

 ケースによっては、ある箇所に搭載できるケースファンを小口径のもの2基と大口径のもの1基から選択できることがある。冷却や静音性においてどちらを選ぶのがよいかご存じだろうか?

 下に掲載しているテスト結果は、前面に20cm径ファン(最大800rpm)を搭載したCooler MasterのCM690 IIIを使用して、前面ファンを標準状態(20cm径ファン×1)、12cm角ファン(最大1, 200r pm)×2にした場合、12cm角ファン(最大1,200rpm)×1にした場合の3パターンで、アイドル時と高負荷時における各部の温度と動作音を計測したものだ。これを見てもらえば分かるように、各部の温度、とくにCPUとGPUの温度は、20cm径ファン搭載時に低くなっている。動作音も20cm径ファン搭載時のほうが静かだ。

前面ファンのサイズによる各部の温度の違い

【検証環境】

CPU:Intel Core i7-4770K(3.5GHz)、マザーボード:ASUSTeK GRYPHON Z97(Intel Z97)、メモリ:CFD販売 CFD ELIXIR W3U1600HQ-4G(PC3-12800 DDR3 SDRAM 4GB×2)、ビデオカード:MSI N770GTX Twin Frozr 4S OC(GeForce GTX 770)、システムSSD:Intel Solid-State Drive 730 SSDSC2BP240G4R5(Serial ATA 3.0、MLC、240GB)、PCケース:Cooler Master CM690 Ⅲ、電源:Super Flower SF-650P14PE(650W、80PLUS Platinum)、増設ファン:12cm角ファン(最大1,200rpm)、OS:Windows 8 Pro 64bit版、室温:25℃、暗騒音:30.5dB、動作音測定距離:ケース正面より15cm、アイドル時:OS起動10分後の値、高負荷時:OCCT 4.4.0のPOWER SUPPLY テストを10分間実行したときの最大値、各部の温度:使用したソフトはHWMonitor 1.25で、CPUはCPU Temperatures のPackage、GPUはVideocard Temperatures、マザーボードはMotherboard TemperaturesのMainboard、HDDはHDD Temperatures の値

【上級ワザ】ケースファンの追加でGPU性能を高める

検証するGeForce GTX 770カード
GeForce GTX 770リファレンスカードとオリジナルGPUクーラー搭載モデル
性能のカギとなるのはGPU温度で変わるGPU Boost値。検証用のビデオカードには、GeForce GTX 770リファレンスカードとより冷却性能の高いオリジナルGPUクーラーを搭載したMSI N770GTX TwinFrozr 4S OCを用意した

 NVIDIAのGPUは、GPUの温度や電力に余裕がある場合に自動的にクロックを定格値以上に引き上げて性能アップを行なう自動OC機能「GPU Boost」を搭載している。

 このOC状態が維持できれば性能が高いまま使用できるのだが、GPUの温度がこれ以上は危険と判断される上限温度(大抵は80℃)に到達すると、GPUクロックが下げられてしまい、性能も落ちてしまう。つまりGPUの性能は冷却しだいで変わってくるのだ。そのため、ビデオカードの冷却に有効なエアフローを作れるケースファンを増設するとGPUの性能が向上することがある。

 実際、GeForce GTX 770リファレンスカードと冷却性能の高いオリジナルGPUクーラーを搭載したMSIのGeForce GTX 770搭載ビデオカード「N770GTX Twin Frozr 4S OC」でその効果を試したところ、ほとんどのテストで若干ながらも性能が向上。とくにGPUクーラーの性能が低いGeForce GTX 770リファレンスカードでその効果が顕著に見られた。

 なお、検証を行なったマシンは、側面ファン増設前は1時間半くらいの連続テスト中にシステムが落ちることがあったが、側面ファンを増設後はなくなり、システムの安定性向上の効果が見られたことも記しておきたい。

