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毎日愛でたい!使用感と静音性にこだわるデザイン重視PC

【必ず満足!小型PC自作最前線(14)】

DOS/V POWER REPORT 2015年6月号

 こだわりの自作PC専門誌「DOS/V POWER REPORT」の特集をほぼまるごと紹介するこのコーナーでは、今回より「2015年6月号」の総力特集「必ず満足!小型PC自作最前線」を掲載する。

 前回は初心者でも安心というスタンダードな小型PCを紹介した。万人にお勧めできるオーソドックスな構成だったが、自作PCである以上、やはりどこか他とは違う、キラリと光る個性が欲しい。ではどこで個性を出すか?とりあえず形から攻めてみよう、と言うわけでもないが、今回の小型PCはデザイン重視。表面に電源スイッチはおろかUSB端子すら露出しない、スタイル優先のケースを使った作例だ。他のケースとは一線を画すスタイリッシュさ故、他のPCケースとは若干使い勝手が異なるが、組み立てや運用にひと工夫加えることでグンと使いやすくなる。そのテクニックも合わせて紹介しよう。

 この特集が掲載されているDOS/V POWER REPORT 2015年6月号は全国書店、ネット通販にて4月28日(火)に発売。60ページを超えるボリュームでお届けする総力特集「必ず満足!小型PC自作最前線」のほか、同じUSB3.0対応製品なのに性能が違う!「買って得するUSB 3.0メモリはコレだ!」、登場したのは数年前だけど、あっという間に一大勢力となったアイテムを紹介!「簡易水冷クーラーカタログ」、やっぱり体が資本!最新パーツだけでなく自分の健康にも投資するべき!!「つらい目・肩・腰に効く! PC向けデスクチェアを新調せよ」など、特別企画も満載。人気の連載記事、髙橋敏也氏による「髙橋敏也の改造バカ一台」や本Web連載中のAKIBA限定!わがままDIY+の本編「わがままDIY」も掲載だ。

 今号の特別付録は、「新しいPC作ったら、OSも新しいものを使いたい!」という新しいもの好きにお勧めする「今スグ使える!Windows 10 Technical Preview かんたん解読書」。Windows 10 Technical Previewインストール方法や、機能について大解説。「夏の正式リリースまで待てない!」というせっかちな読者の面々には見逃せない一冊だ。


- 必ず満足!小型PC自作最前線 -
毎日愛でたい!使用感と静音性にこだわるデザイン重視PC


毎日愛でたい!
使用感と静音性にこだわるデザイン重視PC

見た目を最優先にすると思わぬところで苦労も

作者の視点
PCとは毎日付き合うものだけに、見た目の満足感は非常に重要だ。とくにリビングに置いて使う場合は、インテリアのように設置できるのが望ましい。というわけで、ここではまずルックスにこだわってプランを立てた。ケースがやや高価なので、そのほかのパーツはコストパフォーマンスを重視している。

 Mini-ITXのケースで、インテリアのように設置できる見た目、という条件で選んだ場合、筆頭に挙がるのがアビーの「AS Enclosure RS07」だ。背面の電源コネクタ以外、見た目には一切端子類が出ない、超シンプルなデザイン。2mmの肉厚アルミ合金を使ったボディはヘアライン加工が施され、高級感を演出している。これPCなの?と思わせるほどのデザイン性ではあるが、一方で利便性には難がある。コネクタ類が一切出ていないので、USBポートやサウンド入出力もケース内部。接続しようと思ったら、ケースを開ける必要がある。組み立て段階で一部のケーブルをしっかりと接続しておかなければならない。もちろん、無線LANを利用、キーボードやマウスも無線化したい。とはいえ、オシャレにはガマンが付き物。どうスマートに使うのか考えるのも楽しみと言える。

シンプルなボディに高い拡張性

 ケースが高価な分、そのほかのパーツはコストパフォーマンスを意識しつつ、よりスマートに使えるように静音性を高める構成とした。また、このケースは拡張性が高いので、将来的なアップグレードが望めるのもメリットだ。

ここがこのPCのお勧めポイント
使用パーツと予算
使用パーツ解説と第2候補製品の紹介

コストと静音性のバランスを重視

 ケースが高価であるため、そのほかのパーツはコストパフォーマンスと静音性の両方が高いものをチョイスしている。

 ポイントはAXP-100で、やや高価ではあるものの、薄型のトップフローながら静かで冷える優秀なCPUクーラーだ。

【検証環境】OS:Windows 8.1 Pro Update 64bit版、室温:20.8℃、暗騒音:31.2dB、アイドル時:OS起動10分後の値、高負荷時:OCCT4.4.1 POWER SUPPLY を10分動作させたときの最大値、CPU温度:HWMonitor 1.27のCPU Temperatures のPackageの値、動作音測定距離:ケース正面から20cm、電力計:Electronic Educational Devices Watts Up? PRO、騒音計:カスタム SL-1370

問題点は周辺機器やパーツでカバー

見た目重視ならではの問題点を解決する

ファンコネクタが一つしか無い!

