パワレポ連動企画

イチオシアイテム解説 ビデオカード編
~R9 Nano登場でハイエンドに動き~

【2015秋 自作PCパーツ超コレクション400(13)】

DOS/V POWER REPORT 2015年11月号

 こだわりの自作PC専門誌「DOS/V POWER REPORT」の特集をほぼまるごと紹介するこのコーナーでは、「2015年11月号」の総力特集「2015秋 自作PCパーツ 超コレクション400」を掲載する。

 第13回目ではAMDの新ビデオカードを中心に、現在のトレンドを解説していく。

 この特集が掲載されているDOS/V POWER REPORT 2015年11月号は全国書店、ネット通販にて9月29日(火)に発売。ぜひともオススメしたいアイテムを一挙掲載する総力特集のほか、フリーOSと余ったパーツで簡単運用「無償のFreeNASで構築するファイルサーバー:ファーストステップ」、ゲーム実況もお手軽に「特選HDMIキャプチャカード&ユニット19」、そろそろ手に届く4Kや5K、ゲーム特化からお手軽フルHDまで紹介する「最新液晶ディスプレイ大集合!!」、GIGABYTEのZ170マザーボードでPC自作の手順をバッチリ解説「GIGABYTEマザーで作るSkylakeマシン組み立て講座」など、特別企画も満載。人気の連載記事、髙橋敏也氏による「髙橋敏也の改造バカ一台」や本Web連載中のAKIBA限定!わがままDIY+の本編「わがままDIY」も掲載だ。

 今号の特別付録は豪華二本立て!「完全保存版CPU&チップセットデータベース2004-2015」と「定番&新顔フリーソフト集」だ。


-イチオシアイテム解説 ビデオカード編 ~R9 Nano登場でハイエンドに動き~-


HBM 搭載GPUで新たな波が到来!
ビデオカード編

2015秋のトレンド
・AMD/NVIDIAがミドル以上を刷新
・HBM搭載のFuryシリーズが話題に
・ビデオメモリ容量の多いカードが増加

R9 Nano、GTX 950登場でラインナップ拡充進む

中軽量ゲーム向きのGTX 950
MOBAゲーマーにオススメのGTX 950。ただ、昨今の円安相場の影響か、製品によってはGTX 960と大差ないのが非常に残念なところ

 2015年のビデオカード市場は、第2世代Maxwellが昨年に続き大ブレイク。

 NVIDIAは人気ゲームのジャンルと、そのゲームに必要な性能を計算してGPUのラインナップを構成している。今年の重量級ゲームのヒット作、「グランド・セフト・オートV」や「ウィッチャー3」などを4K&高画質で楽しみたいコアゲーマーには、超ハイエンドのGeForce GTX TITAN X、その廉価版のGTX 980 Tiを配置。

 さらに、MOBA(Multiplayer Online Battle Arena)系ゲーマー向けには新ミドルレンジのGTX 950を投入。この間を定番のGTX 960 ~ 980で固める鉄壁の布陣だ。

 一方AMDは、ラインナップのリフレッシュでやや出遅れた。Radeon R9/R7 300シリーズは基本的に従来のR9/R7 200シリーズのリブランドで、設計的な目新しさはない。

コンパクトサイズでは現在最強
R9 Nanoが登場
R9 Fury Xとほぼ同じスペックだが、電力効率が大幅改善。カード長17cm未満のコンパクトカードの中では現在最速

 だが新メモリ技術「HBM」を初めて採用した“Fiji(フィジー)”世代のRadeonには注目だ。とくに選別チップで構成されたR9 Nanoは、Mini-ITXサイズの基板でGTX 980を描画性能、ワットパフォーマンスで上回る(3DMarkのFire StrikeではR9 Nanoが11,930に対してGTX 980は10,993。その際のシステム全体の消費電力はR9 Nanoが247.1W、GTX 980が264W)。

 しかしFiji世代は流通量の少なさゆえの超高額設定になっており、費用対効果は圧倒的に劣っているのが現状だ。

 また、4K環境の普及やゲームの重量化とModによる画質向上といったトレンドを背景に、ビデオメモリ容量の多いモデルが増えてきている点にも注目だ。たとえばR9 390X/390はビデオメモリを8GBも搭載することで、4Kの超高負荷領域における描画性能でGTX 980/970を上回ることに成功している。またGTX 960のビデオメモリは標準で2GBだが、最近は4GBモデルが増加中だ。