3DMark実行中のGPU温度
GPUクロックの変化(3DMark v1.1.0 - Fire Strike Extremeでテスト)
ベンチマーク結果

【検証環境】

CPU:Intel Core i7-4770K(3.5GHz)、マザーボード:ASUSTeK Z87-PRO(Intel Z87)、メモリ:Patriot Memory PV316G213C1K(PC3-17000 DDR3 SDRAM 8GB×2)、SSD:OCZ Storage Solutions Vector 2.5" VTR1-25SATA3-128G(Serial ATA 3.0、MLC、128GB)、PCケース:Corsair Components Obsidian 550D Mid-Tower Quiet Case※ 標準装備のフロントファン2基に加え、天板にCoresair Components Air Series AF140 Quiet Edition Air Flow 140mm Fan(14cm角、1,150rpm)×2を追加、電源:Sea Sonic Electronics Xseries XP SS-1000XP(1,000W、80PLUS Platinum)、増設ファン:Thermalright TY-143(14cm径、600~2,500rpm)※側面の下側のマウンタに固定、OS:Windows 8 Pro 64bit 版、室温:26.5℃、計測ソフト:GPU-Z v0.7.2【測定条件】各ベンチマークを4回実行したうちの3回目または4回目のデータを使用。3DMark:Ice Storm を含めたフルテストを行ないFire Strike のテストのスコアのみ使用、バトルフィールド3:キャンペーンモードのステージ7導入シーンにて測定、トゥームレイダー:ベンチマークモードを使用

【中級ワザ】ファンの回転数を落として静音化を図る

 静音性を高めるには、ケースファンの回転数を落とすのが簡単で効果的だ。ケースファンの回転数を制御する方法としては、ハードウェアのファンコントローラを用いる方法とマザーボードに付属するファンコントロールユーティリティを利用する方法がある。一般にファンコントローラは供給電圧の調整によってファンの回転数を数段階にコントロールするもので高度な制御ができないため、各部の温度変化などには十分気を使う必要がある。対して、マザーボードに付属するユーティリティは各部の温度変化に応じて自動的にファンの回転数をコントロールしてくれるのでユーザーはとくに気を使う必要はなく、細かくファンの回転数を制御できる分静音化も実現しやすい。

手段1:ハードウェアのファンコントローラを使う
ケース付属のファンコントローラを使用
Fractal Design Define R4付属のファンコンは、電圧(12V[標準]、7V、5V)によってファンの回転数を変更できるので、その効果を試した
ファンの電源ケーブルはファンコントローラに接続
ファンコンでファンの回転数を制御する場合、ファンの電源コネクタはファンコントローラに接続する必要がある
手段2:マザーボードのユーティリティを使う
Fan Xpert 3を使用
ASUSTeKのファン制御ユーティリティ「Fan Xpert 3」。今回はサイレントプロファイルを適用してその効果を検証した
ファンの電源ケーブルはマザーボードに接続
Fan Xpert 3でファンの回転数を制御する場合、ファンの電源コネクタはマザーボードに接続する必要がある

 下のテスト結果は、Fractal Design Define R4搭載のファンコントローラとASUSTeK Z97-PRO付属のファン制御ユーティリティ「Fan Xpert 3(サイレントプロファイルを適用)」で静音化を行なったものだが、Fan Xpert 3を使用した場合のほうがより静音化されており、各部の温度も、実使用時にはあり得ないほどの負荷をかけるOCCT実行中のものということを考えると、問題のない範囲に収まっている。マザーボードにファン制御ユーティリティが付属している場合は、まずそれを活用してみるとよいだろう。

動作音と各部の温度の結果

【検証環境】

CPU:Intel Core i7-4770K(3.5GHz)、マザーボード:ASUSTeK GRYPHON Z97(Intel Z97)、メモリ:CFD販売 CFD ELIXIR W3U1600HQ-4G(PC3-12800 DDR3 SDRAM 4GB×2)、ビデオカード:MSI N770GTX Twin Frozr 4S OC(GeForce GTX 770)、システムSSD:Intel Solid-State Drive 730 SSDSC2BP240G4R5(Serial ATA 3.0、MLC、240GB)、PCケース:Cooler Master CM690 Ⅲ、電源:Super Flower SF-650P14PE(650W、80PLUS Platinum)、増設ファン:12cm角ファン(最大1,200rpm)、OS:Windows 8 Pro 64bit版、室温:25℃、暗騒音:30.5dB、動作音測定距離:ケース正面より15cm、アイドル時:OS起動10分後の値、高負荷時:OCCT 4.4.0のPOWER SUPPLY テストを10分間実行したときの最大値、各部の温度:使用したソフトはHWMonitor 1.25で、CPUはCPU Temperatures のPackage、GPUはVideocard Temperatures、マザーボードはMotherboard TemperaturesのMainboard、HDDはHDD Temperatures の値

