パワレポ連動企画
PCケース/電源の選び方
【保存版 PC自作マニュアル 2015(6)】
(2015/4/8 12:05)
こだわりの自作PC専門誌「DOS/V POWER REPORT」の特集をほぼまるごと紹介するこのコーナーでは、今回より「2015年5月号」の総力特集「保存版 PC自作マニュアル 2015」を掲載する。
第六回目は「PCケース」と「電源」の選び方について解説する。PCケースについてはデザインや拡張性に注目するのは当然だが、頻繁にパーツを組み替える癖がある場合はメンテナンス性にも注目しよう。
電源は不必要なケーブルを外すことが出来るプラグイン対応が主流。ケーブルの本数を減らすには内蔵するデバイスの台数を考慮する必要がある。たとえば最近ではあまり使われなくなってきたペリフェラル電源を必要とするデバイスがある場合、それだけでケーブルが一本増えることになる。利用頻度の低いデバイスは外してしまうのも手だ。
この特集が掲載されているDOS/V POWER REPORT 2015年5月号は全国書店、ネット通販にて絶賛発売中。58ページの大ボリュームで送る総力特集「保存版 PC自作マニュアル 2015」のほか、キャリアメールが必要ないならこれでいいんじゃないか?「知らなきゃ損するMVNO! 六つの格安SIMを比較する」、802.11nが普及してきたと思ったら、時代はすでに11ac?最新の通信事情に対応したネットワークアイテムを紹介する「有線・無線LANをもっとスマートに ネットワークまわりの便利アイテム大集合!」、やっぱりソフトウェアキーボードより使いやすい!「PCでもスマホ&タブレットでも大活躍! Bluetoothキーボードオールスターズ」など、特別企画も盛り沢山。人気の連載記事、髙橋敏也氏による「髙橋敏也の改造バカ一台」や本Web連載中のAKIBA限定!わがままDIY+の本編「わがままDIY」も掲載だ。
今号の特別付録は、Windowsをもっと便利に、さらに快適にするテクニックが満載の「自作PC がよくなるWindows設定集」。Windows7とは勝手が違うWindows8で困ったときに役立つ本だ。
- 保存版 PC自作マニュアル 2015 -
PCケース/電源の選び方
PCケースの選び方
組み込みたいマザーボードやビデオカードのサイズに合わせて、最適なPCケースを選ぼう。PCケースによって冷却性能や静音性が異なるため、製品選びは慎重に行なおう。
フォームファクターの選択
ほとんどのPCケースは「ATX」、「microATX」、「Mini-ITX」という三つの規格に分類される。この分類はマザーボードの規格と同じものであり、ATX対応PCケースにはATX対応マザーボードを、Mini-ITX対応PCケースにはMini-ITX対応マザーボードを組み込める。なお、三つの規格には下位互換性があるので、ATX対応PCケースにはmicroATX/Mini-ITX対応マザーボードを組み込むことも可能だ。
Define R5はATX対応PCケースの売れ筋モデルの一つで、各種ベイをすべて取り外せるユニークな構造を採用する。PCケース内部の広い空間を使い、大型のビデオカードや水冷ラジエータを簡単に組み込めるほか、メンテナンス性にも優れている。初心者がPC自作を始めるにはピッタリの製品だ。
PC-Q33のようなMini-ITX対応PCケースはコンパクトで、机の上に置いてもジャマにならない。多くのMini-ITX対応PCケースは内部が狭くて組み立てにくいが、PC-Q33はマザーボードベース周辺が開放された構造になっており、組み込み作業の難易度が低い。
一般的なATX 対応PCケースとMini-ITX 対応PCケースの違い
Mini-ITX対応PCケースとATX対応PCケースでは、サイズのほかにもベイの数、組み込めるCPUクーラーやビデオカードのサイズが異なる。組み込みたいパーツに合わせて選ぼう
PCケース内部の構造にも注目
内部スペースの広さ、ベイの数、冷却ファンの搭載数は、自作PCの性格を決める重要な要素だ。たとえば組み込みたいビデオカードのサイズが、PCケースが許容するサイズ以上なら物理的に組み込めない。最近は、シャドーベイを外したり移動させたりすることで、内部構造をある程度自由に変更できる製品が増えている。こうしたタイプなら、水冷のラジエータなど大型のパーツを組み込みたくなっても対応しやすい。内部構造を自由に変えられるPCケースは、長く付き合える相棒になる。
バランス型はパーツの選択肢が多い
多数のファンを装備し、組み込んだパーツをしっかり冷却できる「冷却性能重視型」。標準搭載のファンは少なめで、音漏れを防ぐ仕組を備える「静音性重視型」。現行のPCケースのほとんどは、大きく分けてこの二つのタイプに分類される。組み込みたい構成によってどちらか選ぶことになるのだが、ここ数年は両者のよいところ取りをした「バランス型」が勢いを増している。
バランス型は、上記の分類で言えば静音性重視型の1種だ。たとえば「Carbide 330R」では、側板や天板には空気穴がない密閉型の構造を採用。音漏れを防ぐ前面扉や、3基までのファンを制御できるファンコントローラを搭載し、非常に静かなPCを作れる。しかし天板のカバーを外すことで、14/12cm角ファンを2基増設できる。ここに幅28cm以上の大型水冷ラジエータを組み込み、冷却性能を大幅に強化することも可能だ。ビデオカード用のスペースも45cmと広く、強力なビデオカードも安心して運用できる。
基本は静音性重視型ながらも、ちょっと手を加えるだけで簡単に冷却重視型になる。それぞれのタイプに特化したPCケースにはマネのできない機能である。
バランス型は、自分にどんなPCがマッチしているのかがよく分からない初心者にこそオススメだ。最終的に選んだ構成に合わせて、冷却性能や静音性を調整できるのは、バランス型だけなのだから。
目的特化型のPCケースが増加
作りたいPCのイメージが固まっているなら、目的特化型のPCケースのほうが作りやすく、運用やメンテナンス面でも有利だ。ハイエンドビデオカードを2枚以上搭載したいなら冷却重視型のPCケースを選ぶべきだし、多数の3.5インチHDDを搭載したいのであれば、シャドーベイの数と冷却システムの状況をチェックして、サーバーPC向きのモデルを選ぼう。
5年でこう変わった 静音型が進化して復権
2010年は、Cooler Masterの「CM690 Ⅱ Plus」など冷却重視型のPCケースが主流だった。2015年のスタンダードである「Define R5」は、静音性を重視したバランス型ながら、設計の最適化により旧タイプの静音性重視ケースよりかなり冷える。またファンの搭載位置、ベイの配置など、多くの面で自由度が高い。使うと分かるが、同じATX規格でも別物と言えるほどの違いがある。
[Text by 竹内亮介]
電源の選び方
CPUやビデオカードなどではコスパを気にするのに、電源が「とりあえず大出力」では実にもったいない。必要十分な出力を見きわめて、賢く製品を選ぶべきだ。
必要十分な出力はどのくらい?
