長く使うSkylakeハイエンドマシン ～基本構成～

ポイント1
長期運用でも安心のマザーボード

ASUSTeK Computer
MAXIMUS VIII HERO

ASUSTeKのOC／ゲーマー向けのプレミアムブランド「R.O.G」の最新モデルで、OC運用を想定した高耐久設計を採用し、OC／ゲーマー向けの独自機能も満載する。基本機能、使い勝手も優れており、長く安心して使えるハイエンドマシンというコンセプトにぴったりだ

　長く安心して使うハイエンドマシンというコンセプトだけに、マザーボードは、機能、拡張性、使い勝手、信頼性といった要素をすべて兼ね備えている製品が望ましい。というわけで選んだのが、ASUSTeKのMAXIMUS VIII HEROだ。

　プレミアムブランドのR.O.G.シリーズの中では比較的シンプルな仕様のATXモデルだが、演出先行の安価なゲーミングマザーとは格が違う高品質高耐久設計で、同シリーズのGENEやRANGERと比べても1段上だ。ハイエンド構成での高負荷運用を考えている場合には実に心強い。冷却性能の高いCPUクーラーと組み合わせることでOCの可能性も視野に入る。

　また、SLIに対応する2本のPCI Express 3.0 x16スロット、USB 3.1（Type-C含む）ポート、高速M.2ソケットもしっかり装備する。UEFIセットアップ、統合ツールのAI Suite Ⅲの完成度も高く、日常的な使い勝手の面でも申し分ない。

Micron Technology
Crucial Ballistix Sport BLS2K8G4D240FSA

XMPでDDR4-2400動作に

DDR4-2400（CL＝16）と特別高速というわけではないが、大手メモリチップメーカー純正モジュールということで安心感がある。OCメモリにしてはローハイトでジャマにならない点もよい

Ballistix SportはXMP対応のPC4-19200メモリなので、UEFIセットアップでXMPプロファイルをロードして使う。MAXIMUS Ⅷ HEROでは「Extreme Tweaker」タブの「Ai Overclock Tuner」で設定する

CRYORIG
H5 ULTIMATE

Fan Xpert 3で手軽に静音化

CPUクーラーはシングルタワーの大型モデル。シンプルなフォルムながら、独自設計のハニカム構造ヒートシンクと14cm径ファンによる強力な冷却性能を持っており、TDP180Wまでの放熱に対応する。取り付け方法も工夫されており、着脱がしやすい点もメリット

マザーボードに付属するユーティリティ「Fan Xpert 3」を使えば、簡単にファンの最適化ができる。自動機能で調整し、「サイレント」、「標準」、「ターボ」などのプリセットを選択するだけでOKだ

ポイント2
ビデオカードはTITAN Xに迫るOCモデル

Micro-Star International
GTX 980Ti GAMING 6G

MSI GAMINGシリーズのGeForce GTX 980 Tiモデル。Twin Frozr Vは、OC動作に対応する冷却性能を持つだけでなく低温時にファンが停止する準ファンレス仕様だ

　ビデオカードは、現時点だけでなく近い将来も見据えてかなり余裕のある選択肢を……ということで、GeForce GTX 980 Tiを搭載したMSIのGTX 980Ti GAMING 6Gを選んだ。

　GeForce GTX TITAN Xに迫る高性能で、ビデオメモリも6GB搭載しているため、高解像度化の流れにも対応しやすい。高性能GPUクーラー「Twin Frozr V」は冷却効率が高く、低負荷時はクーラーを停止する準ファンレス仕様で、高負荷時でもスマートに冷却できる。

　公式OCモデルで、簡易ユーティリティの「GAMING APP」で、3種類の設定を簡単に切り換えて使えるのも便利だ。

3種類の動作モード

GAMING APPはタスクバーに常駐し、3種類のOCモードを選べる。サイレントはGeForce GTX 980 Tiの定格で、OCモードではブーストクロックは200MHzほど高く設定される

ポイント3
省電力設定を試してみる

コアの動作設定を変更

MAXIMUS Ⅷ HEROはデフォルトで「Sync All Core」（全コアがTurbo Boostの上限で動作する）になるので、「Per Core」（本来の定格）に戻す。そのほか、サウンドやチップセットのLEDを消すほか、PCI Express関連の省電力設定も詰めた

　マザーのMAXIMUS Ⅷ HEROは、OCを強く意識したモデルで、Turbo Boost対応CPUを使うと標準設定でも軽いOC設定が適用される（全コアが最大倍率で動作）。メモリ、ビデオカードもOCモデルで、普通に組み合わせて使うと消費電力は高めになる。ハイエンドマシンなので少しくらい高くてもよいのだが、ちょっとした遊びとして、軽いOCをやめつつ省電力設定を行なうことでどこまで省電力化できるか試した。

　SkylakeではFIVRを内蔵しない分、前世代のHaswellよりCPUまわりの設定は簡素になったが、PCI ExpressやSerial ATAの省電力設定も多数用意されており、さまざまなカスタマイズが可能だ。

ポイント4
オーバークロックを試す

　Core i7-6700KはTurbo Boostの上限倍率ロックが解除された倍率ロックフリー仕様で、倍率変更によるOCが可能だ。マザーボード、CPUクーラーもそれなりに強力なものを使っているので、OC設定を試してみた。定格仕様があまり変わらないCore i7-6700とは7,000円～8,000円ほどの価格差があるだけに、ある程度はOCで使わないともったいないという面もある。なお、Skylakeではベースクロック変更もしやすくなっているが、設定が煩雑になるわりにOCの競技用以外ではあまり旨みがないので、ここでは倍率変更のみで行なっている。

UEFIでリミッターとVRM設定

UEFIセットアップでは、Turbo Boostのリミッターの解除とVRMの設定を行なう。VRMはLoad-line Calibrationが重要だ。高負荷時の電圧降下を抑制する度合いを示すもので、もっとも降下が少ないLevel 8にした

AI SuiteⅢで作業

4.7GHzで動作

OC操作は、AI SuiteⅢの「TPU」ユーティリティで行なう。コア一つずつ倍率を設定することもできるが、ここでは「一括設定」にチェックを入れて左上に表示されている倍率を上げて「適用」ボタンを押せばよい

OCの最高結果は、1.33Vで47倍の4.7GHz動作だった。4.8GHzも電圧を0.1Vずつ上げて試したものの、ベンチマーク（CINEBENCH R15）の途中でエラーが出てしまった

　CPU倍率47倍の4.7GHzまではCPUコア電圧もそれほど上げずにすんなり上がったのだが、CPUコア電圧を徐々に上げていっても4.8GHzでベンチマークが完走するまではいかず、1.4V以上に上げると完走前に90℃を超えてしまった。この環境では4.7GHzが限界のようだ。

[Text by 鈴木雅暢]