【上級ワザ】音漏れ対策を施し静音化する

 ファンの回転数を落として静音化した上で、さらに静音性を高めたいなら、PCケースの通気口やファン設置用の穴をふさいでしまうという手もある。

 下のテスト結果は、上項目の「中級ワザ ファン回転数を落として静音化を図る」のFan Xpert 3 Silentプロファイル適用後の状態と、さらにPCケースの通気口やケースファン用の穴などをふさぐなどの音漏れ対策を施した後の動作音と各部の温度を比較したものだ。これを見ると動作音はより静かになっているし、各部の温度も、アイドル時のビデオカードの温度はやや上昇しているものの、そのほかはほぼ変わっていない。もちろん環境によりその効果はいくぶんか変わってくると思われるが、音漏れ対策が静音化に有効なことは確かと言ってよいだろう。なお、通気口などを完全にふさいでしまうと、熱だまりができるなど、ケース内部の温度は確実に上昇する。音漏れ対策を行なう際には、各パーツの温度変化を慎重に観察することを心掛けたい。

フロントパネル側面の通気口をふさぐ
フロントパネルの両サイドの通気口をアイネックスのマルチ吸音・防音シート 特大 MA-041B(実売価格:2,200円前後)を貼り付けてふさいだ。このシートはカットして使用するタイプ
両サイドの通気口を吸音・防音シートでふさいだ
底面ファン用穴をふさぐ
底面のファン用穴は、アイネックスのファン穴用目隠し板PA-044(実売価格:600円前後)でふさいだ
専用の板なのでキレイに取り付けられる
背面上部の通気口をふさぐ
背面上部にある通気口もアイネックスのマルチ吸音・防音シート 特大 MA-041Bを貼り付けてふさぐ
こんなところからも音漏れが
拡張スロットカバーをスリットなしのものに変更
スリットが入っている拡張スロットカバーは、アイネックスのPA-010BK(4枚入り、実売価格:700円前後)を2セット購入して、すべてスリットが入っていないものに交換した
静音派ならここまでこだわれ!
動作音と各部の温度

【検証環境】

CPU:Intel Core i7-4770K(3.5GHz)、マザーボード:ASUSTeK GRYPHON Z97(Intel Z97)、メモリ:CFD販売 CFD ELIXIR W3U1600HQ-4G(PC3-12800 DDR3 SDRAM 4GB×2)、ビデオカード:MSI N770GTX Twin Frozr 4S OC(GeForce GTX 770)、システムSSD:Intel Solid-State Drive 730 SSDSC2BP240G4R5(Serial ATA 3.0、MLC、240GB)、PCケース:Cooler Master CM690 Ⅲ、電源:Super Flower SF-650P14PE(650W、80PLUS Platinum)、増設ファン:12cm角ファン(最大1,200rpm)、OS:Windows 8 Pro 64bit版、室温:25℃、暗騒音:30.5dB、動作音測定距離:ケース正面より15cm、アイドル時:OS起動10分後の値、高負荷時:OCCT 4.4.0のPOWER SUPPLY テストを10分間実行したときの最大値、各部の温度:使用したソフトはHWMonitor 1.25で、CPUはCPU Temperatures のPackage、GPUはVideocard Temperatures、マザーボードはMotherboard TemperaturesのMainboard、HDDはHDD Temperatures の値

【中級ワザ】準ファンレス電源で安全に静音性を高める

80PLUS Goldの準ファンレス電源
Corsair Components RM450
実売価格:11,500円前後
負荷率が40%以下の場合はファンが回転せず無音で動作する定格出力450Wの準ファンレス電源ユニット。80PLUS Gold認証を取得しており、高効率かつ低発熱で動作する

 静音性を高めるには、負荷率が設定値を超えるまでファンが回転しない準ファンレス電源を使用することも有効だ。下のテスト結果は、上項目の音漏れ対策を施した状態とさらに電源ユニットを準ファンレス電源(CorsairComponents RM450)に交換した状態の動作音を比較したものだが、アイドル時は変わらないものの、高負荷時は準ファンレス電源のほうがファンが動作しない分静かだった。長時間の負荷がかかる場合などには、ファンが回転するので安全性も高い。

