パワレポ連動企画
ATXケースの選び方 2015年版
10年使えるATXケース徹底紹介(1)
(2015/1/29 12:05)
こだわりの自作PC専門誌「DOS/V POWER REPORT」の特集記事をほぼまるごと紹介するこのコーナー、今回は2015年3月号の特集記事「10年使えるATXケース徹底特集」を掲載する。
規格品ゆえ使い回しされることが多く、他のパーツに比べ交換頻度の低いATXケースにスポットを当て、進化した最新のATXケース事情を解説。さらに注目のATXケース18台を順次紹介する。
なお、この特集が掲載されているDOS/V POWER REPORT 2015年3月号は全国書店、ネット通販にて絶賛発売中。3月号では本特集のほか、今話題の低価格タブレットPCを筆頭にその魅力に迫る「2万円からのフル機能激安PC選び」、用途・予算に合わせて選ぶ「低価格CPU大全」、髙橋敏也氏による連載記事「髙橋敏也の改造バカ一台」や本Web連載中のAKIBA限定!わがままDIY+の本編「わがままDIY」など、多数の記事を掲載。
今号の特別付録は「使えるPC小物&周辺機器大カタログ」。ちょっと欲しい!今すぐ欲しい!がいっぱい!!の内容だ。
- ATXケースの選び方 2015年版 -
10年使えるATXケース徹底紹介(1)
10年使えるATXケースはこう選べ!
ATXケースは今やバランス型が主流。内部構造の進化により、組み込む構成が制限されることも減った。パーツの選択肢の豊富な、長く付き合えるPCケースが増えている。
毎年のように世代が変わり、機能や性能が向上するCPUやビデオカードとは異なり、PCケースの進化は緩やかだ。拡張ベイにパーツを追加したり、ファンを交換したりすることで延命しやすいこともあり、10年前のものを使い続けているユーザーも少なくない。
しかし、ここ1、2年で発売されたPCケースには、そうした古いPCケースを使い続けているユーザーにこそオススメしたい、さまざまな進化のポイントが凝縮されている。
たとえば最近主流のバランス型PCケースでは、非常に静かなPCが作れる。しかし各所にファンを追加すれば冷却性能を向上できるので、高性能なパーツを組み込んだゲームPCに仕立て上げることも可能だ。
3.5インチシャドーベイや5インチベイを取り外し、内部構造を大きく変更できるPCケースも登場した。ベイを外すことで、水冷用のラジエータや大型CPUクーラー、高性能なビデオカードを干渉なしに取り付けられるようになる。今は使わないとしても、必要になったときには対応できる。そんな「懐の深さ」を感じさせるPCケースが増えている。
今回の特集では、今後10年でもメインで使い続けられそうな最新ATX対応ケースを紹介する。今まで使ってきた古いPCケースでは味わえなかった自由さと懐の深さに、きっと驚くだろう。
2015年版!ATXケースのチェックポイント
冷却と静音を強化する仕掛け
重要度★★★
冷却性能を判断する一番のポイントは、ファンのサイズと搭載(可能)数だ。ファンの風量は、同じ回転数ならサイズが大きいほど多くなり、ファンの数が多ければケースの内部に冷たい外気を取り込みやすくなる。前面や天板に多数の小さな穴があいた「メッシュ構造」も、外気を取り込みやすくするための工夫であり、冷却性能の向上に貢献する。
静音性を重視したい場合は、筐体の密閉性が高いこと、側板や天板に防音材が貼ってあること、前面扉を搭載することなどに注目したい。ファンの回転数を調整するファンコントローラも有効な装備だが、これはマザーボードのユーティリティで代用できる。
大型パーツの収納力
重要度★★★
最近は静音性と冷却性能の両立を狙ったCPUクーラーやビデオカードの大型化が目立つ。干渉なしで搭載可能であるかをしっかりとチェックしておく必要がある。幸いこの二つに関しては、PCケースのスペック表に対応サイズが記載されることが増え、購入後に悲鳴を上げるようなことは少なくなった。
1,000Wクラスの電源ユニットには、奥行き18cm以上と大型のモデルもあるが、一般的なATX対応PCケースなら問題になることは少ない。ただ底面ファン用のスペースに干渉しやすいことは覚えておこう。
ATXケースは短辺が約24cmの一般的なATX対応マザーボードに合わせて設計されているが、奥行きが短いPCケースの場合、5インチドライブやHDDと、マザーボードやビデオカードなどとの隙間に余裕がないことがある。写真や実物で確認しておきたい。