 見た目とコストパフォーマンス、静音性を重視して各パーツを選択したが、細かな問題点が浮き上がってきた。

 マザーボードには、比較的価格が抑えめで、CPUソケットが中央付近にある使い勝手のよさから、GA-Z97N-WIFIを選択したが、ケースファン用のコネクタが一つのみ。今回の主役であるPCケースのAS Enclosure RS07は、ケースファンが2基あるため、3ピンのファン用電源を二つに分岐させるケーブルで対処。分岐ケーブルを使用しても、マザーボードからのファンコントロールは有効だった。

ケースファンには分岐ケーブルを接続

そんなときはファン用二股電源ケーブルを使う

 GA-Z97N-WIFIは、ケースファン用のコネクタが1基しか用意されていない。多くのファンを持つケースとは組み合わせにくい。その解決策となるのがケースファン用電源コネクタの分岐ケーブルだ。

 アイネックスのWA-084は、一つのマザーボードのケースファン用コネクタに2基のファンを取り付け可能にする分岐ケーブル。二つのケースファン用電源コネクタがあるが、回転数が検出できるのは3ピンの側だけ。もう片方は2ピンで、回転数は検出できない。
 ※2015年4月にWA-084Aは廃番となりました。後継品はCA-084(実売価格350円前後)となります。

2基あるケースファンの電源を分岐したケーブルに接続、それをマザーのケースファン用コネクタに挿す。これで両方動作する
GA-Z97N-WIFIのファンコントロール機能では、分岐したファンは両方同じ回転数となってしまうが、コントロールが可能だった
コネクタ類がすべて内部に

 また、AS Enclosure RS07は非常にスマートな見た目ではあるが、それを実現するために電源以外のコネクタ類はすべてケースの内部に入るという思い切った設計だ。そのため、ケースを閉じる前に、あらかじめ必要なケーブルを接続しておき、そのケーブルを最後にケースのカバーの下段にあるスペースから外側に出す必要がある。正直、キーボードケーブルは通すのが大変だ。そのため、キーボードやマウスはあらかじめ無線タイプを用意しておきたい。そうすれば、受信器となるUSBレシーバの接続だけですむ。

 ディスプレイへの出力も音声と映像を1本のケーブルで出力できるHDMIを選びたい。どこまでスマートに使えるようにするのか考えるのも楽しみの一つだ。

ケーブルをスッキリさせる

 このケース最大の問題点が、マザーボードのコネクタ類がケースの内部、しかも奥に配置されること。そのため、あらかじめケーブル類の接続が必要となる

背面側のカバーからキーボードのケーブルを出すのは苦労する。このケースを使うならなるべくワイヤレス化を考えたほうがよい
ケーブル類は背面側のカバーを通して外に出す。なお、ケーブルは背面でも側面側に沿わせないとうまくカバーが閉まらない
配線が難しいなら、その必要が無い機器を!
ワイヤレスキーボードとマウスがセットになったモデル。キーボードはコンパクトなので狭い机でも使いやすい。カラーはホワイトとブラックがある。
一つのUSB接続の受信器で、キーボードとマウスの両方利用できるのが便利だ。これでケーブルの数を2本減らせる
キーボードとマウスを無線化するだけでも、かなりスッキリと配置できるようになる。ブラックの製品を選んで、見た目のマッチを図るのもよいだろう

より使いやすくする方法を考える

USB 3.0ハブやアンテナを活用して利便性アップ

 キーボードとマウスを無線化しただけでは、ケーブル類が少しスッキリするだけだ。利便性を向上させるには、まだまだできることがある。一つの問題が、USBコネクタだ。コネクタ類が内部にあるため、気軽にUSBメモリやゲームのコントローラを着脱できない。単純な解決策が、USB 3.0ハブだ。3、4ポート程度なら、ACアダプタ不要のハブも多く、手軽に導入できる。ただし、ケーブルの長さが短いものも多いので、1m程度のUSB 3.0延長ケーブルもセットで用意しておいたほうが、設置場所に悩まなくてすむ。