通常の電源使用時と準ファンレス電源使用時の
動作音の違い

【中級ワザ】プラグイン電源でケーブルの本数を少なくする

プラグイン電源を活用
電源ケーブルの数を少なくしたいなら、プラグイン電源を活用するとよい。写真はSilverStone Technologyの80PLUS Gold認証取得フルプラグイン電源「STRIDER Gold SST-ST55F-G」。定格出力は550W。実売価格は13,000円前後

 裏面配線に対応しているケースでも意外と気になるのが各種電源ケーブル。とくにコンパクトケースを使用している場合などはジャマになって仕方がない。そういう場合に活用したいのがプラグイン電源だ。

 ビデオカードを使用しない場合はPCI Express補助電源コネクタも不要なので、プラグインタイプの電源を利用すると、最少で、ATX24ピン電源、EPS12V電源コネクタ、Serial ATA電源ケーブルの3本にすることができる。

PCI Express補助電源が不要な場合は電源ケーブルを3本にできる
PCI Express補助電源が不要なビデオカードやCPU内蔵GPU使用時は、電源ケーブルをATX24ピン電源、EPS12V電源、Serial ATA電源の3本にすることができる
必要に応じて変換ケーブルを活用
4ピンペリフェラルコネクタが必要な場合は、Serial ATA-4ピンペリフェラル変換ケーブルを使用すると、別途4ピンペリフェラル電源ケーブルを増やさずにすむ。電源ケーブルを減らしたいときにはこのような変換ケーブルが重宝する

【中級ワザ】SSDを搭載できる2.5インチベイを増設する

 SSDを増設したいけれど、PCケースに2.5インチドライブを搭載できるベイがない、もしくは空きがないということがある。そういう場合は、3.5インチベイに2.5インチドライブを搭載するためのアダプタキットや拡張スロット上の空間に2.5インチSSD/HDDを搭載できるキットなど、2.5インチドライブ増設アイテムを活用するとよい。

12cm角ファン用スペースにSSDを2台搭載
親和産業 SS-N120BPMT 実売価格:1,000円前後
PCケースのファン増設用スペースに2台のSSDを搭載するユニット。12cm角ファン取り付け用のネジ穴を利用して取り付ける
拡張スロットスペースにSSDを固定
親和産業 SS-NMTPCI 実売価格:800円前後
拡張カードの形状をしたSSD増設用アイテム。拡張カード固定部にネジ止めするだけなので搭載するスロットの位置や種類を選ばない
3.5インチベイにSSDを2台搭載
オウルテック OWL-BRKT06 実売価格:1,000円前後
3.5インチベイにSSDを搭載できるようにするユニット。写真は1台しか搭載していないが、上下で2台のSSDを搭載できる

【中級ワザ】ケーブルタイなどでケース内部を見栄えよく整頓する

ケーブル帯などで見栄え良く整頓したケース内部
裏面配線もきれいにまとめる
裏面配線は人目に触れることはないが、ここもしっかりこだわりたい

 せっかく厳選したパーツを使って組み上げたマシンも、ケース内部でケーブルがごちゃごちゃになっていると、なんだかさえない感じになってしまう。

 見栄えが悪いだけならまだしも、ファンがケーブルに絡んでトラブルを引き起こすといったこともあり得る。ケーブル類は右の写真のようにケーブルタイなどを使用してすっきりとまとめておこう。

整頓ポイント1
交換する可能性があるものは面ファスナーでまとめる
ケースファンなど交換する可能性があるデバイスのケーブルは、何度でも簡単に着脱できる面ファスナーでまとめるとよい。写真は、オウルテックの13cm面ファスナー「OWL-SKSN03」。実売価格:500円前後
整頓ポイント2
太めのケーブルはスパイラルチューブでまとめる
ビデオカードに接続するPCI Express補助電源ケーブルなど、太めのケーブルはスパイラルチューブでまとめるとよい。写真は、アイネックスの内径10mmのスパイラルチューブ「KC009BK」。実売価格:500円前後
整頓ポイント3
電源ケーブルなどはケーブルタイでシャーシに固定
頻繁に交換することがないドライブ用の電源ケーブルなどはケーブルタイでまとめてドライブベイなどに固定するとよい。写真は、オウルテックの「OWL-SKSN02」。実売価格:200円前後