拡張ベイまわり
重要度★★★
3.5インチシャドーベイの数は、サーバーPCなど多数の3.5インチHDDを組み込みたい場合には重点的にチェックしたいポイントだ。5インチベイに組み込むアダプタもあるが、ケーブルの取り回しを考えるなら、シャドーベイだけで配線できるほうが便利だ。
最近は各ベイをユニット化し、脱着できるPCケースが増えている。大型ビデオカードや水冷ラジエータを組み込んでゲームPCを作りたいなら、積極的に検討したい。 なお、すべてのベイを外せるPCケースでは、ケース底部やマザーボードベースの裏側に2.5インチシャドーベイを装備することが多い。ベイユニットがなくても、大容量SSDを1、2台くらいなら組み込めるのだ。
パーツの組み込みやすさ
重要度★★☆
最近のATXケースは、大型のCPUクーラーやビデオカードに対応するため、大型化が進んでいる。そのため内部はかなり広く、今回取り上げた製品なら、組み込み時にパーツ同士が干渉する可能性はほぼない。
組み込みをラクにしてくれるギミックも一般化した。「ツールレス機構」は、光学ドライブや3.5インチHDDをネジなしで組み込める機能だ。大きめの「メンテナンスホール」を備える場合は、バックパネルを利用するCPUクーラーを、マザーボードを外さなくても脱着できる。側板をネジ止めなしで脱着できるPCケースも増えた。
ただ、天板とマザーボード上端の隙間が狭いPCケースに、大型のCPUクーラーを組み込むと、マザーボードのATX/EPS12Vコネクタに、電源ケーブルが挿しにくいことがある。ムリに挿そうとすると、ヒートシンクのフィンでケガすることもあるので、延長ケーブルで対処するほうが安全だ。
前面インターフェース
重要度★☆☆
フロントポートのUSB 3.0対応は、激安ケースも含めてほぼ完了しており、あまり悩む要素はない。天板手前などポートが上向きのタイプは、内部にホコリがたまりやすいので、フタで隠せると故障しにくい。前面に装備するタイプだと、そういったトラブルに悩まされる可能性は少ない。
裏配線対応ギミック
重要度★★☆
電源ケーブルをマザーボードベースの裏に回して整理し、メインパーツを組み込む側から見せないようにする「裏面配線」機能も、多くのPCケースで利用できるようになった。しかし利用できるスペースの広さや、ケーブル整理のしやすさには違いが見られる。
スペースが広ければ、厚みが出ないようにケーブル同士を束ねる必要がなくなるため、整理の難易度は下がる。右側板がボコッと膨らんだタイプも、実質的にはスペースが広いPCケースと同じだ。
最近では、ケーブルがバンドで整理済みのPCケースも登場している。どこにどのケーブルをどう通すか、といったことを考えなくてもよいので、作業が格段に楽になる。
清掃のしやすさ
重要度★★☆
最初は気が付きにくいが、「防塵フィルタの清掃のしやすさ」は、長く安定して使うためには非常に重要だ。ホコリがCPUクーラーやビデオカードのフィンやファンに付着すると、空気の通りが悪くなり、冷却性能が低下する。そのため吸気ファンの手前に防塵フィルタを搭載することが多いのだが、当然だがここにはホコリがたまりやすい。清掃せずに放置すると、外気を効率的に取り込めなくなるので、冷却性能が低下する。
まずはPCケースが搭載する吸気ファンの位置を確かめ、そこに防塵フィルタを搭載するか、防塵フィルタは取り出しやすい構造かどうかを確認したい。前面側から簡単に外せる構造だと、清掃もしやすいだろう。
電源が底面配置で、ファンを底面に向けるタイプなら、底面の防塵フィルタの取り出しやすさにも注目しよう。最近は、底面フィルタも前面から引き出して清掃できるPCケースが登場している。
前面扉の仕様
重要度★☆☆
前面扉の開く方向は、設置場所を決定する重要なポイントだ。ヒンジが左なら自分の左側に設置しないと使いにくいし、逆なら右側に設置したい。その意味で、ヒンジを付け換えることで開く方向を変更できる、あるいは両開きに対応するPCケースは、置き場所を選ばず使えるのが便利だ。
[Text by 竹内亮介]
【DOS/V POWER REPORT 2015年3月号は2015年1月29日(木)発売】
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