本体のカラーに合わせてブラックのアルミボディを採用するUSB 3.0ハブをチョイスした。ケーブルの長さが60cmなので、ケースの内部から引き出すにはギリギリ。できれば、延長ケーブルも用意しておきたい。
ケースと同じブラックのアルミなので、デザイン的にもマッチする。なお、このUSB 3.0ハブはシルバーのカラーもラインナップしている

 もう一つの問題が無線LANのアンテナだ。GA-Z97N-WIFIのアンテナは外付けタイプで、利用するには、そのほかのケーブルと同じようにケースの内部から引き出す必要がある。ケーブルを減らすのであれば、直付けタイプのアンテナを別途用意したい。

無線LANのアンテナ用コネクタに直接接続するタイプのアンテナ。根本の近くが折れ曲がり、角度や向きの調整もしやすい。
アンテナ用のコネクタは二つあるので、2本用意した。この状態でも問題なくケース内部に格納でき、無線LANの通信も普通に行なえた

拡張性を活かしてアップグレードを試す

GPUにGeForce GTX 960を搭載。アッパーミドルのビデオカードながら、奥行きは17cmと短く、Mini-ITXマザーボードとの組み合わせに最適だ

 ・20cm以上のビデオカードもOK

 AS Enclosure RS07は、コネクタ類こそ内部に入ってしまうので使いにくいが、拡張性は高い。奥行きは28cmが確保されており、GeForce GTX 980などハイエンドクラスのビデオカードも搭載できる。そのため、ゲーマー向けのマザーボードと組み合わせて、ゲーミングPCとして仕立てることも十分可能だ。

AS Enclosure RS07は20cm以上のビデオカードに対応しているが、配線を考えると短いほうが取り付けしやすい
【検証環境】ビデオカード:ASUSTeK GTX960-MOC-2GD5(GeForce GTX 960)、そのほかは前述のベンチマークテストと同じ構成

 ストレージも3.5インチのHDDが2台、または2.5インチと3.5インチのストレージを1台ずつの組み合わせが可能と、SSDとHDDを組み合わせた運用もしやすい。ケースファンも2基と冷却力も十分確保されているので、長時間でも安心して使えるのも強みだ。

 また、ケースを開けるには六角レンチが必要と少々めんどうだが、マザーボードベースやベイなどを含むシャーシユニットは丸ごとケースから着脱可能なので、パーツの換装作業は意外にもしやすい。


【問い合わせ先】

Intel:0120-868686(インテル)/ http://www.intel.co.jp/
GIGA-BYTE TECHNOLOGY:03-3350-5418(旭エレクトロニクス)/ http://www.gigabyte.jp/
CFD販売:-/ http://www.cfd.co.jp/
OCZ Storage Solutions:03-5215-5650(アスク)/ http://jp.ocz.com/
アビー:045-306-6686 / http://www.abee.co.jp/
恵安:info@keian.co.jp / http://www.keian.co.jp/
Thermalright:03-5298-3880(ディラック)/ http://www.thermalright.com/
Lian Li Industrial:03-5298-3880(ディラック)/ http://www.lian-li.com/
ASRock:03-3768-1321(マスタードシード)/ http://www.asrock.com/
アイネックス:042-467-7676 / http://www.ainex.jp/
ロジクール:050-3786-2085 / http://www.logicool.co.jp/
Anker:support@ianker.com(アンカー・ジャパン)/ http://jp.ianker.com/
TFTEC JAPAN:Webサイトのフォームから/ http://www.henj.in/
ASUSTeK Computer:info@tekwind.co.jp(テックウインド)/ http://www.asus.com/jp/

[Text by 芹澤正芳]


DOS/V POWER REPORT 2015年6月号は2015年4月28日(火)発売】

★総力特集「必ず満足!小型PC自作最前線」
★特別企画「買って得するUSB 3.0メモリはコレだ!」「簡易水冷クーラーカタログ」「PC向けデスクチェアを新調せよ」
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★ 紙版を買うと電子版(PDF)を無料ダウンロード可能
★ 特別付録小冊子「今スグ使える!Windows 10 Technical Previewかんたん解読書」(紙版のみ別途付録、電子版では本誌末尾に収録)
★ 毎月700円(税込)で最新号が読める 直販電子版 月額プランも受付中
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(AKIBA PC Hotline!編集部)