 ゲーム描画性能はGPUが握っているが、超高負荷領域ではビデオメモリ容量がボトルネックになる、という点を覚えておこう。

AMD、NVIDIAの価格帯別ラインナップ

ベンチマーク&ゲームでの実力に迫る最新製品テスト

 ここでは2015年夏~秋に発売された注目の製品の性能を比較する。NVIDIAはGTX980 TiとGTX 960/950(および比較用のGTX 750 Ti/650 Ti)、AMDはR9 Fury X/Fury/Nanoの“Fiji”世代製品にR9 390Xカードを用意した。

 まず、基本的な実力を見る3DMarkの結果は、グレードどおりのきれいな序列が見られる。一方で、消費電力ではR9 390Xがもっとも大きく、それよりもスコアが高いFiji系チップが省電力という結果になった。これは低クロック動作でも広帯域を誇るHBMを採用した効果だが、とくにR9 Nanoのワットパフォーマンスは傑出している。

3DMark実行時のスコアと消費電力の比較

 実ゲームのテストは3本行なったが、GPUのグレードでゲームを使い分けた。

 ハイエンド勢は「ウィッチャー3 ワイルドハント」と「アサシン クリード ユニティ」でテスト。GTX 980Tiの超OC版である「ZOTAC GeForce GTX 980 Ti AMP! Extreme」が異次元の強さを見せるが、フルHDならRadeon陣営も快適に動作する。しかしビデオメモリ消費量が最大8GB近くまで達するアサシン クリード ユニティの4K環境では、4GBしか持たないFiji勢の結果が著しく低下する。

ウィッチャー3 ワイルドハントでの比較
アサシン クリード ユニティでの比較

 一方ミドルレンジは「ファイナルファンタジーXIV:蒼天のイシュガルド ベンチマーク」でテストした。GTX 960と750 Tiの中間にGTX 950が収まる形だ。2年前のGTX 650 Tiよりも消費電力が下がっており、旧PCのパワーアップ用に使うのが最適と言える。

ファイナルファンタジーXIV:蒼天のイシュガルド ベンチマークでの比較

【検証環境】

CPU:Intel Core i7-6700K(4GHz)
マザーボード:ASUSTeK Z170-A(Intel Z170)
メモリ:Micron Crucial BLS2K8G4D240FSA(PC4-19200 DDR4 SDRAM 8GB×2)
SSD:Micron Crucial MX200 CT1000MX200SSD1(Serial ATA 3.0、MLC、1TB)
ビデオカード:ドライバはRadeonはCatalyst 15.7.1、GeForceはGeForce 355.82を使用
電源:Corsair RM650(650W、80PLUS Gold)
OS:Windows 10 Pro 64bit版
アイドル時:OS起動10分後の値、高負荷時:3DMark v1.5.915のFire Strikeデモ実行中の同一シーンでの最大値、ウィッチャー3 ワイルドハント:フィールド上の一定コース移動時を「Fraps」で計測、アサシン クリード ユニティ:マップ内の一定コース移動時を「Fraps」で計測、ファイナルファンタジーXIV:蒼天のイシュガルド ベンチマーク:グラフィックス設定は最高でフルスクリーン
電力計:Electronic Educational Devices Watts Up? PRO


[Text by 加藤勝明]


DOS/V POWER REPORT 2015年11月号は2015年9月29日(火)発売】

★総力特集「主役は出揃った!!今が買いの本誌イチオシアイテムがずらり 自作PCパーツ超コレクション400」
★特別企画「無償のFreeNASで構築するファイルサーバー:ファーストステップ」「特選HDMIキャプチャカード&ユニット19」「最新液晶ディスプレイ大集合!!」「GIGA-BYTEマザーで作る Skylakeマシン組み立て講座」
★連載「最新自作計画」「自作初心者のための[よくある質問と回答]」「New PCパーツ コンプリートガイド」「激安パーツ万歳!」「髙橋敏也の改造バカ一台」「PCパーツ スペック&プライス」「全国Shopガイド」「DOS/V DataFile」

★ 紙版を買うと電子版(PDF)を無料ダウンロード可能
★ 特別二大付録小冊子「完全保存版CPU&チップセットデータベース2004-2015」、「定番&新顔フリーソフト集」(紙版のみ別途付録、電子版では本誌末尾に収録)
★ 毎月700円(税込)で最新号が読める 直販電子版 月額プランも受付中
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(AKIBA PC Hotline!編集部)