【中級ワザ】色違いのSerial ATAケーブルを使い接続ドライブを判別

Serial ATAケーブルの色を変えると接続ドライブの判別が容易に
写真のようにドライブごとにSerial ATAケーブルの色を変えると、どのポートにどのドライブが接続されているかがすぐに判別できるので、取り外す際などに迷わずにすむ

 同じSSDやHDDなどを複数使用していると、1台だけ取り外したいときなどに、どのSerial ATAポートのケーブルを取り外してよいのか分からなくなることがある。1台ずつ外してそのつど電源を入れて確認していけばすむ話ではあるが、そういう手間がめんどうだと思う人は、接続するドライブごとにSerial ATAケーブルの色を変えておくとよい。

 色の選択によっては見た目も華やかになるので見栄えといった面でもオススメだ。

黄色と白のケーブルはミヨシの50cm Serial ATA 3.0ケーブル。黄色のケーブルの型番はJST-3S05/YL。実売価格:900円前後。白色のケーブルの型番はJST-6S05/WH。実売価格:600円前後
シルバーのケーブルはBulletの50cm Serial ATA 3.0ケーブル「SA50GR」。実売価格:800円前後

【中級ワザ】小型PC組み立て時に役立つテクニック

 Mini-ITXなどの小型ケースは、ATXタイプの標準的なケースと比べると内部スペースに余裕がないため、電源ユニットなどの搭載パーツの選択が重要。加えて、ケース内部で各パーツが密集するので、ケーブルの取り回しなどにも十分気を配る必要がある。また、小型マザーボードではファン用の電源コネクタが足りないということもよくある。ここではそんな小型PCの組み立て時に役立つテクニックを紹介しよう。

SFX電源やACアダプタ電源を使う

 最近の小型Mini-ITXケースではATX電源を使用できるものが多い。しかし、ATX電源を使用すると内部空間に余裕がなくなってしまうものがほとんどだ。そこで提案したいのが、SFX電源の使用。SFX電源にすると内部空間に余裕が生まれ、作業を行ないやすくなる。また、エアフローも改善されるので冷却性能の向上も期待できる。ACアダプタを使えるようにするとさらに余裕が生まれるが、SFX電源に比べると出力容量が小さいので、その点に注意する必要がある。

ATX電源、SFX電源、ACアダプタ電源を使用した場合の違い

届かない場合は延長ケーブルで解決

 小型PCでは、大型CPUクーラーなどを使った場合など、電源ケーブルなどが届かなくなるといったことが起こりやすい。そういう場合は延長ケーブルを使用するとよい。

EPS12V電源ケーブルを延長
ATX24ピン電源ケーブルを延長
EPS12V電源ケーブルを延長するアイネックス「EPS12V用電源延長ケーブル PX-004A」。実売価格:700円前後
ATX24ピン電源ケーブルを延長するアイネックス「ATX用電源延長ケーブル WAX-2415BK」。実売価格:800円前後

足りない場合は増やして解決

 小型のマザーボードはファン用電源コネクタの数が少ないものが多い。ケースファン用電源コネクタが足りなくなった場合は、分岐ケーブルや変換コネクタを使用するとよい。

ケースファン用電源コネクタを分岐
ペリフェラルコネクタを
3ピン電源コネクタに変換
ケースファン用3ピン電源コネクタを二つに分岐するアイネックス「ファン用二股電源ケーブルWA-084A」。実売価格:300円前後
ペリフェラルコネクタをファン用コネクタに変換するタイムリー「4ピン(大)→ファン用3ピン(オス)×4分岐ケーブル GN-PW013F」。実売価格:500円前後

【中級ワザ】拡張ベイを活用して機能をUPする

 最近では光学ドライブの必要性が低くなったこともあり拡張ベイが空いているという人も多いのではないだろうか。そこでここではPCの機能をアップする拡張ベイアイテムを一挙に紹介しよう。