必要な電源出力は「実際に使うピーク電力の約2倍」が目安。下に掲載した作例の消費電力が参考になるだろう。これを見ると分かるように、必要な電源出力は意外と少ない。現在の定番的な構成ならば、ビデオカードを搭載するシステムでも400W台で十分対応が可能だ。430Wという適度な出力、奥行き14cmのコンパクトさ、セミプラグインと今風のトレンドを満たすCorsairのModular CX430Mなどは価格も手頃で、幅広くお勧めできる。
ハイエンドパーツで固めたオーバークロック、ビデオカード2枚挿しなどには600W以上の出力が必要となる。こういうシステムでは、高負荷が長時間かかる運用が前提だから品質面の強い裏付けも欲しいところなので、品質に定評のあるSeaSonic製で価格もリーズナブルな650Wの「Gseries SSR-650RM」がオススメ。正規代理店であるオウルテックによる5年間新品交換保証も心強い。
奥行きやケーブルは要チェック
電源はATXという規格が主流だが、奥行きは製品によってさまざま。PCケースによって電源用スペースも異なるので、事前にチェックしておきたい。ケーブルを取り回すスペースも考慮し、1~2cm余裕を持ったほうが無難。とくに小型ケースでは十分な注意が必要だ。
また、ケーブルの形状や本数もポイント。内部が狭いケースでは必要なケーブルだけを使えるプラグイン式や、一部が直付けのセミプラグイン式が便利だ。
「80PLUS」って何?
80PLUSには6種類のグレードがあり、上位にいくほど変換効率が高いことを示す。変換効率の高さは電源の発熱やPCの消費電力に直結するので、省電力にこだわるなら重視したい要素だ。
電源の変換効率は負荷率50%前後がもっともよく、低負荷や高負荷では悪くなる。そのため、負荷率50%前後の一番オイシイところを使わないとせっかくの高変換効率電源の効率も宝の持ち腐れ。負荷率50%の状態とは、実測の電力が電源出力の1/2の状態なので、出力選びをきっちりしてこそ、効率も最大に発揮できるということになるのだ。
静音を追求するなら
最近の電源は負荷に応じて回転数が変化する大口径ファンを搭載している。普通に使う分にはほとんど気にならない程度の音しかしないが、より静かなPCを目指す場合は、低負荷時にファンが停止する準ファンレスや、完全ファンレスの製品もある。静音を極めるPCを目指すなら検討してみてはいかがだろうか。
5年でこう変わった 効率の底上げと小出力の選択肢が増加
もっとも目立つ変化は、変換効率の向上だろう。当時は80PLUSはGoldが最高で、数千円クラスでは80PLUS Standardや認証なしもあったが、今はほぼBronze以上だ。PCシステムの消費電力低下に伴い、当時はほとんどなかった450W以下の高効率電源の選択肢も増えた。
[Text by 鈴木雅暢]
【使用パーツ問い合わせ先】
Fractal Design:03-5215-5650(アスク)/ http://www.fractal-design.jp/
Lian Li Industrial:03-5298-3880(ディラック)/ http://www.lian-li.com/
Thermaltake Technology:03-5215-5650(アスク)/ http://jp.thermaltake.com/
NZXT:Webサイトのフォームから(タイムリー:http://www.timely.ne.jp/)/ http://www.nzxt.com/
Corsair Components:03-5812-5820(リンクスインターナショナル)/ http://www.corsair.com/
SilverStone Technology:03-5298-3880(ディラック)/ http://www.silverstonetek.com/
Sea Sonic Electronics:046-236-3522(オウルテック)/ http://www.seasonic.com/
【DOS/V POWER REPORT 2015年5月号は2015年3月28日(土)発売】
★総力特集「保存版 PC自作マニュアル 2015」
★特別企画「六つの格安SIMを比較する」「ネットワークまわりの便利アイテム大集合!」「Bluetoothキーボードオールスターズ」
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★ 紙版を買うと電子版(PDF)を無料ダウンロード可能
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