4チャンネル分の回転数や温度を同時に確認できる

サイズ 風マスター フラット2
実売価格:4,000円前後

 四つのファンのコントロールと4カ所の温度を測定できるファンコントローラ。電圧レギュレータ方式で3.7~12Vの可変出力に対応しており、ファンの回転数を手動で細かく制御することができる。フラットな操作ボタンを装備したシンプルデザインも魅力だ。

【Specification】:本体サイズ(W×D×H):148.5×83×42mm

多彩なメディアに対応したカードリーダー

アイネックス 3.5インチベイ マルチI/Oパネル AK-ICR-16A
実売価格:3,000円前後

 SDメモリーカード、コンパクトフラッシュ、メモリースティックなど多彩なメディアに対応したUSB 2.0接続のカードリーダー。マザーボードのピンヘッダを利用するUSB 3.0ポート2基とUSB 2.0ポート3基に加え、eSATAポートも1基装備する。

【Specification】:インターフェース:USB 3.0×2、USB 2.0×3、eSATA×1、メモリカードリーダー(14種、USB 2.0接続)、本体サイズ(W×D×H):101.6×119.5×25.3mm

5インチベイを小物入れとして活用する

アイネックス 5インチベイ小物入れ BB-03
実売価格:1,000円前後

 5インチベイに搭載できる引き出し式の小物入れ。USBメモリやDVD-ROM、筆記具などの小物を収納しておくことができる便利アイテムだ。いざ使おうというときに限って見付からないことが多いスマホのデータケーブルなど、頻繁に使用するものを収納しておくにもよい。

【Specification】:本体サイズ(W×D×H):148.5×171×42.5mm

電源ON/OFFスイッチを備えたカードリーダー

リンクスインターナショナル SFD-321F/T81UEJR
実売価格:3,000円前後

 USB 3.0とeSATAポートも装備するカードリーダー。対応メディアは、SDメモリーカード、コンパクトフラッシュ、メモリースティックなど。スマホなどで使われているmicroSDカードもアダプタなしで使用可能。電源スイッチを装備しており、不要時は電源OFFにしておくことができる。

【Specification】:インターフェース:USB 3.0×1、eSATA×1、メモリカードリーダー(30種、USB 3.0接続)、本体サイズ(W× D× H):101.6×122×25.4mm

5インチベイに3.5/2.5インチSSD/HDDを搭載し8cm角ファンで直接冷却

アイネックス EVER COOL Thermal 5インチベイHDDクーラーHDC-504
実売価格:3,500円前後

 5インチベイ2段に3.5インチHDDを3台もしくは2.5インチSSD/HDDを4台搭載できるベイユニット。前面に最大回転数1,200rpmの8cm角ファンを装備しており、搭載ストレージを直接冷却することができるのが特徴。HDDの冷却が気になっている人は要注目のアイテムだ。

【Specification】:搭載ファン:8cm角(最大回転数:1,200rpm)×1、本体サイズ(W×D×H):150×159×85mm

5インチベイに内蔵できるコンパクトスピーカー

ドスパラ 上海問屋 DNSB-82232
実売価格:800円前後

 5インチベイに搭載できるスピーカー。音声入力はステレオミニピンプラグを背面のLINE OUT端子に接続して行なう。とりあえずPCから音を出したいけど、スピーカーにスペースを取られるのはイヤだ、という人に最適なアイテムだ。

【Specification】:インターフェース:LINE IN(ミニ)×1、本体サイズ(W×D×H):149×80×42mm

3.5インチSerial ATA HDDを前面から楽に交換できる

ノバック 3.5”SATAはい~るKIT 切電楽太郎 NV-SR304B
実売価格:2,000円前後

 前面レバー操作だけで3.5インチSerial ATA HDDの出し入れができるホットスワップ対応の5インチベイ搭載リムーバブルラック。電源スイッチを搭載しており、必要に応じてHDDの電源をON/OFFすることも可能。HDDを気軽に入れ換えて使いたい人にオススメ。

【Specification】:本体サイズ(W×D×H):146×183×42mm

[Text by 滝 伸次]



DOS/V POWER REPORT 12月号は10月29日(水)発売】

★第1特集「自作PCをよくするワザ、教えます」はもちろん、最新UEFIの完全ガイド、ファイル送信サービス 10選、髙橋敏也の改造バカ一台など、多数の記事を掲載

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(AKIBA PC Hotline!編集部)